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映画『楢山節考(1983)』のネタバレあらすじ結末と感想

この記事では、映画『楢山節考(1983)』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『楢山節考(1983)』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。

この記事でわかること
  • 『楢山節考(1983)』の結末までのストーリー
  • 『楢山節考(1983)』を見た感想・レビュー
  • 『楢山節考(1983)』を見た人におすすめの映画5選

映画『楢山節考』の作品情報

楢山節考

製作年:1983年
上映時間:131分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:今村昌平
キャスト:緒形拳、坂本スミ子、あき竹城、倉崎青児 etc

映画『楢山節考』の登場人物(キャスト)

辰平(緒形拳)
寒村に住む家族の長男。前妻を事故で亡くし、玉やんと再婚する。二人の息子と一人の娘がいる。短気な性格で、父親を殺してしまった過去を持っている。楢山参りのため、母親のおりんをおぶって山へと向かう。
おりん(坂本スミ子)
辰平の母親。70歳になり、楢山参りを控えている。楢山参りを前に、村の掟が原因で抱えた様々な家族の問題を解決するために骨を折る。自ら楢山参りに行く意気込みを見せるほど、芯の強い老婆。
玉やん(あき竹城)
辰平のもとに嫁いできた2番目の嫁。明るい性格で、仕事も良くできる女。見た目は美しくないが、辰平との体の相性は良い。
利助(左とん平)
辰平の弟。長男以外は子孫を残せないという村の掟に苦しむ。自分の性欲を、動物で処理している。口臭が酷く、村人達から馬鹿にされている。
けさ吉(倉崎青児)
辰平の息子。能天気な男で、真面目に仕事をしない。自分が長男であることをいいことに、いろんな女と遊んでいる。自己中心的な男。
松やん(高田順子)
けさ吉の妻。家族が貧困に苦しみ、辰平の家から食料を盗んでいる。村人に盗みがバレた一家と一緒に、土に埋められてしまう。顔に大きな痣がある。
おかね(清川虹子)
辰平の家の近所に住む女。病気で死にかけるが、白米を食べて復活する。馬小屋で、性欲の捌け口に困っていた利助の相手をする。

映画『楢山節考』のネタバレあらすじ(起承転結)

映画『楢山節考(1983)』のストーリーをネタバレありの起承転結で解説しています。この先、結末までのネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『楢山節考』のあらすじ【起】

新屋敷から、山中の小さい村にある自宅の小屋へと帰ってきた辰平。そこで筵を編んでいる母親のおりんから、どんな用事だったのかと尋ねられる。大したことはないと答え、辰平は草鞋を編み始める。

辰平は馬小屋に行き、弟の利助を起こす。昨日新屋敷に行ったかと利助に聞く辰平。しかし、利助は行ってないと言い張る。利助は農家の下男で、新屋敷の先代の父親が過去に娘を夜這いしに来た農家の下男を殺したことがあることから、辰平は心配していたのだ。

利助は、自分の田んぼで水子を発見する。農家の下男である常という男が犯人だと知った利助は、常に文句を言う。

玉やんという女が辰平の嫁にくると、おりんが辰平に知らせる。辰平の前の嫁は事故死してしまい、生まれてきたゆきという赤ん坊をおりんと共に育てていた。

山菜摘みに出かけた辰平とおりん。辰平は、父親が失踪した本当の理由を尋ねる。当時、辰平の父親の利平はひどい不作で生活に苦しんでいた。行商人の塩屋に女児を売り飛ばし、母親の樽山参りを面倒に思っていた利平は、臆病者のように逃げ出したのだとおりんは語る。

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映画『楢山節考』のあらすじ【承】

近所のおかねという女が死にかけ、おりんがお見舞いに向かう。70歳まで生きて、御山で死を迎えたいとおかねは話す。しかし翌日、白米を食べたおかねは病気が治り、元気に畑仕事を始める。

玉やんが嫁にやってくる。そろそろ御山に行かなければと玉やんに伝えるおりん。しかし彼女は、ゆっくりで良いとおりんに言う。おりんは自分で前歯を砕き、歯がダメだから御山に行かなくてはと改めて玉やんに話す。

辰平の息子のけさ吉は、松やんという女と結婚をする。しかし、二人はよく仕事をサボるし、松やんは家事が苦手で使いものにならない。

ある日、辰平は松やんが食料を盗んで実家に運んでいるのを発見する。辰平は松やんを懲らしめ、もう二度と同じことをするなと言う。松やんの家は子沢山で、長い間貧困に苦しめられていたのだ。

松やんの家族は、村の各所から盗みを行なっていた。村の人間は、松やんの家族の処分について考える。辰平は友人に、松やんの身も危ないかもしれないと忠告される。

映画『楢山節考』のあらすじ【転】

村の人達は、松やんの家族を襲撃する。松やんは、おりんに言われて食料を届けるために実家にいた。そのため、被害に遭ってしまう。その襲撃に鉢合わせたけさ吉は、松やんのお腹に新たな命があるのだと叫んで止めようとする。しかし、松やんの家族は全員土に埋められてしまう。

辰平の弟の利助は、村の掟で妻を持てないことを嘆いていた。極度の欲求不満になると彼は、自分の性欲を動物で満たしていた。犬で性欲を満たすため、頻繁に新屋敷に足を運んでいたのだ。おりんや辰平は、どうにか一晩だけでも利助の相手をしてくれる人を探し回る。

近所の人がおりんのもとに、利平を見つけたぞと言いながら駆け込んでくる。おりんは急いでその場所に向かう。そこには、利平の魂の姿があった。一緒に駆けつけた辰平はおりんに、15歳の時に利平を殺してしまったと告白する。おりんは、利平を殺したのは山の神様だと答え、そのことは誰にも言うなと辰平に言う。

おりんは、玉やんを川に誘う。そこで、魚の獲れる穴場を教える。おりんは玉やんに、もし辰平に利助のために体を貸せと頼まれても、絶対に断れと忠告する。

映画『楢山節考』の結末・ラスト(ネタバレ)

いよいよおりんの樽山参りが始まろうとしていた。夜、村人達が集まって樽山参りの儀式が始まる。その頃利助は、馬小屋でおかねを抱いていた。

夜中、辰平がおりんを背負って家を出発する。二人は会話のないまま、黙々と山道を進んでいく。

途中、二人は渓流で休憩を取る。辰平はおりんに、25年後は自分がけさ吉に背負われてここへきて、その25年後はけさ吉がくるのだと嘆く。父親を殺し、母親まで殺すのかと辰平は独り言を呟く。

さらに奥へと進むと、そこには多くの人骨が転がっている。ようやく終着点に着いた二人。辰平はおりんを降ろし、強く抱きしめる。泣き崩れる辰平におりんは、辰平の頬を叩いて帰るように命ずる。

帰り道、雪が降ってくる。それを見て、辰平はおりんのもとへと走って戻る。おりんは、目を閉じて静かに手を合わせながら座っていた。雪が降ってきたぞとおりんに話しかける辰平。おりんは、早く帰れと辰平に合図をする。

村へと帰った辰平。村はすでに白銀世界になっていた。家には、辰平の家族とけさ吉の新しい女房がいた。その女のお腹と、玉やんのお腹を見た辰平は、おりんの姿を思い浮かべるのだった。

映画『楢山節考』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)

深沢七郎の原作を今村昌平が鮮烈に映像化したこの映画は、老いと生、そして死に向き合う日本の原始的な集落の物語です。オリんが楢山に自ら赴く覚悟を持つ姿に、尊厳と覚悟、そして時代の非情さを感じました。とにかく自然と人間の営みの残酷な調和が痛烈に描かれており、終始圧倒されました。ラストでオリんが静かに死を受け入れる場面は静謐で美しく、涙がこぼれました。(50代 女性)


楢山節考はとにかくショックでした。貧困ゆえに高齢者を山に捨てるという風習が普通に描かれている世界に衝撃を受けましたが、その描写がただの残酷さではなく、共同体を守るという論理として成り立っている点に深いリアリティを感じました。音楽と映像の融合も素晴らしく、民俗的なリズムが不思議と心を打ちました。自分の価値観を揺さぶられるような作品でした。(30代 男性)


今村監督の演出が素晴らしい。カラフルな色彩で彩られた画面は、死を扱う作品とは思えないほど美しく、逆にそのギャップが物語の凄みを際立たせていました。オリんの覚悟と、孫たちの軽薄さの対比も非常に印象的でした。日本の昔話のような世界観の中に、現代にも通じるテーマが潜んでいて深く考えさせられる作品でした。(40代 女性)


ストレートに「怖い」と思った映画でした。文化や伝統、家族の形というものが時にここまで過酷なものになるのかという驚きがありました。おばあさんが淡々と自分の死に向かって準備を進めていく様子が、観ていて苦しくなる一方で、不思議とその潔さに惹かれもしました。死生観について考えさせられる傑作です。(20代 男性)


祖母がこの映画を昔観たと言っていたのを思い出し、自分も観てみました。画面がとても色鮮やかで、でも描かれている内容は極限の貧しさと死。オリんが自らの老いを受け入れて死を迎える姿に、何とも言えない悲しさと美しさを感じました。人間の生死を見つめる映画として、ずっと心に残る一本です。(20代 女性)


日本の風土と価値観をここまでリアルに、しかも寓話的に描いた作品はなかなかありません。今村昌平監督の演出は容赦がなく、極貧の村に生きる人々のリアルが圧倒的な説得力で迫ってきました。楢山に登るシーンは宗教的とも言えるほど荘厳で、オリんの覚悟に涙が止まりませんでした。(60代 男性)


初めて観たとき、映像の美しさに驚きました。極端な題材にも関わらず、あえて舞台のように見せるセットや照明が、逆に現実の重みを強調していて見事でした。社会のルールに従って淡々と死を受け入れる姿に、「生きること」とは何か、「老い」とは何かを突きつけられるようでした。観るたびに新しい発見があります。(30代 女性)


学生時代に観て以来、何度も心の中で思い出す作品です。飢えと貧困、そして共同体の論理に従って人の命を扱うということが、ここまで静かに、でも力強く描かれている映画は他にありません。特に、山に向かうオリんと辰平の無言のやりとりには、人間の深い愛情と哀しみがにじんでいて、心を打たれました。(40代 男性)


子育て中の身として、オリんの孫への思いやりや、息子への気遣いの描写に胸を打たれました。自らの命を軽く扱うのではなく、家族の未来を考えての選択というのが痛いほど伝わり、母として、娘として、非常に考えさせられました。残酷だけど、深く優しい映画です。(30代 女性)


「古い時代の話」とは思えないほど、生きるということ、老いるということ、そして家族の在り方について普遍的な問いを投げかけてくる作品でした。娯楽的ではないけれど、強く心に残る映画で、特にオリんが歯を石で割るシーンは観ていて鳥肌が立つほどの覚悟を感じました。ぜひ多くの人に観てほしいです。(50代 男性)

映画『楢山節考』を見た人におすすめの映画5選

累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『楢山節考(1983)』を見た人におすすめの映画5選を紹介します。

風の谷のナウシカ

この映画を一言で表すと?

自然と共に生きることの意味を問いかける、壮大で繊細なアニメーション叙事詩。

どんな話?

文明崩壊後の世界で、人類は腐海と呼ばれる毒の森に囲まれながら生きている。風の谷の姫ナウシカは、戦争と環境破壊を止めようと奔走し、自然と人間の調和を目指して闘う。強さと優しさを併せ持つ彼女の姿に心が震える。

ここがおすすめ!

『楢山節考』が自然と人間の関係を描いているのと同様に、本作も環境との共存を主題にしており、深く響くテーマを持っています。美しい映像と力強いメッセージに、何度観ても心を打たれる作品です。

殯の森

この映画を一言で表すと?

喪失と再生を描く、静寂と自然が心にしみわたるヒューマンドラマ。

どんな話?

妻を亡くして心を閉ざす老人と、息子を亡くした看護師が、ある日共に森をさまよう旅に出る。言葉少なに進むその道のりは、やがて彼らの心をほぐしていく癒しの旅でもあった…。第60回カンヌ国際映画祭グランプリ作品。

ここがおすすめ!

セリフよりも風の音や森のざわめきが語りかけてくるような、非常に詩的で感性的な作品。『楢山節考』のように、死と向き合いながらもそこに安らぎを見出す描写に心が動かされます。静かな余韻が残る一作です。

地の塩 山室軍平

この映画を一言で表すと?

実在の社会運動家の生涯を描いた、信念と人間愛に満ちた伝記映画。

どんな話?

明治〜大正期、日本の貧困と向き合い、福祉と更生に人生を捧げた山室軍平の姿を描く。刑務所伝道師として無償の愛を説き、誰よりも弱き者に寄り添った男の生き様に、人間の可能性と強さを見る。

ここがおすすめ!

『楢山節考』が共同体の掟と向き合う姿を描いたのに対し、本作は個人の信念と慈愛によって社会の壁に立ち向かう人物を描いています。極限の状況での人間の選択が共通しており、精神的な共鳴を得られる作品です。

トゥーマスト・ビー・ヘブン(It Must Be Heaven)

この映画を一言で表すと?

パレスチナ人監督が自身をモデルに描いた、静かに笑える風刺ロードムービー。

どんな話?

パレスチナに居場所を見失った映画監督が、自分の新しい「家」を探す旅に出る。世界中を巡りながら、どこにも似たような理不尽と滑稽さがあることに気づいていく…。ユーモアと哀愁が織りなすユニークな作品。

ここがおすすめ!

『楢山節考』がローカルな文化に根ざした死生観を描いたように、この作品も個人の視点から普遍的なテーマを浮き彫りにします。ナンセンスなユーモアの中に込められた哲学に、ふと涙する瞬間がある一作です。

告白

この映画を一言で表すと?

美と狂気が共存する、衝撃の復讐サスペンス。

どんな話?

中学校の教師が、自分の娘を死に追いやった生徒たちへの復讐を授業中に告白するところから物語は始まる。視点を変えながら語られる真実と人間の心の闇が、観る者の倫理観を試すように突き刺さる。

ここがおすすめ!

『楢山節考』が持つ「共同体の正義と個の感情の葛藤」を現代的な学校というミニ社会で描いた本作は、まさに日本の“道徳”を問い直す作品。映像美と音楽、緊迫感ある構成も見ごたえ抜群です。

この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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