映画『私の中のあなた』の概要:2009年に公開された、キャメロン・ディアス主演、ニック・カサヴェテス監督の心を揺さぶる家族愛の映画。原作はジョディ・ピコーの小説で、原題は「My Sister’s Keeper」。
映画『私の中のあなた』 作品情報
- 製作年:2009年
- 上映時間:110分
- ジャンル:ヒューマンドラマ
- 監督:ニック・カサヴェテス
- キャスト:キャメロン・ディアス、アビゲイル・ブレスリン、アレック・ボールドウィン、ジェイソン・パトリック etc
映画『私の中のあなた』 評価
- 点数:90点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★☆☆
- 設定:★★★☆☆
[miho21]
映画『私の中のあなた』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『私の中のあなた』のあらすじを紹介します。
白血病の姉ケイトを救うため、スペアパーツを提供する存在として生まれた妹アナ・フィッツジェラルド。
自分自身を守るため、失読症の兄ジェシーの協力を得て、キャンベル弁護士に助けを求める。
ケイトは腎不全を起こしており、アナが臓器提供を拒否すれば姉は死ぬかもしれなかったが、決意は固かった。
アナはついに母サラに宣戦布告。
言い争いになり、父ブライアンの職場である消防署に逃げる。
そして裁判所で戦うことが決まる。
一方、ケイトはすでに死を覚悟していた。
兄や妹、両親への感謝と謝罪、そしてボーイフレンドのタイラーの事を思い出していた。
2人とも白血病患者で病院で知り合い、そして絆を深めていたが、タイラーは先に息を引き取ってしまった。
ケイトが死ぬという事実を認めたくないサラは、次第にヒステリックになっていく。
そんな中、ケイトはビーチに行きたいと願い、ブライアンが担当医に許可を得て家族で楽しいひと時を過ごす。
ケイトの命が危うい状態で、アナの裁判が始まろうとしていた。
映画『私の中のあなた』 結末・ラスト(ネタバレ)
裁判は意外な結末を迎える。
とっくに死を受け入れていたケイトが、ジェシーとアナに頼んで裁判を起こすよう言ったと、ジェシーがばらしてしまう。
そして、ケイトの死を認めないサラの目を覚まさせるという目的もあった。
やがてケイトは短い生涯を閉じた。
ケイトの死後、キャンベル弁護士が勝訴の知らせを持ってアナを訪ねてくる。
キャンベル弁護士は自分の体を自由にできない病気、てんかんを患っていたため、アナの弁護を引き受けたのだった。
そして家族は新たな道を歩み始めるが、ケイトの誕生日には必ず集まり、共に過ごすようになった。
映画『私の中のあなた』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『私の中のあなた』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
意外性もあってテンポよく進むストーリー
白血病の姉への臓器提供をする存在として、デザイナーベイビーとして生み出された妹アナという、SFのような設定のストーリー。
母サラは姉ケイトを大切に思うがあまり、アナが臓器提供をするのが当たり前、そのために生んだ子供だという雰囲気を強く醸し出している。
だからこそアナが臓器提供を拒否して訴訟を起こした時のヒステリックな様子は常軌を逸しており、母と娘が法廷で戦うという流れにも違和感がない。
最初はケイトが亡くなる可能性を無視してまで弁護士を雇って母を訴える、というアナの行動に疑問が残るが、生まれてすぐに臍帯血、物心つく前から数えきれないほどの移植、それに伴う検査などを考えるとつじつまが合う。
実はすべて姉ケイトが妹アナの体を守るために計画したことで、自分は無理してまで生きるつもりはないという、大どんでん返しにはびっくりさせられる。
脇役もしっかり活躍
サラとアナだけでなく、ケイトの恋人テイラーとのストーリーや、父ブライアン、長男ジェシーの葛藤などもしっかり描かれているのは好感が持てる。
だが、きちんと紹介していたサラの姉妹ケリーの存在が、ほとんど空気になっているのはもったいない。
裁判のシーンでは、キャンベル弁護士の介助犬の鳴き声と、裁判長が苛立つ様子が騒がしすぎて、これでやり手の弁護士なのかとツッコミたくなる。
しかし、てんかんの発作を起こしたキャンベル弁護士が戻ってから、テンポが変わる演出は見事だ。
演技派女優の2人
周囲が怖がる程にヒステリックになり、ケイトが長くないことを認めないサラ役のキャメロン・ディアスの演技は、鬼気迫るものがある。
だが、その中に“大切な娘を失いたくない”という愛情がきちんと見えるのは、さすがキャメロン・ディアスといったところ。
相反する立場のアナを演じたアビゲイル・ブレスリンも輝かしい経歴の持ち主であり、体に傷がつくのが嫌だと言い張るシーンは当たり前の事なのに微妙な違和感を残している。
ラブコメの印象が強いキャメロン・ディアスだが、この作品では非常にシリアスな役を見事にやり切っている。
だが、この作品に関してはとにかく子役の演技が凄い。白血病のケイトを演じたソフィア・ヴァジリーヴァはもちろん、姉が死ぬことを承知で手術を拒否するという難しい演技を、いや、演技の中で演技をしたアビゲイル・ブレスリンがとにかく素晴らしかった。
彼女の巧妙な演技に隠された真実に胸が痛くなったが、それ以上に姉妹の愛、そして家族の愛に心が温かくなった。子供が病気になる系の話は苦手なのであまり観たくないが、一度は観ておいて良かったと思う。(女性 30代)
映画『私の中のあなた』 まとめ
白血病の長女ケイトのため一致団結していたはずの家族が、次女が臓器提供を拒否し、弁護士を雇ってまで抵抗を始めたことから、絆が崩れていく物語。
しかしケイトの思いやりや、母の深い愛情、妹アナが姉を慕う気持ちなどが丁寧に描かれている。
原作小説では、映画とは違うエンディングを迎えていて、タイトルの「私の中のあなた」の通りに、アナの命がケイトの中で生き続ける。
しかし映画のエンディングも涙なくしては見られないもので、臓器移植に関しても考えさせられるものがある。
「きみに読む物語」のニック・カサヴェテス監督の描く世界はとても美しく、心を揺さぶるものがある。
また、キャメロン・ディアスは撮影中に実の父親が亡くなったという悲しみを乗り越えて、最後まで強い母親役を演じた。
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