映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』の概要:ナミヤ雑貨店という、かつて悩み相談を受けていたお店に、泥棒3人組が忍び込む。すると、届くはずもない32年前からの手紙が彼らの元へ届き始める。その手紙に返事を書くことにした彼らは、手紙の差出人と自分たちの繋がりに気がついていく。東野圭吾の同名小説を映画化した作品。
映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』の作品情報
上映時間:129分
ジャンル:ヒューマンドラマ、ファンタジー
監督:廣木隆一
キャスト:山田涼介、村上虹郎、寛一郎、林遣都 etc
映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』の登場人物(キャスト)
- 敦也(山田涼介)
- 今回泥棒をした三人組の中の一人。同じ養護施設で育った。三人の中ではリーダー的存在で、最初は手紙を書くことに気が進まないでいた。
- 翔太(村上虹郎)
- 泥棒三人組の一人。気が弱いが、心優しい。
- 幸平(貫一郎)
- 泥棒三人組の一人。手紙を書くことで、誰かの役に立てることに喜びを感じる。
- ナミヤじいさん(西田敏行)
- 32年前、ナミヤ雑貨店で悩み相談の手紙のやり取りをしていた。当時、その悩み相談は大人気で、様々な人が悩みを投函し、その手紙一つずつに丁寧に答えていた。
- 魚屋ミュージシャン(林遺都)
- 敦也たちがいるナミヤ雑貨店に、最初に手紙を投函する人物。音楽を続けるかどうかで悩んでおり、手紙を投函した。のちに、セリの弟を火の中から助け、自分は死んでしまう。
- セリ(門脇麦)
- 有名な歌手。養護施設で出会った魚屋ミュージシャンの歌を歌っている。
- 川辺みどり(菜葉菜)
- 娘を産むか産まないかで、ナミヤ雑貨店に相談した人物。のちに産んだばかりの娘とともに海へ落ち、自身は死んでしまう。
- リトルドッグ(尾野真千子)
- 敦也たちの元へ手紙を投函する人物。大叔母夫婦を助けるために、必死に働いてお金を稼いでいる。
映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』のあらすじ【起】
敦也、翔平、幸平の三人は、泥棒をして空き家に逃げ込む。その空き家は、かつてナミヤ雑貨店というお店だった場所だ。置いてあった雑誌によると、そこではシャッターの郵便受けに手紙を投げ込めば、翌日に回答が入っているという、悩みを解決してくれる雑貨店として有名だったそうだ。
突然、そのシャッター口から手紙が届く。魚屋ミュージシャンという人からの悩み相談の手紙だ。その手紙は32年前に書かれたものだった。翔太と幸平はその手紙に返事を書き始める。魚屋ミュージシャンは、このまま音楽を続けるのか迷っていると相談を投げかけてきた。そこで魚屋を継げるのに、贅沢な悩みだと厳しい返事を返すことに。
手紙を受け取った魚屋ミュージシャンは、自分の音楽を聴いてほしいと言い、ナミヤ雑貨店のシャッターの外で演奏を始める。その演奏曲は、現在セリという歌手が歌っている曲だと分かった敦也たち三人。セリは、養護施設が火事になった時に弟を助け、自身は亡くなったミュージシャンからこの曲をもらったと言っていた。翔太と幸平は、魚屋ミュージシャンがセリの弟を助ける人だと思い、音楽を続けるようにとまた返事を書く。
そして魚屋ミュージシャンが手紙を受け取ってから8年後。彼は音楽を続け、養護施設で音楽を披露する。まだ子供のセリは彼の曲を気に入る。しかし、その夜中、火事が起きる。セリの弟が取り残されていたため、魚屋ミュージシャンは炎の中救出し、自分は死んでしまうのであった。それからは、セリが魚屋ミュージシャンの曲を残していけるように歌手として歌を歌い続ける。
映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』のあらすじ【承】
1980年。ナミヤ雑貨店のナミヤじいさんは、末期癌のため入院する。ある日、新聞で川辺みどりさんが生後1ヶ月の子供と無理心中したというニュースを知る。川辺みどりさんは、かつてナミヤ雑貨店に相談の手紙を送った主だ。彼女は不倫した男の人との間に子供を授かってしまい、産むか産まないかを悩んでいた。しかし、文面から子供を産んで育てたいという気持ちが溢れていたため、ナミヤじいさんは子供を幸せにできるのなら産んでも良いのではないかと返事をしていた。しかし、その手紙のせいで不幸になったのならどうしようかと悩み始める。
そこで、ナミヤじいさんは、息子に無理を言って雑貨店へ連れて行ってもらう。すると、何十年も先の未来から、続々と手紙が届いていた。それは、かつて悩み相談をし、ナミヤじいさんの手紙からヒントをもらって成長した人々からの手紙であった。その中には、川辺みどりさんの娘からの手紙もあった。彼女は無事に助かっていたのだ。
川辺みどりさんの娘は、養護施設で育ったが、母親は事故で亡くなったと聞いていた。しかし、ある日過去の新聞で、生後1ヶ月の自分とともに無理心中を図ったと書かれているのを発見してしまう。自分は愛されていた訳ではなく、殺されかけていたのだと思い、娘は自殺を図る。しかし、なんとか一命を取り留める。彼女の入院している病院へ、養護施設で一緒だったセリがやってくる。セリは、園長先生から彼女の母親について聞いてきていた。川辺みどりさんは、娘を育てるために必死に働いていたそうだ。しかし、自身の過労から、車で居眠り運転をしてしまい、娘とともに海へ落ちてしまったという。セリは、園長先生から預かってきた彼女の母親が大切にしていた手紙を渡す。その手紙は、ナミヤ雑貨店からの返事で、娘を幸せにすると心に決めた母親の思いが伝わるものであった。母からの愛を感じた彼女は、自分の人生をしっかりと歩むことを決める。
ナミヤじいさんは、川辺みどりさんの娘からの感謝の手紙を読んで幸せな気持ちになる。人の役に立てて良かったと思い、病院へ戻る。
映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』のあらすじ【転】
ナミヤじいさんは、息子にお願いして、自分の33回忌に一夜限りでナミヤ雑貨店が復活すると宣伝してほしいと言う。
そして、敦也たちがいる現在が、ナミヤじいさんの33回忌の日なのだ。つまり、この1日だけ、過去と繋がっていられるのだ。
敦也たちの元へまた手紙が届く。次はリトルドッグという名前の女性からの手紙だ。内容は、お金が欲しくてホステスとして働き始めたのだが、お客さんにお店を持たせてやるから愛人になれと言われ、迷っているというもの。今まで手紙の返事を書こうとしなかった敦也が、今度は返事を書きたいと言う。敦也は自分の無責任だった母親と重なり、こういう女性が許せなかったのだ。敦也はリトルドッグへの手紙に、世の中は甘くないと返事を書く。地道に事務員として働く方があなたを育ててくれた人への恩返しになるのではと、真っ当な意見を返す。
リトルドッグは、養護施設で育ち、のちに大叔母夫婦に育てられた。その大叔母夫婦が今、経済的な負担に陥っており、彼らに恩返しをしたいと考えていたのだ。そのため、自分はやりたくないホステスの仕事をしてお金を稼いでいた。そのことを手紙の返事から知った敦也たちは、彼女の手助けをしようと考える。愛人にならず、指示に従うように手紙に書く。内容は、経済の勉強をすることや、土地の転売で儲けること、株の取引など、地道にコツコツ稼いでいって、今よりも収入を増やすことだ。
リトルドッグは、敦也の手紙を信じて真っ当な道で、地道にお金を稼いだ。そして、自分の会社を持つまでになった。
映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』の結末・ラスト(ネタバレ)
リトルドッグは、自分が育った養護施設が火事に遭ったことをニュースで知る。居てもたってもいられず、養護施設へ向かう。そして、そこの支援や手伝いをするようになる。
それから数年後、養護施設の園長先生が亡くなり、新しい人が園長先生となる。しかし、その人は、施設の経費を自分のことに使っており、間も無く施設自体が潰れてしまう状況となっていた。リトルドッグはそれを阻止するため、養護施設を買収しようと計画していた。
敦也たち三人が泥棒をしたのは、自分たちが育った養護施設がある女社長に買収され、ラブホテルに替えられてしまうという噂を聞いたからだった。敦也たちは、手紙のやり取りで、その女社長がリトルドッグであることに気がつく。つまり、敦也たちはリトルドッグの家を泥棒してしまったのだ。手紙のやり取りから、彼女が施設をラブホテルに替えようとしているのは誤解だと分かったので、三人は自首するために、彼女の家へ向かう。彼女の家には警察が来ていた。しかし、それでも三人はリトルドッグの元へ向かった。
それから敦也、翔太、幸平はそれぞれ自分の未来を信じて、自分の人生を歩み続けることに決めた。
映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』の感想・評価・レビュー
一度原作小説を読んでいるため、ストーリーの大まかな流れは分かっていたが、それでもなお心が温まり、涙が出てきてしまうほど感動した。泥棒三人組の葛藤や、ナミヤの爺さんの健気でまっすぐな人柄に何度も胸がジーンとなった。また、手紙を出した主も、その主の周りの人も皆、手紙をきっかけに幸せになっていく様子はほっこりした。ナミヤじいさんのように人々に愛され、頼りにされ続ける生き方は、一番幸せな生き方なのかもしれないと思った。(MIHOシネマ編集部)
本作は、かつて悩み相談を受け持っていたナミヤ雑貨店という廃墟に幼馴染みの3人が忍び込むも、突然郵便受けから32年前の相談が書かれた手紙が落ちてきて、3人が返事を書くことで変わっていく相談者たちの人生と雑貨店の秘密に迫るヒューマンファンタジー作品。
ラストで全てが繋がって意味が分かった瞬間、何とも言えない気持ちになり、店主の優しい人柄に感動した。
人間の人生は現在過去といった時空を超えて交差し、影響し合うものなのだと改めて気付かされた。(女性 20代)
不思議だけれども心が温まる物語だった。人生を左右するような決断をするとき、こんな風に真摯にアドバイスしてくれる手紙を貰えたら勇気をもって行動に移せるだろうなと思った。手紙を返事する側の苦悩が描かれていたのも良かった。自分だったら、悩み過ぎて返事を返せないかもしれない。
亡くなっている人もいるので皆がハッピーになったとは言えないかもしれないけれど、手紙を受け取った人が前向きに生きようと頑張っているのが良かった。(女性 30代)
こんな風に悩みを聞いてくれるポストがあったら手紙を投函してみたい。顔の見えない相手になら本音を打ち明けられるし、真摯にアドバイスすることもできるのだなあと思った。
悩みに答えるナミヤ雑貨店の店主と3人の少年、アドバイスを信じて運命を切り開いていく相談者たちみんなが真っ直ぐな心の持ち主だ。
「30年後にナミヤ雑貨店の相談室を再開して欲しい」という父の願いを叶えた息子の愛にも心が温かくなる。
人はどこかで少しずつ関わり合い、助け合って生きているものなのかもしれない。自分も誰かの役に立っていたらいいなと思う。(女性 40代)
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