12000作品を紹介!あなたの映画図書館『MIHOシネマ』

映画『海は燃えている イタリア最南端の小さな島』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『海は燃えている イタリア最南端の小さな島』の概要:アフリカ大陸に最も近いイタリア最南端の小さな島、ランペドゥーサ島。この島は移民や難民の玄関口として、常日頃から救助活動を行っている。だが、島民は彼らと交わることなく穏やかで平和な暮らしをしていた。難民の苦難と平穏を映し出すドキュメンタリー。

映画『海は燃えている イタリア最南端の小さな島』の作品情報

海は燃えている イタリア最南端の小さな島

製作年:2016年
上映時間:114分
ジャンル:ドキュメンタリー
監督:ジャンフランコ・ロージ
キャスト:サムエレ・プチッロ、ピエトロ・バルトロ、ジュゼッペ・フラガパーネ、サミュエル・カルアナ etc

映画『海は燃えている イタリア最南端の小さな島』の登場人物(キャスト)

サムエレ
地元漁師の子で12歳。祖父と祖母の3人で暮らしており、ぱちんこに熱中している。作り方にはこだわりがあり、硬い松の木が柄には一番だと思っている。左目に弱視が見つかり、強制眼鏡をかけることになる。
バルトロ医師
地元民の診察をする一方で、難民の診察や治療、遺体検分などもこなす。心優しい人物で、難民の幼い子供や妊婦の遺体を検分することに酷く心を痛めている。

映画『海は燃えている イタリア最南端の小さな島』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『海は燃えている イタリア最南端の小さな島』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『海は燃えている イタリア最南端の小さな島』のあらすじ【起】

イタリア最南端に位置するランプドゥーサ島には、20年間で約40万人の欧州移民危機による移民が上陸。上陸にあたりシチリア海で溺死したと思われる移民は1万5千人にも渡った。

この島に住む地元漁師の子である少年サムエレは、いつも飼い犬と共に過ごしている。
その日の夜も救助隊に向け移民が乗った船から助けを求める無線が入ったが、現在地を知る前に通信が途絶えてしまう。救助隊はすぐさま助けに向かい、200人弱を救助した。

小さな島では電力を賄うため、一日に数時間、停電になる。サムエレは近所の友達とぱちんこを作っていた。ぱちんこ作りには彼なりのこだわりがある様子。日が暮れて辺りが暗くなった頃、サムエレは友人と共に休んでいる鳥を狙って山へ。

その頃、救助隊にはまたも移民船から救助要請が入る。ヘリと救助船が出動し朝までかかって150人ほどの移民を救助した。
島で医院を開いているバルトロ医師は、移民の診察も行う。その日は双子を妊娠している母親だった。
その頃、サムエレは友人とサボテンに穴を開けてぱちんこの訓練中。爆竹を飛ばして遊んだら、サボテンの葉が折れてしまいビニールテープで修復しておいた。

映画『海は燃えている イタリア最南端の小さな島』を無料視聴できる動画配信サービスと方法
映画『海は燃えている イタリア最南端の小さな島』を無料視聴できる動画配信サービスと方法を分かりやすく紹介しています。

映画『海は燃えている イタリア最南端の小さな島』のあらすじ【承】

移民が乗った船はひっきりなしにやって来る。人数と健康状態を1人1人確認して保護する。保護された移民はバスに乗せられ、検査所ランペドゥーサ&リノーサへ。そこで、武器を持っていないか身体検査を受け中へ通される。次に顔写真を撮影後、事情聴取に入るのだ。

サムエレが海岸で友人と過ごしている頃、彼の祖母はラジオのDJに電話を入れ曲のリクエスト。リクエストはすぐに叶えられ、望む音楽がすぐにかけられた。
その後、サムエレの左目が弱視だと診断が下る。左目の視力を取り戻すため、しばらく右目を使わないことになる。

移民の多くは中東、アフリカ、南アジアの出身が多い。彼らは砂漠やリビアを転々とし、欧州へと逃れて来る。その間に何人もの人々が命を落とすと言う。捕まって監禁され、殺されるのだ。

その日は祖父と漁に出たサムエレ。海が少し荒れていたため、船に酔って嘔吐してしまう。漁で取れたイカで祖母がパスタを夕食に作ってくれた。祖父は船酔いを克服するために胃を鍛えたらいいと孫に言葉をかける。

映画『海は燃えている イタリア最南端の小さな島』のあらすじ【転】

バルトロ医師は、移民船には収容人数を超えた人々が乗って来ると言う。甲板や上の部屋は1500ドルもの賃金がかかり、2層目の客室では1000ドル、最下層はかなり劣悪で、食べる物もなく水すら飲めない。その上、船の燃料による化学火傷を負うことも多い。14歳頃の少年は船に乗る代わりに航海の間中、ポリ容器に燃料を入れさせられ、全身火傷を負って瀕死の状態だった。

助けられれば嬉しいが、助けられない時もある。一番、嫌なのは遺体検分だ。数多くの遺体を検分しなければならず、心を痛め悪夢に苛まれる。仕事だと割り切っているが、辛い仕事だった。

弱視矯正の眼鏡ができた。サムエレは右目を塞ぐ眼鏡をかけてぱちんこを打ってみたが、命中率がかなり悪い。それだけ、右目が頑張っているということである。左目の視力を回復させるため、彼は命中率を上げる努力を続けた。

普段から眼鏡をかけ視力回復に努めているサムエレ。船に乗る練習をする。視力は大分回復しているが、時々息が苦しくなるとバルトロ医師に訴えた。

映画『海は燃えている イタリア最南端の小さな島』の結末・ラスト(ネタバレ)

医師は呼吸状態を診察し、不安症ぎみで緊張によるものではないかと診断。心臓の検査をした後、最終的な診断を下そうと話した。

中型の漁船にぎっしりと乗り込んでいる移民たち。その日も彼らを救助する。足の踏み場もなく明らかに収容人数を超えている。救助隊は健康状態が悪い者を先にボートへと移し救助船へ。4人の若者達は水分不足で意識もほとんどなく、ぐったりとしていた。
多くの移民の中には殴られて傷だらけの者もいる。救助船でできることはひとまずの応急処置だけだ。更に船には40体の遺体もあった。

中型の漁船は上下の2層あったが、下は空気も入らずすごく暑いと言う。故に下層にいた人々が命を落としたのだろう。遺体は1体ずつ遺体袋に収められ回収される。下層は酷く狭く、中には人が動けないほど乗っていたと思われ、遺体は折り重なるようにして転がっていた。

島では終日、ラジオが流れている。テレビはなく島民たちはほとんどがラジオを流していた。ラジオ局のDJはいつでも電話でリクエストを受け、聞きたい音楽をかける。その日も島は平穏な一日を送る一方で、難民の救助活動を忙しく行っているのだった。

映画『海は燃えている イタリア最南端の小さな島』の感想・評価・レビュー

難民危機の最前線と言われるランペドゥーサ島に移り住んだ名匠、ジャンフランコ・ロージ監督によるドキュメンタリー映画。監督は難民がどのような状態で海を渡って来るのか、世界に真実を明かしたいと考え、今作の撮影を行ったと言う。まるでフィクションのような美しい島の風景と島民の穏やかで平和な暮らしを映しながら、難民の救出と彼らが乗って来た船や凄惨な状態と境遇を嘘偽りなく映し出している。終盤では中型の船の下層も映し、そこに転がる遺体をも隠さずに撮影している。彼らは保護されてもそこが終わりではなく、他国での暮らしを始めなくてはならない。非常に心揺さぶられるドキュメンタリー映画。(MIHOシネマ編集部)


「イタリア」はいつか行ってみたい国のひとつです。美味しい料理に穏やかな気候、温かい人たちに綺麗な景色。私たち外国人がイメージするイタリアは「美しい国」ですが、この作品を見ると、そうでは無い一面もあるのだと思い知らされました。
楽しく穏やかに毎日を過ごす人たちがいる一方で、命懸けでこの地に向かってくる移民たち、そしてその移民を助ける人たちがいること。悲しい現実に目を覆いたくなるようなシーンもたくさんありました。
ラストまで穏やかに過ごす島民と、島を目指してきた移民たちが一切交わらないところがとても印象的でした。(女性 30代)

みんなの感想・レビュー