映画『ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ』の概要:1998年のイギリス映画。実在したチェリスト、ジャクリーヌ・デユ・プレの天才にして悲劇的な末路を辿る人生観をドラマティカルに、そしてドキュメンタリーチックに綴った作品である。
映画『ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ』 作品情報
- 製作年:1998年
- 上映時間:121分
- ジャンル:ヒューマンドラマ、音楽
- 監督:アナンド・タッカー
- キャスト:エミリー・ワトソン、レイチェル・グリフィス、ジェームズ・フレイン、デヴィッド・モリッシー etc
映画『ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ』 評価
- 点数:70点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★☆☆
- キャスト起用:★★★☆☆
- 映像技術:★★★☆☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★☆☆
映画『ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ』 あらすじ【起・承】
音楽好きの母親に育てられたヒラリーとジャッキー。
情操教育という名の下、ヒラリーはフルート、ジャッキーはチェロを幼少期から習っていた。
最初は姉の方が音楽の才能があると見られているも、音大生になるころにはごく一般人であると評価されてしまう。
一方でジャッキーはみるみる頭角を現し、16歳にしてプロデビューを飾った。
ヒラリーはそんなジャッキーを応援しつつも、嫉妬心を持つようになり複雑な心境に。
しかし彼女には恋人が出来、そこらの若い女性がするような楽しみを見いだすようになる。
ジャッキーはと言うと、若干16歳の天才チェリストとなったことで世界中の演奏家との共演やコンサートにゲストとして呼ばれ多忙な日々を送る。
しかしまだ幼い少女にはこの人生は重く、公演中の洗濯物を自宅に送りつけ綺麗になってホテルに届いたその臭いに自分の家の懐かしさを求めていた。
ヒラリーはその後恋人と結婚し、主婦になることを決意。
普通の女性の一般的な幸せを手に入れることにする。
そのことを羨ましくもあり、馬鹿にした気持ちもあるジャッキーは非難する。
しかし自分もまたピアニストの恋人と結婚することにしたのだ。
映画『ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ』 結末・ラスト(ネタバレ)
名声を高め、天才チェリストとしての道を歩んでいくことに疑問を持ち始めたジャッキー。
連日続く公演活動に心身共に衰弱していく。
そして精神的な疲労が蓄積され、チェリトでは無かったとしたら夫は自分を選んだのかという不安に駆られるようになっていく。
結婚から4年後。
ジャッキーはチェロを演奏するときの指の違和感に気がつく。
その後体調の不調が続いたジャッキー。
体を休ませるためヒラリーの家へ身を寄せることにした。
そこでのジャッキーの生活は心地よく回復へと向かう。
しかし精神に異常をきたし始めていたジャッキーは、姉の夫と体の関係を持ちたいと姉本人に相談する。
それを許したヒラリーだった。
リハビリも終え舞台に復帰したジャッキー。
しかし体は休息に悪くなっていく。
まだ若い彼女の体を蝕んでいた病魔は「多発性硬化症」という病気だった。
体の自由が奪われるこの病気は恐ろしく、ジャッキーは28歳にして引退することになる。
彼女は完全に心を閉じた。
夫はパリで家庭を持つようになり、ジャッキーは孤独であった。
そして孤独を払拭できぬまま1987年10月19日、この世を去ったのであった。
映画『ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
入りづらい姉妹設定
この映画の原作は姉のヒラリーが書いている。
そのため姉から聞いた話をまとめているわけであるが、この姉妹の間柄は理解しにくい。
才能があったり、なかったり。
姉妹間によくありそうな嫉妬や妬みはわかるのだがラストシーン近く。
旦那をベッドで妹に貸すというのは何だか随分悪趣味である。
見ていてどこも共感の得られない独りよがりの、自己満足に見えて気持ちの悪い感情がこちらに渦巻く。
見たくもない姉妹のいざこざを押し付けられているような作品の作り方である。
身内のあくまでプライベートな事情を切り売りしている感が否めず、あまり好感が持てない作品である。
音楽の素晴らしさ
この映画の醍醐味はやはり音楽である。
特にジャッキーの演奏シーンは見所で、かかる音楽も非常に素晴らしい。
オーケストラのシーンはリアルであり、臨場感のあるBGMに仕上がっている。
またジャッキーの演奏中の演技も本物さながら。
まさにチェリストの人生のドキュメンタリーを見ているかのような雰囲気に陥る。
天才の押し付け
天才故の悩みや葛藤、また肉体的、精神的苦痛の描写。
どれもこれも一般人には理解しがたいが、他の作品はもう少し情緒溢れた作り方をしているものも多くどうもこの映画が独特なのかもしれない。
最初から最後まで天才の「これでもか」という、人生のおしつけがましい描写が不愉快でもあり、感動的でもある。
映画『ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ』 まとめ
この映画の良さは音楽の素晴らしさと、演技力である。
物語の内容はリアルではあるが偏りが見られ、人間の心理状態の崩壊を見せられていくような印象が強い。
決して明るくは無く、天才と呼ばれる人間の孤独や葛藤、心の内にある暗い物を映像にしてみましたからどうぞと言わんばかりの作品で、もう見なくても良いかなという気分にさせられた。
監督がドキュメンタリー畑出身だからそう感じるのかそれは定かでは無いが、やはり映画は多少フィクションの方が華やかで面白みがあるのかもしれない。
あくまで娯楽として見る場合の話であるが。
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