映画『パス・オーバー』の概要:街角に佇む2人の黒人の青年。現状を憂い、嘆き、不満を漏らし、たまに陽気に踊り、歌う。そんな2人の様子を、観客がじっと席で見守る。監督スパイク・リーが手掛ける、舞台演劇を映像化したユーモア溢れるドラマ作品。
映画『パス・オーバー』の作品情報
上映時間:74分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:スパイク・リー
キャスト:ダンヤ・テイモア、ジョン・マイケル・ヒル、ジュリアン・パーカー、ライアン・ハラハン etc
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映画『パス・オーバー』の登場人物(キャスト)
- モーゼ(ジョン・マイケル・ヒル)
- 黒人の青年。兄を白人警官に殺されている。
- キッチ(ジュリアン・パーカー)
- 黒人の青年。お調子者で、決め事はモーゼに頼るところが多い。
- マスター(ライアン・ハラハン)
- 母を訪ねて歩いてきたが、道に迷いモーゼとキッチに出会う。
- 警察官(ブレイク・デロング)
- モーゼとキッチが街角を離れようとするたびに現れ、妨害してくる白人主義者。
映画『パス・オーバー』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『パス・オーバー』のあらすじ【起】
シカゴにあるステッペン・ウルフシアターに人々が集まる。M・L・キング・Jr通りの街角に佇む、黒人の青年2人の日常の物語が幕を開ける。青年モーゼとキッチは、ユダヤ教徒だった牧師のおばさんに言われた“約束の地”を夢見ている。
2人は、黒人を蔑みすぐに銃を発砲する白人警察官に悪態をつき、いつかこの場所から離れて約束の地で自由な暮らしがしたいと語り合う。そして、今日この町を出て行く決意を2人ですると、ユダヤ教の宗教的記念日である過越“パス・オーバー”と叫ぶ。
モーゼがキッチをからかい、キッチもおどけて声色を変えながらモーゼをからかう。2人のお茶目な会話に、場内からは時々笑い声が漏れる。早口で言葉を掛け合い、ダンスを踊り、取っ組み合いをし、たまに言い争うように言葉を荒げる。
どこかからか銃声が聞こえると、警察官の悪口を言い、兄を警察官に殺されたモーゼをキッチが慰める。そして再び2人はこれまでと変わらずおどけて、冗談を言い、取っ組み合いをする。
映画『パス・オーバー』のあらすじ【承】
2人がチャンバラごっこをしていると、白人の男性が現れ、2人はモルモン教徒か警察官じゃないかと警戒する。全身真っ白のスーツに、白いハットを被り、大きなバスケットを持った男性は旅行者だと語る。
男性は、母の家に食料を届ける途中だが迷ってしまい、足が痛くて休みたいと申し出る。その代わりにバスケットの食料をお裾分けすると差し出す男性に、キッチは興味津々で男性の話を聞く。
モーゼが頑なに拒んでいると、再び銃声が聞こえ、モーゼとキッチは警察官に悪態をつく。状況が理解できない男性に、シカゴでは白人警察官が黒人を殺しに来るのだと話す。酷い状況だと嘆く男性は、道にシートを引いて座り込み、2人にバスケットの中身を見せた。
中からは果物やハンバーガー、チキンに点心、ワイン、ビールが出てくる。そして最後にモーゼの好物であるコラードとインゲン豆炒めを差し出すと、モーゼは観念したようにフォークを手に料理を口にする。
白人男性がマスターと名乗ると、モーゼもキッチも顔をしかめて料理を投げ捨てる。
ただの名前だとマスターが話しても、2人は聞く耳を持たない。事あるごとに会話の途中で「ニガ」と言う黒人を蔑む言葉を連発するモーゼとキッチに、マスターは嫌悪感を露わにする。母親から使用を禁止されていたと、マスターは「ニガ」の単語を拒絶するが、2人はマスターに使うように強要する。
2人に詰め寄られたマスターは料理をバスケットにしまい、さよならと行ってしまった。
映画『パス・オーバー』のあらすじ【転】
モーゼは、マスターが何者だったのかとキッチに問う。マスターの存在に首を傾げていた2人は、白人は「ニガ」を使わないと結論付ける。そして「ニガ」を使わないよう白人に成りすませば、警察官の目を誤魔化してシカゴから出て行けると浮き足立つ。
2人はマスターの言葉の真似をし、ごきげんようと使い慣れない挨拶をし合う。背後から白人警察官が現れ、2人に話しかける。モーゼもキッチも血相を変えて道路に俯せになり、警察官の言いつけ通り両手を頭に乗せる。
警察官は2人を蔑む言葉を並べ、2人は素直に話を聞く。口笛を吹きながら、キッチがマスターからもらったアップルパイを勝手に持って警察官は去って行く。警察官の姿が見えなくなると、2人は警察官の悪口を言葉の限り叫ぶ。
太陽が上がり明るくなると、街角の街灯が消える。そしてモーゼは、強くこの場所から脱出して約束の地で暮らそうとキッチに語り掛ける。
キッチは道路に寝転がったまま寝てしまう。モーゼも街灯の足元で横になり眠る。
映画『パス・オーバー』の結末・ラスト(ネタバレ)
夜になり街灯が灯ると、2人は再び他愛のない会話を繰り広げる。この場所から出て行きたい夢を語り、警官の悪口を言い「ニガ」の単語を連呼する。
警察官が邪魔して出て行けないこの状況で、捕まったらこの先どうするのか語り合う。モーゼは思い切って川を渡ろうとキッチを誘う。牧師のおばさんの言っていたヨルダン川を渡って、約束の地へ行こうと語る。
突然のことで怖気づいているキッチに、モーゼはパス・オーバーと連呼し、キッチを奮い立たせる。2人は道端の石を持ち出し、お互いに殴り合えば約束の地へ行けると確信する。
キッチがモーゼを石で殴ろうとしたところで警察官が現れ、2人は急いで地面に俯せになる。警察官は暴言を吐き、モーゼを立たせると乱暴にモーゼの体を調べる。モーゼは警察官に今ここで自分を殺せと叫ぶ。警察官が銃を構えると一瞬驚くモーゼだったが、警察官の銃はカチリと音だけが鳴り、弾は発射されなかった。
突然舞台上は暗くなり、明るくなると強気に立ち警察官を睨むモーゼとキッチの姿がある。そして、そんな2人に怯えながら血を吐いて倒れる警察官。
モーゼは俺たちを殺すなと叫ぶ。怯えている警察官が警官バッヂをキッチに渡すと、キッチは更に警察官の銃も奪う。両手を上げ、警察官はゆっくりと下がりながら逃げて行く。
2人は自由になった最高の気分を喜び、歌う。
街頭が消え、太陽の照明が上がったところで、再びマスターが姿を現す。2人にどこへ行くのかと問い、モーゼが答えようとしたとき、マスターは徐に銃を取り出しモーゼに発砲する。
モーゼは血を流してその場に倒れ、キッチは言葉を失いモーゼを凝視する。叫び声を上げる観客に、マスターは大丈夫と語る。マスターは、悪からは何も奪わせない、素晴らしいでしょうと観客たちに笑顔を向ける。
舞台はそのまま暗くなり、幕を閉じた。
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