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映画『ねことじいちゃん』のあらすじ・感想・評判・口コミ(ネタバレなし)

長編映画監督デビューをする動物写真家・岩合光昭が描く、猫のタマと二人で暮らす大吉じいちゃんのほのぼのとした日常ドラマ『ねことじいちゃん』。落語家・立川志の輔が映画初主演を飾る他、100匹以上のオーディションを勝ち取った猫のベーコンが堂々の登場。

映画『ねことじいちゃん』の作品情報

ねことじいちゃん

タイトル
ねことじいちゃん
原題
なし
製作年
2019年
日本公開日
2019年2月22日(金)
上映時間
103分
ジャンル
ヒューマンドラマ
監督
岩合光昭
脚本
坪田文
製作
深瀬和美
永井拓郎
中島裕作
製作総指揮
藤本款
キャスト
立川志の輔
柴咲コウ
柄本佑
銀粉蝶
山中崇
葉山奨之
田根楽子
小林トシ江
製作国
日本
配給
クロックワークス

映画『ねことじいちゃん』の作品概要

漫画家・ねこまきの描く、おばあさんに先立たれたおじいちゃんと、猫のタマの穂野坊戸野とした日常を描いた漫画『ねことじいちゃん』を原作に、動物写真家の岩合光昭の映画監督としての挑戦が始まる。主人公の小さな島の村に住む70歳のおじいちゃんは、落語家・立川志の輔が演じ、大吉おじいちゃんと暮らす猫のタマは、100匹以上のオーディションから選抜された、若いながらもふてぶてしい態度と風貌のアメリカンショートヘア・ベーコン。

映画『ねことじいちゃん』の予告動画

映画『ねことじいちゃん』の登場人物(キャスト)

大吉(立川志の輔)
70歳のおじいちゃんで、2年前に妻に先立たれてから飼い猫のタマと2人暮らしをしている。
美智子(柴咲コウ)
小さな島でカフェを開き、島の人たちとの交流を楽しんでいる女性。料理が趣味の大吉おじいちゃんに料理を教える。
タマ(ベーコン)
大吉おじいちゃんと暮らしている、アメリカンショートヘアの猫。見た目は怖いが大吉おじいちゃんが大好き。

映画『ねことじいちゃん』のあらすじ(ネタバレなし)

ここは、日本にある小さな島の、小さな村。昔ながらの風景が広がり、島で暮らす昔からの知り合いたちと、毎日笑いながらのんびりした時間が流れる、穏やかな村。

大吉おじいちゃんは、この村で暮らす70歳のおじいちゃん。2年前に最愛の妻に先立たれてからは、大事に飼ってきたアメリカンショートヘアのタマと2人暮らし。無口だけれど、大吉おじいちゃんが大好きなタマは、どこへ行くにも何をするにもおじいちゃんと一緒。

おじいちゃんも、毎朝起きるとタマと一緒に散歩に出かけるのが楽しみ。そして、おばあさんが遺してくれたレシピノートを見ながら、お料理に励む毎日。島にやって来た若い女性の美智子さんがカフェを開くと、大吉おじいちゃんはカフェに通って美智子さんにお料理を教わりながら、おばあさんのレシピノートを埋めていく。

村には昔からの顔なじみや、幼馴染がいて、都会のような便利さはないけれども毎日友人たちと笑い合いながらおしゃべりしながら、のんびりと楽しい日々を過ごす。しかし、70歳になり、大吉おじいちゃんの体にも次第に変化が出始める。妻だけでなく、友人も先立つ人が現れ、穏やかだった日々は次第に寂しさを増していくのだった。

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映画『ねことじいちゃん』のネタバレあらすじ結末と感想
映画『ねことじいちゃん』のネタバレあらすじと感想。ストーリーを結末まで起承転結で分かりやすく簡単に解説しています。映画ライターや読者による映画感想も数多く掲載。

映画『ねことじいちゃん』の感想・評価

原作『ねことじいちゃん』

漫画家・ねこまき氏が手掛ける同名漫画『ねことじいちゃん』を原作にした、動物写真家・岩合光昭氏監督作品。原作の『ねことじいちゃん』を書いているねこまき氏は、2002年に脱サラし、独立。名古屋を拠点にイラストレーターや漫画を描いている。

ほのぼのとした画風が魅力的で、原作漫画も柔らかなタッチと水彩画のような色遣いが印象的である。漫画のテーマは、毎日が愛しくなる営みを、叙事性豊かに描くこと。小学生からお年寄りまで、幅広い年代から指示を受け、第15回文化庁メディア芸術祭漫画部門審査委員会推薦作品に選抜される。

インターネットでも第1話や番外編が公開されており、大吉おじいちゃんとタマののんびりとしたやり取りが伺える。ねこまき氏が名古屋を拠点にしているため、本土から離れた小さな島での出来事だが、大吉おじいちゃんは名古屋弁でタマに話しかけているのも、風情がある。立川志の輔が演じる大吉おじいちゃんとはまた一味違った、原作での大吉おじいちゃんとタマのやり取りを、ぜひ堪能してほしい。

島で生まれて、島で育ち、島で眠る

大吉おじいちゃんは、この小さな島で生まれて70年、ずっと島で暮らしてきた島暮らしの大ベテラン。同じくタマも、この島のどこかで生まれて大吉おじいちゃんとおばあさんに出会った猫。

この島には昔からの古い家々が並び、都会にあるようなビルもなければ娯楽施設もないし、第一次産業の農業・林業・漁業が主な就職先。都会人から見たら、時代に取り残されたかのようなそんな風景。

それでも、食べ物は新鮮で美味しく、美しい自然の風景が並び、何より時間のゆとりと人々の愛情で溢れている。そして、思わず微笑んでしまうたくさんの猫たちとの生活。お金や地位や名誉などに翻弄されることなく、自由気ままな猫たちとの生活は、何物にも代え難い幸福。

この島で生まれ、この島で生きてきた大吉おじいちゃんとその仲間たちは、そんな幸福の中をずっと生きている。そして、長い年月が過ぎ、この島の中で静かな眠りにつくこともまた、代え難い幸せなのではないだろうかと感じずにはいられない。

動物写真家の見る景色

フィクション映画の監督を初めて担当することになった動物写真家の岩合光昭という人物は、写真や動物に興味のない人にはあまり知られていないかもしれない。しかし、岩合さんが撮影した写真集「おきて」は世界で20万部を突破するロングセラー商品で、写真を知らない人でも名前くらいは知っているであろう「ナショナルジオグラフィック」の表紙も2度飾っている。この快挙は、日本人で初めてのことである。

その動物写真家の岩合さんが見た、『ねことじいちゃん』とはどんな世界なのだろうかと、映画を見る前から気になって仕方がない。予告で流れる島の風景は美しく、タマをはじめ島で生活している猫たちの立ち位置は、絶妙なポイントを押さえている。

写真家が風景や生き物を写真に収めるとき、美しさや力強さや儚さやいろいろなものがそこには込められているが、一番はそこに「在った」という存在そのものを形にしたいのだろうと感じる。動物写真家だからこそ表現できる美しさや、生き物たちの個性溢れる表情は、きっと見た人の心を温かさと優しさで満たしてくれる。

映画『ねことじいちゃん』の公開前に見ておきたい映画

映画『ねことじいちゃん』の公開前に見ておきたい映画をピックアップして解説しています。映画『ねことじいちゃん』をより楽しむために、事前に見ておくことをおすすめします。

八日目の蝉

『ねことじいちゃん』の音楽を担当しているのは、2012年公開の映画『八日目の蝉』で第35回日本アカデミー賞最優秀音楽賞を受賞した安川午朗である。直木賞作家の住田光代の長編サスペンス小説を映画化したもので、赤ん坊だった女の子を誘拐し、自身の娘として育てていた女と、その女に育てられた少女が背負う、痛みと切なさの物語。

「優しかったお母さんは、私を誘拐した人でした」の宣伝文句でも好奇心を揺さぶられ、挿入歌や主題歌でも話題を呼んだ作品で、この映画で重要な音楽を担当したのが安川午朗氏である。

主演の永作博美と井上真央とのやり取りはとても印象的で、少し霞がかった映像にマッチングする音楽は、見ている人の心を容赦なく揺さぶっていく。原作と違ったラストを迎えながらも、衝撃的なラストは好評を得ていて、原作とは違った楽しみがあるのもこの映画の特徴である。

安川午朗氏のファンなら、2014年『ふしぎな岬の物語』と、2015年『ソロモンの偽証 前篇・事件』でもアカデミー賞最優秀音楽賞を受賞しているので、ぜひ鑑賞をお勧めしたい。

詳細 八日目の蝉

ねこあつめの家

スマートフォン向けのゲームアプリ「ねこあつめ」を、2017年伊藤淳史主演で実写映画化した作品。ゲームは、庭先にご飯と猫グッズを置いておき、訪れる猫たちを眺めて楽しむだけの、手軽にできるほのぼの癒しゲーム。その手軽さと、猫たちの可愛さで累計1,300万ダウンロードを記録した驚異のゲームである。

ゲームでは基本的に猫しか登場しないが、実写映画化するにあたり伊藤淳史演じる主人公の佐久本勝は、若くして新人賞を受賞した人気小説家で、現在はスランプに陥っているという設定。不動産屋からの勧めと、町で出会った妙な占い師からの予言により、片田舎の古民家にやって来た勝だったが、庭先にふらりと猫がやって来るようになり徐々に勝の周りに変化が訪れる。

実はこの映画に、『ねことじいちゃん』の主人公とも言えるタマを演じたベーコンが出演している。たくさんの猫が登場する中で、ベーコン探しをしてみるのも面白いかもしれない。他にも、チョーヤ梅酒のCMに登場している猫や、他の映画に出演している猫など、スター猫たちの姿も見ることができるので、猫好きにはたまらない映画である。

詳細 ねこあつめの家

かぐや姫の物語

日本に古くから伝わる「竹取物語」を題材にした、スタジオジブリ作品。監督は、1999年『ホーホケキョ となりの山田くん』以来、14年ぶりとなる高畑勲。2013年に公開され、日本だけでなく海外でも高く評価されたこの映画に、『ねことじいちゃん』の主演・立川志の輔が声優を担当している。

立川志の輔が声を当てたのは、かぐや姫の名付けを担当した斎部秋田。老人の姿で、宮中の祭祀を担当している。秋田の言葉で、かぐや姫の存在が若い青年たちに知れ渡ることになった。

竹取物語は、日本人なら恐らくストーリーを知らない人などいないのではないかと言われているほど有名な話で、この作品が上映されるときには「今更」というような雰囲気があった。だが、実際に上映された映画を見てみると、かぐや姫・翁・媼それぞれの心理描写が細かなところまで行き届いており、物語を知っているにもかかわらず、つい涙してしまう作品である。

映画の作画タッチも、今回の『ねことじいちゃん』の原作にとても良く似ているので、ほのぼのとした内容が好きな人にはぜひおすすめの映画である。

詳細 かぐや姫の物語

映画『ねことじいちゃん』の評判・口コミ・レビュー

映画『ねことじいちゃん』のまとめ

「全シーン必ずどこかに猫がいる」というキャッチコピーの通り、猫の姿が随所に散りばめられた、動物写真家ならではの作品に仕上がっている。撮影地の愛知県・佐久島の美しさと猫の陽気さが相まって、映画の内容よりも猫たちの姿に目が行ってしまいそうである。撮影時は、猫ばかりに気を取られていた様子の岩合監督であるが、それも動物写真家ならではの姿。それほどまでに意気込みを込めた猫まみれの映画は、映画と言うよりはセラピー動画とでも言ってしまえそうである。

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