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映画『おいしい家族』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『おいしい家族』の概要:小説家として人気のふくだももこが新鋭監督として手掛けた一作。原案は自身が手がけた短編映画「父の結婚」。仕事もプライベートもうだつの上がらない女性が、帰省を機に父の変化に気付き受け入れるまでを描く。

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映画『おいしい家族』の作品情報

おいしい家族

製作年:2019年
上映時間:95分
ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ
監督:ふくだももこ
キャスト:松本穂香、浜野謙太、板尾創路、笠松将 etc

映画『おいしい家族』の登場人物(キャスト)

橙花(松本穂香)
夫と別居中で、仕事も軌道に乗らずうだつの上がらない日々を送っている女性。母親の三回忌を機に帰省すると、父親は亡き母の衣服を身に着けて生活していることを知ってしまう。
翠(笠松将)
橙花の弟。地元の離島でずっと仕事をしていて外国人女性の妻と結婚している。父親の変化をすでに受け入れていて、和生との再婚にも賛成している。
青治(板尾創路)
橙花の父。妻を亡くしてから料理を始め、どうしてもおはぎだけが上手く妻の味を引き出せないことから妻の衣服を身に着けるようになった。島の高校で校長先生をしている。
和生(浜野謙太)
娘のダリアと共に青治の自宅に居候していた男性。福島で漁師をしていたが、貧しく生活が厳しい時に青治に救われている。愛情を与えてくれる青治と家族になることを決意し結婚を控えている。

映画『おいしい家族』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『おいしい家族』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『おいしい家族』のあらすじ【起】

美容部員として銀座で働く橙花。うだつの上がらない仕事に加え、好みが正反対の夫との関係にも疑問を抱き始めていた。別居生活が続く中、久しぶりに夫と外食した橙花は母の三回忌のため帰省することを知らせた。店から結婚3年目のお祝いを受けた二人だが、気まずいままそれぞれに帰路についた。

橙花の故郷はフェリーでしか行けない離島である。フェリー乗り場には軽トラックで弟・翠が迎えに来ていた。橙花と緑が実家へと向かう道中、通過した教会では女子高校生・ダリアが祈りを捧げている。帰り道、ダリアは海で浮かんでいる瀧を見かけ話しかける。そしてキスをするのだった。

実家では緑の妻・サムザナも橙花の帰りを待ち構えていた。妊婦であるサムザナの体を心配する翠の姿を見て、橙花は少しだけ羨ましく思う。しかし、橙花を出迎えた父・青治は亡き母のワンピースを着ていた。変わり果てた父の姿と、「父さん結婚するんだ」という唐突に受けた告白に、橙花は戸惑いを隠せないのだった。

橙花が知らないことは他にもあった。実家には和生とその娘のダリアが居候していたのだ。青治の結婚相手と言うのは和生であった。田舎での体裁もあるため和生を養子に迎え入れるという青治だが、「父さん、母さんになろうと思う」と橙花に宣言するのだった。

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映画『おいしい家族』のあらすじ【承】

すんなり事情を受け入れる翠だが、橙花は全く賛同できずにいた。近所のバーでヤケ酒をしていると、漁師になった後輩のエビオと再会する。酔いつぶれた橙花が目を覚ますと、居間には長く連れ添ったような夫婦のように朝ごはんを共にする青治と和生の姿があった。

島の高校で校長をしている青治。仕事中も亡き母の洋服を身に着けていることに疑問を抱いた橙花は尾行を始めた。しかし高校生たちや島の住民たちの反応間全く普通である。唯一青治に反抗的な態度を取った瀧を見かけ、橙花は話しか意気投合するのだった。

帰宅して和生の手伝いを頼まれた橙花は、青治との馴れ初めを聞かされた。元々は福島で漁師をしてダリアを育てていた和生だが、分け合ってこの離島にたどり着いたという。貧しい生活からろくに食べることもできずにいた和生とダリアに、青治が部屋と食事を与えるようなったことで共同生活が始まったというのだ。

妻を亡くしてから、必死に料理を覚え「妻」に追いつこうとしていた青治。おはぎだけがどうしても同じ味にならず妻の洋服を身に着けるようなってから変わったと青治から聞いた話を和生は橙花に教えてくれたのだった。

映画『おいしい家族』のあらすじ【転】

サムザナの誕生に祝いに、母国の料理を振る舞った青治。のけ者にされているように感じた橙花は再びエビオと飲みに行くが、関係を持つことだけは拒むのだった。翌日は母親の三回忌である。当然のように母の喪服を着ている青治。手伝いながらも橙花は違和感を拭えないままであった。むすっとしている橙花に声をかけてきた叔母も青治を認めざるをえないようで、橙花のもやもやは限界を迎えた。翠に当たってしまう橙花。しかし翠は「そのまま母さんに報告すればいい」と橙花をなだめるのだった。

学校に行っていたダリアは、金髪にして島を出ようとしている瀧を見かける。行き詰まった様子の瀧を誘い、メイクをし合いながらダリアが作った衣装を着て思う存分好きな格好をするのだった。

一人になりたくなった橙花は海に向かった。そこには小さなボートで島を出ようとしているダリアと瀧がいた。必死に止めた橙花は二人のハチャメチャなメイクを見て、丁寧に直してあげることにした。青治の違和感を唯一橙花と共有した存在だった瀧だが、実は自由に生きる青治に嫉妬していたのだった。心の内を明かした瀧は、橙花にメイクしてもらったことで解放されようやく笑うようになった。しかし遅くまで帰ってこない瀧を心配し、島の人たちが探しに来てしまった。父親とのわだかまりを埋めた瀧は手を取り自宅へ戻るのだった。

映画『おいしい家族』の結末・ラスト(ネタバレ)

バーで飲むことになった橙花たち。和生に対して、青治との結婚は「本当の結婚」ではないと橙花は強く主張した。しかし和生は、青治は愛だけを与えてくれると正直な気持ちを橙花にだけ打ち明ける。ふと橙花が青治の方を見ると、母親の面影があったような錯覚に陥った。

橙花と青治は一緒に帰宅しおはぎを作り始める。母親の恰好をし始めたきっかけを聞きたい橙花だったが、感情が高ぶり「母を亡くし、父が母になってしまったら“父”はどこへ行ってしまうのか」と本音をぶつけてしまった。青治もまた、実はおはぎが苦手だったことを打ち明け、母親の恰好をしたことで食べられるようになったことを明かすのだった。

青治と和生の結婚式の日、橙花はメイクをしてあげた。そして離婚したことを伝えるのだった。「生きていればそれでいい」と言う青治にお礼とお祝いを告げた橙花。どさくさに紛れてプロポーズをするエビオを軽くかわしながら、綺麗な花嫁姿の青治の背中を橙花は見守る。そして、綺麗な海を背景に家族写真を撮るのだった。

映画『おいしい家族』の感想・評価・レビュー

松本穂香の長編映画初主演作。原作短編映画でも父親役を演じた板尾創路と名キャラクターをこなしてきている浜野謙太の個性派に挟まれながらもいい味を出していた。短編映画では妻を亡くした父親が再婚するまでを描いていたが、今作は閉塞感を抱いてもおかしくないような離島を舞台として少し多めに味付けがされている。突然の父親の変化を受け入れられないのは想像がつく。少しばかり特殊な設定ではあるものの、「家族」の意味や個を受け入れる必要さを痛感する一作であった。(MIHOシネマ編集部)

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