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映画『彼が愛したケーキ職人』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『彼が愛したケーキ職人』の概要:ベルリンのカフェでケーキ職人として働くトーマスには、月に一度出張で訪ねてくる恋人がいる。その相手は同性であり家庭がある。突如、愛する人が亡くなったと知り、イスラエルに残された家族を訪ねてみるのだった。

映画『彼が愛したケーキ職人』の作品情報

彼が愛したケーキ職人

製作年:2017年
上映時間:109分
ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ
監督:オフィル・ラウル・グレイザー
キャスト:ティム・カルコフ、サラ・アドラー、ロイ・ミラー、ゾハール・シュトラウス etc

映画『彼が愛したケーキ職人』の登場人物(キャスト)

トーマス(ティム・カルコフ)
ベルリンのカフェでケーキ職人として働く青年。月に一度出張で訪ねてくるオーレンと恋人関係になるも、急に連絡が途絶えてしまいイスラエルに残された家族の元を訪ねてみる。
アナト(サラ・アドラー)
オーレンの妻。夫の隠れた恋人の存在には気づいていなかったが、一人で営むカフェに突如訪ねて生きたトーマスを受け入れ一緒にクッキーやケーキと焼きながら絆を深めていく。
オーレン(ロイ・ミラー)
トーマスの恋人であり、アナトの夫。出張が多く月に一度ベルリンへ出向いていた。必ずトーマスの勤めるカフェによりケーキを食べていたため、交流を持ち関係を深めていた。

映画『彼が愛したケーキ職人』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『彼が愛したケーキ職人』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『彼が愛したケーキ職人』のあらすじ【起】

ドイツ・ベルリンへ出張に来ていたオーレンは、お気に入りのケーキ店「クレデンツェ」へと向かう。その店のケーキ職人であるトーマスはいつも好みに合うケーキをお勧めしてくれるのだ。窓際の席で一人ケーキを間食するオーレンは、イスラエルに残している6歳の息子・イタイの誕生日プレゼントを何にしたらよいかとトーマスに相談を持ち掛けるのだった。

その日を境に関係を深めていった二人。オーレンが月に一度ベルリンへ出張で来るたびに一緒に過ごすようになった。身体の関係も持ち始めた二人。好意を正直に表すトーマスだが、オーレンには家庭がある。妻へのプレゼントにクッキーを焼いてほしいというオーレンの頼みを受けて、トーマスはキッチンに立つのだった。しかし、その日「また1か月後に」と言い残したオーレンはプレゼント用のクッキーとトーマスの自宅の合鍵を置いて出て行ってしまったのである。

その日以来、オーレンとは連絡が取れなくなってしまった。何度留守電メッセージを残しても折り返しはなく、トーマスはただただ不安を募らせる。しびれを切らしたトーマスは思い切ってオーレンの勤め先を訪ねた。しかしオーレンは1か月半前に出張先で交通事故に遭い亡くなっていたことを知らされるのだった。

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映画『彼が愛したケーキ職人』のあらすじ【承】

オーレンの妻・アナトはカフェを開くために準備を始めていた。ユダヤ教徒が食すことを許されている「清浄な食品」を提供するカフェであり、開店するためには認定書が必要である。オーレンの兄・モティに仲介してもらいようやく一息つくのだった。

アナトの営むカフェを訪ねたトーマス。早々に食事を済ませたトーマスは帰り際にアナトに求人を出しているか確認した。しかし「人では足りている」と返答を受け、オーレンの通っていたジムに向かうのだった。翌日もカフェを訪れたトーマスは、アナトから「まだ職探し中?」と声をかけられる。その日から週に2・3回皿洗いや雑用をすることになるのだった。

モティはドイツ人であるトーマスの雇用を反対した。イタイの誕生日祝いの準備のため忙しなく動くアナトに代わり、トーマスはこっそりとクッキーを焼いていた。モティにその様子を見られてしまい「ユダヤ人以外、オーブンに触ることは許されない」としかられてしまう。しかしそのクッキーを食べたアナトは絶賛し、店で売りに出そうと提案するのだった。

映画『彼が愛したケーキ職人』のあらすじ【転】

イタイにもクッキー作りについて手ほどきをするようになったトーマス。オーレンとの関係を打ち明けられずにいるが、アナトとも打ち解け自宅に招待されるようになった。自宅の至る所にはオーレンの写真が残されている。オーレンが過ごしたベッドに触れ、トーマスはオーレンを想うのだった。

トーマスの焼いたクッキーやケーキは好評で、カフェも繁盛し始めた。しかしオーレンの遺品を整理していたアナトは、大量に残されたクレデンツェのレシートやだれかとのメッセージのやり取りのメモが入っている箱を見つけてしまった。キッチンにもクレデンツェの名前が書かれた箱があったことから、アナトは気にかかるようになる。そしてこの頃からアナトはトーマスを拒絶するモティを避けるようになっていた。

アナトやオーレンの母親から、オーレンとの面識について問われても、否定し続けていたトーマス。親切にされるほど罪悪感は募っていく。ある日、ケーキとクッキーの大量発注があった。予約日に間に合わせるようすぐに準備に取り掛かるトーマスとアナト。トーマスへの気持ちを徐々に膨らませていたアナトは、二人きりでキッチンにこもる中ついに感情をぶつけてしまうのだった。

映画『彼が愛したケーキ職人』の結末・ラスト(ネタバレ)

オーレンと最後に交わした会話を思い返していたトーマス。オーレンさえいればいいと思っていたトーマスは、「一人で生きて、一人で死んでいく」という祖母の教えを貫こうとしていた。しかし、アナトに求められるようになり考えは少しずつ変化していたのである。

ある日、一緒にオーレンの残したレシートの整理をしてほしい、とアナトはトーマスに声をかけた。クレデンツェのレシートがたくさんあることを気にかけていたアナトは、トーマスの知っていることを教えてほしかったのである。実はオーレンから別居を申し出られていたアナト。喧嘩の末、自宅からオーレンを追い出した日に彼は事故に遭っていたのだ。

トーマスの筆跡に見覚えがあったアナトは、オーレンが残したレシートと共に入っていたメッセージを見て気づいてしまう。そして携帯電話に残されたメッセージを聞いてしまいトーマスとオーレンの関係に確信を持つ。そのことを知ったモティにベルリンへ戻るよう迫られ、トーマスは仕方なく帰国するのだった。

3か月後、証明書を取り上げられたアナトだが、トーマスが残してくれたレシピのおかげでカフェは繁盛し続けていた。ふとクレデンツェのホームページを眺めたアナトは、写真の中にトーマスの姿を見つけた。話すこともなく別れてしまったことに後悔をしていたアナトは、ベルリンへ向かう。クレデンツェの前に到着したとき、トーマスが店から出てきたがアナトは声をかけることができず目に涙を浮かべたまま立ち尽くすのだった。

映画『彼が愛したケーキ職人』の感想・評価・レビュー

運命は踊る』ではヒステリックな印象が強かったサラ・アドラー。今作では冷静かつ愛情深い女性を演じきっており、とても興味を惹かれるきっかけになった。イスラエル人監督、オフィル・ラウル・グレイザーが描くドイツ人との恋愛は非常に繊細で、スイーツを介して関係を築いていくという設定がより情緒深くさせたように感じる。エンディングに向けて加速する展開もまた印象的で、ドラマティックになりすぎない結末が実に秀逸であった。(MIHOシネマ編集部)

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