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映画『Only 4 you』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『Only 4 you』の概要:新進気鋭の若手監督4人による、人生のターニングポイントの瞬間を描いたオムニバスムービー。落語家の夢に破れた青年が自信を取り戻す様や、若者が世界を見る目を改める瞬間、子供から大人へと移り変わる瞬間など、様々な設定のポイントを切り取った作品集。

映画『Only 4 you』の作品情報

Only 4 you

製作年:2015年
上映時間:85分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:豊島圭介、熊谷まどか、藤田容介、勝又悠
キャスト:Micro、大村彩子、樋口裕太、山崎大輝 etc

映画『Only 4 you』の登場人物(キャスト)

泰介(Micro)
落語家の父を持つ青年。スーパーで宣伝販売を行っている。過去に六遊亭すけ坊という名前で落語家を目指していたが、夢に破れ父親の死に目にも会えず、自信を失っている。
杏子(木村彩子)
泰介の元恋人。夢を追う泰介を思い、別れを決意した過去を持つ。シングルマザーで、息子の父親は恐らく泰介。
ユウタ(樋口裕太)
茶髪の青年だが、博識で光の屈折のことを仲間達に知らせる。
タイキ(山崎大輝)
黒髪の青年で、スマホで写真を撮るのが趣味。仲間達がくつろぐ姿やトラックの穴を撮影したりする。
ケイ(小川慧)
背が高く、やんちゃで小狡い性格。イクノスケのお茶を勝手に飲んだりしてしまう。
イクノスケ(育之介)
働き者で落ち着いている。少々、潔癖なところがあり、ジュースの回し飲みができない。
犬飼(徳永ゆうき)
非常に歌が上手い学生で、のど自慢に出場を控えている。川原で出会った負傷兵に人の心を打つ歌ではないと指摘され、ショックを受けるも人の心を打つ歌を唄うため、マドロス酒場へ潜入する。
ゆかり(花影香音)
奄美大島へ転校にてやって来る。りんの家に預けられ、生活を共にする。無口で無表情でいることが多い。
りん(山川未菜)
奄美大島にて祖母と2人暮らしをしている。明るくて物怖じせず、祖母の手伝いを良くしている。

映画『Only 4 you』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『Only 4 you』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『Only 4 you』のあらすじ【起】

『すけ坊』

落語家の父親を持つ泰介は、スーパーで包丁の宣伝販売を行っていたが、商品の紹介が上手くできずにいた。年かさの主婦には、突っ込まれ放題でタジタジ。
そこへ、店内をスケボーで走り回る少年が現れ、ツナ缶を持って来る。何でも切れる包丁なら缶も切れるだろと言われるが、切れるはずがない。

少年は泰介をおちょくって店の外へ逃走。泰介は少年を追って外へ出て、スケボーとはこうするのだと見本を見せる。だが、その場面を店長に見つかってしまい、泰介はこっぴどく叱られてしまう。

再び宣伝販売のブースへ戻った泰介。そこへ、ある女性が通りかかる。杏子は泰介の元恋人であった。その昔、泰介は夢を追いかけるために彼女と別れたのである。
彼は父親の後を追って落語家を目指していたが、夢に破れ落語家を諦めたという経緯を持っていた。

そこへ、スケボーに乗った少年が再び現れ、杏子のことを母ちゃんと呼ぶ。彼女は我が子が父親に似てうんざりと言って去って行くが、泰介はその言葉に驚愕。まさか自分が父親なのかと疑念を抱きつつ、去って行く杏子を見送った泰介。だが、そこにかつての兄弟子の姿を発見してしまう。

泰介は六遊亭すけ坊という名前で落語家を目指していたが、様々な出来事により落語界から去っていた。彼は兄弟子に笑われ、肩を落とすのである。仕事も落語も上手くできない。自分は何なのか。そう思っていたところへ少年が現れる。泰介は彼を目にし、勝負に挑むことにした。

泰介が身の上話を始めると、スーパーの客が集まって来る。知らず客たちは彼の話に聞き入ってしまう。噺が上手くまとまったところで、お客さんからは暖かい拍手をもらう泰介。そのお陰で彼が販売する包丁も売り上げを伸ばすのであった。

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映画『Only 4 you』のあらすじ【承】

『色はヒカリ』

引っ越しのアルバイトに勤しむユウタ、タイキ、ケイ、イクノスケの4人。エレベーターのない団地では階段を何往復もして荷物を運ぶため、一仕事終えた段階で、すでにくたくたである。だが、次もあると聞かされがっかり。

次の現場には2人いればいいと言われるが、全員が全員帰りたいと思っていた。4人は引っ越しトラックの荷台に乗り込み、暗闇の中でジャンケン。
だがその途中、車からおかしな音がしてトラックが停車してしまう。

そんな時、荷台の中でネジが外れそうな箇所を発見したユウタが、ネジを外してしまう。暗闇の中、外の様子も分からない。ケイが悪乗りをして中にあったボールを投げてしまい、荷台の中は大騒ぎ。そのせいで立てかけてあったパネルがタイキの上に落ちて来る。

そこで、4人はパネルに外の様子が映し出されるのを発見した。
この現象は暗闇の中に穴を開けると、光の屈折によって向こう側の映像が映し出されるというもので、写真の原理ともなった現象である。幸い、車に異常はなく無事に発車。

彼らはパネルに映し出される外の様子に見入ってしまう。博識であるユウタが映像を見ながら語る。世界には絶えず光が当たっており、そのお陰で色を見ることができている。光がなければ、色の判別もできず世界は認識もされないだろう。

車は次の現場へ到着。トラックの荷台は開かれ、眩い光が4人を照らす。それは彼らの目を眩ませたが、今まで何気なく見ていた景色を改めて見直す機会になった。
残るのは2人で良いと言われていたが、4人は全員残って仕事をするのであった。

映画『Only 4 you』のあらすじ【転】

『まどろす』

昭和32年12月。犬飼は翌週に開催されるのど自慢大会への出場に向け、川原で歌の練習をしていた。それには学友が2人付き添っていたが、彼らは犬飼の歌の上手さに将来の空想を語り合う。犬飼の歌ならば、優勝も間違いない。優勝したら音楽事務所からスカウトされ、美空ひばりに次ぐ大スターになるだろう。

そんな大それたことまで言う始末。だが、そこへ戦争にて負傷し足を失くした男が現れ、犬飼に『港町十三番地』という曲がどういう歌なのかを聞く。
この曲は美空ひばりの持ち歌だが、負傷兵曰く美空ひばりが歌を発表した時、彼は戦争へ向かう戦艦に乗り込もうとしていた時だった。その時に聞いた『港町十三番地』は、酷く心に残り深みのある歌だったと言う。

それに比べて犬飼の歌には、そういうものが全く無い。彼は歌を深く理解せず、ただ曲を正確に歌っていただけだったのである。人の心を打つ歌を唄うには、学生である犬飼には経験が少なすぎるのであった。彼は負傷兵に言われたことに衝撃を受け、倒れてしまう。

学友の助けにより復活した犬飼。学友たちは彼を励まそうと言葉を尽くすが、犬飼は自分に足りないものを自覚。どうしたら良いのか思い悩む一同。そこで、1人の学友がマドロス酒場へ行ってみようと提案。マドロスとは船員、いわゆる船乗りのことである。3人は一旦帰宅し、酒場へ向かう衣服へと着替え再集合するのである。

マドロスと言えば、白地に赤の横縞模様が定番である。3人は衣服を揃えいざ酒場へ。しかし、酒場の中はどうにも怪しい雰囲気。酒の味も知らない犬飼達は、大人には様々な苦労があるのだと仲間を励ました。

だが、酒場の中にマドロスを装った偽物がいるという話が持ち上がる。学友は恐怖に戦き、口にしたビールを思わず吐き出してしまうが、店に潜入捜査官がいることが判明し、店内では銃撃戦が繰り広げられる。犬飼達は学生だと必死に叫び、見逃してもらうのであった。

朝、3人は魂が抜けたように海を眺めている。一晩で一気に大人になったような気がする。犬飼は海に向かって、しみじみと歌を唄うのであった。

映画『Only 4 you』の結末・ラスト(ネタバレ)

『ゆらい、ほしぼし、笑うまで』

沖縄から奄美大島に転校して来たゆかりは、同い年のりんが祖母と暮らす家に居候することになる。りんはとても明るく、祖母の手伝いをする良い子だった。だが、ゆかりは大人しく無口。2人の性格は全くの正反対なのである。

島の各地をりんの案内で巡り、ゆかりと仲良くしようと奮闘するりんだったが、ゆかりは彼女に対して無反応を貫き通す。彼女はどうやら誰とも関わりたくないと思っているようだった。

りんの祖母が2人を慮って赤いマフラーを編んでくれた。りんは大げさに喜んで見せたが、ゆかりは笑みを浮かべるだけ。その夜、寝る間際にゆかりはりんにあなたのことが嫌いだと告げる。以降、2人の関係は進展せず、距離を置いて生活することになるのだった。

その日は、300年に1度と言われる2つの流星群が観測できる特別な日だった。観測時刻は深夜の23時頃。2人は流星群を見るため、祖母に見送られて家を出た。

何もない野原へやって来た2人。だが、時間になっても流星群は見られない。2人は互いの存在に日々、苛立ちを募らせていたため、ここにきて鬱憤を晴らすかのように、互いに本音を叫び取っ組み合いの喧嘩をした。だが、その最中。夜空を星が一斉に流れて行く。その光景はそれまでの思いを覆すほどに壮観だった。

翌朝、りんは祖母に昨夜、目にした光景を語って聞かせる。そこへゆかりが現れたので、同意を求めた。いつもの彼女なら、きっとりんの言葉を無視したに違いない。だが、昨夜の光景は2人の関係を結びつけるものでもあった。ゆかりはりんの言葉に頷き、満面の笑顔を見せるのであった。

映画『Only 4 you』の感想・評価・レビュー

ショートムービー4本で1作品となる映画で、それぞれに異なる設定で描かれている。1本を単独で観ても満足のできる作品ばかりだが、4本を続けて観るとかなり圧巻で肉厚的な印象。

観終わった後は非常に爽やかな気分になり、どの作品でも共感できる。個性的な作品が多く、テーマを的確に捉えており、明日へと希望を抱かせる作品ばかりである。4本のうち、必ず好みの作品が見つかるのではないかと思われる。(MIHOシネマ編集部)


4つのショートムービーで作られた今作は、それぞれが「人生」や「成長」について描かれています。設定は違っても誰もが経験したことのある「挫折」や「苦難」を乗り越えるストーリー、そしてその先にある明るい未来を描いているので見終わったあとはスッキリした気持ちになり、心のもやもやが晴れたような気がしました。
4つのストーリーが全く違う設定なので、自分のお気に入りを見つけられると思います。(女性 30代)


人生の節目をテーマにしたショートムービーを4本、楽しめました。どれも20分前後のストーリーですから集中力は途切れることなく、それぞれの世界観に没入できました。殊に、女学生の物語が忘れられません。二人が仲良くなっていくだけの物語なのですが、お互いの心の機微が繊細に描かれています。それと、Def TechのMicroの落語にも意表を突かれました。彼の演技にはわびさびがあり、感情表現の幅がとにかく広い人だと感じます。(女性 30代)

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