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映画『ピアノ・レッスン』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『ピアノ・レッスン』の概要:言葉代わりにピアノを奏でる女性と、土地の売買を生業とする夫、原住民マオリ族と共生する男性との三角関係を描いた、美しい音楽と激しい愛の物語。アカデミー賞でホリー・ハンターが主演女優賞、アンナ・パキンが最年少助演女優賞、その他脚本賞受賞。

映画『ピアノ・レッスン』の作品情報

ピアノ・レッスン

製作年:1993年
上映時間:121分
ジャンル:ラブストーリー、音楽
監督:ジェーン・カンピオン
キャスト:ホリー・ハンター、ハーヴェイ・カイテル、サム・ニール、アンナ・パキン etc

映画『ピアノ・レッスン』の登場人物(キャスト)

エイダ・マクグラス(ホリー・ハンター)
六歳の頃から話す事をやめ、ピアノを弾く事によって気持ちを表現する。未婚で一児の母。娘のフローラとは手話で会話をする。ピアノとは一心同体。
ジョージ・ベインズ(バーヴェイ・カイテル)
英国からニュージーランドマオリ族の住む地へ移住した朴訥な男性。英国人と原住民の通訳をしており、スチュアートの元へ嫁いで来た美しいエイダに恋をする。
アリスディア・スチュアート(サム・ニール)
ニュージーランド原住民族の地で土地の売買、開拓をしている。エイダの肖像を見ただけで彼女と結婚するが、女性の機微を理解出来ず、エイダを愛し理解しようと努めるも裏目に出てしまい苦悩する。
フローラ・マクグラス(アンナ・パキン)
エイダの一人娘。母親の言葉を伝える役目をしている。無邪気で快活。母親が大好き。

映画『ピアノ・レッスン』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『ピアノ・レッスン』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『ピアノ・レッスン』のあらすじ【起】

1852年、スコットランドに住むエイダは六歳の頃から話す事をやめ、ピアノを弾く事でそれを言葉として表現して来た。エイダにとってピアノは声であり言葉。彼女と一心同体のものであった。
父親は物言わぬ彼女を憂い、縁談の話を持ち込む。エイダは悩んだ末、一人娘のフローラと共にニュージーランドに住む、会った事もない男の元へと嫁ぐ事を決める。

荒れた海を船に揺られ、二人はニュージーランドの浜辺に上陸するが、天候のせいでその日は迎えが来ないだろうと言われる。だが、エイダは浜辺に留まる事を選び、一夜を明かす。板で包装された隙間からピアノを弾きながら。

翌日、ようやく夫と迎えが来る。夫のスチュアートは、ピアノを一緒に運んで欲しいというフローラを介したエイダの言葉を無視し、衣類や皿などの荷物を先に運んでしまった。エイダの言葉を奏でる大切なピアノを浜辺に残したまま。
浜辺にぽつりと置かれたピアノを崖の上からじっと見つめるエイダ。

粗雑で乱暴な原住民達と悪路を越え家へ到着する。大雨が降る中、エイダとスチュアートの結婚写真を撮るが、エイダはそれどころではなく、浜辺のピアノを痛く心配していた。

ある日、スチュアートが仕事で留守の間、エイダはフローラと通訳をしていたベインズの自宅を訪ねる。浜辺に置いたピアノを運んで欲しいと頼むがすげなく断られる。
だが、エイダは諦めずフローラと座り込みをする。ベインズはとうとう折れ、二人を浜辺へと連れて行った。

飽く事無くピアノを弾き続けるエイダと一日を浜辺で過ごしたベインズは、ピアノが彼女にとって如何に大切なものであるかを知り、彼女に好意を持つ。

仕事から戻ったスチュアートは、テーブルに刻んだ鍵盤の痕を弾きながら娘と歌の練習をしているエイダを見つける。スチュアートには、エイダにとってのピアノがどういうものか理解できなかった。

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映画『ピアノ・レッスン』のあらすじ【承】

ベインズは自分が持つマオリ族の土地をピアノと交換する話をスチュアートに持ち掛け、エイダからピアノを教えて欲しいと話す。スチュアートはその土地欲しさに、エイダのピアノを勝手に交換してしまった。
当然激怒するエイダ。スチュアートとエイダは喧嘩してしまい、夫婦仲は一向に良くならない。

ピアノを浜辺から自宅へ運んだベインズはわざわざ調律師を呼び、ピアノ調律をしてエイダを待った。
調律されたピアノの音を聞いたエイダは、ベインズにピアノを教える事を承諾するも、ベインズはエイダが弾くピアノを聞いて覚えると言う。
エイダはベインズの家へピアノを弾く為、通う事になった。

ある雨の日、ベインズの家でピアノを弾くエイダの首筋へ、後ろから突然キスをされる。驚くエイダに彼はピアノの白い鍵盤一つにつき、触らせろと取引を持ち掛ける。
エイダはピアノを返して欲しいが為に、黒い鍵盤でならと渋々承諾する。

連日、エイダはベインズの家へとピアノを弾く為に向かった。そうしてピアノを真摯に聴く彼と触れ合う。フローラは中に入る事を許されなかった。
ベインズは美しい曲を奏でるエイダに増々想いを募らせて行く。そうして徐々に行為はエスカレートして行くのだった。

映画『ピアノ・レッスン』のあらすじ【転】

教会の感謝祭の演劇にフローラが出る事になった。父兄であるスチュアートとエイダは観劇に向かう。そこへベインズも観劇に訪れ、エイダの隣に腰掛けるが席を詰める事を拒否される。ベインズは隣の席でスチュアートに手を握られるエイダを見る。彼はそれを見ている事に我慢出来ず退席してしまう。

思い悩むベインズ。真摯にエイダの弾くピアノへ耳を傾けるベインズに、いつしかエイダも彼へと心を寄せ始め、鍵盤5つで裸を触る事を許す。
外で遊んでいたフローラは、ピアノの音が鳴らない事を不思議に思い、壁板の隙間からエイダとベインズの行為を目にしてしまう。

ベインズは自分がエイダにした事を恥に思い、無償でピアノをエイダに返す事を決意し、スチュアートの家へピアノを運んでしまった。
エイダはどうしてピアノを返すのかとベインズに詰め寄るが、エイダを淫売にすれば、自分が情けなく、夫を持つエイダとは愛し合う事は出来ないから、ピアノは返すと言われてしまう。
そこで慌てたのはスチュアートだ。ピアノを返されてしまうと、交換条件だった土地も返さなければならない。だがベインズは無償で返すと答え、スチュアートは安心する。

家に戻りスチュアートはエイダにピアノを弾いてくれと言うが、エイダはベインズの手の平を返したような行動に納得がいかず、フローラに弾かせる。
エイダは、ベインズの気持ちが分からなくなり途方に暮れた。ピアノは弾きたいが、ベインズの事が気になってどうしても弾けない。

エイダは娘の静止を振り切り、ベインズの家へ向かった。
そこで彼の本当の気持ちを告白される。君を不幸にする事は出来ないと言われ、エイダは心を打たれる。そうして彼と身体を重ねるのだった。

その頃、エイダに裏切られたと思ったフローラは、通りがかったスチュアートに母親とベインズの関係を吐露してしまう。
スチュアートはこっそりベインズの家へ行き、エイダとベインズの抱き合う様を全て見てしまうのだった。

映画『ピアノ・レッスン』の結末・ラスト(ネタバレ)

スチュアートは目にした妻の行為に不信を募らせ、彼女と無理矢理体を重ねようとするが、エイダは決してそれを許さない。
夫の不満を察したエイダはベインズと会わない代わりに、スチュアートを安心させようと彼へ一心に尽くす。夫の身体に触れ、満足させる。だが自分の身体には触れさせないという方法で。

そんなある日、スチュアートがまた仕事で留守をする事になった。エイダはそれを見計らい、
ピアノの鍵盤に愛の言葉をしたため、フローラにベインズへ持って行かせようとする。しかしフローラはベインズの事を認められず、スチュアートへと知らせてしまうのだ。

エイダを信用していたスチュアートは鍵盤の文字を見て激怒した。急いで家へ戻り、エイダをきつく詰問した上、土砂降りの中泥まみれになりながら指の一本を切断してしまう。
エイダは悲鳴も上げず、茫然自失となりふらふらと歩を進め、泥の中に座り込む。

それらを全て見ていたフローラは自分がした事の恐ろしさを知り、スチュアートに言われた伝言と母親の切断された指を持ち、泣きながらベインズの元へと走るのだった。
恐慌状態となったフローラから伝言を聞いたベインズは酷く悲しみ怒りを見せるが、泣き叫ぶフローラに静止され諦める。

エイダを愛したいと話すスチュアートは熱に浮かされるエイダを犯そうとする。しかしそこで目を見開きじっと見つめるエイダから声なき言葉を聴いた。
スチュアートはベインズの元へ赴き、銃を突き付けながら彼女の言葉を伝え、この地から二人で去れと話す。

エイダとフローラはベインズとこの地を去る事になった。大事なピアノと共に。
舟にピアノを乗せるのは至難の業だったが、エイダの言葉を奏でるピアノを置いて行く事は出来なかった。
だが、エイダはピアノを捨てろと言う。海に沈めてしまっても良いと。エイダは海に投げ捨てられるピアノに結ばれたロープへと自ら足を絡ませ、ピアノと共に海へ沈もうとした。
だが、何とした事か彼女はピアノだけを沈め、自らは海上へと出てしまったのだ。この行動に自分でも驚き、そして新たに生まれ変わったような気がした。

その後、ニュージーランドの北の町に移り住み、ベインズはエイダの義指を作る。エイダはピアノ教師をして、発生の練習を始めた。
夜になるとピアノと共に沈んだ自分を思い浮かべ心静かに眠る。
愛する人、愛する娘と共に暮らす生活は幸せだった。

映画『ピアノ・レッスン』の感想・評価・レビュー

言葉を発せないエイダはピアノで感情を表現する。だからこそ何よりも大切な物なのに夫はそれを理解しない。一方 ベインズはピアノを大切に思うエイダを理解し、そんな彼女に好意を寄せていく。言葉少なに想いを重ねていくエイダとベインズを演じるホリー・ハンターとバーヴェイ・カイテルの演技が素晴らしい。

マイケル・ナイマンの音楽も印象的で、鑑賞後も耳に残る。陰鬱でジメジメと湿度の高いニュージーランドのシーンに気分も暗くなるが、この重さがラストシーンの明るさや穏やかさを際立たせている。(女性 40代)


美しい音楽、愛憎にまみれた官能的なストーリー。
エイダが浜辺でピアノを奏でる姿が、演奏を心から楽しんでいるようで感動した。
言葉がなくてもここまで感情を豊かに表現できるという音楽の素晴らしさに圧倒され、美しいピアノの旋律と美しいフレーミングに本作の高い芸術性を感じた。
広い浜辺に置きざりにされたピアノや、ラストの海底の墓場で沈黙するピアノ、そこに繋がれたエイダの場面が、頭から離れないほど強烈な印象を残す。(女性 20代)


トラウマを抱えて声が出せなくなったエイダと、ピアノを通じて彼女に惹かれていくベインド。少しずつ親密になっていく関係が、生々しい演出と美しいピアノのBGMに合わせて描かれています。

強引な縁談でしたがエイダには夫がいて子供もいる。ピアノの鍵の数だけ体を許していく。昼ドラのような物語で、住む土地が湿った環境であることも合わさって、かなり胸焼けしました。大学生の自分には少し早い映画だったのかもしれません(笑)(男性 20代)


音楽を絡めて三角関係を描いた作品です。音楽メインというよりは愛憎劇がメインなので、音楽映画と期待して観るべきではありません。ただ、作品の中で流れる音楽や浜辺のピアノなどの描写は非常に美しいです。最後はハッピーエンドのような終わり方なのも良かったです。
主演女優の演技は素晴らしいですが、ストーリーにのめり込めるかどうかは男性陣2人、スチュアートかべインズのどちらかに共感ができるかどうかがカギです。(女性 30代)

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