映画『オーケストラ・クラス』の概要:小学生のオーケストラ・クラスを担当することになった音楽家のダウドは、ワガママで落ち着きのない子供たちを相手に奮闘する。コンサートまで子供たちの面倒を見る予定だったが、プロの音楽ツアーの誘いがきて、ダウドは悩む。
映画『オーケストラ・クラス』の作品情報
上映時間:102分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:ラシド・アミ
キャスト:カド・メラッド、サミール・ゲスミ、アルフレッド・ルネリー、ジャン=リュック・ヴァンサン etc
映画『オーケストラ・クラス』の登場人物(キャスト)
- ダウド(カド・メラッド)
- 音楽家。臨時教師として小学校のオーケストラ・クラスを担当する。バイオリンの腕は素晴らしかったが、真面目な性格ゆえに最初は子供たちに教えることにてこずる。年頃の娘とは仲が良くなかったが子供たちに影響されたことで、のちに和解する。
- アーノルド(アルフレッド・ルネリー)
- バイオリンの演奏において天性の才能を持つ少年。生まれてから一度も父親と会ったことがなく、父の愛情に飢えている。自信が無く目立つことも苦手な性格だったが、ダウドと音楽に出会って変わっていく。
- サミール(ザカリア・タイエビ・ラザン)
- オーケストラ・クラスの生徒のひとり。リーダー格の少年で、素行が悪く、生徒や教師にからかい半分の暴言を吐くこともしばしば。それがもとで争いが起きることも多い。
映画『オーケストラ・クラス』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『オーケストラ・クラス』のあらすじ【起】
バイオリンの演奏家ダウドは、臨時職員として小学六年生のオーケストラ・クラスを担当することになった。先任の教師ブラヒミと共に教室を訪れたが、生徒たちはおしゃべりしたり、喧嘩したりして騒いでばかり。だが、音楽はみんな大好きで興味を示していた。
ダウドは生徒たちにバイオリンを渡して授業を開始したが、その様子を教室の窓から覗いている少年がいるのに気がつく。うるさい生徒たちに手本を見せると言ってバイオリンを弾き始めるダウド。その見事な音色に、子供たちは一瞬で引き込まれていった。
教室の電灯の修理で授業が一時中断された時、外で見ていた少年が教室にやってくる。アーノルドという名のその少年は音楽に興味があるようだった。クラスに参加できることになった彼はバイオリンを持ち帰り、ネットで弾き方の動画を検索するとマンションの屋上で練習し始めた。
後日、授業の際にアーノルドの演奏を聞いたダウドは、彼が天性の才能の持ち主であることにすぐに気がついた。
映画『オーケストラ・クラス』のあらすじ【承】
クラスにはサミールという問題児がおり、口も態度も悪かった。ある時、真面目過ぎるダウドの授業中に苛立った彼は暴言を吐く。それを聞いたダウドは思わずサミールに掴みかかってしまった。サミールのような問題児は排除し、アーノルドのようなできる子を伸ばさなくてはと考えるダウドに、彼みたいな子供を救うためにやっているのだとブラヒミは言う。
ダウドがしたことを知ったサミールの父親は怒り、学校に乗り込んでくるとバイオリンを投げつけて帰っていってしまった。子供たちの扱いについて真剣に考えたダウドは、自分のやり方を変えることにした。それは子供たちに音楽を楽しんでもらうこと。
サミールの自宅に謝りに行ったダウド。クラスに戻りたいと言うサミールの言葉に、両親は理解を示してくれた。父親から一曲弾いてくれと頼まれたダウドは、感情いっぱいにバイオリンを奏でた。
年度末のコンサートに向けて練習が続いていた。ダウドはアーノルドにソロパートをお願いする。彼は注目されることを嫌い、上手に弾けるか不安だったがしっかりと練習を続けた。
映画『オーケストラ・クラス』のあらすじ【転】
コンサートは別の学校の生徒たちと合同で行う。そのための合同練習が行われた。だが、ダウドのクラスと他校の生徒の実力差は歴然で、子供たちは悔しい思いをしてしまう。そんな時、ダウドにツアーの誘いがくる。滅多にない話のため、ダウドはそれを受けるつもりでいた。だが、そうなれば子供たちの指導はできず、コンサートもダメになってしまう。相談を受けたブラヒミは落胆を隠せなかった。
子供たちはいつしか放課後に集まり、自主的に練習をするようになっていた。ダウドは子供たちには何も告げず、授業を続けていた。プロの演奏会に参加することになったダウドは、そのコンサートを見に来てほしいとアーノルドにチケットを渡した。
アーノルドはサミールを連れて演奏会にやってきた。ダウドは他の奏者と共に見事なバイオリンを披露するが、不思議と楽しいと思うことができなかった。子供たちと一緒のほうが幸せだと感じたダウドはツアーを断り、これからも子供たちの指導をする道を選ぶ。
映画『オーケストラ・クラス』の結末・ラスト(ネタバレ)
ある朝、いつものように学校へやってきたダウドは、音楽室が焼け落ちているのを発見する。出火原因は以前から不調だった電灯によるものだった。コンサートも間近に迫っていたが、音楽室が無ければ練習はできない。コンサートは諦めるしかないという結論に、ダウドは俯くしかなかった。
事情を知った子供たちはとてもがっかりし、中でもアーノルドは落胆の色を隠せなかった。その様子を見たダウドは、子供たちの家を一軒ずつ回り、両親を集めて現状を説明。話を聞いた親たちはそれぞれにアイディアを出し合って考えた。その結果、サミールの父が会社の倉庫を音楽室の代わりにしたらどうかという案を出す。
親たちは皆で倉庫を片づけ、そのおかげですっかり仲良しに。子供たちも練習が再開できて前向きになり、絆を深めていった。音楽室を失った代わりに、彼らはもっと大切なものを手にできたのだ。
コンサート当日、アーノルドはダウドから娘が使っていたというバイオリンを渡され、ステージに立った。コンサートが始まったが、ダウドの生徒たちは合同練習の時とは比べ物にならないくらい上達しており、見事な演奏を披露する。演奏を終え、満足そうな顔を浮かべる子供たちを、観客はスタンディングオベーションで称賛したのだった。
映画『オーケストラ・クラス』の感想・評価・レビュー
シンプルなストーリー展開は良いと思うのだが、不必要だと思うシーンや、足りないと感じるシーンも多い。アーノルドが父親と会ったことがないというエピソードは、終わりまで見れば必要ないものだと分かる。また、ダウドと娘の話については、子供たちから何かしらのアドバイスがあってそれで和解できたという展開だったならば、なお良かった。音楽において感情はとても重要なものだと思うのだが、本作は人物たちの感情面がとても大雑把に描かれている印象。演奏シーンがとても良いだけに、少しもったいない。(MIHOシネマ編集部)
フランス版『スクール・オブ・ロック』。ジャック・ブラック演じる冴えないロックミュージシャンが臨時講師のフリをして子供たちに「ロック魂」を叩き込み、子供たちがロックに目覚めるのが『スクール・オブ・ロック』ですが、今作は「オーケストラ」がテーマ。ロックほど熱く、楽しく、ハチャメチャな展開とはいきませんが、フランスの小学生のクソガキっぷりがとてもリアルで可愛かったです。
オーケストラの魅力に取り憑かれた子供たちが親も巻き込んで、みんなで力を合わせる姿が素敵な作品でした。(女性 30代)
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