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映画『アレキサンダー』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『アレキサンダー』の概要:オリバー・ストーン監督の歴史スペクタクル。20歳で王となり10年で大帝国を築き上げたアレキサンダー大王の壮絶な生涯を描く。主演をコリン・ファレル、母親役をアンジェリーナ・ジョリーが妖艶に演じている。2004年公開。

映画『アレキサンダー』の作品情報

アレキサンダー

製作年:2004年
上映時間:173分
ジャンル:歴史、時代劇、西部劇
監督:オリヴァー・ストーン
キャスト:コリン・ファレル、アンジェリーナ・ジョリー、ヴァル・キルマー、アンソニー・ホプキンス etc

映画『アレキサンダー』の登場人物(キャスト)

アレキサンダー(コリン・ファレル)
フィリッポスとオリンピアの子。20歳で王となり神の子と呼ばれ、革新的な行軍をして国々を征服して行く。思慮深く愛情深いが、裏切られると非情で残酷な仕打ちをする。ヘファイスティオンを愛している。
オリンピア(アンジェリーナ・ジョリー)
フィリッポス王の妻。妖女と呼ばれている。常に蛇を傍に従え、歳を取らないのではないかと思われるほどに美しい女性。激しい気性の持ち主。
フィリッポス2世(ヴァル・キルマー)
アレキサンダーの父、片目の王。傲慢で残忍。粗野な態度が目立つ。
プトレマイオス1世(アンソニー・ホプキンス)
アレキサンダーと幼い頃から高等な教育を受け、共に戦場を駆け抜けた友であり家臣。王の死後、後世にアレキサンダーの生き様を伝えるべく伝記を作成。
ヘファイスティオン(ジャレッド・レト)
アレキサンダーの家臣。常に傍近くに侍り、王とはプラトニックで愛し合う仲。誠実で優しく、美しく聡明であり勇猛果敢な青年。
ロクサネ(ロザリオ・ドーソン)
遙か西の民族、族長の娘。肌の色は暗く妖艶で美しいけれど気が強い。ヘファイスティオンと夫がただならぬ仲なのを察して嫉妬している。

映画『アレキサンダー』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『アレキサンダー』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『アレキサンダー』のあらすじ【起】

紀元前323年6月、ペルシアのバビロン。アレキサンダー王は謎の奇病にて息を引き取った。40年後、エジプトのアレキサンドリア。かつての帝国が戦で消滅した事を語るプトレマイオス1世がいた。彼は王がどのような快挙を行ったのかを真摯に語り、そして彼を神と敬う。だが、本当に彼は偉大な人物だったのだろうか。

東には世界を制圧したペルシア帝国があった。西にはかつて栄えたギリシャのテーバイ、アテネ、スパルタ。いずれも衰退した都市が。長い事ペルシア王はギリシャ兵を黄金で買い、傭兵として戦わせていた。全てを変えたのが片目の王フィリッポス。マケドニア全土の無学な羊飼い達をまとめ上げ、優れた手腕で強力な軍隊に仕立てギリシャ軍を屈服させた。次なる標的はペルシア。バビロンではペルシアの新王ダレイオスが、フィリッポス率いるマケドニア軍に怯えていた。アレキサンダーはフィリッポスの息子としてペラに生まれた。

マケドニア、ペラ。アレキサンダーの母オリンピアスは妖女で、父親は王ではなく神のディオニュソスか最高神ゼウスとも言われた。マケドニアでは誰一人、彼の父親について疑わぬ者はなかった。母親は殊の外、蛇を可愛がっており何匹も飼っていた。そしてディオニュソス神を深く敬っている。力で従わせる王に対し妃は決して従わず、むしろ憎んでさえいた。

8年後、成長するにつれアレキサンダーは友との交わりに心の安らぎを見出していた。同年代の少年達を集め世界地理、体術等、高等な教育を受けていたが、その中に生涯の友となるヘファイスティオンがいた。王は教育係としてアリストテレスを招いた。そんな中、野心に燃えたフィリッポスはペルシア侵略を計画していた。

ある日、戦支度の為に王は妃達を連れ馬の買い付けに来ていた。その中で、非常に気性が荒く神経質だが、類を見ない素晴らしい馬がいた。王が宥めようとしても馬は荒れ狂って人を乗せようとしない。そこへアレキサンダーが名乗りを上げて馬へと近付く。馬は自分の影に怯えていた。アレキサンダーはそれに気付き宥め、そしてとうとう馬へと騎乗した。彼はその馬にブーケファラスと名付けた。屈強なる者という意味だった。

父と息子は歴代の英雄を描いた壁画を見に来ていた。どの英雄も偉大な偉業の影に残酷な犠牲を払っている。息子にもいつの日か神々の残酷な裁きが下るだろう。人は王に生まれるのではない。王になるのだ。剣と痛みによって。王とは孤独なのだ。

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映画『アレキサンダー』のあらすじ【承】

更に8年後。アレキサンダーは夏に19歳となる。王が手籠めにした家臣の姪が身籠った事により、オリンピアスはアレキサンダーが王になれる確実な手を考えた。それは結婚して正統な血筋を持つ世継ぎを設ける事。だがアレキサンダーはヘファイスティオンを愛しており、そして彼もアレキサンダーの事を愛していた。王座にこだわりを見せ始めた母親にアレキサンダーは疎ましさを覚える。

王の婚礼を祝う宴の席、身籠った姪を持つ家臣がアレキサンダーを正統な世継ぎではなく、自分の姪の子が正統な世継ぎとなる、といった言動を盛大に誇示した。それにはさすがのアレキサンダーも黙ってはおれず、宴会場はたちまち騒然となる。そこで王は妃であるオリンピアスが息子を焚き付けて王座を狙っていると叫ぶ。故に、新たな妃が生んだ子が男であろうとアレキサンダーには関係ないと。そして侮辱した家臣へと謝罪を迫るのだ。アレキサンダーは謝罪を拒み宴会場を去ろうとする。自分に従わない息子へ王は追放令を出した。

だが、全てが大きく変わった。父王フィリッポスが暗殺されたからだ。アレキサンダーは20歳。彼は新しいマケドニアの王となった。彼を甘く見たギリシャの諸都市は同盟を破り次々と反旗を翻した。その機に乗じたペルシアは反乱を支援。アレキサンダーは愛情深かったが、ひとたび裏切られると凄まじい怒りで応じた。テーバイでは数千人を虐殺。生き残った者は奴隷として売り払った。これがきっかっけとなりギリシャは敗北。21歳でアレキサンダーはアジアへと遠征。4万の兵を率いて戦った。ペルシア支配下の国を次々と解放し、西アジアからエジプトまで征服。彼はエジプトで高名なシウァの預言者から神託を受けた。彼こそは神ゼウスの子であると。

そして、アレキサンダーはついにペルシア王ダレイオスと帝国の都バビロン近くで対峙した。マケドニア軍4万人に対しペルシア軍25万人。アレキサンダーは神の子。その始まりは神話そのものだった。若い王は敵陣を突破し一気に王を仕留める作戦を提示。軍議は揉めに揉めたが、結局は王の命に従う事となった。

映画『アレキサンダー』のあらすじ【転】

次の日、兵士には一糸の乱れもなく気力は十分に漲っていた。進軍開始。兵は予定通りに行軍し交戦。戦況は不利の様相を呈するが、アレキサンダーは別働隊を率いて大軍の空白を目指す。突撃、交戦。ダレイオスを目指し進んで行き、王は槍を投げつけるもダレイオスには当たらず。恐れをなしたダレイオスは一部の兵を連れて退却した。追撃しようとするも補給部隊を守る為、王はやむなく戦場へ戻った。負傷兵は数えきれないほどの人数である。王も負傷していたが、彼は重傷者を優先させ助からない者はその場で命を絶った。王は1人泣き叫ぶ。彼は25歳で全世界の王となった。

ペルシアのバビロン。栄光の瞬間だった。バビロンは入城するに容易く去るのは難しい都。美しく幻想的な帝国都市であった。バビロンへ来て3か月。アレキサンダーは母親を憎んでいた。信用出来るのはヘファイスティオンだけだった。
アレキサンダーは多くの国と民を1つに結び、アレキサンドリアを各地に建国して人々を自由にしたい。そんな夢を持つようになる。過去の偉人よりも偉人になるのだとヘファイスティオンに語る。そして2人は最後まで離れないと誓い合った。

ダレイオス討伐に3年かかったが生け捕りには出来なかった。かつてのペルシア王は臣下の裏切りによって殺害された。アレキサンダーはダレイオスへ敬意を払う為、裏切った臣下を追ってスキタイの平原まで兵を進める。ヨーロッパとアジアが出合う最果ての地。10番目のアレキサンドリアを建て、辺境の地を厭わぬ元兵士や女達を入植。抵抗する部族は容赦せず最後の1人まで徹底的に叩き潰し、そしてついに最後の族長の首を取った。アレキサンダーはバクトリアという地で謎に満ちた決断をした。皆の反対を押し切り族長の娘、ロクサネと結婚してしまったのだ。

結婚に反対した臣下達の間に不穏な空気が漂っていた。結婚初夜。ヘファイスティオンがアレキサンダーの部屋を訪れ太陽を象った指輪を送る。涙ながらに世継ぎをと語った。そこをロクサネに目撃され、ヘファイスティオンは即座に退室。妻に詰め寄られたアレキサンダーは太陽の指輪を外して命懸けで和解。世継ぎを儲ける為に妻を抱いた。だが彼は太陽の指輪を再び指へと嵌め直す。

映画『アレキサンダー』の結末・ラスト(ネタバレ)

ある日、小姓の様子がおかしい事に気付き暗殺の陰謀を知る。臣下の裏切りはアレキサンダーの心に打撃を与えた。幼い頃からの友、近衛隊長が陰謀の裏にいたからだ。彼は裏切りの咎で処刑された。近衛隊長の権限は残りの者達が受け継いだ。父親も加担していたのかまでは分からなかったが、息子の罪は家長である父親の罪でもあるとして彼も処刑される。

春、アレキサンダーは15万の兵を率いて雪山へ向かい未知の世界へ入った。彼の夢ではこれこそ世界の果てに続く道。行く先々での略奪と領土拡大により彼らの軍は動く帝国と言われた。世継ぎは未だ産まれず、山は険しく越える事は難しかった。故に、そこから南下してインドへ。アレキサンダーは東南に進むにつれ、征服した土地を元の王達へ返還するようになった。同盟国にする為だ。だがその行為は兵達に不満を与えた。
父の代から仕えていた勇猛な家臣が、アレキサンダーの今を嘆き故郷へ帰ると言い出した。言い合いは罵り合いへと発展し、王はとうとう激情にまかせて家臣を殺してしまう。

アレキサンダーは深い悲しみに囚われる。王の傍にはヘファイスティオンと小姓の1人しか入れなかった。ヘファイスティオンの慰めと説得により、アレキサンダーは再び立ち上がった。だが8年もの長い間、闘い続け長旅を続けた兵達の士気は下がり、疲弊と不満はピークへ。王と兵との間に反乱が勃発。王は反乱を鎮圧し首謀者たちを全て処刑した。アレキサンダーは更に行軍を続ける。海を目指して南へ。最早、軍は分裂しており王は誰にも好かれていなかった。

インドの大軍と交戦。ゾウで突進して来る敵を掻い潜り、アレキサンダーはたった1人で先行。敵の中で孤立する。彼には総大将の姿しか見えていなかったのだ。共に走り抜けてきたブーケファラスは槍に倒れアレキサンダーも弓に射抜かれた。それはまるで天罰のようだった。王を助けに向かったヘファイスティオンも負傷。しかし彼らは敵を退けた。

傷の回復を待って王は帰郷を決意。最短進路でバビロンへ帰郷した。そんなある日、ヘファイスティオンの病状が急変。最愛の者の死を看取った王は気が触れたように遊興へ溺れた。そして突然、謎の病に倒れ死の淵に立つ。朦朧とした意識の中、彼は太陽の指輪を今まで導かれてきたワシへと返して息を引き取った。享年32歳という若さだった。
その後、彼の死によって激しい争いが起きた。それは戦争となり40年も続いた後、大帝国は4つに分裂。臣下の1人は野心に燃えてアレキサンダーの血筋を全て絶つ事に成功した。

アレキサンダーは生涯、恐れから逃げようとして戦った。その結果、彼は最も自由な人間になれたのだ。彼が望んだギリシャと異民族との調和は失敗に終わった。だが、その失敗は栄光に満ちている。アレキサンダーは壮大な夢を追い続けた人間なのだ。

映画『アレキサンダー』の感想・評価・レビュー

オリヴァー・ストーン監督と言うと『ナチュラル・ボーン・キラーズ』の印象が強すぎて、過激で少し狂った映画監督のイメージを勝手に持っていたのですが、調べてみると最近では『ワールド・トレード・センター』や『スノーデン』など社会派な作品の監督もしていました。そんな作品が描く歴史スペクタクル大作。素晴らしかったです。
監督は歴史について特別関心を持っているそうで、この作品についてもかなり細かい部分まで描かれています。
王になる人間は、王になるべくして生まれたのではなく、普通の人間として生まれ、王になるべく「育てられる」のだということ。そして王であっても、時折見せる「人間味」こそが、成功の秘訣かもしれないということを感じる作品でした。(女性 30代)


映画に歴史上の人物が登場する場合、注目されるのはどう描くかだろう。近代の人物であれば、ある程度情報が豊富だが、古代の人物に関しては情報もあまり多くはない。

アレキサンダーに関していえば、記録としては多い方ではあるが、それでもわからない部分も多い。だから、我々の中である意味神格化されている人物だ。そのアレキサンダーを徹頭徹尾、人間臭く描いたこの作品は好き嫌いが分かれるところだろう。

憧れではなく、親近感を抱く存在に。好みの問題だが、自分個人としてはそういう描き方の方が好感が持てるので、この作品は良作だった。(男性 30代)

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