映画『大いなる遺産(2012)』の概要:文豪チャールズ・ディケンズの同名小説の映画化。貧しくも心優しいピップが莫大な遺産を相続し、幼い頃に恋した少女への思いを胸にロンドンで生活を始める。『フォー・ウェディング』のマイク・ニューウェル監督作。
映画『大いなる遺産』の作品情報
上映時間:129分
ジャンル:ヒューマンドラマ、時代劇
監督:マイク・ニューウェル
キャスト:ジェレミー・アーヴァイン、ロビー・コルトレーン、ホリデイ・グレインジャー、ジェイソン・フレミング etc
映画『大いなる遺産』の登場人物(キャスト)
- ピップ(ジェレミー・アーヴァイン)
- 孤児で、姉と義兄の元で育てられている。心優しく、エステラへの恋心をずっと抱き続けている。遺産相続の話が舞い込み、ロンドンで紳士生活を始めることになる。
- エステラ(ホリデイ・グレインジャー)
- ミス・ハヴィシャムが養子に迎えた少女で、男に復讐するために非情で高慢な女として育てられた。マグウィッチが実の父だが、そのことを知らされていない。
- ミス・ハヴィシャム(ヘレナ・ボナム・カーター)
- 婚約者に挙式当日に婚約を破棄され、それ以来ウェディングドレスを着たまま屋敷にこもっている。男への復讐心を抱いている。
- マグウィッチ(レイフ・ファインズ)
- 悪事を重ねてきた犯罪者で、脱獄したところをピップに助けられる。アメリカで成功して手にした財産をピップに譲る。
映画『大いなる遺産』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『大いなる遺産』のあらすじ【起】
幼いピップが墓参りをしていると、背後からマグウィッチに襲われる。マグウィッチは手錠と足枷をされた脱獄囚だった。マグウィッチは食べ物とやすりを持ってくるように命じる。ピップは翌日、言われた通りのものを持ってくる。その夜、脱獄囚の捜索が行われマグウィッチは別の脱獄囚と揉み合いになっているところを見つかって逮捕されてしまう。マグウィッチは民家に食べ物を盗みに入ったと告白して、ピップが誰からも責められないように配慮する。
ピップは金持ちのミス・ハヴィシャムの屋敷に呼ばれる。ピップは幼いエステラに案内されてミス・ハヴィシャムと対面し、エステラとカード遊びをさせられる。ピップはエステラが偉そうで美人だと思うとミス・ハヴィシャムに耳打ちする。それ以降、ピップはエステラの遊び相手となる。ピップは屋敷でエステラの悪口を言う少年と出会い、ケンカをする。それを見ていたエステラは褒美としてピップに頬へのキスを許す。ピップは育ての義兄と同じ鍛冶屋になるのではなく、紳士になりたいと思うようになる。しかし、ミス・ハヴィシャムはピップを鍛冶屋にしたいという義兄の意思を尊重し、エステルとの遊びを終わりにする。
映画『大いなる遺産』のあらすじ【承】
青年となったピップは義兄の元で鍛冶屋の見習いをしていた。ピップの元に弁護士が莫大な遺産を相続したことを伝えに来る。相続の条件はロンドンで紳士となり、その恩人の身元について探らないことだった。恩人がミス・ハヴィシャムだと思い込んだピップは屋敷を訪ねてお礼を伝えようとするが、ミス・ハヴィシャムに静止される。
ロンドンに着いたピップは弁護士に遺産の管理係を紹介される。そして仮住まいに向かい、同居人と対面する。同居人はエステラの悪口を言っていた少年だった。同居人は、ピップにミス・ハヴィシャムの秘密について教える。かつてミス・ハヴィシャムには婚約者がおり、彼女は婚約者のために醸造所の権利を買ってあげた。しかし財産目的だった婚約者は結婚式当日になって婚約破棄の手紙をミス・ハヴィシャムに送りつけたのだ。
ピップは同居人と共に紳士クラブの乱痴気騒ぎに参加し、新しい部屋を借りる。弁護士は紳士クラブのメンバーに会いたいと言い、そのうちの性悪な若者に目を付ける。義兄がピップを訪ねて来て、ミス・ハヴィシャムが会いたがっていること伝える。ピップは義兄の田舎くさい振る舞いに苛立ち、義兄は自分にはロンドンが相応しくないと直ぐに帰ってしまう。
映画『大いなる遺産』のあらすじ【転】
ミス・ハヴィシャムの元を訪れたピップはそこで美しく成長したエステラと再会する。エステラは優しさや同情心を抱かないように育てられたとピップに警告する。ピップはエステラを連れてロンドンに向かう。エステラは舞踏会で社交会デビューをし、ピップの目の前で紳士クラブの性悪な若者とワルツを踊る。ピップはエステラが自分にはしない微笑みを性悪な若者に見せたことに嫉妬し、エステラはピップ以外の男を欺いているだけだと説明する。
ピップが自宅に戻ると、そこにはマグウィッチが待ち構えていた。マグウィッチはアメリカで畜産業をして成功を収めていた。マグウィッチが自分こそが遺産を譲渡した恩人だと明かす。幼い頃にピップがした行為に対する恩返しだったのだ。マグウィッチは追放された身であり、絞首刑の危険を冒してまでピップに会いに来ていた。
エステラは性悪な若者と婚約してしまう。ピップはミス・ハヴィシャムの屋敷に駆けつけ、エステラに愛を告げる。エステラは心を歪められて育てられたことについてミス・ハヴィシャムを責める。しかし最終的には性悪な若者との結婚を選ぶ。
映画『大いなる遺産』の結末・ラスト(ネタバレ)
マグウィッチは自分の人生についてピップに語る。マグウィッチはミス・ハヴィシャムの婚約者と知り合い、彼女を騙すのに加担したことを明かす。その後、婚約者の企てでマグウィッチだけが重い罪を背負わされたのだ。かつて揉み合っていた脱獄囚こそがその婚約者だった。
ピップは弁護士に事情を問いただす。弁護士は実はマグウィッチには幼い娘がおり、養子を欲しがっていたミス・ハヴィシャムにその子を渡したことを明かす。ミス・ハヴィシャムはピップにエステルを男に復讐するために育てたことを懺悔する。そして転倒した蝋燭の火に包まれて亡くなってしまう。
ピップはマグウィッチを蒸気船に乗せて逃がすことにする。小型の手漕ぎボートで蒸気船を目指すが、警察が追跡してくる。警察のボートには例の婚約者も乗っていた。それを見たマグウィッチは婚約者に飛びかかり、2人とも蒸気船の外輪に飲み込まれる。マグウィッチは助け出されたものの死刑判決を受ける。そしてピップから娘のことを知らされた後に息を引き取ってしまう。
ピップを膨大な借金を抱えてしまうが、義兄が貯金をはたいて全額返済する。同居人とビジネスを始めたピップはエステラとの再会を果たす。エステラは未亡人になっており、2人はお互いの愛を確認し合う。
映画『大いなる遺産』の感想・評価・レビュー
幾度となく映画化された作品で、イーサン・ホークとグウィネス・パルトー主演で現代を舞台に置き換えた1998年の作品もよく知られる。今作ではレイフ・ファインズとヘレナ・ボナム・カーターが複雑な役所を見事に演じており、物語に奥行きを持たせてくれている。ただ残念なのは後半の展開がいささか性急な点だ。矢継ぎ早に種明かしをされ、めまぐるしく画面が変わるために味わって鑑賞することができない。(MIHOシネマ編集部)
ピップの優しさや誠実さが結果的には報われるのですが、そこまでのストーリーがとても切ないので恩人であるマグウィッチが死んでしまったことや、ミス・ハヴィシャムの悲しすぎる思惑など胸がザワザワする展開でした。
何故こんなにも優しいピップがエステルに惹かれたのかがよく分かりません。ストーリー的にそこでしか出会いが無かったからだとしか思えないのですが、もっと広い世界を見て、多くの経験をしていたら他の女性との出会いもあったのでは無いでしょうか。
復讐のためとは言え、最後までエステルのことが好きになれませんでした。(女性 30代)
19世紀イギリスの、気品高い雰囲気は気が引き締まります。インテリアや衣装、ヘアスタイル、どれも現代ではなかなか目にすることができないものばかりで新鮮でした。ヘレナ・ボナム・カーターとレイフ・ファインズの存在感が際立っており、名作『大いなる遺産』を牽引しているように感じます。道徳の授業を受けているような、教訓が詰まったストーリーですから、小さな子供にもおすすめです。ダイジェストのように凝縮した内容なので、原作を読んでおさらいしたいです。(女性 30代)
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