映画『タリーと私の秘密の時間』の概要:3人の子供を世話する主婦と夜間だけ赤ちゃんの面倒を見てくれる子守との交流を通して子育ての苦労を見つめた作品。ジェイソン・ライトマン監督とシャーリーズ・セロンが『ヤング≒アダルト』に次いでタッグを組んでいる。
映画『タリーと私の秘密の時間』の作品情報
上映時間:95分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:ジェイソン・ライトマン
キャスト:シャーリーズ・セロン、マッケンジー・デイヴィス、マーク・デュプラス、ロン・リヴィングストン etc
映画『タリーと私の秘密の時間』の登場人物(キャスト)
- マーロ(シャーリーズ・セロン)
- 2児の母で、3人目を妊娠中。英文学を勉強し、プロテインバーの製造会社で働いていた。子育てを完璧にこなしたいとの思いが強い。
- タリー(マッケンジー・デイヴィス)
- 夜間だけ赤ちゃんの面倒を見る子守の女性。若くて何事にも束縛されない自由に満ちている。子守以外の面でもマーロを支えようとする。
- ドリュー(ロン・リヴィングストン)
- マーロの夫。娘の宿題を見てあげる反面、ベッドでシューティングゲームばかりしていてマーロの子育てに無関心に振る舞っている。
- クレイグ(マーク・デュプラス)
- マーロの兄で金持ち。兄が優良な学校に多額の寄付をしているためにマーロの子供達も入学できている。マーロのために子守を雇うことを申し出る。
映画『タリーと私の秘密の時間』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『タリーと私の秘密の時間』のあらすじ【起】
臨月のマーロは毎晩、ブラシで息子の身体をこすってあげることが日課だ。息子はいつもと同じ駐車場のスポットに止めないと暴れてしまうなど扱いにくい面がある。ある日、校長先生に呼び出されたマーロは、学校でも息子の扱いに困っているので一日中付き添えるヘルパーを雇うべきだと進言される。
マーロは一家でクレイグの家族を訪ねる。クレイグの家では優秀な子守を雇っていた。クレイグは出産祝いとして夜間だけ働いてくれる子守をアレンジしたいと申し出る。そしてマーロに連絡先を渡す。マーロは他人に頼ることに抵抗を覚えるが、ドリューは子守を雇うことに賛成する。
夜中、破水したマーロはドリューに連れられて病院に向かう。そして元気な女の子の赤ちゃんを出産する。クレイグも出産を祝いに病院に駆け付ける。退院したマーロは夜中に起きては、赤ちゃんのオムツを交換し、授乳しては寝かしつけるという日々を繰り返す。睡眠を削った生活で余裕がなくなり、部屋はあっちこっちが汚れてしまう。
映画『タリーと私の秘密の時間』のあらすじ【承】
マーロは再び校長先生に呼ばれて息子は調子が外れているので他の学校に転校した方が良いと勧められる。マーロは、校長がはっきりと息子を知的障害だと言わないことに苛立ってしまい、校長を怒鳴りつけて学校を飛び出してしまう。赤ちゃんが泣き止まなくなり、マーロはパニックになる。遂にマーロは兄から貰った子守の連絡先を手にする。
疲れ切ったマーロは料理をする気力もなく、冷凍ピザを子供達の夕食に用意する。そこにドリューが帰って来て、マーロは子守を雇ったことを告げる。マーロがお菓子を食べてテレビを観ていた所にタリーがやって来る。タリーはマーロに早く休むように言い、赤ちゃんの世話を始める。ベッドではドリューがシューティングゲームをしていた。マーロは息子が車内で暴れてしまう夢を見る。その瞬間、タリーに起こされてマーロは赤ちゃんに授乳をする。ぐっすりと休んで朝起きると家が見違えるように掃除されていた。マーロはこんなに熟睡したのは久しぶりだと実感する。
タリーは毎晩来るようになり、マーロに赤ちゃん以外の子供達のことを尋ねる。マーロは息子が変な行動をして手が掛かるため医者に診てもらったが病気かどうか分からなかったと説明する。セラピストから過敏な反応を抑えるためにブラッシングをすることを勧められたことも打ち明ける。タリーは赤ちゃんの世話以外にも手助けになると申し出る。
映画『タリーと私の秘密の時間』のあらすじ【転】
翌朝タリーが起きると、テーブルの上にカップケーキが大量に用意されていた。タリーは息子のクラスにカップケーキを持っていって配って回る。そして、お詫びの気持ちを込めて校長の元にもカップケーキを届ける。マーロは手料理をする余裕まで出てくる。マーロは息子を新しい学校に連れて行くが、大きな音がして息子はパニックを起こして泣き出してしまう。そこに先生が現れて、息子の気持ちを上手に宥めてくれる。マーロはタリーと一緒にテレビを観て過ごし、化粧も始めるようになる。カップケーキも自分で焼き始めるようになり、弛んだ肉体を引き締めるためにジョギングにも挑戦する。
マーロはシャングリラを作り、タリーと一緒に飲む。タリーはマーロの夫婦関係について質問し、マーロはドリューを喜ばすためにウェイトレスの衣装を買ったことを打ち明ける。タリーはふざけてウェイトレスの衣装を着てみる。そしてマーロと一緒にドリューのいる寝室に向かい、ドリューを驚かせる。ホームパーティーが開かれ、マーロの娘は皆の前でカラオケを歌う。そこにマーロも加わってデュエットを披露する。生き生きと振る舞うマーロを見て、ドリューはクレイグに子守の件を感謝する。
映画『タリーと私の秘密の時間』の結末・ラスト(ネタバレ)
ルームメイトと揉めて遅刻して来たタリーが、街に繰り出して飲みに行こうとマーロを誘う。2人は赤ちゃんをほったらかして、マーロが以前に住んでいたブルックリンにやって来る。落ち着いた雰囲気のバーで飲み始めた時にタリーが子守を辞めると切り出す。マーロはまだ続けてほしいと懇願するが、タリーはあくまで繋ぎの仕事だったと説明する。
帰りの車中でマーロは居眠りをしてしまう。対向車と衝突しそうになり、慌ててハンドルを切るが川に落下してしまう。車はそのまま川に沈むが、マーロは何とか車から抜け出す。
ドリューは、病院で顔中アザだらけになって寝ているマーロを心配そうに見守る。そこに精神科医がやって来て、マーロに心の病があったか質問する。ドリューは息子が生まれた時は鬱があったが、今回は元気だったと説明する。そして書類手続きのためにマーロの旧姓がタリーだと答える。実はタリーはマーロの若き日を投影した架空の存在で、実際にはマーロがずっと一人で子育てを頑張っていたのだ。
これまでの態度を反省したドリューは子育てを手伝い始め、マーロは息子の求めに応じてブラッシングを止める。マーロとドリューは一緒に音楽を聴きながら料理の支度をする。
映画『タリーと私の秘密の時間』の感想・評価・レビュー
予備知識なしに『ヤング≒アダルト』のようなコメディーかと思って鑑賞したら、そのシリアスな内容にビックリしてしまった。かつてこんなに子育てに苦労する母の姿を真正面から捉えた映画があっただろうか。出産を経験した女性にとってマーロの置かれた状況は決して他人事ではないだろう。その一方で、物語の進行がやや平坦になってしまっており、映画としてどこまで成功しているのかという点についてはやや疑問も残る。(MIHOシネマ編集部)
誰にも頼れない完璧主義な母親が唯一頼れたのが、やっぱり自分だった。あれ?と思う伏線を上手く回収していく予想外のラストに胸が痛くなる。もしこれから自分が結婚し子供を産むとしたら、絶対にパートナーと一緒に見ておきたい。
シャーリーズ・セロンの役作りが見事。美しいドレスを着こなすハリウッド女優とは思えないほど、家事と育児に疲れたボロボロの女性を演じきっていた。また、対照的にマッケンジー・デイヴィスの若々しくキラキラした美しさが、主人公の悲惨さをより引き立たせていたのも良かった。(女性 20代)
本作は、3人の子どもを育てる主婦と夜間のみの子守りの交流を通して子育ての苦悩を描いたヒューマンドラマ作品。
ファンタジックな雰囲気と裏腹に、その内容は産後の生活感や精神の不安定さが非常にリアルに描かれていて凄く重みを感じた。
また、母親を演じたシャーリーズ・セロンが18キロ体重を増やし徹底した役作りが素晴らしかった。
伏線が回収されタリーの正体が分かった時、それまでの謎が一気に解けた。
特に、子育てする人にとっては共感できる描写が多いのではないだろうか。(女性 20代)
子育てに疲れた母親の姿が、とてもリアルだったと思う。雑誌やテレビでは、おしゃれに着飾り料理を作る母親が特集されることもあるが、皆が皆そんな完璧にはできない。着替えるのが精神的にも体力的にも精一杯なマーロの姿が、一番印象に残っている。親って大変なんだと、しみじみと感じた。
物語の結末は衝撃的だったが、それだけマーロが追い詰められていたということなんだと思う。育児を頑張っている多くの親達が、共感できる作品だったと思う。(女性 30代)
驚きとマーロの頑張りに涙が出るほど感動し、家事も育児も一生懸命頑張っているお母さん、お父さんたちは本当に凄いなと改めて感じました。
大人が食べるご飯、大人だけが住む家だったら手を抜いたり、疎かになってもまあ仕方ないなと思えるでしょう。しかし、自分の子供のこととなるとまあいいか、仕方ないと思えないほど一杯一杯になってしまっている人は少なくないはずです。
そんな人がこの作品を見たら、逆に頑張らせてしまうかもしれないので、そういう人が周りにいるのに気付かないふりをしている人にぜひ見てほしいなと思います。(女性 30代)
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