映画『ミュンヘン』の概要:2005年公開のアメリカ映画。スピルバーグ監督の作品で、1972年のオリンピック開催中に起こった11人の選手が殺された事件を元にした男達の隠された物語である。
映画『ミュンヘン』 作品情報
- 製作年:2005年
- 上映時間:164分
- ジャンル:ヒューマンドラマ、サスペンス
- 監督:スティーヴン・スピルバーグ
- キャスト:エリック・バナ、ダニエル・クレイグ、キアラン・ハインズ、マチュー・カソヴィッツ etc
映画『ミュンヘン』 評価
- 点数:70点/100点
- オススメ度:★★★☆☆
- ストーリー:★★★☆☆
- キャスト起用:★★★☆☆
- 映像技術:★★★☆☆
- 演出:★★★☆☆
- 設定:★★★☆☆
映画『ミュンヘン』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『ミュンヘン』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『ミュンヘン』 あらすじ【起・承】
1972年9月5日。
ドイツもミュンヘンオリンピックにあるイスラエル選手村でその事件は起こった。
突然武装した8人の人間が乱入し、2人の人間を殺害、9人の選手を人質にとる。
彼らはブラックセプテンバーと名乗るパレスチナの過激派組織で、目的はイスラエルに捉えられている234名の人質の解放であった。
ブラックセプテンバーと人質はミュンヘン空港から、エジプトのカイロまで逃げることで合意したドイツだった。
しかしこれは罠であり、空港でテロリスト達を狙撃するためだった。
約束が違うと怒ったテロリストは人質を全員射殺。
この事件でオリンピックは中断したが、翌日再開された。
自分の国の選手を殺害され黙っているわけにはいかないと憤りを見せるイスラエルの首相のゴルダ。
パレスチナの犯人を徹底的に追い詰め報復したいと願う。
そのために特別な暗殺組織を作り、隠密に行動させることにした。
そのリーダーに任命されたのがアブネルである。
彼は首相のボディガードを務めており、元モサドの人間である。
愛国心も持ち合わせており、このような事態には適任だった。
首相は彼に十分な金と4人の仲間を与え、任務に就くよう指示した。
彼には妊娠している妻がいる。
しかしそのことは妻にも言えぬまま出発することになった。
そしてアブネルはヨーロッパへと向かう。
映画『ミュンヘン』 結末・ラスト(ネタバレ)
アブネルは用意された仲間と出会う。
車両専門のカール、爆弾犯のロバート、文書偽造専門のハンス、そして後処理のプロ・カールである。
この4人と行動を共にすることになったアブネルにはもう後戻りすることも出来なかった。
こうして5人はアラブのテロリスト指導部に狙いをかける。
1人目はローマにいる翻訳家、二人目はパリに隠れている男。
どちらもそう簡単には殺すことが出来ず、様々な仕掛けをすることにした。
時には罪の無い少女に爆弾装置発火のために電話をさせることもある。
最初の二人の殺害が終わった後、妻の出産に立ち会うためアブネルは一時帰国。
しかし身の危険を感じている彼は妻に他の場所へ移り住むことを頼んだ。
そして任務に戻った彼は仲間と今後の自分たちの人生や、今していることも殺戮なのではないかと悩むようになる。
そんな時カールが殺される。
その後ハンスまで殺害された。
この事態にアブネルも恐怖を感じ始めた。
いつ自分は命を狙われてもおかしくないのだ。
極限の精神状態の中、ターゲットを7人殺害することに成功したアブネルはようやく任務を解かれる。
そして久しぶりの妻子との再会を喜んだ。
仕事は終わったがアブネルの心の葛藤や苦痛はこれからだった。
常に誰かに狙われているのではと精神を衰弱させ、殺害を繰り返した罪悪感にさいなまれていくのだ。
映画『ミュンヘン』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『ミュンヘン』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
スピルバーグの真意
スピルバーグというと子供も大人も楽しめるSFファンタジー映画を想像する人も多いのではないだろうか?
あのワクワクするような世界観は彼のオリジナリティーを表現していて、後世にも残して欲しい名作ばかりである。
しかし彼は、社会派ドラマの映画も制作する。
本作品のようなおもいっきりダークな部分に突っ込むのが特徴で、人間の尊厳や人権問題を問うものが多い。
代表作がシンドラーのリストである。
あの衝撃的な作品はETを制作した同一人物とは思えないほどの意外性を感じた。
だがここで彼はもしかしたら、このようなファンタジー作品を作ることが好きなのかもしれないと思ってしまう。
映画とは娯楽であると同時に社会的な問題を映像化することでも有名。
それを十分にわかっているとしたら、もしかしたら彼はそのような映画を制作するためにファンタジーなどを作り支度金を作っているのではないかとさえ思う。
リアルすぎるシリアス性
本作品はまるで見てきたかのようなリアリズムがこの映画の魅力である。
テロリストへの報復とはいえ、やはりそのために人を殺していくのはいくら国のためであったとしてもやるせなく普通の人間なら精神をきたしていくのもよくわかる。
この作品は殺すこと自体に注目させているわけではなく、あくまで一人の人間にスポットを当てているのだ。
見ている側も考えさせられる作りとなっており、今現在もう一度世界に発信したい作品である。
スピルバーグの思考の実直さを痛感するつくりとなっている。
映画『ミュンヘン』 まとめ
実際にあったブラックセプテンバーの悲劇。
オリンピック中に起こったこの事実は実に悲惨で記憶に残る事件である。
しかしこの面だった事件の裏側に男達の人生がかかっていたことを知る。
そして国のために動かされた被害者がここにも存在するという悲しい事実を浮き彫りにするのだ。
家族がいる昨日まで普通の人間だった彼らが突然殺人者になる。
日本にいると気がつかないこんなことも、実際に世界では起こっているのかもしれない。
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