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映画『ナチスの愛したフェルメール』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『ナチスの愛したフェルメール』の概要:ハン・ファン・メーヘレンはヒトラーの後継者であるゲーリングにフェルメールの絵画を販売したとして、反逆罪で起訴されてしまう。ハンは裁判で、売ったのは自分が描いた贋作だと証言した。

映画『ナチスの愛したフェルメール』の作品情報

ナチスの愛したフェルメール

製作年:2016年
上映時間:115分
ジャンル:ヒューマンドラマ、伝記
監督:ルドルフ・ヴァン・デン・ベルフ
キャスト:ユルン・スピッツエンベルハー、リゼ・フェリン、ルーラント・フェルンハウト etc

映画『ナチスの愛したフェルメール』の登場人物(キャスト)

ハン・ファン・メーヘレン(ユルン・スピッツエンベルハー)
画家。妻と子供(ジャック)がいるにも関わらず、ヨーランカに心を奪われる。画廊経営者のテオと手を組み、贋作を販売する。
ヨーランカ(リゼ・フェリン)
養父の甥であるブレディウスと結婚している。幼い頃は貧しい生活を送っていた。現在は女優として舞台に立っている。

映画『ナチスの愛したフェルメール』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『ナチスの愛したフェルメール』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『ナチスの愛したフェルメール』のあらすじ【起】

ハン・ファン・メーヘレンはヒトラーの後継者であるゲーリングにフェルメールの絵画を売ったとして、反逆罪で起訴される。ハンは無実を訴えるが、誰も信じてはくれなかった。実は、皆がフェルメールの作品だと思っている絵画は、ハンが描いた贋作だった。ハンは贋作者になるのが嫌で、そのことを話してはいなかった。息子のジャックは牢屋にいるハンの元を訪ね、真実を明かして欲しいと訴えた。そうしなければ、ハンは処刑されてしまうのだった。

ハンは妻と赤ちゃんをモデルに絵を描いていたが、納得するものが出来なかった。苛々したハンは妻に当たってしまう。妻はそれに耐え、ハンを支えた。1924年、ハンはデルフト美術協会・最優秀賞を受賞する。賞を受賞しているとき、美しい女性の姿が目に入った。その女性は美術収集家ブレディウスの妻で、ヨーランカという名前だった。ハンはヨーランカに心を奪われる。

ハンは画廊経営者であるテオの助けを借り、絵画教室を開いた。そこに、ヨーランカが入会したいと言ってやって来る。ハンはヨーランカが現れたことに動揺しながらも、授業を行った。

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映画『ナチスの愛したフェルメール』のあらすじ【承】

ハンはテオに頼まれ、フランス・ハルスの絵の修復を行うことになる。自分には無理だと断ろうとするが、君しかいないと言われ報酬を折半することで引き受けた。その後、ブレディウスが修復した絵を確認した。ブレディウスはハンの修復技術を褒め称えるが、ハルスが使った鉛白(顔料)がなかったことから本物かどうか疑問を持つ。アルコールテストを行い、贋作だと結論づけた。

ハンは贋作を売ったことを裁判で証言するが、なかなか信じてはもらえなかった。しかも、証言台に立ったブレディウスが、本物のフェルメールの絵だと証言した。ハンはアルコールテストをするよう意見し、どのように贋作を作ったのか説明した。

ハンは妻と一緒に、ヨーランカが出演している舞台を見に行った。妻はヨーランカを熱しに見ていたハンに腹を立て、舞台終了後何も言わずに会場を後にした。ハンは妻を追いかけることなく、ヨーランカに拍手を送り続けた。そして、ヨーランカの控室に行き、素晴らしかったと感想を伝えた。

ハンはヨーランカを家まで送るが、ヨーランカは帰ることを嫌がった。ヨーランカは絵のモデルになると言い出した。ハンはヨーランカの絵を描きながら、ブレディウスとの出会いを聞いた。ブレディウスはヨーランカの養父の甥だった。ヨーランカは最下層の娘で、将来の保障を得るために結婚したのだった。ブレディウスのことを愛していると言ってはいるが、その表情は苦しそうだった。

ハンが描いた絵を見ながら、ヨーランカとハンは寄り添い合った。2人は静かに手を握り合い抱き締め合うが、そこにテオがやってくる。ヨーランカは慌てて帰っていった。テオは個展の支援者でもあるブレディウスを怒らせないよう、ハンに忠告した。

映画『ナチスの愛したフェルメール』のあらすじ【転】

ハンはジャックに絵を教えるが、妻は苛々した様子でジャックの体についた絵具を拭った。その時、妻の目にハンが描いたヨーランカの肖像画が映った。ハンが感想を求めると、妻は愛情が伝わってくると泣きそうな顔で答えた。妻は、ハンがヨーランカに惹かれつつあることに気づいていた。

ハンの個展が開かれ、ヨーランカの肖像画も飾られた。ブレディウスはヨーランカの肖像画を見て嫉妬心を募らせた。ブレディウスは人々の前でハンのことを貶し、嘲笑った。ショックを受けたハンは酒を飲み、暴れた。

妻がジャックを連れて出て行った。ハンは息子との別れを悲しんだ。そんなある日、ローマでヨーランカと偶然にも再会する。ヨーランカはハンが描いた肖像画のことを褒めた。ハンはヨーランカの言葉に喜んだ。ヨーランカは明日会う約束をして夫の元へと戻った。

ヨーランカはテオから預かっていた報酬をハンに渡した。1万5000ポンドもあった。それは、ハンが修復したハルスの絵の報酬だった。贋作を売ったことにヨーランカは良い顔をしなかった。

ハンが着替えている間に、ヨーランカがベッドの上で裸になっていた。ハンはヨーランカの裸体をスケッチし、彼女に誘惑されるままベッドを共にした。ハンは古いオランダ画家が描いた絵を気に入り、それをヨーランカにプレゼントしようとした。しかし、ヨーランカは夫のことを気にして受け取るのを拒否した。2人は口論になってしまう。

映画『ナチスの愛したフェルメール』の結末・ラスト(ネタバレ)

ハンは古いオランダ画家が描いた絵を切って白く塗り潰し、フェルメールの絵の贋作を描いた。そして、ブレディウスからお墨付きを貰うよう指示した。ハンは肖像画を持ってヨーランカに会いに行くと、口論したことを謝罪して結婚して欲しいとプロポーズした。だが、そこにブレディウスがやって来てしまう。ブレディウスは肖像画を破壊した。

ハンは贋作の続きを描くが、上手くいかなかった。辛い記憶が肉体的苦痛となり、アルコール依存症となった。そんな彼の元に、ジャックが訪ねてくる。ハンはフェルメールの作品だと言って絵を見せた。しかし、ジャックは絵を見て父が描いた物だと気づく。ジャックは詐欺師だと父を責めた。だが、周囲から認められたいと切望している父の気持ちも理解できた。ハンはプレディウスを見返したいと思っていることを打ち明けた。

ブレディウスは贋作だと見抜けず、女王陛下や多くの人がいる前でフェルメールの作品(『エマオ食事』)だと紹介した。ハンはジャックにナイフを渡され、ブレディウスに恥をかかすために絵を切ろうとした。その時、ヨーランカに声を掛けられる。ハンは贋作であることをこっそり教えた。ヨーランカはブレディウスに復讐しようとしているハンの意図に気づき、衝撃を受ける。ブレディウスと別れたことを話し、復讐を止めさせようとした。悩んだ末、ハンは復讐を諦めた。その後、ハンとヨーランカは結婚した。

ゲーリングが『エマオ食事』の絵を気に入り、同じような作品を探すようテオに指示を出した。テオはそのことをハンに話した。ハンは贋作だとバレたら危険だと不安を抱くが、結局絵を描くことになった。

裁判でハンがナチスと一緒に写っている写真が公開された。ハンはドイツを騙すためだと弁明し、贋作家だが売国奴ではないと怒鳴った。しかし、最高刑が求刑されてしまう。ハンは現状を打破するため、絵を描かせて欲しいと頼んだ。ハンが描いた絵を、ブレディウスは下手な模倣に過ぎないと批評し、極刑を退けることはできないと話した。だが、そこにヨーランカが助けに現れる。

『エマオ食事』のX線撮影が行われ、贋作だと証明された。ハンはナチス高官を騙したことで、国民から称賛された。反逆罪は無罪になり、詐欺罪で1年の禁固刑に処されることになった。そして、500万ギルダーの返還を命じられる。それがフェルメールとハンの絵の価値の差だった。ハンはその事実にショックを受ける。ハンは58歳でこの世を去った。禁固刑の判決を受けた1か月後のことだった。

ハンは6年かけてフェルメールの贋作を制作した。ハンの贋作技術は現在も評価が高かった。ハンが制作した「エマオの食事」は、今もボイマンス美術館で展示されている。

映画『ナチスの愛したフェルメール』の感想・評価・レビュー

実在した人物ハン・ファン・メーヘレンの生涯を元に制作された作品。芸術家として自分の存在を認めてもらいたいという気持ちは理解できたが、その方法があまりにも稚拙だなと感じた。物語の最後で、お金の返還を命じられた場面は自業自得だとしても悲しく感じた。妻が必死に支えていたにも関わらず、ヨーランカに心を奪われ、息子とのことも蔑ろにしたハンの行動は酷いものだった。ハンが亡くなった後、ジャックやヨーランカ達がどうなったのか気になった。(MIHOシネマ編集部)


本作は、激動の時代を舞台に、ナチスへの絵画売却を疑われたハン・ファン・メーヘレンを描いたヒューマンドラマ作品。
専門家の話や、ナチスから美術品を略奪された子孫の話はとても衝撃を受けた。
自分が作り上げたものを奪われた挙句、勝手に美術館に展示されたり、そのまま行方不明になったり、ましてや返還すらされなかった本人たちの気持ちを考えただけで、ナチスに対して腹が立ってくるし、容易に許されることではない。
当時の作家たちは誰一人納得しなかっただろうと想像できる。
美術品の価値と何か、ナチスや美術をより深く専門的に知りたい方にお勧めしたい作品。(女性 20代)

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