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映画『泳ぐひと』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『泳ぐひと』の概要:短編小説家ジョン・チーヴァーが書いた1964年の同名小説の映画化。アメリカ東部郊外の高級住宅地に、プールをハシゴして家に帰ろうとする中年男の姿をシュールに描いている。

映画『泳ぐひと』の作品情報

泳ぐひと

製作年:1968年
上映時間:94分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:フランク・ペリー、シドニー・ポラック
キャスト:バート・ランカスター、マージ・チャンピオン、キム・ハンター、ジャネット・ランドガード etc

映画『泳ぐひと』の登場人物(キャスト)

ネッド・メリル(バート・ランカスター)
郊外の高級住宅地に住む会社員。海パン姿で友人宅に現れ、プールをハシゴして家に帰ろうとする。そのルートは妻の名前を取ってルシンダ川と名付ける。
ジュリー・アン・フーバー(ジャネット・ランドガード)
ネッドの娘のベビーシッターをしていた近所の女性で、その当時、ネッドに憧れを抱いていた。彼のプールハシゴに付き合う。
シャーリー・アボット(ジャニス・ルール)
ネッドのかつての不倫相手。海パン姿のネッドが訪れたため、冷たくあしらう。

映画『泳ぐひと』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『泳ぐひと』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『泳ぐひと』のあらすじ【起】

アメリカ東部の郊外にある高級住宅地。ほとんどの家には広い庭があり、大きなプールを所有していた。ある夏の日、主人公のネッド・メリルは海パン姿で友人の豪邸に現れる。彼は中年とは思えないほど引き締まった体で、やけにエネルギッシュであった。二日酔いの友人にお構いなく、プールに飛び込んで泳ぎ渡る。

ネッドは友人たちと久しぶりの会話をした後、丘に点在する豪邸を見つめながら、「これから豪邸のプール伝いに群境を越え、家に帰る」と言う。そのルートを妻の名前であるルシンダ川と名付けると、彼はすぐに行動に移し、友人宅を出てグラハム家に入った。濾過装置が備わっているという自慢話を聞いてプールに飛び込むが、その家の母親に怒られて屋敷を追い出される。

牧場で馬と競争を楽しんだネッドは、次の屋敷へ。そのプールにはかつて自分の娘のベビーシッターをしてくれた女性、ジュリーが泳いでいた。彼女は面白がって、ネッドと一緒にプールのハシゴに付き合うことに。彼女は以前、子供心に彼を愛していたことを明かした。

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映画『泳ぐひと』のあらすじ【承】

2人はパーティー中のバンカー家に行った。ネッドは顔見知りのパーティー客に挨拶をした後、バーカウンターでジュリーとシャンパンで乾杯する。そこに知人が現れ、「あの男は君に対してひどい仕打ちをしたものだ」とネッドを心配する。しかし、ネッドはその話を聞き流し、ジュリーと2人でプールを泳ぎ渡った。

バンカー家を出た2人は、水着のまま馬術練習場に入り、まるで子供のように走り回った。ひとしきり走った後は森の中を歩き、ジュリーは近況を話し始める。彼女は現在、一流企業で秘書をしているが、都会には変な男が多いと言う。すると、ネッドは心配そうに見つめ、僕が一緒に行動して君を守ると迫る。焦ったジュリーはボーイフレンドがいること伝えるが、ネッドは一方的に盛り上がってキスをしそうになったため、ジュリーは慌てて逃げ出した。

ネッドは一人でスティーブの屋敷へ行くが、本人は不在で彼の両親が庭で寛いでいた。ネッドは突然、素っ裸になって話しかけたため、彼らはネッドの精神状態を心配する。ネッドはプールに入って泳ぎ渡り、プールから出ると海パンを履いて次の屋敷へ向かった。

映画『泳ぐひと』のあらすじ【転】

次の屋敷ではその家の少年と仲良くなるが、プールには水が張られておらず、泳ぐことができなかった。ネッドは少年とプールの底に入り、「水はあると思えばあるのだ」と泳ぐ真似をする。クロール、平泳ぎの真似で少年はすっかり泳いだ気分になり満足する。

ネッドが次の豪邸に行くと、盛大なパーティーの真っ最中。キャビアの山盛りなど高級料理が用意され、ガラス張りの屋根の下には大勢の客が集まっているのに、誰も泳いでいないという不思議な光景だった。ネッドが客のひとりに尋ねると、髪のセットが崩れるから泳ぐのは嫌だと言う。

ネッドは誰も泳いでいないプールに飛び込んで泳ぎ渡ると、プールサイドに上がった。すると、ドリンクワゴンを見て、これは僕の物だと騒ぎ始める。それは彼の妻が以前、慈善市に出品したワゴンだった。ネッドは家の主人と揉み合いになると押し倒され、パーティー客の冷たい目線を浴びながら屋敷を退出。森を歩いて次の屋敷に向かうのだった。

映画『泳ぐひと』の結末・ラスト(ネタバレ)

ネッドが次に向かったのは、彼の元不倫相手のシャーリーの屋敷。プールサイドで寛いでいる彼女の前に現れ、プールをハシゴしていると言うと、彼女は「相変わらず変なことをしているのね」と失笑する。

彼女はネッドと別れる時にひどい仕打ちを受けていたため、彼を偽善者だと言って追い返そうとした。すると、ネッドは彼女の背中にオイルを塗って慰め、旅行に行こうなどと言う。プールの中で彼女を抱こうとして怒らせてしまったため、泳ぎ渡った後に出て行った。

ネッドは海パン姿のまま高速道路を横切り、公営プールに行った。小銭がないため入場を断られるが、見知らぬ人から50セントをもらい、体の汚れをシャワーで落としてプールに入る。人混みに揉まれながら泳ぎ渡ると知人に会い、借りはいつ払うのかと問い詰められる。さらに、君の娘は陰で君を間抜けだと言っていたと笑われた。

すっかり傷心したネッドは自宅に戻るが、屋敷は長年誰も住んでいないような荒れ放題。大雨でずぶ濡れになりながらドアを開けようとするが、鍵が掛かって開かず、ネッドはドアの前で崩れ落ちるのだった。

映画『泳ぐひと』の感想・評価・レビュー

主人公の男は最初から最後まで海パン姿という滑稽な姿で、プールをハシゴして家に帰るという奇妙な行動に夢中になる。中年なのに子供のようにはしゃぐ姿が実に不気味。太陽の日差しが眩しいほど、彼の不安定な精神状態が際立っているように感じた。

郊外に住む平凡なサラリーマンの崩壊を描いた「アメリカン・ビューティー」と雰囲気が似ていると思われるが、本当のところはアメリカ人でないと分からないんだろうなと思いながら鑑賞した。(MIHOシネマ編集部)

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