映画『泣く男』の概要:殺し屋のゴンは標的を始末し、後始末を行っていた。そこで、ドアの外に立つ人の気配に気づき、咄嗟に銃を乱射させた。だが、ドアの前に立っていたのは標的の仲間ではなく、幼い少女だった。ゴンは少女を殺したことで、自責の念を抱くようになる。
映画『泣く男』の作品情報
上映時間:116分
ジャンル:アクション、ヒューマンドラマ
監督:イ・ジョンボム
キャスト:チャン・ドンゴン、キム・ミニ、ブライアン・ティー、キム・ジュンソン etc
映画『泣く男』の登場人物(キャスト)
- ゴン(チャン・ドンゴン)
- マフィアに所属する殺し屋。感情があまり表に出ず、常に無表情。幼い少女を殺してしまったことで、自責の念を抱くようになる。
- モギョン(キム・ミニ)
- ジョン・リーが社長を務める会社の取締役。仕事が忙しく、娘のユミの相手ができないほどだった。ハ・ユングクは元夫であり、2年間ほど疎遠になっていた。元夫と娘と旅行に行くことを予定していたが、仕事を優先させキャンセルする。その旅行先で、元夫と娘が殺される事件が起きる。
- ジョン・リー(キム・ジュンソン)
- 表向きファンドマネージャーの仕事を行っている。裏では麻薬や人身売買で稼いだ裏金を洗浄し、ケイマン諸島に運ぶパーマネント・トラベラーだった。自分の邪魔をする人物には容赦しない残虐な性格。
映画『泣く男』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『泣く男』のあらすじ【起】
殺し屋のゴンは、レストランの奥のアジトに向かった標的やその仲間達を射殺した。後始末を行っていると、ドアの外に人の気配がした。ゴンは咄嗟に銃を撃つが、相手は反撃をしてこなかった。不審に思ってドアを開けると、レストランで見かけた少女が立っていた。少女は胸から流れる血を抑え、倒れ込んだ。
ゴンは少女を殺した自責の念から行方をくらませていたが、組織に見つかり連れ戻されてしまう。組織のボスは任務に失敗したゴンに新たな仕事を任せるつもりでいた。前回ゴンが殺した者達の中に、裏組織の資金洗浄を行っているジョン・リーの部下のハ・ユングクという男がいた。ハ・ユングクは1億ドルの金が入った口座情報のファイルロシアに売ろうとしていたのだが、そのファイルが消えてしまっていたのだ。ハ・ユングクは取引直前に3人の人物(同僚のパク・ウォンサン、ソン・ジュンギ、妻のモギョン)にメールを送信しており、誰かがファイルを持っている可能性があった。男2人は組織が追跡するため、ゴンはモギョンを調べ、始末をしろと命じられる。モギョンはゴンが誤って殺した少女の母だった。ゴンは嫌悪感を露わにするが、仕事を拒否すれば死が待っていた。
モギョンは突然失った娘の悲しみに暮れる間もなく働き、認知症の母への見舞いも行っていた。元夫の遺品を警察署に取りに行くが、単なる強盗事件ではなく捜査の必要があるため返せないと断られる。ハ・ユングクはギャンブルの借金があり、横領詐欺の容疑が掛けられていた。刑事はパクとソンが事件に関わっているのではないかと睨んでいたが、モギョンはここ2年ほど夫とは口を利いていなかったので、何も情報を持っていなかった。一方、ゴンはモギョンの追跡を開始していたが、殺した少女のことが忘れられず苦悩していた。モギョンの携帯を調べると、幼い我が子を抱くモギョンの写真があった。
映画『泣く男』のあらすじ【承】
ゴンはモギョンの母がいる施設のエレベーターで、モギョンと2人きりになる。エレベーターが突然故障し止まってしまうが、ゴンは平然としていた。だが、反対にモギョンは見知らぬ男性と2人きりになったことで緊張しているようだった。ゴンはそんなモギョンに話し掛け、ミネソタ出身のマークだと名乗った。
モギョンは娘のユミの遺留品を受け取った。すると、携帯に見知らぬヒヨコのストラップがついていることに気づく。確認してみると、USBメモリーになっていた。モギョンは会社のパソコンを使い、データの中を確認した。データの中には数字が記載されたファイルデータと、ユミとハ・ユングクが旅行に行ったときの写真が入っていた。モギョンは気づいていなかったが、データファイルを開いてしまったことで、組織に口座情報のファイルを持っていることが筒抜けとなっていた。組織はモギョンを殺害するよう、ゴンに指示を出した。
ゴンはモギョンの家に行くが、ユミの映像を見ながら泣き叫ぶモギョンを殺すことはできなかった。一晩たった後、再び殺しに行くが、モギョンは薬を大量に飲み倒れていた。その時、ゴンは砂漠で亡くなった、自分の母のことを思い出す。母は子供を捨てたいと思い、子供は母に捨てられたくないと思っていた。だが、母はゴンを残し、拳銃自殺を行って、たった1人で死んでいった。ゴンはモギョンに向けて銃を撃つが、結局殺すことはできず、救急車を呼んでモギョンの命を救った。ボスは組織を裏切ったゴンを始末するよう指示を出した。
映画『泣く男』のあらすじ【転】
モギョンの家に人が入った痕跡があったため、モギョンは警察から取り調べを受けることになる。パク・ウォンサン、ソン・ジュンギは殺されており、モギョンの身も危険だった。刑事はモギョンが勤める会社の社長であるジョン・リーについて説明した。ジョン・リーは表向きファンドマネージャーの仕事を行っていたが、裏では麻薬や人身売買で稼いだ裏金を洗浄し、ケイマン諸島に運ぶパーマネント・トラベラーだった。ハ・ユングクはユミとアメリカに旅行に出かけ、ジョン・リーのファイルをロシアに売ろうとしていた。モギョンは元夫が娘を犯行現場に連れて行ったせいで殺されたことを知り、ショックで気を失ってしまう。
ゴンはモギョンの携帯に電話を掛け、ユミの携帯が狙われているから逃げるよう忠告した。だが、モギョンが戸惑っている内に、刺客が部屋にやって来てしまう。ゴンはその刺客と戦いモギュンを救うが、地下鉄に逃げられ見失ってしまう。モギュンは警察に携帯を渡し、保護をしてもらう。刺客は地下鉄から引き返しておりエレベーターに乗ったモギュンを待ち伏せするが、その前にゴンに殺されてしまう。
ジョン・リーは逃走用に、持ち株を売却しようとしていた。刑事達はモギュンと共にハッカーの元を訪れた。そして、株を売却できないようにするため、会社をハッキングしたいのでアクセスコードを教えて欲しいとモギュンに頼んだ。モギョンは了承し、アクセスコードを入力した。ハッカーが会社のデータにアクセスしていると、モギュンの携帯にゴンから電話が掛かってくる。モギュンはゴンが何者か分からず戸惑い、一緒にいる刑事に携帯を渡した。ゴンは刑事に刺客が向かっていることと、今から電話を掛けた相手が裏切って密告していることを教えた。携帯が鳴ったのは、モギョン達と同じ部屋にいるチャン刑事だった。チャン刑事は同僚の刑事を撃つと、データを奪って立ち去った。しかし、ジョン・リーの手下に殺されてしまう。
映画『泣く男』の結末・ラスト(ネタバレ)
部屋にジョン・リーの手下達が現れたため、モギョンは身動きが取れなくなる。部屋の隅で蹲っていると、ゴンが現れ、手下達を倒した。しかし、外から銃を乱射され、外に出ることはできなかった。ゴンは銃が止んだ隙に部屋にやって来た手下を倒した。そして、モギュンに連絡を取って自分がユミとハ・ユングクが殺された現場にいたことを話し、下に置いてある車の元まで来るよう指示を出した。真実を知りたいモギュンは勇気を出して部屋を出るが、手下に捕まってしまう。
モギョンはジョン・リーのオフィスに連れて行かれた。モギュンはユミを殺したのはジョン・リーだと思い非難するが、逆に娘と夫との旅行よりも仕事を取ったことを非難される。モギョンは傷つき、言葉を失くした。
ジョン・リーのオフィスに警察が集まって来た。ゴンが爆破事件を起こし、ジョン・リーのオフィスがあるビルも爆破すると予告を出したのだ。警察は爆破を止めるために通信妨害を行った。そのため、ビル内では監視カメラや電話などが使えなくなる。ゴンは怪我をしながらも必死に戦い、ジョン・リーの手下を次々と倒していった。一方、ビル内を逃げ惑っていたモギョンは、ジョン・リーが1億ドルの金を移そうとしていることに気づく。モギョンは会社のサーバーにアクセスし、振込記録を消去した。それにより、1億ドルの金が跡形もなく消えてしまった。ジョン・リーはマフィアの報復を恐れて逃げようとするが、金が無くなったことを知った手下に殺される。
ビル内で爆発物が見つからなかったため、警察は通信妨害を止めた。そのせいで、モギョンが持っていた携帯が鳴り、ジョン・リーの手下に見つかってしまう。手下はモギョンを殴りつけ乱暴をしようとした。モギョンはその手下が落としたナイフを拾い、反撃した。手下は血を流し、息絶えた。その様子を、ゴンは監視カメラで見ていた。ゴンは怪我が酷く、座るのもやっとの状態だった。
ゴンの元同僚であり友人のチャオズは生きており、モギョンを殺しに行くと宣言した。ゴンは無線機でモギョンに呼び掛け、今からそっちに行くのがユミを殺した奴だと伝えた。モギョンはエレベーターが開いた瞬間、銃を撃った。そこにいたのは、ゴンだった。チャオズはモギョンを撃とうとするが、ゴンに服を掴まれ止められる。チャオズはエレベーターを閉め、ゴンの手を握って最期を看取った。モギョンは自分が撃ったのがゴンだと気づかないまま、ゴンのことを無線機で呼び続けた。
映画『泣く男』の感想・評価・レビュー
殺し屋の中にある人間らしさ。
殺してしまった少女の母親を守る悲しい殺し屋。
ナイフアクションからの銃撃戦は迫力あり。韓国映画は観ていて痛い。目を背けたくなるが目が離せない。
作中の飛び膝蹴りはとびきりかっこいい!
チャン・ドンゴンの演技はさすが。
テンポは重くなかなか感情移入できず。
ラストは切ないがそれしか道はないかなと納得。(女性 40代)
本作は、無感情だった殺し屋が任務遂行中に意図せず無関係の少女の命を奪ったミスをきっかけに自責の念に苛まれ、人間的な感情に目覚める葛藤と壮絶な死闘を描いたアクション作品。
特に、アクション作品の監督とだけあって、団地での激しい銃撃戦や溢れる血、どこか現実離れした本格的なアクションシーンが不思議と印象的で見応えがあった。
そして、最後まで悲し気な雰囲気や、主人公の孤独という軸がぶれないところが良かった。(女性 20代)
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