映画『パドルトン』の概要:「隣人」であるアンディーと一緒に過ごす時間を変えずに、自分の手で人生の終わりを迎える選択をしたマイケル。安楽死という決断を前に、本人と看取る者の視点が同時進行する展開の一作。
映画『パドルトン』の作品情報
上映時間:89分
ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ
監督:アレックス・レーマン
キャスト:マーク・デュプラス、レイ・ロマノ、クリスティン・ウッズ、カディーム・ハーディソン etc
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映画『パドルトン』の登場人物(キャスト)
- マイケル(マーク・デュプラス)
- 末期がんの宣告を受けた男性。結婚を失敗した経験から、一人で生きていくと決めていたが、安楽死を選択し親友に看取ってほしいと願うようになる。
- アンディー(レイ・ロマノ)
- マイケルの上の階に住む男性。人と何気ない会話をするのが苦手であるが、マイケルとのやり取りに安堵感を抱いている。突如親友が決断した安楽死を受け止め、看取る覚悟をする。
映画『パドルトン』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『パドルトン』のあらすじ【起】
CTスキャンで胃と肝臓に大きな腫瘍が見つかったマイケル。医師は癌かどうかわからないので、専門医を紹介するという。曖昧な診断に納得がいかないアンディーは、言葉を選びながら状況を明確にしようと必死に食い下がるのだった。しかし二人の関係は「隣人」。アンディーに対して病状の説明する義務はないのである。そんな状況でも、二人はオリジナル競技の「パドルトン」を一緒に楽しむことに変わりはなかった。
アンディーは仕事の休憩中に「浮いている男性」を見たという。実社会のルールに反しているというアンディーに対して、認めるべきだとなだめるマイケル。腫瘍の専門医の診断は「実に専門的だった」と癌かもしれない状況を他人事のように話すのである。そんなやり取りをしながら、二人はカンフー映画を一緒に見た。翌日もクイズゲームをする約束をして、アンディーは自分の部屋へと戻っていく。各々の部屋で床に就くと、マイケルは苦しそうにむせている。その声を聞いたアンディーは心配を募らせるのだった。
マイケルなりに気を使っていると分かっているからこそ、アンディーはたわいもない会話を振る。仕事をして、一緒に夕食を食べ、映画を見る。何気ない日々が繰り返される中で、実はマイケルはとある選択を強いられていた。
映画『パドルトン』のあらすじ【承】
いつも通りパドルトンで勝負した二人。気兼ねない話をするも、マイケルのリアクションはいつもと少しだけ違った。アンディーの問いかけに冷静に対応するはずのマイケルが困惑していたのだ。違和感からちょっとした間を作ってしまったアンディー。するとマイケルは紹介された専門医に会ったこと、さらに他の専門医にも会ったことを話し始めた。実は余命が6ヶ月もないという状況のマイケルは、入院やチューブを取り付けられた姿を回避したいと考えていた。自宅での尊厳死を望んでいたのである。そこでアンディーに手伝ってほしいと頼むのである。しかし友人の命のリミットを一緒に向かえるということを受け止めきれないアンディー。「変わらない日常」を送りたいというマイケルの願いを聞き入れるまで時間はそうかからなかった。
安楽死のための薬を変える薬局は限られている。一番近くても車で6時間かかるのである。二人はドライブも兼ねて一緒に向かうことにした。道中、マイケルは安楽死について家族にも話していないことを明かした。アンディーは事の重要さを身に染みたのである。
映画『パドルトン』のあらすじ【転】
薬局に到着した二人。事前にフィルという担当者と念入りに話を打ち合わせしたというのに、その日は休みだった。出直そうというアンディーだったが、代わりにデイブという男性が対応してくれた。当人のマイケルよりも緊張しているアンディーは、終始ピリピリしていた。代金も全て払う気だったアンディーだが、カードが使えずより苛ついてしまう。銀行に連絡している隙を見て会計を済ませたマイケル。服用する際の注意を念入りに聞くのだった。
二人は長距離の往復を防ぐため、薬局の近くに一泊する予定であった。フロントで同性愛カップルだと勘違いされるハプニングや、アンディーが薬の保管に気を使いすぎるなどバタバタしているがマイケルはいたって冷静だった。気晴らしに飲みに行った二人。デイブも合流し、共通の趣味であるカンフー映画についての話で盛り上がりすぎた二人は少し飲みすぎてしまった。ホテルのスパに無断で入り、気晴らしをしているところをフロントの女性に見つかってしまう。怒られると覚悟をした二人だったが、なんとフロントの女性は一緒に入るというのだ。拍子抜けした二人だったがとても穏やかな時間を過ごせた。
マイケルはアンディーに気を使い、フロントの女性と二人きりにするために先に部屋へ戻った。良い感じの雰囲気になるも、マイケルの死が頭によぎりアンディーは勇気を出すことができなかった。部屋に戻ると、マイケルは横たわっていた。一人で薬を飲んだのではないかと早とちりしたアンディーだったが、マイケルは驚かせようとしただけだった。
映画『パドルトン』の結末・ラスト(ネタバレ)
翌朝、アンディーが目覚めるとマイケルの姿がなかった。金庫に入れた薬も一緒に。焦って捜し回るアンディーだったが、マイケルはロビーでくつろいでいた。金庫を取り上げたアンディー。「当事者は僕だ」と主張するマイケルだったが、アンディーは友人の死を目前に冷静ではいられなかった。帰り道の車中は少し気まずい時間であった。アンディーは自宅に戻ると、抱える恐怖について正直に告白した。仕事をして、一緒に夕食を食べ、映画を見る二人の日常が戻ってきた。変わったのはマイケルの体調だけである。少しずつ進行していく症状をアンディーはずっと見守った。
少しだけ体調がいい日を迎え、計画を実行したいというマイケル。二人で100錠の薬を見ずに溶かしながら、マイケルは初めて結婚していた事実を打ち明けた。アンディーも初対面の印象が悪かったこと、ずっと答えを教えなかった問題に本当は答えがないことを打ち明けた。最期の場所を慎重に選ぶマイケル。できる限りサポートするアンディーは、一人キッチンで涙をぬぐいマイケルの元に薬を運んだ。
意を決して薬を一気に飲み干したマイケル。一緒に横になってほしいと初めて甘えたマイケルに寄り添うアンディー。震えが来ると、マイケルは冷静さを失い始めてしまう。アンディーが手を握ってくれたことで、落ち着きを取り戻したマイケル。「君に愛していると伝えたい」とこれまでの感謝を伝え、目を閉じた。「愛している」と伝え返し、親友との別れを迎えたアンディー。看取った後、唯一変わったのはパドルトンも映画も全て一人ぼっちであること。そして、マイケルから引き継いだ車に乗るようになったこと。
マイケルが住んでいたCの部屋に新たな入居者の親子がやってきた。不愛想な息子にどこかマイケルの影を感じ、パドルトンを一緒にやらないかと声をかけるのだった。
映画『パドルトン』の感想・評価・レビュー
何気ない一言が非常に温かい物語であった。たった1時間半の作品ではあるが、マイケルとアンディーの過ごした時間をすべて見てきたような親近感でいっぱいになるのは、隙のある日常に共感をしたからなのだろうか。当たり前に一緒にいる存在が、自らの意思で終わりを迎えようとしている。「解くなら今しかないから」というフレーズはその先の楽しみがない現実を突きつけるキーワードであった。華やかさで溢れたキャストでもない、物語にわかりやすい緩急があるわけでもない。ただ二人の掛け合いと決断を見守る物語は、多くの人に触れてほしい時間であった。(MIHOシネマ編集部)
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