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映画『ノーマ、世界を変える料理』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『ノーマ、世界を変える料理』の概要:「北欧の食材だけを使った革新的な料理を作ろうと決めた時は、パズルのピースが全てはまったような感覚だった」。食に詳しい人なら誰でも知っているレストラン「ノーマ」。一度は頂点から遠ざかったレストランはどのように首位に返り咲いたのか。レネ・レゼピの人生観に迫った4年間にわたる密着ドキュメンタリー。

映画『ノーマ、世界を変える料理』の作品情報

ノーマ、世界を変える料理

製作年:2015年
上映時間:99分
ジャンル:ドキュメンタリー
監督:ピエール・デシャン
キャスト:レネ・レゼピ etc

映画『ノーマ、世界を変える料理』の登場人物(キャスト)

レネ・レゼピ
1988年コペンハーゲン生まれ。幼少期は父方のマケドニア共和国で過ごす。25歳で「ノーマ」のヘッドシェフに就任する。「ベストレストラン50」において、世界一のレストランに4度も輝いた。私生活では現在3人の子供がいる。
フェラン・アドリア
1962年スペイン、バルセロナ県生まれ。三ツ星レストラン「エル・ブリ」の料理長をしていた有名シェフ。あらゆる食材をムース状にする「エスプーマ」という調理法を開発したことでも知られる。
トール・ノーレットランダージュ
1955年コペンハーゲン生まれ。スカンディナヴィアを代表する化学評論家とも知られている。有名な著作としては『ユーザーイリュージョン 意識という幻想』が挙げられ、デンマーク語版では13万部を売り上げ、日本を含め8か国語に翻訳されている。

映画『ノーマ、世界を変える料理』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『ノーマ、世界を変える料理』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『ノーマ、世界を変える料理』のあらすじ【起】

「世界ベストレストランベスト50」その中で堂々1位に輝いたのはデンマーク、コペンハーゲンのレストラン「ノーマ」。2010年からトップに就いて以来4度に亘って賞を受賞している。レネは誰も思いつかないようなクリエイティブな料理を作る。料理を通じて世界を変えているのだ、と評価される料理とは一体。

レネ・レゼピは12年前あるレストランの副料理長をしていた時に、クラウス・マイヤー(前ノーマ共創業者)から一緒にやらないかと誘いの連絡を受けた。その時は他からも方面から誘いの連絡があったが、マイヤーの話に興味を持った。クラウス・マイヤーは、当時北欧料理そのものが認知されていなかった。2003年以前はネットで検索してもヒットしなかったほどだと語る。レネの友人であるポール・カニンダムは、提供するのは北欧で採れる食材を使った料理。それをゼロから作り上げていったのがレネである、と言った。

エル・ブリ財団のフェラン・アドリアは、どこまでを北欧と区切るか、はさておき素晴らしい戦略だと思ったと熱弁する。作家のトール・ノーレットランダージュは自分を含め、ノーマの掲げた理念は馬鹿げていると思ったという。当初、北欧料理は誰も関心を示さなかったし、北欧に限定することが無意味なのではないかとさえ思ったという。

元ノーマのアシスタントシェフであるセレン・レデットは、開店当初は批判され、苦労の連続だったと話した。人々は新しい北欧料理を作り上げるなんてできないと思ったのだという。レネは新しいことをする時は覚悟が必要だと話した。しかしそれは、自分達が思い上がっていたからだと反省もしていた。シェフを続ける自信さえも無くした時、グリーンランドへ行く機会に恵まれる。

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映画『ノーマ、世界を変える料理』のあらすじ【承】

生まれて初めて見る景色に感動し、レネの頭にアイディアが閃いた。「今どこにいて、どの季節なのかを感じられるような料理を日々人々に提供する」そのためには季節を理解する必要があった。当時を振り返り、あの時が自分の新たな出発点であったと話す。時間と場所。これは新しいことを考える時に常に軸となる大切な概念となった。フェラン・アドリアは、レネは偉業を成し遂げた。これまでなかった北欧料理を作ったのだから、と絶賛した。

ノーマの成功を決定づけたのは、ローランド・リットマンが連絡をくれたことだという。リットマンは最初キノコの採集を趣味でしていた。偶然「ノーマ」の存在を知り、レネと出会う。レネはリットマンを通して、自然の中にこそ未知のことが多くあると学んだ。自分がいる場所、その土地の食材に関心を持ち、それらが想像以上のマリアージュを作り出す、レストランにこもらず、積極的に外へ出ようとレネは思うようになる。

食材は季節ごとに変わり、時間の流れと共に熟成していく。「ノーマ」は徹底して地元の食材にこだわった。その時期に、その場所で採れる「旬」に絞ることに徹底していた。レネはいつも厨房のシェフ達に言う言葉があった。それは、我々は食の世界の探検家である、と。自然を肌で感じ、その恩恵を得て、節度ある量を消費する。そうすることで人間の食事は変わると語った。

映画『ノーマ、世界を変える料理』のあらすじ【転】

文化や雰囲気、気候や人々の特性を料理に生かすのは簡単なことではない。最初マスコミが興味を持ったのは、店の料理ではなく掲げた理念であった。斬新な料理を出す店として一度認められると、世間はこぞってもてはやすようになった。店に「星」が付き出すと、だれもがレネを偉大なシェフとして認めるようにもなった。そして32歳にして最高峰の頂点に到達してしまった。レネは悩んだ。人生の目標としてこれでいいのだろうかと。世界一のレストランがコペンハーゲンにあること、このことは観光業界にも変革をもたらした。コペンハーゲンは美食家達の聖地となり、世界中から人々が押し寄せるようになる。

しかし、レネは生粋のデンマーク人ではない。マケドニア人の農家の家で生まれた。両親と共にデンマークに移り住み、人種差別を受けながら育った。トール・ノーレットランダージュはしかし、と続ける。移民は国において何も貢献をしないと考えられているが、レネはデンマークの文化に大きな貢献をしている。誰よりもデンマーク人らしいと言っていい、と語る。世界一有名なレストラン、そこに突然事件が起こる。「ノーマ」で食事をした63名がノロウイルスに感染したというのだ。原因は牡蠣であったが、このスキャンダルにより一時は人が寄り付かなくなってしまった。

映画『ノーマ、世界を変える料理』の結末・ラスト(ネタバレ)

さらに店の仕入れ業者の中に、「ノーマ」の掲げた理念を理解していない者も少なからずいる。その時レネは、ついていない日だと考えるという。北欧の冬は厳しく、それだけ地元の食材にこだわる姿勢というものは簡単なことではないのだ。できる限り北欧の食材しか使いたくないというのは、それが食の世界に革命を起こす考え方であるからだ、とレネは語る。

スキャンダル以降、レネは店で働く仲間に怒鳴り散らす日も多くなった。レネ自身、自分を奮い立たせて何か新しいことをしなくては、と焦っていた。キッチンの大規模な改修工事を行い、それによってスタッフの顔にも活気が戻って来た。彼らには迷い踏みとどまっている時間はなかった。そして、2014年の「ベストレストラン50」の時期がやってくる。レネはレストランの仲間と共に会場を訪れる。1位に輝いたのは、なんと「ノーマ」であった。驚きと歓喜に沸く会場。レネは壇上に仲間と共に上がり、仲間に向かって、会場に向かってスピーチを行った。挫折があったからこそ、毎日失敗と向き合って来たからこそ、ここまで来ることができた。失うものなどないつもりで楽しもう、と。

レネはインタビュー中「パーフェクト・ストリーム」の話を持ち出した。空と海が一緒になって襲ってくる猛烈な嵐のことを指す。なす術もなく絶望しそうになるが、それでも踏みとどまるべきだとレネは話す。いつか困難が過ぎ去ると固く信じて。物事は全てなんとかなるものだ。レネにとっての「パーフェクト・ストリーム」こそ「ノーマ」での人生である、と語った。

映画『ノーマ、世界を変える料理』の感想・評価・レビュー

マスコミに取り上げられて知った「ノーマ」の存在。なぜデンマークなのだと当時首を傾げた記憶がある。しかし今回、レネ・レゼピの考える理論を知り、1つ1つの料理から移ろう季節がどのように表現されているか現地を踏んでみたくなった(実際予約が取れない店ではあるが)。劇中レネが、辛いのは1位を逃したことではない、食中毒を出してしまったことだ、と吐露していた場面。八方ふさがりだった時も、首位に立っていたプライドではなく、料理を通して向き合うゲストを思い続けていた。この姿勢は心にツンとくるものがあった。(MIHOシネマ編集部)


本作は、北欧の食材だけを使った料理で頂点に返り咲いたレストラン「ノーマ」のレネ・レゼピに4年間密着したドキュメンタリー作品。
蟻や苔を用いた斬新なメニューの数々に驚きを隠せずにはいられなかった。
何よりも、レネ・レゼピの人生観や、四季を感じられる料理の数々、食材の魅力を引き出すための絶え間ない努力、厳しい仕事現場など、周囲に流されず突き進む型破りな不屈の精神にとても良い刺激を受け、これからの自分や自分の人生にとって大切なものを学んだ。(女性 20代)

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