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映画『おろしや国酔夢譚』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『おろしや国酔夢譚』の概要:江戸時代、漂流の末にロシアへ到着した日本人商人の大黒屋光太夫が、仲間達と苦難を乗り越え帰国するまでを描いた伝記作品。史実を基にした井上靖の同名小説を映画化。主人公大黒屋光太夫を、緒形拳が熱演した。

映画『おろしや国酔夢譚』の作品情報

おろしや国酔夢譚

製作年:1992年
上映時間:123分
ジャンル:歴史、伝記
監督:佐藤純彌
キャスト:緒形拳、オレグ・ヤンコフスキー、川谷拓三、三谷昇 etc

映画『おろしや国酔夢譚』の登場人物(キャスト)

大黒屋光太夫(緒形拳)
伊勢出身の商人。航行中に漂流しロシアに辿り着く商船の船頭。
庄蔵(西田敏行)
光太夫の船の船員。凍傷で片足を失う。
小市(川谷拓三)
船員。光太夫と共に日本に帰国する。
九右衞門(三谷昇)
最年長の船員。
新蔵(沖田浩之)
最年少の船員。ロシア人女性ニーナと結婚し、ロシアに留まる。
磯吉(米山望文)
船員。光太夫と共に日本に帰る。
キリル・ラクスマン(オレグ・ヤンコフスキー)
イルクーツクに滞在する博物学者。ロシア科学アカデミー会員。光太夫達の帰国のために尽力する。
エカテリーナ2世(マリナ・ヴラディ)
18世紀ロシアの女帝。
ベスボロドコ伯爵(ユーリー・ソローミン)
ラクスマンの知人の総督府役人。
ブーシュ伯爵(ヴィクトル・ステパーノフ)
ラクスマンの旧友の貴族。エカテリーナ2世の側近。
ソフィア(エレーナ・アルジャニク)
ブーシュの妹。エカテリーナ2世の侍女。
松平定信(江守徹)
江戸幕府老中。
ターニャ(アナスターシャ・ネモリャーエワ)
イルクーツクに住むロシア人女性。父親が日本人で、片言の日本語を話す。
ニーナ(タチヤナ・ベードワ)
イルクーツクに住む未亡人のロシア人女性。新蔵と恋仲になる。

映画『おろしや国酔夢譚』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『おろしや国酔夢譚』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『おろしや国酔夢譚』のあらすじ【起】

1782年。伊勢商人の大黒屋光太夫の商船は、江戸に向かう際に嵐に遭遇する。9ヶ月に渡る漂流の間に、17名の船員のうち6名が死亡する。光太夫は漂流記を付け始める。

漂流から248日後、光太夫達はロシア帝国属領のアムチトカ島に漂着する。一行は、原住民や出稼ぎに来ているロシア人商人達に取り囲まれる。言葉が全く通じない光太夫達は、身振りで敵意が無いことを示す。現地住民は光太夫達を迎え入れ、住居や食料を提供する。光太夫達は少しずつロシア語を学び、ロシア人達と交流を深める。

極寒の冬が訪れ、光太夫の船員5名が死亡する。光太夫達は飢えを凌ぐため、仏教の戒律を破って獣肉を食べて生き延びる。

春になり、ロシア人商人達は、ロシア本土からの迎えの船に乗ってオホーツクへ帰る予定である。商人達は、光太夫達をオホーツクまで送ると約束する。

後日、ロシア本土から来た船はアムチトカ近海で難破する。オホーツクへ渡る手段がなくなったロシア人達はヤケを起こし酒浸りになる。何とかして帰国への一歩を踏み出そうと、光太夫達は船を造り始める。ロシア人達の協力を受け、光太夫達は2年をかけて船を完成させ出航する。
光太夫一行とロシア人達を乗せた船は、オホーツクへ無事到着する。

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映画『おろしや国酔夢譚』のあらすじ【承】

光太夫はオホーツクの役所に帰還嘆願書を提出するが、役人は中央政府からの返事はいつになるかわからないと答える。光太夫達は漂流民認定を受け、生活費を支給される。

少しでも早く帰国するため、光太夫達はイルクーツクのシベリア総督府へ行く決意をする。壮絶な寒さを乗り越え、5ヶ月後に一行はイルクーツクに到着する。

シベリア総督は既に首都サンクト=ペテルブルクに戻っており、光太夫達はイルクーツクでの滞留を余儀無くされる。現地貴族の援助により、光太夫達は住居と生活費を支給される。

光太夫達に与えられた家の柱には、日本語が彫られている。驚く光太夫達の前に、片言の日本語を話すロシア人女性ターニャが現れる。ターニャの父親は、40年前にロシアに漂着し日本語教師として客死した日本人である。

凍傷のため、庄蔵は右足を切断する。ターニャは意気消沈した庄蔵を甲斐甲斐しく看護する。新蔵は、ロシア人未亡人のニーナと恋仲になる。

イルクーツクの貴族が主催する晩餐会で、光太夫たちは博物学者のラクスマンに出会う。ラクスマンは光太夫に日本地図制作の助力を依頼し、代わりに光太夫達の帰国に尽力することを約束する。進歩的な考えを持つラクスマンの影響を受け、光太夫は世界に目を向け始める。

光太夫は総督府より、日本語講師としてロシアに残るよう言い渡される。どうしても日本に帰りたい光太夫達は、ラクスマンの提案を受けて首都サンクト=ペテルブルクにいるエカテリーナ2世に直訴しようと考える。光太夫とラクスマンは首都へ向かう。

ニーナと結婚した新蔵は、ニーナの故郷へ移る。

映画『おろしや国酔夢譚』のあらすじ【転】

3ヶ月後、光太夫とラクスマンはサンクト=ペテルブルクに到着する。ラクスマンは知人のベスボロドコ伯爵を介し、エカテリーナに宛てた帰還嘆願書を提出する。突如、ラクスマンは体調を崩し、光太夫は献身的に介護する。

イルクーツクから光太夫のもとに、最年長の船員の九右衞門が死去したとの知らせが届く。

トルコとの戦争を控えたロシアは多忙を極め、光太夫の帰国願いはなかなか聞き届けられない。嘆願が通ったか確かめるため、光太夫は単身ベスボロドコを訪ねる。ベスボロドコは、エカテリーナへの拝謁を早めるために日本の詳細地図を作成するよう、光太夫に要求する。光太夫は立派な地図を完成させる。

夏の間、エカテリーナはペテルブルク郊外の離宮に滞在する。ラクスマンは、光太夫に大臣を務める旧友ブーシュ伯爵を紹介する。ブーシュは光太夫を歓迎し、エカテリーナの侍女である妹ソフィアと共に、光太夫の嘆願がエカテリーナに届くよう手助けする。

数日後、光太夫はエカテリーナへの拝謁を許可される。光太夫はラクスマンと共に離宮へ趣き、謁見の間へ通される。エカテリーナは光太夫にいくつかの質問をした後に、このままロシアに残るよう告げる。

光太夫は、謁見の間を去ろうとするエカテリーナに土下座して必死に縋る。決死の訴えを聞き入れたエカテリーナは、光太夫達の帰国を許可する。

映画『おろしや国酔夢譚』の結末・ラスト(ネタバレ)

イルクーツクへ戻った光太夫とラクスマンは、船員達に帰国許可が下りたことを報告する。ターニャの影響を受けた庄蔵はキリスト教へ改宗し、日本語教師としてイルクーツクに残ることを決意する。

ラクスマンに別れを告げ、光太夫、小市、磯吉はロシアの船に乗り込み日本を目指す。

数ヶ月後、船は蝦夷地に到着する。江戸幕府は光太夫達の帰国を許可せず、外国から帰った者は全て死刑に処すると通達する。

通商を望むロシアと、鎖国状態を維持しようとする幕府との交渉が始まる。ロシアについて知ってもらうため、光太夫は9年間綴ってきた日記を老中の松平定信に提出する。審議の後、光太夫達は長崎港からの入国を許可される。

蝦夷地から長崎へ向かう間、小市は衰弱死する。長崎から上陸した光太夫と磯吉は罪人として扱われ、拘束されて江戸へ送られる。日本での不遇を嘆いた二人は、ロシアで過ごした9年間は夢だったのではないかと考える。

後に、光太夫は江戸での生活を許可されて78年の生涯を全うする。光太夫とラクスマンの交流が、後世の日本とロシアの国交のきっかけとなる。

映画『おろしや国酔夢譚』の感想・評価・レビュー

「生」と「死」を真正面から感じさせる、心に響く作品でした。とても悲しく苦しいストーリーでしたが、これが「リアル」な時代があったと言うことを知り、もっと自国、他国のことを学ばなければいけないと感じました。
伊勢から江戸へ向かう途中で「漂流」してしまった日本の船と乗組員たち。長い長い時間をかけて、なんとかロシアへ辿り着きますが、そこから再び日本へ帰るのは決して簡単なことではありませんでした。
タイトルの「おろしや」は「ロシア」の事でした。日本人なら一度は見るべき作品です。(女性 30代)

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