映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の概要:落ち目のテレビ俳優リックは、映画スターへ転身しようと焦っていた。彼のスタントマンであり親友のクリフは、情緒不安定な彼を日々支えている。そんなある日、リックの隣家にロマン・ポランスキー監督が引っ越して来た。
映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の作品情報
上映時間:161分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:クエンティン・タランティーノ
キャスト:レオナルド・ディカプリオ、ブラッド・ピット、マーゴット・ロビー、エミール・ハーシュ etc
映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の登場人物(キャスト)
- リック・ダルトン(レオナルド・ディカプリオ)
- テレビドラマの主演を務め人気が出たものの、絶頂期が過ぎ悪役のオファーしかされなくなった俳優。自身のスタントマンであるクリフに絶対の信頼を寄せているが、仕事が無くなった今、彼に運転手と雑用を任せている。
- クリフ・ブース(ブラッド・ピット)
- リックのスタントを担当する戦争帰りの伝説のスタントマン。彼の仕事が無くなったことにより自分の仕事も減り、トレーラーで極貧生活を送っている。ブランディという犬を飼っている。
- シャロン・テート(マーゴット・ロビー)
- リックの隣家に越して来たポランスキー監督の妻。元婚約者のジェイとは今も仲が良く、ポランスキーが仕事で不在の際は彼を家に招いている。
- スクィーキー(ダコタ・ファニング)
- ヒッピー集団の中心人物。老化による痴呆と失明で弱っていたジョージ・スパーンに取り入り、仲間達と共に彼の牧場兼撮影所を乗っ取って暮らしている。
- マーヴィン・シュワーズ(アル・パチーノ)
- リックの友人の映画プロデューサー。彼のキャリアを心配し、イタリア映画への出演を勧める。
映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のあらすじ【起】
1969年2月8日、土曜日。マーヴィン・シュワーズは、バーでリックと待ち合わせしていた。シュワーズは、リックがこの2年、悪役として単発物への出演しかしていないことを嘆いていた。主演俳優のキャリアが地に落ちることを心配した彼は、リックへイタリア映画に出るよう仕事の話を持ち掛けた。
バーを後にしクリフに送迎されるリックは、「俺は終わった。マカロニなんて最低だ!」と彼に泣き付いた。クリフがリックの泣き言を聞きながらシエロ通りにある彼の自宅に到着すると、空き家だった隣家に入って行く『ローズマリーの赤ちゃん』の監督、ロマン・ポランスキーとその妻を見掛けた。クリフはリックへ、新進気鋭の映画監督に売り込めるチャンスだと声を掛けた。リックはそれを聞いて機嫌を戻し、自宅へと入った。
落ち目になりながらも豪邸に暮らすリックとは対照的に、クリフはボロボロの自家用車で汚いトレーラーハウスに帰る。犬のブランディと生活している彼は、ブランディがペットフードを食べている横で適当に茹でたマカロニを頬張った。
映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のあらすじ【承】
1969年2月9日、日曜日。クリフは、朝の7時にリックを迎えに行き、彼をドラマの撮影現場まで乗せて行った。クリフは、リックを降ろす際に「俺のことも頼むぜ」とスタントの仕事を貰ってくるよう頼んだが、彼は家のアンテナを直しておけとだけ言って撮影所へと消えてしまった。
リックは「リック・ダルトンだと分からないようにしたい」と言う監督から、付け髭やカツラを被せられた上に大嫌いなヒッピー風の格好をさせられ、不満を抱えながらもスタント担当のランディにクリフを起用するようプレゼンした。クリフにまつわる黒い噂を信じるランディは耳を貸さなかったが、リックの説得に加え撮影所に戻って来たクリフの直談判に根負けし、彼を雇うことに決めた。
衣装に着替えたクリフは、スタントを指導するブルース・リーと口論になった末、彼を投げ飛ばしてランディの妻、ジャネットの車に傷を付けてしまった。元からクリフを毛嫌いしていたジャネットは彼を追い出し、クリフは結局リックの家のアンテナを修理することになった。
屋根に上ったクリフは、ポランスキー監督の家にヒッピーが訪ねて来たのを目撃した。ヒッピーは前の住人を訪ねて来たようだったので、ジェイは新しい住人はポランスキーだと告げ彼を追い返した。
悪役としてドラマの撮影に臨んでいたリックは、二日酔いの影響で台詞を飛ばしてしまい、激しく自分を責めた。その結果、子役のマラベラと共演するシーンで最高の演技とアドリブを成功させ、彼女はリックに「今まで生きてきて一番の演技だった」と賞賛を延べた。
映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のあらすじ【転】
リックを迎えに行くため撮影所を目指していたクリフは、道中でヒッチハイクしていたヒッピー、プッシーキャットを乗せた。彼女はチャッツワースのスパーン映画牧場で仲間と暮らしていると言うので、クリスはかつて世話になったスパーンに会うため彼女の目的地へと向かった。
スパーン映画牧場へと着いたクリフは、出迎えたプッシーキャットの仲間にジョージ・スパーンに会いたいと申し出た。彼らがスパーンに会おうとするクリフを阻んだため、クリフは強引に彼の住む小屋の中へ向かった。小屋にはヒッピー達を束ねているスクィーキーが陣取っており、彼女は頑なにスパーンとは会えないと言ったが、クリフは現状を怪しみスパーンの部屋に乗り込んだ。ベッドに横たわるスパーンは、失明している上に痴呆がかなり進行している状態だった。ヒッピー達は、弱ったスパーンに取り入り勝手に牧場に住み着いていたのだ。クリフは真実を告げようと説得したが、スパーンは聞く耳を持たなかった。
クリフを気に入っていたプッシーキャットは、彼をリーダーの「チャーリー」に会わせようとしたが、クリフは牧場を後にした。
半年後の1969年8月8日、金曜日。マーヴィンは、正式にリックへイタリア映画『ネブラスカ・ジム』の主演をオファーし、リックはローマで一躍スターになった。他にも3本の主演映画を撮ったリックは、クリフと共に半年間イタリアに滞在し、イタリア人女優と結婚してLAへと戻った。
所帯を持ったリックはクリフへ、この先お前を雇えないと告げ、二人はアメリカに戻ると同時に“兄弟以上妻未満”の関係を終わらせることになった。
映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の結末・ラスト(ネタバレ)
ポランスキーが仕事でロンドンへ行っている間、シャロンはジェイや友人達を度々自宅へ招いていた。この日、シャロンを含めた友人4人は、19時にメキシコ料理屋へ足を運んだ。20時30分頃、同じ店へリックとクリフが訪れ、二人は9年間の思い出を語りながら泥酔。シャロン達は22時16分に帰宅し、リックとクリフは23時46分にタクシーで帰宅した。
00時03分、リックは千鳥足になりながらも、クリフとの別れを惜しみマルガリータを作り始めた。その間クリフは、以前ヒッピーから購入したLSD漬けの煙草を玄関先で吸い、そのままブランディの散歩へ出掛けた。
クリフと入れ替わりでリックの自宅前にやって来た車には、スパーン牧場から来たヒッピー達が乗っていた。彼らは「チャーリー」からの指示で、ポランスキー邸に住む人間を殺しに来たのだった。車を見つけたリックは、酔った勢いで彼らへ「私道に停めるな!」と一喝し、驚いた彼らは一旦逃げ帰ったが、新たなターゲットをリックに決め再びリックの家に向かった。
ブランディの散歩から帰りトリップしていたクリフは、襲撃に来たヒッピー達と応戦し大怪我を負った。クリフとの乱闘の末発狂してしまったヒッピーの女は、プールで音楽を聴いていたリック目掛けてナイフを振りかざした。リックはパニックになりながらも、以前撮影に使った火炎放射器を持ち出すと彼女を焼き殺した。
警察や消防が到着しクリフが病院に搬送された後、リックは騒ぎに気付いたジェイやシャロンによって彼らの家に迎え入れられた。シャロンもお腹の子供も無事であった。
映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の感想・評価・レビュー
1969年、シャロン・テートがカルト集団チャールズ・マンソン・ファミリーにお腹の子供ごと殺害された事件を背景に描かれた映画である。事実をなぞって嫌な結末になるかとハラハラして観ていたが、リックとクリフのバディが最悪の事態を回避してくれた。
レオ様とブラピのダブル主演というだけでお腹いっぱいだ。ストーリーを抜きにして眼福である。クリフがスパーンの小屋に入る時、タランティーノ監督らしい緊張感のあるシーンにも満足した。(MIHOシネマ編集部)
この作品を観るにあたって、とにかく1つだけお願いしたい事は、鑑賞前に必ず「シャロン・テート事件」について調べて欲しい、ということだ。詳細を事細かに、とは言わない。ただ何となく、“こういう事件があったのだな”という事だけは頭に入れてほしい。たったそれだけで、この映画を観た時の感想が180度変わってくるからだ。
それさえ済んだら後はもう、レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットという、誰もが認める二大スターの豪華共演と、クエンティン・タランティーノ監督の映画愛溢れる、古き良きハリウッドの世界を存分に楽しめば良い。(女性 30代)
「古き良き」とはまさにこの映画のようなことを言うのだろう。アメリカの60年代の音楽にクラシックカー、ネオンサイン、そしてあの時代のハリウッドスターたちまでもが緊密に再現された世界観は観るだけで価値があるに違いない。
本作の良さはそれだけではない。ブラッド・ピット、レオナルド・ディカプリオ、アル・パチーノといった豪華キャストはもちろん、注目したいのは物語の中心でもある「シャロン・テート殺害事件」である。実際の事件の結末を塗り替えてしまうという斬新で新しい切り口こそクエンティン・タランティーノ監督の面白さでもあり、この作品の良さでもある。(女性 20代)
レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットが豪華共演した大作。1969年のハリウッドを舞台に、俳優のサクセスストーリーをフィクションとして描きながら、実在したシャロンテート事件をノンフィクションとして取り入れ、タランティーノ監督らしい解釈とエンタメ性で存分に楽しめる作品に仕上がっている。特にラストのヒッピー達が襲ってくるシーンは衝撃的だが、かなりバイオレンスな描写であるのになぜか笑いが止まらない。159分の長尺だが飽きずに最後まで楽しめる作品だ。(女性 30代)
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