映画『おもひでぽろぽろ』の概要:漫画を原作にスタジオジブリがアニメ―ション映画した。非常に現実的なストーリーで、過去と現在が複雑に入り混じった一作で、宮崎駿本人が高畑勲にしか制作出来ないと直接依頼した。
映画『おもひでぽろぽろ』の作品情報
上映時間:118分
ジャンル:ヒューマンドラマ、アニメ
監督:高畑勲
キャスト:今井美樹、柳葉敏郎、本名陽子、寺田路恵 etc
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映画『おもひでぽろぽろ』の登場人物(キャスト)
- 岡島タエ子(現在:今井美樹 / 小5:本名陽子)
- 東京で働く27歳の女性。幼少期故郷に憧れており、休暇を利用して姉の嫁ぎ先、山形県の高瀬に遊びにきた。
- トシオ(柳葉敏郎)
- タエ子を迎えに来てくれた25歳の青年。高瀬で農作業を営んでいる。
映画『おもひでぽろぽろ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『おもひでぽろぽろ』のあらすじ【起】
舞台は今よりも昔、1982年のことです。東京のとある会社に勤める27歳のタエ子は、夜行列車で山形県の高瀬という場所へ向かっていました。高瀬には結婚し嫁ぎ先へと向かった姉、ナナ子が住んでいました。
生まれも育ちも東京であるタエ子は、幼少期友達が長期休みを利用して祖父母の住む故郷に帰っていく姿をとても羨ましく思っていた過去があります。しかし故郷というものは作りたくても作れるものではなく、寂しい思いを我慢してきたのでした。そんなタエ子にとって、姉であるナナ子が結婚した事で初めて帰るべき『田舎』が出来たのでした。
大人になったタエ子にとってもそれは心踊る出来事で、夜行列車に乗りながら積年の思いに胸を馳せるのでした。今の彼女は27歳のタエ子であると同時に、かつて故郷に胸焦がれていた小学校5年の頃の自分でもありました。そしてその晴れやかな気持ちを抱いたまま、タエ子は自分にとっての故郷、山形の高瀬に降り立つのでした。
映画『おもひでぽろぽろ』のあらすじ【承】
現代のタエ子と小学校5年生の頃のタエ子の記憶が入り混じりながら物語は進んで行きます。ようやく駅に降り立ったタエ子を出迎えに来てくれたのは、ナナ子の夫側の親戚であるトシオという男性でした。トシオは現在25歳、タエ子よりも2歳年下の青年です。
トシオは高瀬で有機農業に取り組む農家でした。意気投合した2人は親睦を深め、トシオはタエ子を自分の家で農業を体験してみないかと声をかけます。トシオに惹かれていたタエ子は、折角の10日間の休みを充実したものにする為、そして彼と会うために彼の言葉に甘え、農作業を手伝わせてもらうことにしました。
それらの体験は東京に住む自分にとって中々経験する事のできない貴重なものでした。元々努力家であったタエ子は精一杯農作業に従事しました。早朝にはベニバナを摘みに行き、きゅうりを収穫し、汗をかきながら他の皆と一緒に働く楽しみにタエ子は目覚めていました。そして10日間農業を経験したタエ子は、少し農業の事を知った気になって来ました。
映画『おもひでぽろぽろ』のあらすじ【転】
充実した10日間はあっという間に過ぎ去って行きました。そしてとうとう、タエ子が東京に戻る日前日の夜がやってきました。タエ子はお世話になった先からささやかなパーティを開いてもらっていました。そんな中、その家のおばあちゃんから思いもよらない言葉が伝えられるのでした。日々を一生懸命に生きるタエ子に惹かれたそのおばあちゃんは、是非タエ子にこの家の、つまりトシオの嫁になって欲しいというのです。
トシオに惹かれていたタエ子にとって、それは本来嬉しい筈の話でした。しかし今のタエ子にとって、その言葉は何故かとても刺さるものだったのです。おばあちゃんはタエ子の一生懸命な部分に惹かれたと言いますが、彼女は逆におばあちゃんの一言で、自分が如何に観光気分で、いい加減な気持ちで農作業に取り組んでいたのかに気が付いたのでした。それは真剣にこの地で農業に取り組む人々に対してとても失礼な事だ、もタエ子は自己嫌悪に陥ります。そして動転した彼女は、そのまま家を飛び出してしまうのでした。
映画『おもひでぽろぽろ』の結末・ラスト(ネタバレ)
家を飛び出したタエ子は自己嫌悪で押し潰されそうになっていました。そんな彼女を迎えにきてくれたのは、タエ子がこの街に来た時と同じ様にトシオでした。彼は軽トラックにタエ子を乗せ、再び家に向かいます。彼はタエ子を思いやってか口を開くことはなく、車内は沈黙に包まれました。その沈黙のおかげで、タエ子は少し自分の頭を整理することが出来ました。
そして改めて、トシオに惹かれている自分がいる事に気がつくのでした。そして翌日、別れの時がやって来ました。おばあちゃん達に別れを告げて、タエ子はトシオに送ってもらい駅へと向かいました。そしてトシオと別れ列車に乗り込んだタエ子でしたが、彼女の気持ちはまだ揺らいでいました。このまま東京に戻って自分は後悔しないのか。そんな彼女の背中を押したのは、小学校5年生の頃の自分でした。タエ子は背中を押されるままに電車から降りました。一方トシオも、タエ子の事が諦められず駅へと引き返していました。列車を降りたタエ子はトシオと手を取り合いました。
映画『おもひでぽろぽろ』の感想・評価・レビュー
27歳のタエ子は、小学5年生の自分(思い出)と共に田舎へ出かけます。タエ子が移動中や滞在先で当時の自分について想いを巡らすシーンには、ノスタルジーともの寂しさを感じます。恋に初めて触れた甘い思い出、生理のことで男子にからかわれた恥ずかしい思い出、劇団に子役としてスカウトされたのに父親に道を阻まれた悲しい思い出、全てが今のタエ子に直結して繋がっているのだと思いました。
タエ子に限らず、人は過去があって今の自分があるので、昔の自分に囚われている人はタエ子に共感することでしょう。私も共感しました。思い出はどこへも付いて回りますが、無理矢理切り離さなくても良いのだと、この作品を見て感じました。(女性 20代)
自分の中で思い出として鮮明に残り始める小学校時代、私も自分の小学校の頃を思い出しながら観ました。気持ちの転機となる事があったのか、一番田舎に憧れていた時期なのか、小学5年生の時の記憶に限定されている意味が最後まで分かりませんでした。もう少し広い範囲、2~3年にかけての思い出でも良かったのではと思います。
漠然とした田舎暮らしへの憧れだけでは暮らせないと、チクリと釘を刺された作品でもあります。(女性 40代)
田舎での暮らし方にフォーカスし、タエ子とトシオの出会いや恋愛を抱いたほのぼの物語。タエ子の過去への回想を交えながら、今の自分の考え方に自問自答していくのだが、誰しもが昔幼い頃に感じていたが、大人になるにつれて薄れてしまう感覚を呼び起こされるような不思議な気持ちになれる映画である。子供時代の憧れと大人時代の憧れは、自然と変わってしまうのだが、それでも自分自身が良しと思える選択は、実際に飛び込んでみなければ分からないだろう。少しタエ子に教えてもらったような気持ちになった。(男性 30代)
27歳の岡島タエ子が主人公ということもあり、スタジオジブリ制作の作品の中でも大人向けの作品だと思う。大人のタエ子だけではなく小学5年生時代のタエ子も登場するため、この作品を見ている大人達はきっと自分の子供時代を振り返りながら見ているのではないかと思う。ノスタルジックな田舎の風景も素敵で、温かさがあって良かった。物語のラストで、子供達がタエ子とトシオが車に乗って去っていくのを見ている姿が、とても印象に残っている。(女性 30代)
のどかな田舎の風景と、穏やかに漂う哀愁の中での人間模様に心が温まる映画。タエ子が、幼少期の自分を今の自分と重ね合せるシーンが度々出てくるので、自動的に自分も小学生の頃を思い出して、ハッとさせられる部分があった。大人にこそ見てほしいと思う本作。
大人になって、様々なしがらみに囚われたり、ついつい頭で考えることばかりしてしまうが、自分の感情に素直になることの大切さを思い出させてくれる。全体的に癒される映画で、深呼吸するきっかけを与えてくれる。(女性 20代)
この映画を見てると、私も都会出身なのもあって田舎に行きたくなる。タエ子に共感できる部分も多く、あぁー、小学生でそういうこともあったよね、だなんて年代も全然違うのに思ってしまった。
タエ子の小学生だった過去と現在の山形の田舎に来ているシーンが交互に出てくるのだが、農家の人にも感謝できるし、ほのぼのしていて温かさを与えてくれると同時に思わず観ている者に過去を振り返らせるような、なかなか面白い作品だった。(女性 20代)
大人になったタエ子が田舎での休暇中、小学生の頃のことを思い出しながら、少しずつ成長していくストーリー。過去の思い出も掛け合わせながら、彼女の感情や思考の変化を一緒に体験することができる。滞在先で出会ったトシオとの交流で、自分の凝り固まった考えも次第にいろいろな考えを受け入れ、新しい変化に対応していく準備ができ始めていたタエ子。新しい生活を受け入れる覚悟ができたタエ子の行動に、応援したくなる気持ちが沸き起こるのではないだろうか。(女性 30代)
みんなの感想・レビュー
子供のころに見た時は意味があまりわからなかったのだが、主人公と同じくらいの年になり見返してみると、「この映画、こんなに面白かったっけ。」と驚いた。私は平成生まれで物語の舞台となっている時代は違うのに、彼女の考えていることにすごく共感できる。ただ流れていく時間への焦り、自分の人生を考えた時の漠然とした不安、主人公と今の自分の重なる場面が多かった。いろんな経験をして、いろんなことを考えて、今の自分がいるんだなと感じた。
古い作品だから、昭和を感じるからということは全く関係なしに、懐かしさを感じる作品です。アニメのタッチが非常に温かいからでしょう。なので、大人に沁みるジブリ作品ではないでしょうか。小学校5年生という思い出も絶妙で、懐かしさを増幅させます。大人になりたい年頃、高学年で自由も増え楽しかった年頃、小学5年生…高畑監督の目の付け所に感服です。セリフも深味があり、エンドロールまで良く考えて作られています。ジブリ屈指の濃厚な作品です。
物凄く「大人向け」のジブリ作品でした。子供の頃の思い出って「楽しかった」ことよりも「後悔している」ことや「悲しかった」思い出の方が記憶に残っていませんか?そんな子供の頃の記憶を思い出させてくれる、素敵な作品です。
現在の自分と過去(子供の頃)の自分が同時に登場するこの作品。心の中にいる「小学五年生」の自分が、今を生きている「27歳」の自分にアドバイスをくれ、背中を押してくれる不思議なストーリーでした。
我慢するのは悪いことではありませんが、「後悔」しないように「精一杯」生きたいなと思わせてくれました。
タエ子が、小学5年生の私を連れて、山形に旅行へ行く。小学5年生の頃の私を思い出しながら、山形で敏夫と出会い、憧れの田舎で休暇を過ごしながら、過去から旅立とうとしていた。
小学5年生の時の私の思い出で描かれる、生々しさすら感じるほどの、小学生や、家族のふるまいが妙にリアルに描かれており、小学校時代の自分と照らし合わせて、子供のころに感じた不愉快さ、息苦しさという、思い出の底の部分をえぐられる感覚を味わった。
田舎に憧れる東京生まれ東京育ちのタエ子が姉の嫁ぎ先である山形へ行く所から始まるこの映画は、田舎生まれの者に懐かしさを、都会生まれの者に高揚感を与えてくれる。
大人のタエ子と小学生のタエ子の思い出が交互に現れ、子供のころの些細な思い出は大人になっても覚えていて大事なものだと気付くのだ。タエ子も小学生の思い出を回想しながら、抱えながら今を生きている。
なんだかとても初心に帰らせてくれる、故郷の大切さをタエ子やこの映画自体から教わったようだ。