映画『ねらわれた学園(1981)』の概要:三田村由香は下校中に、子供がダンプカーに轢かれそうになっている場面に遭遇する。“戻りなさい”と言葉を掛けると、時計が逆回転しているかのようにダンプカーが後退し、子供が助かった。三田村は自分が持っている不思議な力に恐怖心を抱く。
映画『ねらわれた学園』の作品情報
上映時間:91分
ジャンル:SF、サスペンス、青春
監督:大林宣彦
キャスト:薬師丸ひろ子、高柳良一、三浦浩一、峰岸徹 etc
映画『ねらわれた学園』の登場人物(キャスト)
- 三田村由香(薬師丸ひろ子)
- 第一学園高校の2年生。学年一の秀才。男性からも女性からも人気がある。強く思ったことが実現する、超能力を持っている。
- 関耕児(高柳良一)
- 第一学園高校の2年生。三田村のクラスメイト。剣道部の主将。勉強は苦手だが、体育は得意。実家は酒屋を営んでいる。父の熊吉も勉強は苦手。母は既に他界している。
- 高見沢みちる(長谷川真砂美)
- 北海道から三田村のクラスに来た転校生。実は北海道で、記憶喪失者として保護されていた。人を支配する超能力を持っている。星の魔王子の仲間。
- 星の魔王子(峰岸徹)
- 金星から来た宇宙人。地球を支配しようと目論み、仲間を集めるために“英光塾”を開く。三田村を自分の仲間にしようと目論む。
- 有川正一(手塚真)
- 三田村のクラスメイト。勉強はできるが、体育は不得意。学年一の座を三田村に奪われてしまったことを、根に持っている。
- 山形先生(三浦浩一)
- 剣道部顧問。体育教師。勉学に励み、運動を疎かにしている校長先生の考えに異議を唱える。熱血教師。
映画『ねらわれた学園』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ねらわれた学園』のあらすじ【起】
第一学園は由緒ある進学校のため、教師を始め校長先生はクラブ活動を廃止して、生徒達が勉学に専念できるようにしようとしていた。剣道の顧問であり体育の教師である山形先生は、その考えに納得がいかず不満を抱いていた。
新学期を迎え浮かれている生徒達に、須田先生は授業を始める前に苦言を呈した。須田先生が受け持つクラスには学年間トップの成績を収めた生徒がいたのだが、5人程成績が著しく悪い生徒がいたためにクラス平均では最低となってしまったのだ。トップの成績を収めたのは三田村由香だった。生徒の有川正一は自分がトップではなかったことに納得ができず、その理由を須田先生に尋ねた。それは、体育の成績が悪かったからだった。有川は受験に関係のない体育が悪くても構わないと、安堵した。
各部色んな催し物をしながら、新入部員の勧誘を行った。剣道部員の関耕児も頑張るが、入部してくれたのは1人だけだった。三田村は落ち込む耕児を慰めながら下校した。その時、子供が道路に飛び出し、ダンプカーに轢かれそうになっている場面に遭遇する。三田村は必死に“戻りなさい”と言葉を掛けた。すると、まるで時間が巻き戻っているかのように、ダンプカーと子供が後退した。三田村は自分が願った通りにダンプカーと子供が動いたのを見て気味が悪くなり、耕児の心配する声を無視して急いで帰宅した。
映画『ねらわれた学園』のあらすじ【承】
関熊吉は帰って来た息子に剣道を辞めろと叱った。成績が悪かったことで、学校から呼び出しを受けたのだ。だが、耕児は実家の酒屋を継ぐから成績が悪くても構わないと、気にした様子もなかった。熊吉や祖母はそんな耕児の将来を心配した。すると、店員の広志が、三田村なら耕児の家庭教師をしてくれるかもしれないと話し始めた。熊吉や祖母はそんな広志の言葉に納得し、盛り上がり始めた。耕児は勝手に話を進める父達の様子を嘆き、三田村に電話して家庭教師の話がきても断ってくれと頼んだ。
三田村は家庭教師を引き受けるが、こっそり耕児を窓から逃がし剣道の練習に行かせた。耕児は急いで学校に向かうが、遅刻してしまったため、山形先生から叱られてしまう。一方、三田村はマネキンに耕児の服を着せて勉強しているように見せかけ、耕児の家族にばれないようにしていた。練習後、耕児は帰宅するが、着替えている途中で部屋に父が来てしまい、三田村を襲っていたと誤解を受けて殴り掛かられる。
高校剣道対抗試合当日。三田村は友人達と共に、第一学園剣道部を応援していた。だが、相手高校の次鋒相手に、第一学園の先鋒・次鋒・中堅・副将が負けてしまい、残すは大将である耕児だけとなってしまう。三田村は耕児が勝つように、必死に神に祈りを捧げた。すると、関は次々と相手を倒していき、優勝した。皆が優勝を喜ぶ中、三田村は自分の不思議な力が恐ろしくなり、顔を強張らせた。その姿を、1人の男性(星の魔王子)が見ていた。
三田村は試合のときに見かけた男性(星の魔王子)に声をかけられ、不思議な力に引っ張られながら車へと乗り込んだ。男性は三田村が不思議な力によって、耕児を勝たせたことを知っていた。三田村がそのことに驚いていると、男性は世界を支配するために手を組もうと話を持ち掛けてきた。三田村はその男性のことをずっと前から知っているかのような気がしたが、即決できず、考えさせて欲しいと頼んだ。
映画『ねらわれた学園』のあらすじ【転】
三田村は不思議な力のことを耕児に相談するが、信じては貰えなかった。ただ、三田村の中で、漠然とした不安が渦巻いていた。そんな時、覗きをしている小学生達を、不思議な力で懲らしめている女子高生を見かける。その女性高生は高見沢みちると言い、北海道からの転校生として三田村のクラスにやって来た。
クジ引きで学級委員を決めることになるが、高見沢は生徒会役員に立候補するので辞退を申し出た。さらに、高見沢は有川を支持することを表明した。生徒達は勝手なことばかり言う高見沢に不満を抱く。投票した結果、三田村が学級委員になった。三田村は自分に学級委員が務まるか不安を抱くが、クラスメイト達に励まされる。一方、高見沢は三田村に惨敗した有川を叱った。2人は同じ塾に通っており、有川だけでは学園を手中に収められないからと、高見沢が派遣されて来たのだ。高見沢は三田村に対抗心を燃やした。
生徒会役員に立候補した生徒達の演説が行われた。高見沢は“自由”な校風を謳いながら悪戯や悪ふざけを行っている現状を憂い、1つの秩序を作ることを宣言した。三田村はそんな高見沢の言葉に不安を抱く。その後、高見沢は75%の支持を得て、生徒会長になった。
高見沢は学級委員を集め、規律を破る生徒を取り締まるため、校内パトロールを行うことを発表した。三田村はそこまでする必要がないと反対するが、賛成派が多かったため、パトロールを行うことが決定してしまう。化粧をしたり音楽を聞いたり、規律を違反した生徒達は次々と連行されていった。反発する生徒と一触即発になるが、高見沢は不思議な力を使って相手を黙らせた。高見沢と有川は生徒達を“英光塾”に連れて行った。
映画『ねらわれた学園』の結末・ラスト(ネタバレ)
親達は子供が塾に通い、勉学に励み始めたことを好意的に受け止めていた。暴力も少なくなり、先生達もパトロールの効果を喜んでいた。しかし、山形先生は“取り締まる側”と“取り締まられる側”に生徒を分けるべきではないと苦言を呈した。生徒達が信じ合えなくなるからだった。だが、そのことを校長先生に訴えているときに、気分が悪くなってしまう。窓の外には高見沢の姿があった。その後、高見沢は不思議な力を使い、運転する高見沢の車を襲った。
高見沢は事故を起こし、救急車で運ばれた。家にいた三田村は、そのことを感じ取った。関と共に見舞いに行くが、そこには高見沢の姿があった。高見沢は病室の前に立ちはだかり、三田村達を山形先生に会わせないようにした。次の日、家にいた三田村は、同級生が犬に襲われている気配を感じ取った。急いで現場に行き、不思議な力を使って犬を追い払った。三田村は不安を抱きながらも、自分の不思議な力を使って戦うことを決意する。
家で眠っていた三田村は、星の魔王子に襲われそうになり、耕児に助けを求めた。すると、部屋に耕児が現れる。耕児は星の魔王子と戦い、追い払った。その後、三田村の部屋には、耕児の脱げたパジャマのズボンだけが残った。耕児は夢の中の出来事だと思うが、次の日三田村からパジャマのズボンを返され、驚く。
高見沢は不思議な力を使い、三田村と耕児の上に鉄骨を落とした。三田村は耕児を庇って腕に怪我を負ってしまう。耕児は三田村を守るためにも、1人で“英光塾”に潜入した。三田村が部屋にいると、何も飾られていない額縁に耕児の姿が映った。三田村は耕児に危機を知らせるが、聞こえるはずもなかった。しかも、そこには星の魔王子の姿があった。星の魔王子は金星から来たこと、地球を支配しようとしていることを話した。“英光塾”は星の魔王子が仲間を集めるために開いた塾だった。耕児は星の魔王子に襲いかかろうとするが、塾生達に捕まってしまう。三田村は神に祈ると、額縁を通って耕児の元に向かった。そして、自分の命を渡す代わりに、皆を助けてくれと星の魔王子に頼んだ。怒った星の魔王子は、耕児を星の中に閉じ込めた。三田村は自分の力を使い、星の魔王子を倒した。そして、耕児を救い出した。
高見沢は記憶喪失の少女として、北海道で保護されていたことが発覚する。その記憶喪失の間に、第一学園に通っていたのだ。高見沢がいなくなったことにより、第一学園の生徒会は解散することになった。先生達は残念がるが、山形先生は子供達が元気にしていた方が良いのだと笑った。
高校剣道対抗試合当日。三田村は必死に祈るが、耕児は面を取られ負けてしまう。三田村は力が無くなってしまったようだった。試合終了後、落ち込む耕児を励ましながら、一緒に帰った。
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