映画『モンスター(2003)』の概要:実在したアメリカの連続殺人犯アイリーン・ウォーノスによる事件と、同性の恋人との関係を描いた作品。2003年に公開され、主演のシャーリーズ・セロンの徹底した役作りや演技力が高く評価された。
映画『モンスター』 作品情報
- 製作年:2003年
- 上映時間:109分
- ジャンル:伝記・サスペンス
- 監督:パティ・ジェンキンス
- キャスト:シャーリーズ・セロン、クリスティナ・リッチ、ブルース・ダーン、スコット・ウィルソン etc
映画『モンスター』 評価
- 点数:95点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★★
- キャスト起用:★★★★★
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★★
[miho21]
映画『モンスター』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『モンスター(2003)』のあらすじを紹介します。
売春婦のアイリーンは、自殺する前に“仕事”で稼いだ5ドルを使いきるつもりでバーに入った。
そこは同性愛者が集まるバーで、レズビアンのセルビーと出会う。
2人は急激に惹かれあい、恋人になる。
セルビーと一緒に過ごすために仕事に精を出すリーだったが、レイプされそうになって、相手を銃で撃ち殺してしまう。
セルビーに会いに行って経緯を話したリーは、少しでも一緒に過ごしたいと告げ、2人は一緒に暮らすことに。
骨折していて働けないセルビーのため、そして仕事中に殺人をしてしまったため、普通の仕事に就こうとするリー。
だが8歳の時から父親の親友にレイプされ続け13歳で出産を経験、前科があり、娼婦としてしか生きてこなかったリーにまともな仕事は無かった。
そしてリーは売春を隠れ蓑に、“客”を殺して金銭を奪うようになる。
一軒家を借りるために“仕事”を続けるリーだったが、いつしかセルビーは傲慢な態度を取るようになっていく。
殺した相手から奪った車で運転中に事故を起こし、リーがずっと殺人をしてきた事がセルビーに発覚する。
映画『モンスター』 結末・ラスト(ネタバレ)
現役警察官とは知らずに客を取り、殺害してしまったリー。
売春婦の犯行の可能性が示唆され、証拠も見つかっていき、セルビーと一緒に起こした事故の目撃証言から似顔絵が公開されて2人は指名手配される。
リーはこれまで稼いだ金銭をすべてセルビーに渡し、実家へ逃がした。
そして2人は別れ、リーは逮捕される。
拘留中にセルビーから電話がかかってきて喜ぶリーだったが、渡したお金の話をはぐらかされたことで、彼女が警察に協力していることを悟る。
そしてリーは愛の告白をしてから、罪を認める話をした。
その後の裁判でセルビーの証言もあり、リーには死刑判決が下された。
映画『モンスター』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『モンスター(2003)』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
シャーリーズ・セロンが演じた殺人鬼
ブロンドの髪に美人でスタイルもいいシャーリーズ・セロンが実在の人物、それも娼婦の連続殺人犯アイリーン・ウォーノスを演じた作品。
役作りのために体重を13キロ増やして、眉毛を全て抜き、時間をかけたメイクでアイリーン・ウォーノス本人そっくりの見た目になっている。
汚い言葉や粗暴な行動を難なく使いこなす、見事な演技力を発揮している。
クリスティーナ・リッチは、子役時代に「アダムスファミリー」の長女ウェンズデー役や「キャスパー」で売れっ子だったが、本作では同性愛者で中性的な雰囲気のセルビーを演じている。
歪んだ依存関係の怖さも描かれた
リーとセルビーの歪んだ関係を中心にしたストーリーで、孤独な2人が依存しあっている様子が描かれ、そのせいで事件が起こったようにも見える。
娼婦のリーをキレイだと言って受け入れたセルビーは、リーの唯一無二の存在で、周囲からノーマルになるよう強要されていたセルビーにとって、関係をもってくれるリーは拠り所。
しかし中盤から、リーのせいで飢え死にしそうだとゴネたり、リーが束縛すると文句を言い、責任転嫁をし続けるセルビーはリーとは別のモンスターだ。
セルビーが捕まったシーンや、お金の存在をひた隠しにした理由は明らかにされていない。
また冒頭でリーが自殺しようとしていた理由も不明慮。
しかし、事実に基づくストーリーなので、明らかにされない部分があったほうがリアリティがあって良い。
後味が悪い作品
子供の頃のリーはスターになりたいという夢を持つ純粋な少女で、その一方で8歳の時から父親の親友に性行為を強要され続け、13歳で出産を経験したと会話の隅々で簡単に語られている。
裁判で、信頼していたセルビーに終始顔を背けられ、犯人だと指を差されるシーンは絶望的だ。
しかしテロップで、2002年に死刑が執行されたと出ることで、リーが連続殺人鬼のモンスターだったのだと実感させられる。
映画『モンスター』 まとめ
事実に基づくストーリーだと冒頭のテロップで紹介されているが、実際にはリーの調書や証言、記録などを基にしたリーの視点での話になっている。
彼女には虚言壁があったという説が残っており、リアルな演出とアイリーン・ウォーノスそっくりの外見を作り出している作品だが、多少の脚色は否めない部分がある。
また、セルビーのモデルになった人物は、本人が許可しなかったために本名などは使われていない。
リーを演じたシャーリーズ・セロンは、本作でアカデミー賞主演女優賞などを多くの賞を受賞し、女優としての知名度を一気に上げた。
クリスティーナ・リッチは新境地を開拓し、後に未解決事件の最有力犯人リジー・ボーデンを演じることとなった。
本作と同じ「MONSTER モンスター」というタイトルだが、この作品は見事にコケている。
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