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映画『パターソン』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『パターソン』の概要:ニュージャージー州のパターソンに住むバスの運転手が、日常の中から詩を紡ぎだす姿を通して、平凡な日々に潜む輝きを描く。ジム・ジャームッシュ監督らしい独特なテンポとタッチが、とても日常的だ。

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映画『パターソン』の作品情報

パターソン

製作年:2016年
上映時間:118分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:ジム・ジャームッシュ
キャスト:アダム・ドライヴァー、ゴルシフテ・ファラハニ、バリー・シャバカ・ヘンリー、クリフ・スミス etc

映画『パターソン』の登場人物(キャスト)

パターソン(アダム・ドライバー)
バスの運転手。詩を書くのが好きだが、その詩は誰にも読ませたことはない。詩人は誰でも好きだが、パターソン出身のウィリアム・カルロス・ウィリアムズは特に好み。自分が決めたことや、ルーチンからはみ出すことに、少し抵抗がありそう。
ローラ(ゴルシフテ・ファラハニ)
パターソンの妻。アーティスト気質で、部屋のカーテンや壁紙なども、自分でペインティングする。服も自分で作る。新しいことにどんどん挑戦するチャレンジャー精神が強い。
エヴァレット(ウィリアム・ジャクソン・ハーパー)
マリーに恋い焦がれる男。マリーとは幼馴染だが、気持ちは届かない。
マリー(チャステン・ハーモン)
エヴァレットの幼馴染。エヴァレットから強く思われているが、その気はなし。

映画『パターソン』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『パターソン』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『パターソン』のあらすじ【起】

パターソンは、ニュージャージー州のパターソンに住んでいる。パターソンという名前は、あだ名やペンネームではない。本名だ。彼はバスの運転手をしている。魅力的で美しい妻のローラと、詩を愛している。彼は日常に転がる様々なものから刺激を受け、秘密のノートに詩を書き綴っていた。パターソンのいつも変わらない、ルーチンワークに満ちた一週間が始まろうとしていた。

月曜日。いつもと変わらず、パターソンは6時過ぎに目を覚ます。ローラにキスをすると、彼女は双子の夢を見たという。自分たちに双子の子供たちができると。パターソンはベッドを抜け出すとシリアルを食べた。愛犬のマーヴィンは、いつものお気に入りの椅子からこちらを見ていた。

パターソンはバスの運転席に座ると、いつものルートを走り始めた。いつもの道で、いつものバス停で客を拾う。この単純な繰り返しのような日々を輝かせる術を、彼は持っていた。それは身近にある些細な物や、バスに乗ってきた客たちが話す会話をインスピレーションにして、詩を生みだすこと。

仕事から戻ったパターソンは、ローラと一緒に夕食を楽しむ。ローラは週末のバザーで、自作のカップケーキを売り出すことを楽しみにしていた。食事のあと、マーヴィンの深夜の散歩に出かける。散歩の途中でバーに立ち寄るのがパターソンの決まり事だ。ビールを飲んで、家に帰り、眠りにつく。こうして、パターソンの日々は続いていく。

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映画『パターソン』のあらすじ【承】

火曜日。ローラは銀色のゾウの夢を見たと言った。パターソンはマッチ箱から詩を紡ぎだす。仕事場では同僚の愚痴を聞き、乗客の男たちの話に耳を傾ける。帰宅したパターソンは、地下室で詩を書く。ローラがギターをほしがりだして、ちょっと困るパターソン。散歩中に寄ったバーでは、マリーとエヴァレットの痴話げんかに遭遇。

水曜日。滝を見ながら詩を書くパターソン。仕事を終えて家に着くと、ローラがギターを注文したと言ってきた。夜、散歩中にコインランドリーで詩人と遭遇する。ラップという手法で詩を紡いでいた。

木曜日。バスの車内にて大声で話す大学生の話が、パターソンの耳に流れ込んでくる。詩を書きながら昼食を取るパターソン。今日はローラのカップケーキが入っていた。一口食べて、パターソンは思わず、残りを弁当箱に戻した。帰り道、通りで家族を待つ少女に声をかけた。少女は詩が好きで、自分だけの秘密のノートに詩を書いていた。少女が作った詩を聞かせてもらったパターソンは、その素晴らしさに感動する。夕食にはローラがパイを作ったが、パターソンの口には少し合わなかった。

映画『パターソン』のあらすじ【転】

金曜日。パターソンが目覚めると、いつも隣で寝ているローラの姿がない。彼女は台所でカップケーキを作っていた。バザーはいよいよ明日だ。バスはいつも通りに走り、滞りなく車庫に戻るかに思われたが、今日は違った。ルートの途中で、電気系統のトラブルでバスが動かなくなってしまったのだ。だが、代わりのバスを手配して、事なきを得る。家に戻ると、ローラはギターをつま弾いていた。

夜、バーに行くと、マリーとエヴァレットに再び遭遇する。よりを戻すことができないと悟ったエヴァレットは、懐から銃を取り出し、自殺しようとした。しかし、パターソンが咄嗟の判断で取り押さえる。銃はおもちゃだったが、パターソンは自分がとった行動に、自分でもびっくりしていた。

土曜日。ローラに起こされて台所へ行くと、そこには山ほどのカップケーキ。パターソンはウィリアム・カルロス・ウィリアムズの詩集から、ローラの好きな詩を読んでバザーへと送り出した。日中、マーヴィンの散歩に出かけるが、マーヴィンはいつもと反対の道へとパターソンを引っ張っていった。散歩から戻ったパターソンは、地下室でローラへの愛の詩を書き綴る。

カップケーキは大人気で、ローラは上機嫌で帰ってきた。二人はお祝いに食事と映画に行くことにする。古いホラー映画を観て帰ってきた二人は、床に散らばった紙屑を見つけた。それはパターソンが詩を書いていたノートの残骸だった。外出の際、うっかりソファに忘れてしまい、それをマーヴィンが食い破ってしまったのだ。パターソンは、ひどく落胆してしまう。

映画『パターソン』の結末・ラスト(ネタバレ)

日曜日。パターソンの心は、暗く落ち込んでいた。パターソンは一人で外出し、町をぶらつき始める。そして、いつもの滝に辿りつき、ベンチに座ってぼんやりと滝を眺めていた。そこに、日本人の男が現れる。隣に座った男は、ウィリアム・カルロス・ウィリアムズの本を取り出して読み始めた。男はパターソンに“あなたは詩人ですか?”と尋ねてきた。“違う”と答えるパターソン。詩が好きなのかと問いかけたパターソンに、男は自分が書いているという詩のノートを見せてくれた。男は去り際に、贈り物だと言って一冊のノートをパターソンに手渡した。そして言った。“白紙のページに広がる可能性もある”と。

パターソンはペンを取り出し、そのノートに詩を書いた。古い歌についてのその詩は、歌詞の一行を深く憶えているというものだった。“君は魚になりたいかい?”と問いかけてくるその一行は、パターソンの心を大きく揺さぶっていた。

月曜日。また、朝がやってきた。また、いつものルーチンワークを繰り返す、一週間の始まりだ。だが、本当にそうだろうか。いつもと同じ朝だと思っていたとしても、本当は“いつもと同じような朝”なのかもしれない。パターソンは、そっとベッドを抜け出した。一体、どんな朝を、どんな一日を、どんな一週間を迎えたのだろうか。

映画『パターソン』の感想・評価・レビュー

バスの運転手パターソンの月曜日から日曜までの一週間の生活を描いた作品。
主人公のパターソンが毎日バスの中やお気に入りの場所で詩作をするところが印象深い。
率直に彼の詩は哲学的で素敵だと感じた。
奥さんもまたアーティスティックでチャレンジ精神旺盛な性格だが、楽しそうにカップケーキを作る彼女が可愛らしかった。
本作は些細な日常を描いたものだがこのようにして観ると、こういった何気ない日々も素晴らしくていいなと思えた。(女性 20代)


独特の静けさに浸ることができます。登場人物は皆穏やかで、悪人は登場しません。パターソンの一週間を覗かせてもらっているような作品です。ローラとパターソンの、お互いを認め合い尊重し合っている夫婦関係が愛おしいです。また、なんてことない日常が映画になってしまう素晴らしさをも感じました。淡々とした毎日の中で、ささやかな喜びを見逃さないようにとアドバイスをしてくれているようです。『パターソン』という映画が、一つの詩であると捉えることもできます。(女性 30代)


何かが起こりそうで起こらない、淡々と流れる日常。その中の一瞬一瞬を切り取ったような作品です。
パターソンの毎日はバスの運転手の仕事で平凡に過ぎていきますが、アーティスト気質の妻、バーで出会う人々、詩を書く少女など魅力的な人たちとの触れ合いが心に残ります。自宅の郵便ポストを倒していた正体が分かったときは、クスッと笑えて心が和みました。終盤で登場する永瀬正敏も違和感なく作品に溶け込んでいました。(女性 40代)

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