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映画『オン・ザ・ミルキー・ロード』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『オン・ザ・ミルキー・ロード』の概要:エミール・クストリッツァ監督自身が主演を務める不思議な奇跡の物語。戦時中を舞台に、出会った二人の男女が波乱の中で愛し合う。殺伐とした銃撃戦と対称的に、美しい風景と自然の中の動物たちが二人を優しい世界で包み込む。

映画『オン・ザ・ミルキー・ロード』の作品情報

オン・ザ・ミルキー・ロード

製作年:2016年
上映時間:125分
ジャンル:ラブストーリー、ファンタジー、戦争
監督:エミール・クストリッツァ
キャスト:モニカ・ベルッチ、エミール・クストリッツァ、プレドラグ・マノイロヴィッチ、スロボダ・ミチャロヴィッチ etc

映画『オン・ザ・ミルキー・ロード』の登場人物(キャスト)

コスタ(エミール・クストリッツァ)
過去に父親が斬首される光景を見て、心に暗い影を落とす。ミルク運びの仕事で訪れているミレナの家で、花嫁として連れてこられたイタリア人の美女に一目惚れする。
花嫁(モニカ・ベルッチ)
イタリアから父親を探しにやって来た美しい女性。戦争に巻き込まれ拘束されていたが、ジャガの花嫁としてミレナたちに救出される。
ミレナ(スロボダ・ミチャロヴィッチ)
村でミルクを売る女性。コスタに片思いをしており、結婚を迫っている。
ジャガ(プレドラグ・ミキ・マノイロヴィッチ)
ミレナの兄。戦上の英雄として村では尊敬されている。

映画『オン・ザ・ミルキー・ロード』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『オン・ザ・ミルキー・ロード』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『オン・ザ・ミルキー・ロード』のあらすじ【起】

そこは山の上の村。石造り家が建ち並び、空にはたくさんの鳥が舞っている。自然が美しいその村から少し行った場所では、もうしばらく前から戦争が起きており、兵士たちは銃撃戦を繰り広げていた。

コスタは村のある家でミルクをもらい、兵舎へ運ぶ仕事をしている。彼は一風変わった男で、いつも黒い傘を差し、相棒のハヤブサを従え、ロバに乗って移動する。銃撃戦が始まっても何食わぬ顔で朝食を食べる彼を、兵士たちは変わり者だと噂するが、それは過去に父親が斬首される光景を見てしまったからだということも彼らは知っていた。

彼は今日もミルクをもらいに村へ行く。その家はミレナとその母親が二人で暮らしていた。家の天井は2階の高さほどであるが、その壁一面には大きな時計が備え付けられる。上下に動く分銅は、人を乗せて上まで上がるほどだ。この日は母親が時計に引っかかり上でぶら下がっていたが、こんなことは日常茶飯事。ミレナは、頭をぶつけたり手を怪我したりしながら、母親を助けていた。

ミレナには兄がいる。彼は現在戦争で不在だが、その兄の結婚相手として、ある女性が候補にあがった。母親がイタリア人、父親がセルビア人のその女性は、ローマから父親を探しに来たところで、戦争に巻き込まれてしまい、施設に現在囚われていた。ミレナたちは洗濯係を装い、その女性を施設から救い出す。

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映画『オン・ザ・ミルキー・ロード』のあらすじ【承】

兄の花嫁として家に迎えられた美しい容貌の女性は、新しい家で母親の世話や掃除、牛の乳搾りを任される。

その姿を遠くから見ていたコスタは、彼女に一目惚れする。彼女は過去には英国人の将軍に惚れられ、その将軍が彼女のために妻を殺すという事件を起こすほど、魅力的な女性だった。

話をした二人は、すぐにお互いを似た者同士だと思い、心を通わせる。波乱を乗り越え、今の自分は過去の自分とは違ってしまった、と二人とも感じていた。

その後、ミルクをもらい兵舎に帰る途中、コスタは銃撃戦に巻き込まれてしまう。その時、一匹の蛇が現れ、ミルク缶から溢れたミルクに顔を埋め飲み始めた。兵舎に着いたコスタは「奇跡を見た」とそのことを話した。その日から彼は同じ場所にわざとミルクをこぼし、蛇が飲みに来るのを遠くから観察するのだった。

ミレナはコスタがミルクをもらいに来る度、愛する気持ちを彼にアピールしていた。以前からずっとコスタに片思いをしているミレナ。コスタはなんとかはぐらかしていたが、彼女は押しが強く、彼と結婚しようとしていた。

そこへ休戦の知らせ。村人たちは祝いのパーティーで喜びを分かち合う。元音楽家のコスタも楽器を弾き、ミレナは酒を浴びるほど飲み踊り狂った。ミレナは、兄の結婚式と自分の結婚式をダブルであげる計画までしていることを明かす。

ところが、その朝刑務所にいた妻殺しの英国人将軍が釈放になり、花嫁を連れ戻すよう部下に命じていた。花嫁をミレナに紹介した男たちは、面倒を避けようと花嫁を殺してしまう計画を立てていた。ミレナはダブル挙式を台無しにされたくない一心で、彼らを銃で追い払う。

映画『オン・ザ・ミルキー・ロード』のあらすじ【転】

パーティーで酔って暴れていたミレナだが、時計で怪我していた手が膨れ上がるほど化膿し、その夜緊急で手術になる。

翌日も休戦したにも関わらず、まだ銃撃戦が繰り広げられていた。もはや戦争を楽しんでいる兵士たち。コスタはその中をかい潜り、ミルクをもらいに村に行こうとするが、その途中で銃弾が当たり、耳が取れてしまう。

ミレナ不在の家では花嫁が家を守っていた。取れた耳を持って現れたコスタに花嫁は驚くが、彼を横にさせ、手際よく耳を縫い付けてあげるのだった。作業をしながら歌う花嫁とコスタの周りを、白い蝶がユラユラと舞っている。花嫁はコスタに酒を飲ませ、優しくスカーフで耳を覆ってあげた。近くでは、その幸せそうな様子を彼の相棒のハヤブサが見守っていた。

夜、入院中のミレナを見舞いに行ったコスタ。ミレナは、村人たちにコスタが自分の処女を奪ったと吹聴し、もう結婚しないわけにはいかないと彼に迫った。それは全くの嘘だったが、人のいいコスタはミレナを傷つけることができず、はっきりと断れずにいた。

そこへ、雨の中時計で怪我をした花嫁がコスタのもとへやって来る。またしても手術になり、エレナの隣のベッドに寝かされるのだった。病室と言ってもそこはテントの中。雨水が穴から二人の女性の上に滴り落ちる。コスタは両手に鍋を持ち、雨が止むまで二人を守るのだった。

戦争は和平合意の署名が行われ、ついに集結した。平和が村に戻る。エレナと花嫁はウエディングドレスの準備を始めた。エレナの兄のジャガも家に戻って来る。

今日も家にやってきたコスタに、未来の義兄として挨拶するジャガ。だが、コスタが結婚を本気で考えていない様子を見て、脅しにかかる。家の窓からは、エレナと花嫁がコスタに微笑みかけていた。助けてもらった恩で、ジャガと結婚しないわけにはいかない花嫁だったが、心はコスタに惹かれていたのだ。

その夜もパーティーが開かれる。賑わう中で、花嫁はコスタに「家に連れてって」とお願いする。良い雰囲気になり、キスしようとする二人。だが、そこへエレナがやってきて、花嫁に激怒。パーティーの中、二人は掴み合いの喧嘩をするのだった。

次の日戦争は終わったはずなのに、謎の黒尽くめの兵士たちがヘリでやって来る。その日、ジャガと花嫁、コスタとミレナは、半ば強引だがダブル挙式をあげることになっていた。まだミルク運びの仕事をしていたコスタは、昼過ぎまでには村へ戻るようジャガに命令される。

だが、道中で彼は蛇に巻きつかれてしまい、身動き取れなくなってしまう。しばらくして蛇は体から離れたが、ミルクを届けに行くと、そこは黒尽くめの兵士たちによって、村人が撃ち殺された後だった。もっと早く到着していたら、自分も殺されていただろう。コスタは蛇が自分を守ったのだと確信する。

映画『オン・ザ・ミルキー・ロード』の結末・ラスト(ネタバレ)

黒尽くめの男たちは、刑務所から釈放になった英国人将軍の手先だった。花嫁を探し出し、連れ戻すため、村全体を焼き尽くし、無関係な村人まで殺していたのだ。

コスタは慌ててミレナの家に戻る。だが、そこはすでに火の海だった。コスタは丸焦げになったジャガとミレナを発見する。手先たちから隠れながら花嫁を探すコスタ。彼女はドレス姿のまま井戸の中で隠れていた。

コスタも井戸に降りると、手先たちが井戸を確認しにきた。二人は水に潜り、なんとか姿を見られないようにしたが、なかなか彼らは動こうとしない。そこへ、どこからか、いつかの白い蝶が飛んできて、手先たちの気を逸らす。彼らが井戸を離れた隙に二人は井戸から脱出。だが逃げる姿を見られてしまう。

どこまでも追いかけて来る3人の手先たち。その夜は大きな木の上で、二人は身を寄せ合って過ごしていたが、またもや奇跡のような雷雨のおかげで、下にいた手先たちがテントに逃げ込んだため、二人はそこから逃げることができた。

翌日、遠くまで逃げた二人は、小さな小屋を見つける。ようやく花嫁はドレスを脱ぎ捨て小屋の前の池に投げ捨てた。そして、二人はつかの間の幸せな時間を過ごすのだった。

次の日、池で泳ぐ二人を手先が見つけ、銃を撃つ。コスタと離れてしまった花嫁は、魚の仕掛け網に引っかかり、窒息しそうになるが、コスタの前に白いドレスが流れてきて、花嫁の居場所を教えてくれた。助かった二人は力を合わせ、追って来た手先の一人を池の中に沈め、刺し殺した。

その後、川の中を進み、滝から飛び降り、岩山を逃げていたが、コスタは途中で足を折ってしまう。コスタは花嫁に「意味がないから俺を置いていけ」と言うが、花嫁は「唯一意味があることだ」と彼を背負い、二人で逃げる道を取る。

二人は羊の群れを見つけ、その中に身を隠した。だが、残る二人の手先は諦めることなく、もうそこまで来ていた。死を覚悟する二人。

その時コスタは、近くに地雷地帯があるのを見つける。一匹の羊をその中に入れ爆発させると、驚いた羊たちは動き始めた。羊たちは地雷の中へ入り次々と爆発に巻き込まれる。二人もその中を逃げていたが、追いつかれる。自分が犠牲になろうとコスタから離れる花嫁。しかし、手先の一人は地雷に巻き込まれ、もう一人はコスタの頭に銃を突きつけるのだった。

コスタを助けに戻ろうとする花嫁は、突然蛇に巻きつかれ身動き取れなくなる。揉み合いになっている手先とコスタ。その時、ハヤブサが飛んで来て手先の目玉を突き、手先はその後地雷によって爆発するのだった。

もう追手はいなくなったが、花嫁は蛇と格闘していた。コスタは蛇が花嫁を守っていたことに気が付き、手を離すよう花嫁に向かい叫ぶ。しかし、次の瞬間花嫁の足が地雷に当たってしまい、彼女は死んでしまうのだった。

後を追って死のうと、地雷に足をかけようとしたコスタを、間一髪羊飼いが止めた。「愛の記憶を絶やすな」と絶望するコスタを説得する。辺りは一面地雷が爆発した跡が残っていた。

15年後。コスタは一人、村で暮らしていた。彼は砕かれた白い岩を集めて背中に担ぎ、川を渡り、岩山を登り、花嫁が死んだ場所まで歩いて行く。かつて地雷が埋まっていた場所は、一面白い岩で輝いていた。彼は今でも花嫁を思いながら、そこに岩を置き続けるのだった。

映画『オン・ザ・ミルキー・ロード』の感想・評価・レビュー

長閑な町の風景なのに、爆撃が至るところで爆発し、人々がその傍で生活している。平和な日本では考えられないほど、異様な光景だと思う。そんな中、主人公のコスタもインパクトのある見た目をしている。彼の過去を知れば納得なのだが、始め見たときは不思議に思った。主人公も花嫁も辛い過去があるのに、悲壮感はあまり感じなかった。ただ、物語のラストがあまりにも切なかった。長い月日が経っても花嫁のことを思う主人公の姿に心を打たれた。(女性 30代)


今まで見た事の無い「不思議」で「独特」な世界観を持った作品でした。主人公コスタの外見が「普通」では無い点にまず目が行きます。ストーリーが進むにつれてその理由が分かるのですが、なんとも切なく複雑な気持ちになりました。
温かさと怖さが共存するストーリー展開は見ていてハラハラドキドキします。特に後半は想像も出来なかった衝撃の展開で、ラストはかなり切なかったです。「真実の愛」は永遠に続くのだと思わせてくれる作品です。(女性 30代)

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