映画『さあ帰ろう、ペダルをこいで』の概要:交通事故で両親を失い、記憶喪失に陥った青年が祖父と共に祖国を目指してタンデム自転車で旅をしながら記憶を取り戻すコメディドラマ。日本では公開作が少ない貴重なブルガリア映画。
映画『さあ帰ろう、ペダルをこいで』の作品情報
上映時間:105分
ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ
監督:ステファン・コマンダレフ
キャスト:ミキ・マノイロヴィッチ、カルロ・リューベック、フリスト・ムタフチェフ、アナ・パパドプル etc
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映画『さあ帰ろう、ペダルをこいで』の登場人物(キャスト)
- バイ・ダン(ミキ・マノイロヴィッチ)
- バックギャモンの名人で、孫のサシコにも遊び方を教えていた。過去には、自転車競技の選手で、秘密警察に狙われていたこともある。
- サシコ(カルロ・リューベック)
- バイ・ダンの孫。交通事故で記憶を失ってしまう。幼い頃に共産主義体制下のブルガリアを逃れドイツに移住した。
映画『さあ帰ろう、ペダルをこいで』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『さあ帰ろう、ペダルをこいで』のあらすじ【起】
サシコは祖父のバイ・ダンがバックギャモンで王者となった日にブルガリアに生まれた。青年となったサシコは両親と車に乗っていた時に大事故に遭ってしまう。バイ・ダンの元に事故の連絡があり、サシコだけが生き残ったと告げられる。バイ・ダンは病院に向かってサシコに面会する。しかしサシコはバイ・ダンのことが誰か分からず、戸惑う。
バイ・ダンはサシコが初めてサイコロを振って望み通りの目を出した日のことを回想する。医師はバイ・ダンにサシコには記憶障害があり、事故以前の記憶を失っていることを説明する。サシコのアパートに入ったバイ・ダンは室内にバックギャモンの盤を見付ける。バイ・ダンが誕生日プレゼントとして贈ったものだった。バイ・ダンは家族の写真をサシコに見せるが、サシコは何も思い出すことができない。
サシコが幼かった頃、パイ・ダンは秘密警察に目を付けられていた。このため、サシコの父はバイ・ダンの行動を監視して報告するように会社で圧力を掛けられる。断れば解雇して刑務所に送りにすると脅される。
映画『さあ帰ろう、ペダルをこいで』のあらすじ【承】
サシコの父は国中に広がる共産主義体制に嫌気が刺してくる。悩みを抱えていることを察したバイ・ダンは一緒にバックギャモンをしながら、サシコの父に道は開けるので危険を顧みず強行突破するようにと助言する。サシコの父はサシコの将来のために家族でドイツに移住することを決意する。
バイ・ダンはサシコがいつまでもベッドから起きあがらないので、杖で叩いて無理矢理外出させる。2人はバックギャモンをし、サシコは徐々にゲームの感覚を取り戻す。サシコは両親や自分のことを話してほしいとバイ・ダンに頼む。バイ・ダンは両親が事故で亡くなったことを説明する。そして、記憶を取り戻せば、思い出の中で両親に会えると話す。バイ・ダンは記憶を取り戻すために一緒に祖国に戻ろうと誘う。
サシコは家族の写真を眺めながら涙に暮れる。そして母が絵本を読んでくれた時のことを思い出す。サシコは荷物をまとめてアパートに戻ってくる。祖父はそれを嬉しそうに出迎える。
サシコがブルガリアを離れた日は雨が降っていた。バイ・ダンはおじいちゃんと話したくなったら雲に話しかけるようにとサシコにお別れを告げる。サシコは父の運転する車の後部座席からいつまでも外を眺めていた。
映画『さあ帰ろう、ペダルをこいで』のあらすじ【転】
バイ・ダンとサシコは両親の墓参りをする。バイ・デンはタンデム自転車を用意し、これで旅をすると言い出す。2人は街中を走り、田舎道にまで出てくる。バイ・タンとサシコは対向してくる車の運転手がどんな人かを想像しながら遊ぶ。2人は途中で焚き火をして休みながら旅を続ける。そして山越えをして、大きな一歩を達成した感動を味わう。しかし下り道で自転車のブレーキが壊れて、転倒してしまう。幸いにして2人とも無事だった。
ブルガリアを後にしたサシコと両親はイタリアに密入国する。そして、難民キャンプに収容される。中にいるのは長期収容者ばかりだった。サシコの母はブルガリアに帰りたがる。バイ・ダンの家は秘密警察に捜索され、バイ・ダンは亡命を手助けした罪で逮捕されてしまう。サシコは難民キャンプにいた女の子と仲良くなり、雲に向かって近況を報告する。サシコの父は難民キャンプの近くのバーで賭けが行われていることを聞きつけ、バックギャモンの勝負を挑みに行く。サシコの父は賭けで大金を手にすると、それを密行業者に渡して家族3人でドイツを目指す。
映画『さあ帰ろう、ペダルをこいで』の結末・ラスト(ネタバレ)
バイ・ダンとサシコは野外パーティーが開かれている広場にやって来る。サシコはそこでハンガリー人の女性と知り合い、親密になる。サシコは幸せに浸りながら、バイ・ダンとの自転車旅を続ける。
2人は、イタリアの難民キャンプの跡地に辿り着く。そこにはかつて一緒に収容されていた人がおり、サシコは両親が亡くなったことを報告する。サシコは女の子と一緒に遊んでいた場所に行き、そこで2人で隠したミニカーを見付ける。その瞬間にサシコに事故の記憶が蘇ってくる。父はずっと別居しており、サシコは母の手で育てられた。そして、突然父が戻ってきて3人で里帰りをしようと言い出したのだ。事故はその時に起きた。
翌朝、サシコが目覚めると、祖父は列車で一足先に帰っていた。サシコは一人で自転車を漕いでブルガリアを目指す。途中で道に迷いながらもようやく辿り着き、祖母との再会を果たす。そして、サシコは王者の座を賭けてバイ・ダンとバックギャモンの勝負をする。なかなか勝敗がつかず最後はサイコロで決戦し、サシコが勝つ。自分を取り戻したサシコはハンガリー人の女性に会いに行く。
映画『さあ帰ろう、ペダルをこいで』の感想・評価・レビュー
祖父と孫による自転車旅が中心の映画かと思っていたら、そこに描かれているのは共産主義体制下の祖国を逃れた家族の苦悩だった。東欧の複雑な歴史を非常にわかりやすくまとめている。秘密警察や難民キャンプといった要素が深刻になり過ぎていない点も肩肘張らずに見ることができる要因になっている。バックギャモンという小道具も活きており、サシコやサシコの父の運命を導く象徴的な役割を果たしている。(MIHOシネマ編集部)
初めてブルガリア映画。記憶喪失の孫と自転車で旅をしながらお家に帰る物語かと思いきや、国の情勢やそれによって国外へ逃げる人たち、命を失った人たちなど様々なドラマが描かれていて、とても深い作品でした。
孫と祖父の自転車旅は温かくて心地良い雰囲気ですが、行く先々で出会う人たち、たどり着いた場所の風景はとても温もりを感じられる物ではなく、生きていくことの辛さや苦しさを感じました。
映画を見たというよりも、ブルガリアのことを学んだような気持ちになる作品です。(女性 30代)
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