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映画『男はつらいよ フーテンの寅』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『男はつらいよ フーテンの寅』の概要:男はつらいよシリーズの第3作目となる作品。山田洋次監督の助監督をしていた森崎東が監督を務めている。山田洋次が脚本に参加しているため、物語の大筋は変わらないが、演出面では他の作品との違いを感じる。重要なキャラクターのさくらの影が薄く、満男も登場しない。

映画『男はつらいよ フーテンの寅』の作品情報

男はつらいよ フーテンの寅

製作年:1970年
上映時間:90分
ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ
監督:森崎東
キャスト:渥美清、新珠三千代、森川信、三崎千恵子 etc

映画『男はつらいよ フーテンの寅』の登場人物(キャスト)

車寅次郎(渥美清)
通称、寅さん。テキ屋稼業を生業とし、日本全国を旅している渡世人。そろそろ腰を落ち着けたいとは思っているが、なかなかうまくいかない。身内には迷惑ばかりかけている困り者だが、義理人情に厚く、男気もある。
お志津(新珠三千代)
三重県の湯の山温泉にある旅館の女将。お嬢様育ちの美しい未亡人で、お志津に惚れてしまった寅さんが、番頭として宿に居着く。亡くなった夫との間に娘が1人いる。立派な大学教授からプロポーズされている。
信夫(河原崎健三)
お志津の弟。母親が死んでからグレ始め、東京の大学を退学してフラフラしている。幼馴染みの染奴と恋人同士だが、いつまでもしっかりしないので、別れを告げられる。バイクを乗り回し、不良ぶっているお坊ちゃん。
染奴(香山美子)
信夫の幼馴染みであり、恋人。酒の飲み過ぎで体が不自由になった父親を養うため、芸者をしている。ヤクザ者だった父親の借金が返せず、信夫と別れて、金持ちの妾になろうとしている。
駒子(春川ますみ)
寅さんと見合いをする料理屋の女中。寅さんとは、仙台の焼き鳥屋で働いていた頃からの知り合い。妊娠中にも関わらず、浮気した亭主への腹いせに、寅さんと見合いをした。
お澄(野村昭子)
もみじ荘のベテラン女中。口の達者なしっかり者で、お嬢様育ちでのんびりとしたお志津を支えている。
さくら(倍賞千恵子)
寅さんの異母妹。どんな時も寅さんの味方になってくれる優しい妹。満男の子育てに奮闘中。
車竜造(森川信)
通称、おいちゃん。寅さんの叔父。東京の葛飾柴又で「とらや」というケチなだんご屋を営んでいる。「本当にあいつはバカだ」と言いつつ、常に寅さんのことを心配し、幸せになることを願っている。
車つね(三崎千恵子)
通称、おばちゃん。竜造の妻。気持ちの優しい人だが、腹を立てた時はハッキリと文句を言う。
梅太郎(太宰久雄)
通称、タコ社長。とらやの裏手にある貧しい印刷工場の社長で、常に金策で走り回っている。さくらの夫の博は工場の従業員。寅さんの縁談話を持ってくる。

映画『男はつらいよ フーテンの寅』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『男はつらいよ フーテンの寅』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『男はつらいよ フーテンの寅』のあらすじ【起】

旅先で風邪を引いてしまった寅さんは、寂れた温泉旅館の物置部屋で寝ていた。世話をしてくれる女中に、おいちゃんやおばちゃん、そしてさくらのことを語っているうちに、寅さんは故郷の柴又に帰りたくなる。

東京は葛飾柴又の帝釈天参道にあるだんご屋「とらや」では、寅さんの縁談話が持ち上がっていた。タコ社長の話によると、この近所の料理屋で働く女中が寅さんとの縁談に乗り気らしい。そこへ、寅さんがひょっこり帰ってくる。

その夜、寅さんはとらやの一同に歓迎され、おいちゃんと機嫌良く酒盛りをする。おいちゃんに、そろそろ腰を落ち着けて店を手伝って欲しいと言われ、寅さんもだんだんその気になってくる。そこで博は縁談の話を持ち出し、とにかく会ってみてはどうかと寅さんを説得する。女性の好みを聞かれた寅さんは、贅沢は言わないと言いつつ、細かく理想の女性像を語り始め、一同を呆れさせる。

翌日、寅さんは慣れないスーツ姿で、見合いの席に座っていた。ところが、見合い相手の駒子は、寅さんがよく行く仙台の焼き鳥屋の従業員で、2人は顔見知りだった。しかも、寅さんは駒子の亭主のことも知っており、その話になると駒子はオイオイ泣き出す。見合いに付き添っていたタコ社長とおいちゃんは、あまりの気まずさにその場から逃げ出す。

駒子と亭主は仙台から東京へ出てきて、貧しいながらも幸せな新生活をスタートさせた。その矢先、亭主の浮気が発覚し、駒子はその腹いせに見合いをしていた。泥酔した駒子は寅さんに愚痴を聞いてもらい、自分が妊娠していることを打ち明ける。

寅さんは駒子と亭主の仲人役を買って出て、2人を仲直りさせる。さらに、復縁した2人の門出を祝い、とらやで結婚式までしてやる。おいちゃんたちは困り果て、さくらを呼ぼうとするが、満男が熱を出していて、さくらは来られない。寅さんは散々大騒ぎした後、駒子夫婦をハイヤーに乗せ、新婚旅行に送り出してやる。駒子夫婦に深く感謝され、寅さんはご満悦だった。

ところが、費用は全てとらや持ちだと聞いて、おいちゃんとおばちゃんの怒りが爆発する。寅さんのためなら喜んで出すが、赤の他人の結婚式の費用からハイヤー代まで支払う義理はないと言われ、寅さんは「おいちゃんはそんなに心の冷たい人間なのか」と反論。ついには温厚な博まで怒り出し、寅さんと取っ組み合いの喧嘩になる。博に投げ飛ばされ、おいちゃんとおばちゃんまで泣かせてしまい、さすがの寅さんも深く反省する。

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映画『男はつらいよ フーテンの寅』のあらすじ【承】

翌朝、寅さんはさくらに見送られ、旅に出る。さくらだけは、仲人役になってしまった寅さんのつらい気持ちを理解してくれた。博も昨夜のことを後悔し、謝りに来る。寅さんは多くを語らず、博にさくらのことを頼んで旅立つ。

1ヶ月後。おいちゃんとおばちゃんは骨休めをするため、三重県の湯の山温泉を訪れる。宿の美人女将のお志津は、丁寧に部屋まで挨拶に来て、おいちゃん夫婦を感心させる。女中の話によると、今いる若い方の番頭は、客としてこの宿へ来てお志津の魅力に取り憑かれ、そのまま居着いてしまったらしい。おいちゃんとおばちゃんは、そんな奴がいるのかなんて笑っていたが、女中が「寅さん!」と呼ぶのを聞いて嫌な予感がする。女中に呼ばれて部屋に来た番頭は、2人の甥っ子の寅さんだった。

夜、おいちゃんとおばちゃんは、部屋で酒盛りをしながら寅さんの話を聞く。寅さんは、お嬢様育ちで何もできない女将を見かねて、人助けのつもりでここにいるのだと語っていたが、周囲はそんな風に思っていない。寅さんが余興に出かけた後、おいちゃんたちの部屋を訪れたベテラン女中のお澄は、お志津に惚れた寅さんが、捨て猫みたいに居着いてしまったのだと呆れていた。おいちゃんとおばちゃんが身内だとも知らず、お澄は言いたい放題に寅さんの悪口を言って、2人をがっかりさせる。

翌日、ぐったり疲れたおいちゃんとおばちゃんは、何も知らない寅さんに見送られ、東京へ帰る。

映画『男はつらいよ フーテンの寅』のあらすじ【転】

2人を見送った帰り、ラーメン屋に入った寅さんは、芸者の染奴と不良青年の痴話喧嘩に遭遇する。寅さんは知らなかったが、その不良青年は東京の大学へ進学したお志津の弟の信夫だった。染奴と信夫は恋人同士だったが、染奴は病身の父親の借金を返すため、金持ちの妾になろうとしていた。別れの手紙を受け取った信夫は、急いで東京から戻って来て、どういうことだと染奴に詰め寄る。寅さんは顔なじみの染奴をかばい、信夫と喧嘩になる。

2人は橋の上で決闘することになり、寅さんは渡世人らしく、喧嘩の前に仁義を切る。ところが、血の気の多い信夫は、いきなり寅さんにナイフを向ける。その様子を目撃したお志津が「待って!」と声をかけたので、寅さんは慌ててしまい、川へ落ちる。

脳しんとうを起こした寅さんは、お志津の部屋で目を覚ます。そこで初めて、信夫がお志津の弟であることや、グレ始めた経緯を聞く。お志津は、信夫が自殺でもするのではないかと心配していた。寅さんは、ただのイロノーゼだから心配ないと言って、お志津を安心させてやる。

信夫はヤケになり、「一生ここには帰らない」とお志津に言い残し、バイクでどこかへ行こうとする。寅さんは信夫のバイクに便乗し、一緒に染奴の家へ行く。ヤクザ者だった染奴の父親は、酒の飲み過ぎで体が不自由になり、娘に頼るしかない惨めな暮らしをしていた。どうしても染奴と一緒になりたい信夫は、旅館を叩き売って借金を返してやると言って、寅さんに殴られる。貧乏人にとって、金持ちに札束で頬を叩かれることほど屈辱的なことはない。寅さんは、口がきけなくなった父親の代わりに、貧乏人の悲しさを教えてやる。

信夫の気持ちを知った染奴は「信夫さんのお嫁さんになりたい」と父親に訴える。父親は嬉し涙を流し、2人でどこかへ行けという素振りをする。寅さんは父親の気持ちを代弁し、後のことは任せろと言って、若い2人を行かせてやる。寅さんは改めて、自分と同業者だった父親に丁寧な仁義を切り、労いの言葉をかける。信夫と染奴はお志津に挨拶をして、新しい生活を始めるために旅立っていく。

映画『男はつらいよ フーテンの寅』の結末・ラスト(ネタバレ)

ずっと気がかりだった信夫のことが落ち着き、お志津は再婚するため、旅館を閉めることにする。実は、お志津には前々から結婚を考えている男性がいて、今年中に仮祝言を挙げたいと言われていたが、信夫や旅館のことがあるので、返事を待ってもらっていた。そろそろ引退を考えていたお澄と番頭さんは、お志津の決断を支持する。若い女中や板前も大丈夫だが、寅さんにどう説明するかが問題だった。

お志津は全てを打ち明けようとするが、寅さんが風邪を引いて寝込んでいたこともあり、どうしても言い出せない。仕方がないので、お澄が寅さんに話すことになるが、お澄でもダメだった。それなら自分がということで、今度は番頭さんが寅さんの部屋へ行くが、やはり言えない。結局、その夜は寅さんに話すことを諦める。

翌朝、お志津は寅さんのことをお澄に頼み、娘と一緒に婚約者の所へ出かけていく。すっかり元気になった寅さんは、上機嫌で起きてくる。お澄は実名を伏せ、亭主に死に別れた子連れのきれいな女性が、大学教授から求婚されて結婚する気になっているのだが、この女性に横恋慕している男がいて困っているのだと話す。寅さんは、それがお志津と自分の話だとは気づかず、「そのバカに諦めろと言ってやれ」と呑気なことを言う。しかし、あれこれ話しているうちに、そのバカは自分なのだと気づき、大ショックを受ける。

寅さんは置き手紙を残して姿を消すが、再び舞い戻ってきて、お志津の部屋の前で別れの挨拶をする。寅さんは中にお志津がいるものと思い込んでいたが、部屋にいたのはお澄と番頭さんと若い女中の3人だった。息を殺して寅さんの話を聞いていた3人は、何だか切なくなる。

大晦日。とらやでは、店を手伝いに来てくれた駒子夫婦ととらやの一同が、年越し蕎麦を食べながら年を越す。「寅さんはどうしているだろうか」などと話していると、初詣の様子を中継していたテレビ番組に寅さんが登場する。家族のことを聞かれ、「家には子供が3人いる」と答える寅さんを見て、おいちゃんは「バカだねえ」と言いながら涙ぐむ。

正月、寅さんは鹿児島から種子島へ渡る船に乗り、乗客にテキ屋の口上を教えてやる。寅さんは失恋のショックから立ち直り、すっかり元気になっていた。

この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ局の映画番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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