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映画『ミュージアム』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『ミュージアム』の概要:雨の日にのみ起こる、凄惨な殺人事件を捜査している刑事が、犯人の巧みな罠によって事件の当事者へと誘い込まれて行くサスペンス。監督大友啓史、主演を小栗旬が今までにない迫力で演じている。2016年公開。

映画『ミュージアム』の作品情報

ミュージアム

製作年:2016年
上映時間:132分
ジャンル:サスペンス、ホラー、アクション
監督:大友啓史
キャスト:小栗旬、尾野真千子、野村周平、丸山智己 etc

映画『ミュージアム』の登場人物(キャスト)

沢村久志(小栗旬)
刑事。家族よりも仕事優先。察しが良く、頭の回転が速い。激情的な面もある。
沢村遙(尾野真千子)
久志の妻。長年、家族を顧みない夫に愛想を尽かし、息子を連れて家を出る。
西野純一(野村周平)
新米刑事、久志の部下。一生懸命で初々しい。まだ現場には慣れないが察しは良く、使える部下。
秋山佳代(田畑智子)
遥の友人。看護師をしている。口が固い。
カエル男 / 霧島早苗(妻夫木聡)
自称アーティスト。雨の日にカエルの面を被り、猟奇的殺人を完璧にやり遂げる。研究熱心で慎重な上、緻密な計算と計画性のある罠を張り、犯行に及ぶ。

映画『ミュージアム』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『ミュージアム』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『ミュージアム』のあらすじ【起】

沢村久志は刑事である。仕事にかまけていたせいで、妻の遥は幼い息子を連れ、2週間前に家を出て行ってしまった。自宅のソファーで横になっていると、携帯が鳴る。彼は寝ぼけ眼で電話に対応し、非番なのに現場へ向かった。

その日も雨だった。場所は廃トンネル。現場前では、新米刑事の西野が嘔吐していた。黄色いテープの先、犬が五月蠅く吠えている。検察官はこの犬達が凶器だと言う。階段を下りて進むと、万歳をした状態の被害者が、両膝を地面に着く高さで天井から吊るされていた。犯人は被害者を連れ込み、腹を空かせた大型犬3匹に襲わせ、立ち去ったと見られる。上司命令で付近の聞き込みをするが、雨合羽の人物が付近をうろついていた、という事くらいだった。動物保護センターで調べられていた犬が、何かを吐き出した。それは名刺サイズの紙片。ドッグフードの刑と記されていた。

目を覚ますと男は、イスにテープで張り付けられていた。そこは廃屋の工場。外は土砂降りだ。カエル男は、男の事をずっと見ていたと言う。詳細な経歴を述べた後、有罪と断言。刑の名は、母の痛みを知りましょうの刑。男は必死で口元のテープから逃れ、母を呼び続ける。カエル男は男を蹴りつけ、金鋸で切り刻み始めた。

被害者は28歳、無職の男性。引きこもりのニート。母親から今朝、特委家出人として捜索願が出されていた。西野は情報を伝えると、すぐさま嘔吐する。沢村は名刺サイズのカードを見つけた。また刑だ。被害者の自宅ドアには、ピッキング痕と長靴の足跡が残されていたと言う。計りには切り取られた肉片。グラムは出生体重と同じ重さだった。

沢村と西野は食事を摂りながら、事件について話し合う。犯人は被害者の事を詳細に調べ上げ、熟知している。そこで、水を貰おうとして声をかけると、斜め向かいの男性が注いでくれた。男の手は傷だらけだった。男が立ち去って行く。沢村は西野に、被害者が体験した事を軽く体験させてみる。右頬を左手で掴まえ、金鋸で切った場合、被害者が出来る唯一の抵抗は左指を齧る事だけだ。そこでふと、沢村は先ほどの光景を思い出す。さっき水を注いでくれた男の左手。傷だらけではなかったか。はっとして周囲を見渡し外へ出るが、男の姿はすでに無かった。偶然だろうか。外は今夜も雨が降っている。

上司の掛け声に驚き、飛び起きた沢村。いつの間にか眠っていたようだ。前回の事件を調査した結果、愛犬家だった被害者はアレルギーを持つ恋人と同棲する為、飼っていた犬を泣く泣く保健所へ連れて行った。それだけが本当に犯行理由と成り得るのだろうか。何か他に共通した接点があるのではないか。そして犯人は死体を見せたがっているのではないか。快楽犯や殺人マニアの類と同じように。この手の連中は連続性が高い。

捜査会議。2つの事件では、共通して雨合羽を着た不審者が目撃されていた。犯行当日はどちらも雨天。犯人は天候を選び、そこまでの計画性を持って犯行を重ねていると推測される。会議途中、2人の被害者の共通点が判明。3年前に死刑判決を下された、幼女樹脂詰め殺人事件の裁判員だった。それを聞いた沢村の顔色が変わる。実は妻の遥もその事件の裁判員だったのだ。遥は息子を連れ、2週間前に家を出て行った。刑事達が一斉に動き出す。沢村は必死に連絡を取ろうとするが、何度かけても電話は繋がらなかった。

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映画『ミュージアム』のあらすじ【承】

幼女樹脂詰め殺人事件。被告人の大橋茂は、ウレタン工場に勤務していた。子供の遺体をクリスタルレジンで固め、標本のようにして世間に晒したという。大橋茂は任意同行後、犯行を自供。弁護側は無罪を主張したが、裁判員裁判の判決は死刑。判決後、持病の精神疾患が悪化し、大橋茂は移送された警察病院で自殺していた。

ラジオとテレビで裁判官の小泉勤の失踪を報じていた。小泉家には妻と幼い娘がいる。そこへ、宅配便が届いた。品名には均等の愛の刑と記してある。キャバクラ嬢のユキの元へも宅配便が届く。こちらも同じように、品名は均等の愛の刑。開けてみると中には、縦に切られた小泉勤の死体が入っていた。

捜査本部が立てられ、捜査会議が行われた。事件の概要が述べられ、被害者になり得る候補者は残り6名。内1名は沢村の妻、遥だ。捜査中の刑事に連絡が入る。冷凍室の檻の中で氷漬けになった女性は、全裸で笑っていた。檻に張り付けられたカードには、ずっと美しくの刑と書いてあった。裁判員の1人だった。別の場所では、占い師だった男が針を千本飲まされて息絶えていた。そしてカードには針千本飲ますの刑と記されてある。彼も裁判員の1人だった。

沢村は事件の捜査から外され、署で待機していた。焦燥感が募り、暴れても足りない。彼が妻子を最後に見たのは、家から出て行く時。妻は最後に、あなたは刑事としては優秀かもしれないけれど、父親としては最低よ、と言い捨てて行ったのである。動かずにいられなかった。タクシーで遥の友人である秋山佳代の勤める病院へ向かった。沢村は佳代から話を聞き出そうとするが、彼女から遥の事で酷く責められる。そこへ他の刑事もやって来た。遥と息子が危機的状況だと告げる沢村。すると佳代は、自分の部屋に匿っている事を話す。刑事が佳代の彼氏の件を話すと、佳代は愕然として、彼氏などいないと話した。では、佳代の部屋にいた男とは。

雨合羽を来た男は、衣装ケースに入れた遥と子供に蓋をする。それから、部屋の外へ運び出して車に乗せた。沢村は刑事の車を借りてその後を追う。佳代の部屋のテーブルには、お仕事見学の刑と書かれたカードが置かれていた。電話で聞いた沢村は更にヒートアップ。必死に前方の車を追い詰める。無線で応援を呼んだ際、不注意からハンドルを切り損ね、車が横転。その車へ更にトラックが危害を加えた。沢村は満身創痍で、車から脱出。男が降りて来て、這い蹲る彼を蹴り上げた。そして、にやりと笑い遥と子供を連れ去った。沢村は薄れゆく意識の中、遥の事を何も知らない事に気付いた。3年前の裁判員裁判での事も、2人目の子供を流産した事も、妻がずっと辛い思いをしていた事も。

映画『ミュージアム』のあらすじ【転】

謹慎処分を言い渡された沢村は、喫茶店で西野を待ち、捜査状況を教えてもらう。資料に目を通した沢村は、何かが裏で繋がっている気がすると言う。その時、西野は外にカエル男を見つける。男はまるで挑発するかのように、喫茶店のガラスを叩き走り去った。沢村は怒声を上げて、それを追いかける。そして、遅れて西野が。車道に飛び出して轢かれた沢村に促され、西野が先を追いかけた。今日も土砂降りの雨。携帯が鳴った。出ると男の声が、ビルの屋上を示した。必死で屋上へ向かった沢村が見たものは。後ろ手に縛られた西野をビルの端に立たせ、ネクタイを掴んでバランスを取るカエル男。奴は拳銃を持っている。カエル男は自らを表現者と言い、人を楽しませるアーティストだと宣った。そして、3年前の事件で、大橋茂に自分の作品を邪魔されたと怒っている。雷が鳴って雨が止む。陽が差し込むとカエル男は、首元を掻いて時間が来たと言う。それから、西野のネクタイを離した。西野はバランスを崩し、屋上から落下。カエル男はまんまと逃げおおせた。

西野の遺体を前に、同僚から責められる。上司らにカエル男との会話を報告後、沢村は本庁へ向かう事になった。西野を殺したのは自分だ。沢村は車の中で、嘔吐の演技をして逃亡。彼は重要参考人として扱われる事になる。上司は何かを隠していた沢村の後を追え、と部下へ命令した。裏のルートから銃を入手した沢村。とあるラーメン屋にて、アレルギーで騒ぐ客を目にし、カエル男が日光アレルギーである事を突き止める。病院を虱潰しに調べて行けば、奴の事が分かるはずだ。医師から半ば脅迫まがいに聞き出した情報。カエル男の本名は霧島早苗。極度の光線過敏症であった。

霧島の自宅へ侵入した。薄暗く狭い廊下を、警戒しながら進む。どこかの部屋からクラシック音楽が流れている。その部屋へ辿り着いた。中には至る所に今までの犯行が貼り出されていた。テレビの画面には、自分の部屋が映し出されている。背後から忍び寄る気配へ俊敏に反応した沢村。奴と取っ組み合い、背中を負傷。更に殴り合いを続けたが、沢村は力尽き、最後に殴られて意識を失った。

気が付くと、密室に閉じ込められている。部屋には女と子供のマネキン。女のマネキンには銃、子供のマネキンにはパズルが持たされていた。蓋を開けるとピースと録音機。食堂での西野との会話が録音されていた。ひとしきり暴れた後、銃を手に取る。奴の意図が読めない。扉はパスワードがないと開かない。突然、音が鳴って驚く。バーガーとジュースが転がって来る。こうなったら奴の遊びに付き合うしかない。沢村はパズルを作り始めた。
腹が減ってバーガーとジュースを口にする。こんな時に子供との会話を思い出す。闇雲にパスワードを押してみる。だが、扉は開かない。その頃、霧島はメトロポリタンミュージアムを口ずさみながら、何かの肉をミンチにしてハンバーグを作っていた。

映画『ミュージアム』の結末・ラスト(ネタバレ)

霧島は沢村へ聞く。妻と子供を腐らせずにどうやって殺したのか。沢村は2人の心を長い時間をかけてゆっくりと殺したのだ。だが、沢村は否定する。霧島と同じではない。違うはずだ。
沢村の父親も刑事だった。母親が死んだ時も、父親は捜査で自宅へは帰らなかった。彼は父親を軽蔑した。ある日、父親が殉職。帰ろうとした時、父親が救った母子がお礼を言いに来る。沢村は泣いた。そして、警察官の道を選んだ。この仕事をすれば父親と会話する事が出来る気がしたのだ。だがいつの間にか、自分は父親と同じ事を妻子にしていたのである。沢村は初めて遥と子供がどれだけ寂しい思いをしていたか知った。

パズルがほぼ完成した。現れた言葉はEAT。食べるという意味だ。そこでふと、バーガーを目にした沢村。まさかこの肉。パスワードを押すと扉が開いた。隣室は霧島がハンバーグを作っていた部屋だった。皿に残る毛髪。冷蔵庫には妻子の写真。まさか。扉を開けると子供と遥が戻っていて、またいつもの生活が始まるのだと、沢村は何度も何度も想像していた。冷蔵庫の中には遥と子供の生首が。衝撃に言葉も出ない。叫び声をあげてただ泣いた。

別室では、霧島がその様子を見て感動している。そして、そこには遥と子供がまだ生きていた。沢村は精巧に作られたレプリカを見ているのだ。子供が泣き出す。霧島は遥へ君は有罪だと怒鳴る。人殺しと詰る遥に、霧島は中華包丁を手に迫る。

沢村は泣きながら嘔吐した。そこへカエル男が現れ、かつての自分のセリフを口にする。妻子の最後を語る霧島へ銃を放つ沢村。逃げて行く奴を追う。殺してやる。頭の中はそれだけになり、憎悪に塗れて逃げて行くカエル男を追いかける。カエル男はもう1人のカエルと交代。だが、そのカエルは地面へ伏して泣いている。中身は遥だった。自分を殺さないと子供が死ぬ。霧島は子供を人質にしている。沢村は命乞いをした。自分を殺せと言う妻に迫られる。殺せるはずがない。妻は夫へ今までありがとうと言う。究極の選択だった。妻か、子供か。

沢村は叫び、霧島を撃った。だが、霧島も沢村を撃つ。霧島だけが立ち上がる。エンディングは3つ。1つ目は、妻が夫に殺され、息子と父親が生き残る。2つ目は、霧島を撃ち殺し、家族3人が生き残る。3つ目は、家族が全員死ぬ。笑う霧島。そこへ刑事が現れる。沢村の上司と同僚達だった。霧島は逃亡。屋敷には警官が雪崩れ込む。霧島は外へ逃亡、陽の光に肌が焼け爛れる。光線過敏症のアレルギー症状だ。しばらくして、彼は呼吸困難に陥り、意識を失った。

事件から3カ月。身体の傷は癒えたが、心は未だあの時へ置き去りになっている。日常を取り戻そうと努力する反面、ふとした瞬間あの時へ一気に引き戻されるのだ。
沢村は子供の運動会を見に行く。息子は意外に足が速かった。満面の笑みで子供の応援をする妻と夫。だが、子供はしきりに首筋を掻いていた。

映画『ミュージアム』の感想・評価・レビュー

巴亮介原作の漫画を実写化した映画である。ストーリーも原作の流れをほぼ網羅しているような内容であり、主人公の沢村刑事を小栗旬が熱演している。原作での殺人描写はかなり凄惨なものが多く、映像としては多少抑えられているものの、作品の不気味さは漫画と同様、十分に搔き立てられる内容となっている。ラストシーンは漫画には無いオリジナルのものとなっており、カエル男が発症していた光線過敏症が沢村の子供に現れるといったなんとも後味の悪いものとなっているが、サスペンス的な展開としては、なかなか評価出来る終わり方ではある。(男性 30代)


もう二度とこの作品を観ることはありません。私にとってそれくらいの衝撃を受け、トラウマになっている作品です。原作の小説も読んだことはなく、全く知らない状態で観ました。「和製セブン」なんて言われることもあるようですが、ブラッド・ピット主演の『セブン』とは全くの別物。この『ミュージアム』には嫌な明るさがあるのです。雨の日にだけ殺人を楽しむ猟奇的殺人犯。シーンとしては暗いものでしたが、色使いに嫌な明るさがあり本当に不快でした。
ラストまでかなりグロいシーンが多く、この作品を観るとしばらくハンバーガーが食べられなくなると思います。(女性 30代)


邦画のサスペンス映画の中でも大好きな作品。
一つ一つの事件が印象深く残ってしまう程残虐的で、どこか洋画ホラーのような面白さがある。カエル男が猟奇殺人を犯すようになった過去の事件も描かれており、それと相まって意味深なラストにワクワクさせられてしまう。数年後、あの子供はどうなるのだろうか、そんな想像を掻き立てられる。邦画サスペンスといってもグロイシーンが多々映し出されるので、苦手な方は注意が必要な作品である。(女性 20代)

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