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映画『ニーチェの馬』のネタバレあらすじ結末と感想。無料視聴できる動画配信は?

映画『ニーチェの馬』の概要:ハンガリーの鬼才、タル・ベーラ監督が、ニーチェの馬の逸話から発想を膨らませ、人間が生きるとはどういうことかを描いた作品。センチメンタリズムを一切排除したリアルな人間の営みが、硬質なモノクロ映像で淡々と綴られており、鑑賞後は何とも言えない余韻が残る。

映画『ニーチェの馬』の作品情報

ニーチェの馬

製作年:2011年
上映時間:154分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:タル・ベーラ
キャスト:ボーク・エリカ、デルジ・ヤーノシュ etc

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映画『ニーチェの馬』の登場人物(キャスト)

農夫(デルジ・ヤノーシュ)
馬車で町へ出て仕事をしているようだが、何をしているのかはわからない。右手が不自由で、着替えなどは娘の介助が必要。頭髪も髭も白い高齢の男性で、時々咳をしている。朝の着替えを済ませると、バーリンカという強いお酒をコップに2杯飲むのが習慣。
娘(ボーク・エリカ)
農夫の娘。母親はおらず、父親と2人暮らし。年齢ははっきりしないが、成人していることは間違いない。父親と同じく寡黙で、必要なこと以外は一切喋らない。若い女性とは思えないほど無表情で、淡々と生きている。

映画『ニーチェの馬』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『ニーチェの馬』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『ニーチェの馬』のあらすじ【起】

1889年1月3日、哲学者のフリードリヒ・ニーチェは、トリノの広場で、御者に鞭打たれている馬を見る。ニーチェは馬に駆け寄り、その首を抱きかかえて号泣する。真偽の程は定かではないが、この出来事がニーチェ発狂のきっかけになったと言われている。ニーチェを発狂させた馬のその後は誰も知らない。

風の吹き荒れる荒涼とした道で、馬が荷車を引いている。荷車に乗っている農夫は、左手だけで手綱を握っている。ここはひどく寒い土地のようで、草木も枯れ果てている。

1日目。荒地にポツンと建つ家に、農夫と馬が帰ってくる。石造りの家の隣には、馬小屋がある。洗濯物を干していた娘は、すぐに馬のところへ行き、馬具を外す。農夫と娘は一切言葉を交わさず、馬と荷車を小屋に入れる。

家の中には必要最低限の家具と家財道具があるだけで、この親子が貧しい暮らしをしていることがわかる。農夫は右手が不自由なので、娘が着替えを手伝う。娘はニコリともせずに農夫の仕事着を脱がし、普段着を着せる。農夫は棒立ちで、娘に身を委ねている。

着替えを終えた農夫は、粗末なベッドに横たわる。娘は仕事着を片付け、かまどでジャガイモを茹で始める。ジャガイモが茹で上がるまで、娘は窓際の椅子に座り、じっと外を見る。外は相変わらずひどい風だ。

ジャガイモの茹で具合を確認し、娘は初めて「食事よ」と言葉を発する。食卓には、大きなジャガイモが2個入った鍋と皿が2枚、塩の入った缶だけが並んでいる。農夫は皿にジャガイモを取って皮をむき、食べやすいように拳骨で潰す。それに塩をかけ、手づかみで食べ始める。娘は義務であるかのように、黙々とジャガイモを口へ運ぶ。農夫は半分ほどジャガイモを残し、窓際の椅子へ移動する。娘は食べ残したジャガイモを捨て、皿を洗う。

夜。ランプの灯りだけの薄暗い室内。火種を絶やさないよう、娘はかまどに薪をくべる。農夫の「もう寝ろ」の一言で、ランプが消される。ベッドに入った農夫は、「木喰い虫が静かだ、58年間聞こえ続けた音がピタリを止んだ」と話す。娘はそれに同意し、「どうしてかしら」と農夫に聞く。農夫は「わからん」とだけ答え、寝てしまう。真っ暗な室内に、風の音だけが響く。

映画『ニーチェの馬』のあらすじ【承】

2日目。朝、娘はかまどに薪をくべ、コートを着て、井戸へ水を汲みに行く。井戸は、家から見える距離にある。娘はバケツ2つ分の水を汲み、それを家に運ぶ。暴力的な風と寒さが、娘に容赦なく襲いかかる。

農夫が起きたので、娘は農夫に仕事着を着せる。着替え終わると、農夫はバーリンカ(ハンガリーの蒸留酒)をコップに2杯飲み干す。娘も1杯飲む。

農夫はコートを着て、馬小屋へ行く。娘も手伝って馬と荷車を繋ぎ、農夫は仕事へ出かけようとする。ところが、いつもは従順な馬が、今日はなぜか動こうとしない。農夫は苛立ち、手綱で馬の尻を何度も打つ。娘はそれを止め、馬の馬具を外してやる。農夫も諦めて荷車から降り、馬を馬小屋へ入れる。

農夫は普段着に着替え、薪割を始める。娘は洗濯をして、ジャガイモを茹でる。農夫と娘は、昨日と同じようにしてジャガイモを食べ、1日1回の食事を終える。その後、農夫は窓際の椅子、娘はベッド脇の椅子に座り、黙りこくったまま外を見る。

ドアをノックする音がして、バーリンカを分けて欲しいという男が家に入ってくる。農夫は娘に命じ、男の持参した瓶にバーリンカを注がせる。男は、「この世界はもうダメだ」と喋り続ける。男は、決して変わらないと思っていた世界が、常に変化し続けていることに気づいてしまったらしい。農夫は「くだらん」と吐き捨てるように言って、男を帰らせる。男はバーリンカの代金を置き、帰っていく。

映画『ニーチェの馬』のあらすじ【転】

3日目。目を覚ました娘は着替えを済ませ、井戸へ水を汲みに行く。風はさらに強くなっている。農夫は娘に普段着を着せてもらい、バーリンカを2杯飲み干す。娘は1杯。馬が使えなくなったので、農夫は仕事へ行けない。

親子は馬小屋の掃除をして、また茹でたジャガイモだけの食事を始める。食事の途中、農夫が外の異変に気付く。数名の流れ者らしき人間を乗せた馬車が、こちらに近づいていた。農夫は娘に追い払ってくるよう命じる。

流れ者たちは勝手に井戸を開け、水を汲んでいた。娘は「ここから出て行って」と訴えるが、彼らは言う事を聞かない。それどころか、「一緒にアメリカへ行こう」と娘を誘う。家から出てきた農夫は、手斧を振りかざして彼らを追い払う。若い奴らは憎まれ口を叩いていたが、その中の1人の老人は、水のお礼だと言って、娘に本をくれる。家に戻った娘は老人のくれた本を音読する。その本には「聖なる教会は踏みにじられた」と書いてあった。

4日目。いつものように井戸へ水を汲みに行った娘が、バケツを置いたまま急いで家に戻り、農夫を呼ぶ。何事かと駆けつけた農夫は、井戸を覗いて絶句する。理由はわからないが、一夜にして井戸は完全に干上がっていた。農夫は家に戻り、バーリンカを2杯飲み干す。

娘は馬小屋へ行き、馬の様子を見る。馬は餌を食べなくなっていた。娘は馬小屋を掃除して、水だけでも飲ませようとする。しかし、馬は水も飲まない。娘は諦め、家に戻る。

井戸が枯れてしまったので、農夫はこの土地を捨てる決意をして、荷造りを始めていた。農夫に命じられ、娘も荷造りを手伝う。まとめた荷物は荷車に積み、親子と馬は出発する。娘が荷車を引き、農夫はそれを補助する。馬は荷車の後ろに繋がれ、後をついていく。荷車を引く親子と馬の姿が丘の向こうに消える。しかし、しばらくすると、親子と馬が帰ってくる。ここを出たところでどうにもならないと気づいたようだ。親子は無言で荷物を家に戻す。風はますますひどくなっている。

映画『ニーチェの馬』の結末・ラスト(ネタバレ)

5日目。農夫が目覚めたので、娘が服を着せてやる。農夫はバーリンカを2杯、娘は1杯飲み干す。娘が立ち去った後、農夫は再び瓶を手に取り、バーリンカをラッパ飲みする。

農夫は馬小屋へ行き、娘と一緒に馬を見つめる。馬は悲しげな目をして、じっと立っている。農夫は無言で馬の綱を解き、馬小屋から出て行く。娘も外へ出て、馬小屋の扉を閉める。

窓際の椅子に座る農夫は、死んだように動かない。風はますます荒れ狂い、窓の外は土埃で真っ白だ。縫い物を終えた娘は、いつものようにジャガイモを茹でる。農夫はそれをひと口だけ食べ、再び窓際の椅子に戻る。

夜、油は満たしたはずなのに、ランプに火が点かない。娘は不安になり、「何が起きているの?」と農夫に尋ねる。農夫は「わからん」とぶっきらぼうに答え、寝るよう命じる。かまどの火種まで消えてしまい、部屋の中は暗闇に包まれる。農夫は不安そうな娘に「また明日やってみよう」とだけ声をかける。その夜、長く続いた嵐が去り、風の音が止む。恐ろしいほどの静寂が、親子の不安を掻き立てる。

6日目。薄暗い室内で、農夫と娘が食卓についている。しかし、娘はジャガイモを食べようとしない。農夫が「食え」と声をかけても、娘は動かない。農夫は「食わねばならん」と言いながら、ジャガイモを齧る。農夫の口元で「ガリッ」と嫌な音がする。水も火種もなくなったので、ジャガイモは生のままだった。農夫もジャガイモを皿に戻し、悲しそうに視線を落とす。絶望的な状況の中で、この親子はこれからどうしていくのであろうか…。

映画『ニーチェの馬』の感想・評価・レビュー

本作は、ハンガリーの鬼才タル・ベーラ監督が哲学者ニーチェの馬の逸話に着想を得て、世界の終末期に荒野に暮らす農夫とその娘、疲弊した馬の運命を描いたヒューマンドラマ作品。
モノクロ映像と静寂で暗い雰囲気や同じシーンや音響の繰り返し、そしてじわじわと押し寄せる終末に気が狂いそうだった。
特に、毎日熱々のジャガイモの皮を手でむしって食すシーンが強烈に印象的だった。
全てを上手く吸収できたわけではないけれど、生と死とは何かを見せつけられたような衝撃で余韻が凄かった。(女性 20代)

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