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映画『さまよえる脳髄』のネタバレあらすじ結末と感想

この記事では、映画『さまよえる脳髄』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『さまよえる脳髄』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。

この記事でわかること
  • 『さまよえる脳髄』の結末までのストーリー
  • 『さまよえる脳髄』を見た感想・レビュー
  • 『さまよえる脳髄』を見た人におすすめの映画5選

映画『さまよえる脳髄』の作品情報

さまよえる脳髄

製作年:1993年
上映時間:102分
ジャンル:サスペンス、ホラー
監督:萩庭貞明
キャスト:神田正輝、高島礼子、嶋田久作、塩屋俊 etc

映画『さまよえる脳髄』の登場人物(キャスト)

海藤(神田正輝)
刑事。違法薬物事件を担当していたが、犯人追跡の際、階段から落下したことで脳挫傷を患い、分離脳となってしまう。精神科医の藍子と恋人関係にある。
南川藍子(高島礼子)
精神科医。妖艶で美しい女性。刑事の海藤と恋人関係にある。気丈で常に冷静沈着。自宅にかかってくる怪電話の相手に、診察に来いと言い放つ。
追分(塩屋俊)
テニスをしている際に突然、若い女性の首を絞め逮捕されるが、首を絞めた時の記憶を失っている。妻帯者だが、妻の浮気を疑っており、浮気性の母親を慕いながらも嫌悪している。
本間保春(石橋保)
書店の店員。実は猟奇殺人犯。6歳上に姉がいたが、自殺にて失っている。姉の恨みを代わりに晴らすため、女装して殺人を続ける。切り取った瞼は姉に捧げているらしい。藍子に救いを求めて近付く。怪電話の主。
丸岡教授(嶋田久作)
脳神経外科医。実験心理を研究しており、分離脳についても詳しい。藍子の同僚で協力者でもある。

映画『さまよえる脳髄』のネタバレあらすじ(起承転結)

映画『さまよえる脳髄』のストーリーをネタバレありの起承転結で解説しています。この先、結末までのネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『さまよえる脳髄』のあらすじ【起】

女性を惨殺し瞼を切り取るという猟奇的事件が発生。そんな中、テニスを楽しみに来ていた追分という男が突然、若い女性の首を絞めるという事件にて逮捕される。精神科医の南川藍子は警察からの依頼で、追分の精神鑑定を行うことになった。

追分は犯行時の記憶が全くないと言う。MRIでの脳機能検査でも異常は見られず、記憶喪失というわけでもないようだ。そこで、藍子は犯行日前後の記憶を思い出して話すよう追分に促した。すると、彼は常日頃から美しい容貌を持つ妻が、浮気をしているのではないかという疑念を抱いており、そのことを考えると意識が朦朧としてくると話す。

被害者女性とは挨拶を交わす程度の関係であり、深い仲でもない。事件当時、追分は風邪で寝込んでいる妻を心配し自宅に電話をかけたが、家にいるはずの妻が電話に出なかった。このことで、彼は妻の浮気を確信。その後、どうにか友人とテニスを楽しもうとしたが、気分が悪くなり意識が朦朧とし始めたと言う。少し休もうとベンチに座ったところまでは覚えているが、以降は記憶にないらしい。意識が朦朧とするきっかけはいずれも、女性の白い太ももだった。

事件より前、追分の両親は離婚しているが、離婚の原因は母親の度重なる浮気によるものだった。彼は浮気性である母親を慕いながらも嫌悪している様子を見せ、幼い頃に母親が知らない男と抱き合っているという衝撃的なシーンを目撃し、白い太ももがやけに記憶に焼き付いていて忘れられないと泣きながら語るのであった。

映画『さまよえる脳髄』のあらすじ【承】

瞼を切り取られた若い女性の遺体が新たに発見され、警察署内は騒然としていた。そんな中、刑事の海藤に元後輩からある報告が入る。それは、海藤が以前、追っていて逃がしてしまった犯人の潜伏場所が判明したというものだった。
海藤は元後輩と共に犯人の潜伏場所へ向かい、強行突入。相手が銃を発砲してきたため、防衛として元部下が犯人を銃撃してしまうのだった。

刑事の海藤は精神科医の藍子と恋人関係にある。海藤は転落事故によって脳挫傷を負い入院していたことがあったが、退院以来、身体の左側の感覚がおかしいようだった。
翌日、藍子は同じ病院に勤務する脳神経外科医である丸岡教授の元を訪れ、海藤のことを話した。すると、丸岡教授は感覚を自覚しているだけでも良い傾向だと言う。そして、彼は藍子に見せたい実験があるため、研究室へ来て欲しいと誘うのである。

映画『さまよえる脳髄』のあらすじ【転】

丸岡教授は実験心理学を専攻しており、2人の大学生に簡単な記憶テストをさせ、間違えたら電流を流すという実験を行っていた。それは追い詰められた人間が、どこまで相手に罰を与えるかという実験であったが、学生は罪悪感を募らせながら結局、最高電圧を相手に流してしまうのである。しかも、電圧装置からは実際、送電されていなかったにも関わらず、罰を与えられる側も思い込みによって電流が流れているかのような反応を見せるのだった。

藍子はこの実験について、実験心理学の許容範囲を超えていると抗議。だが、丸岡教授は学生達が実は演技をしており、テストされていたのは藍子の方だったと明かす。抗議するのならテスト中でもできたはずなのに、彼女は生徒がどこまで残酷になれるのかを、無意識に見届けようとしたのである。教授にそのことを指摘された藍子は、反論できずに引き下がるのであった。

猟奇殺人事件の捜査状況を同僚に聞いた海藤は、犯行心理から犯人は今後も殺人を繰り返すだろうと語る。同僚は念のため、追分も容疑者候補として捜査したいので藍子にアポを取って欲しいと話すも、医者には守秘義務がある。それに、刑事の勘として追分は犯人ではない。それでも同僚は犯人を絞り込むためには、追分のことも捜査しなければならないと苦笑するのであった。

海藤の詳しい検査を行うことにした藍子。検査には丸岡教授も同席したが、海藤は左目でジッポライターを見てパイプと答えるも、左手はジッポライターを手にした。これを見た丸岡教授は、海藤は脳挫傷のせいで分離脳になってしまったのだと言う。本来、脳は左右で情報交換を行い1人の人格として機能するが、海藤の場合、脳挫傷のせいで左右での情報交換が絶えてしまったのである。故に左脳と右脳で別々に機能し、1人の中で人格が2人いるような状態となっていた。

後日、海藤から病院の屋上へ呼び出された藍子。海藤は過去のある事件を、彼女に話して聞かせた。
恋人に男の恋人ができたせいで相手を殺害した女がいた。彼女は逮捕後に自殺して命を落としたが、女には6歳下の弟がいて、それが本間保春だと言う。本間は姉の棺を開き、彼女の亡骸を特殊な鋏でめった刺しにしたらしい。理由を問うと彼は、死んでしまった姉の代わりに八つ裂きにしたと答えた。

映画『さまよえる脳髄』の結末・ラスト(ネタバレ)

藍子はその話を聞き、はっとする。猟奇殺人が始まった頃から、彼女の自宅に妙な電話が時折、かかってきた。ボイスチェンジャーで声を変えているが、相手は恐らく男だ。彼は常にゆっくりした口調で、自分の生い立ちを何度かに渡って語った。藍子は彼に電話では埒が明かないので一度、診察に来なさいと気丈にも返答したのである。
すると、彼は藍子の言う通りに診察へ訪れた。それが本間保春である。藍子が時折、本を買い求める書店の店員だった。表向きは爽やかな好青年であったため、猟奇殺人犯とは全く結びつかなかったのである。

その夜、藍子のオフィスへ本間から電話がかかってくる。例の如く、声を変えていた。
本間は姉の代わりを今も尚、続けており犯行時、必ず女装をして女を惨殺。切り取った瞼は、目を見開いて死んだ姉に捧げているのだと言う。
奴は藍子の問い掛けに一切、答えず話し続ける。彼女は思わず、電話を切った。
すると、今度は病院の守衛から内線がかかってくる。海藤がロビーで藍子を待っているという伝言だった。

ロビーへ降りた藍子だったが、そこで女装をした本間と遭遇。奴は鋏で彼女を脅しては追い詰める。ボイラー室へ逃げ込んだ藍子は、とうとう本間に捕まってしまい腹部と足を刺されてしまう。しかし、そこへ異変を察した海藤が現れ、彼女を助けるのだった。

映画『さまよえる脳髄』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)

精神科医の女医が猟奇殺人犯の目に留まり、付け狙われるという話だが、メインは分離脳によって殺人が起こり得るということのようだ。
映画内では刑事と女医の濃厚なラブシーンが何度か描かれているが、スクリーンデビューでもある女優、高島礼子がかなり体当たりの演技を見せている。

そして、猟奇殺人犯である本間保春役の石橋保が、不気味な雰囲気を醸しサスペンス色をより深めている。(MIHOシネマ編集部)


精神科医が殺人犯に狙われるという設定は映画ではよくある展開ですが、精神科医と刑事が恋人関係にあり、ここまでラブシーンをぶっ込んでくるサスペンス作品はかなり珍しいなと感じました。神田正輝と言うと、サスペンスドラマや旅番組の司会などでとても爽やかで正統派なイメージがあったので、高島礼子との濃密なラブシーンは物凄く違和感がありました。そのせいでストーリーが頭に入ってこなかった気がします。
ラストも中途半端な感じで終わってしまうのでもう少しじっくり見たかったです。(女性 30代)


観終わったあと、しばらく言葉が出ませんでした。脳だけが別人になるという設定に、最初は非現実的だと思ったけれど、展開が進むにつれてリアリティを感じさせられるように。最終的に何が正義で、何が人間らしさなのかが分からなくなってくる不思議な感覚。ラストは衝撃的で、トラウマレベル。(40代 男性)


スリラーというより、心理劇として観たほうが深く楽しめる作品です。脳の移植によって生まれる“人格の乗っ取り”というテーマが、単なるフィクションにとどまらず、現実味のある恐怖として描かれていました。サイコホラーだけど感情移入できる部分もあり、不思議な体験ができました。(20代 女性)


初めて観たときは難解すぎて理解できなかったけど、二度目の視聴で伏線や意味が見えてきました。医療倫理の問題や、身体と心はどこまで繋がっているのかという哲学的な問いが詰まっています。猟奇的なシーンもありますが、そこに頼りすぎておらず、脚本の力で魅せる映画でした。(30代 男性)


原作のファンとしては、映画化されたことでより世界観が立体的に感じられました。特に主人公の苦悩と、周囲の人間の歪んだ思惑が交錯していく様は、圧巻の一言。狂気と理性の境界線が揺らぐ様子が繊細に演出されていて、サスペンスとしても人間ドラマとしても秀逸です。(40代 女性)


生きているのは“脳”なのか、“心”なのか――この映画の問いは重い。でも、それをあえてエンタメとして描いてくれたおかげで、深刻になりすぎずに楽しめた。とはいえ、ラストに向かうほどに重苦しさが増していき、気づけば息を詰めて観ていた。後味は決して良くないが、それもまた魅力。(20代 男性)


心理的にジワジワくるタイプの映画で、グロや派手な演出に頼らず、不気味さを演出していたのが印象的。脳という器官が、人の意識や記憶をどこまで支配しているのかというテーマにはゾッとしました。とくに最後の告白シーンは、静かに狂気を見せつけてくる感じで鳥肌モノ。(30代 女性)


最初は静かなサスペンスとして始まり、中盤からは一気に加速する展開に引き込まれました。個人的には、人格が変わってしまった主人公が、それを自覚しはじめるくだりが一番怖かったです。ラストの選択には賛否あると思うけど、僕はあれしかなかったと思いました。(40代 男性)


ホラーとしてではなく、社会的なテーマを含んだ作品として高く評価したい。脳だけが生き残ることで生まれる“新しい人格”に対して、登場人物たちがどう接していくかが興味深く、人間関係の変化が怖いほどリアルでした。倫理と欲望が交差するラストシーンは圧巻。(20代 女性)

映画『さまよえる脳髄』を見た人におすすめの映画5選

累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『さまよえる脳髄』を見た人におすすめの映画5選を紹介します。

CURE(キュア)

この映画を一言で表すと?

心の奥底をえぐる、究極のサイコ・スリラー。

どんな話?

連続猟奇殺人事件の背後に浮かび上がる、記憶を失った謎の男。捜査を進める刑事は、次第に彼の“影響力”に取り込まれていく。静かな狂気と心理戦が交錯する、黒沢清監督による不穏な傑作です。

ここがおすすめ!

観る者の心理にじわじわと入り込むような演出と、空気の張り詰めた画面構成が秀逸。『さまよえる脳髄』のような人間の内面に潜む狂気を描く作品が好きな方にとって、心を掴まれて離さない一本です。

告白

この映画を一言で表すと?

美しさと残酷さが同居する、衝撃の復讐ミステリー。

どんな話?

女子中学生の娘を亡くした教師が、犯人が教室内の生徒だと知り、卒業式で復讐の告白を始める。そこから明かされていく子供たちの裏の顔と、静かに崩壊していく人間関係。観る者を試す“罪と罰”の物語です。

ここがおすすめ!

中島哲也監督ならではのビジュアル美と緊張感、そして予測不能な展開が絶妙。『さまよえる脳髄』に通じる人間の深層心理への問いや、倫理観を揺るがすテーマ性に魅せられること間違いなしです。

渇き。

この映画を一言で表すと?

狂気と暴力が暴走する、ノンストップ・サイコサスペンス。

どんな話?

行方不明になった女子高生を探す元刑事の父親。だが娘の裏の顔を知るにつれ、事件は予想外の方向へ加速していく。家族の崩壊、暴力、そして人間の深淵を覗き込むような衝撃作。

ここがおすすめ!

中島哲也監督が見せる狂気の映像世界が圧倒的で、音楽と編集も中毒性あり。人間の醜悪な部分と、それを暴き出す物語構成は『さまよえる脳髄』の世界観が好きな人にはピッタリです。

冷たい熱帯魚

この映画を一言で表すと?

平凡な日常が崩れ落ちる、実話ベースのサイコ・ショック。

どんな話?

熱帯魚店を営む男が、カリスマ性を持つ別の店主と関わりを持ったことで、日常は恐怖と狂気に染まっていく。実際の事件を元にした、園子温監督の衝撃作。

ここがおすすめ!

次第に常識が崩れていく感覚と、登場人物の“狂気への順応”が怖いほどリアル。倫理観が崩れていく様は『さまよえる脳髄』とも共通し、後味の悪さすら快感に感じるような一作です。

インシディアス

この映画を一言で表すと?

精神と霊界が交錯する、新感覚のホラー・スリラー。

どんな話?

引っ越し先で息子が昏睡状態に陥った家族。不審な現象が相次ぐ中で、少年の魂は“彼岸”に囚われていた。現実と霊の世界を繋ぐ壮絶な探索が始まる。

ここがおすすめ!

ホラーでありながら心理サスペンスとしても機能する巧みな脚本と、緊張感あふれる演出が秀逸。『さまよえる脳髄』のように「見えないもの」に翻弄される恐怖と、不条理な世界観が好きな方におすすめの一作です。

この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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