映画『ポストマン(1997)』の概要:戦争と疫病で荒廃した2013年。人々は小さな集落を作り、ホルニストを信奉する軍団に怯えながら暮らしていた。誰もが希望を失った世界に、郵便配達人の帽子と衣服を身に纏った1人の男が現れ、人々に生きる希望と勇気を与えていく。
映画『ポストマン』の作品情報
上映時間:177分
ジャンル:SF、ヒューマンドラマ
監督:ケヴィン・コスナー
キャスト:ケヴィン・コスナー、ウィル・パットン、ラレンズ・テイト、オリヴィア・ウィリアムズ etc
映画『ポストマン』の登場人物(キャスト)
- ポストマン(ケビン・コスナー)
- 元は劇場作家で、自由気ままに一人旅をしていた。賢く聡明だが、喧嘩はからっきし。ホルニスト軍団から逃亡した折、たまたま見つけた郵便配達車から見つけた衣服と手紙によって、ポストマンと呼ばれるようになる。平和を願い、人々に希望や勇気を与える。
- ベスレヘム将軍(ウィル・パットン)
- テロリストのホルニストを信奉する軍団の将軍。元はコピー機の販売員だったが、思想に囚われ冷酷で残酷な性格へと変貌を遂げる。参謀にポストマンを望むも、逃げられたことで固執するようになる。
- フォード・リンカーン・マーキュリー(ラレンズ・テイト)
- パインビューにいた少年。ポストマンと出会って希望を見出し、配達人第一号となる。ポストマンと別れた後、配達人を増やし郵便組織を設立する。強い信念と熱い心を持っている。
- アビー(オリヴィア・ウィリアムズ)
- パインビューに住む黒髪の美しい女性。結婚して3年になる夫がいたが、ベスレヘムに殺されてしまう。ポストマンから抱いてもらい妊娠中。射撃やサバイバル生活に長けており、気が強く逞しい。
映画『ポストマン』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ポストマン』のあらすじ【起】
戦争で荒廃した2013年。生き残った人々は小さな集落を形成し、テロリストを信奉するホルニスト軍団に怯えながら暮らしていた。
そんな中、たった1人と馬1頭で旅を続けていたある男が集落へとやって来る。彼は相棒の馬と共に演劇を披露し、人々を楽しませることで食料や水を貰っていた。
だがそんな時、集落へ軍隊がやって来る。率いているのはホルニスト軍団の冷酷な将軍ベスレヘムで、各村から兵隊として3人の男を徴収して回っていた。
対象者は16歳から50歳までの純粋な白人。旅の男は村人たちから促され、密かに村からの脱出を試みるも、発見され意識を奪われてしまう。
連れて行かれた場所は山奥の採掘場。集められた男達は一列に並ばせられるが、なぜか旅の男だけが殊更、将軍に気に入られ初日から手酷く痛めつけられてしまう。
3日後、ホルニスト軍団のマークを腕に入れられる。将軍は新兵たちに座れと命令するが、用意された椅子が1つ足りない。余った1人は命令に不服従だとされ、将軍の手により殺されてしまう。
ベスレヘムはとにかく能力次第で、優遇すると言う。旅の男は元劇作家で、シェイクスピアのセリフを口にしたことから、シェイクスピアと呼ばれるようになるが、将軍は彼の知的な面を気に入ったらしく、有能な部下になれと言うのだった。
シェイクスピアは同じ村から来た男に脱出しようと相談。
次の日は山へ。この先に獰猛なライオンがいるとの報告により、シェイクスピアは将軍からナイフを与えられ、ライオンの被害に遭った兵の救出へ向かうことになった。しかし、兵士を助けたシェイクスピアは吊り橋の真ん中で川へ落下してしまう。
川から上手く逃れたシェイクスピアは追って来た仲間の男と協力し、兵の1人を殺そうと企んだが、失敗してしまう。仲間の男は銃殺されシェイクスピアだけが逃亡に成功する。
映画『ポストマン』のあらすじ【承】
彼は森の中をさ迷い、たまたま見つけた車の中へどうにか避難した。どうやら車は郵便配達車だったようだ。一先ずは残されていた手紙を燃やし、暖を取った。そして、車内に合衆国郵便配達人の帽子を発見する。
翌日は白骨化していた遺体を埋め、徒歩でパインビューを目指す。男は政府からの仕事で来たと出まかせを言い村長と面会。
そして、信じさせるためにパインビュー行きの手紙を探し、宛名の女性に15年前の手紙を届けた。
すると、彼はポストマンと呼ばれるようになる。彼の世話は黒人の少年フォード・リンカーン・マーキュリーが行い、店へも案内してくれた。ポストマンは店に集まっていた村人たちに、世界は良い方向へ向かっていると吹聴し、希望を与えるのだった。
夕食の後、アビーという黒髪の女性と出会う。彼女には夫がいたが、子供ができずに悩んでいた。故に、ポストマンから種をもらいたいと言う。どうにか言い訳をして彼女から逃れるポストマン。
その後、彼は村人から新たな手紙を預かり、その夜の内に村を出て行こうとする。しかし、ある村人にパインビューの郵便局の場所を示され中へ。
そこで、後をつけて来たフォードから、ポストマンになりたいと懇願される。ポストマンはフォードに誓いを唱えさせ、彼を配達人に任命した。
宿泊所へ戻ると、ドアの前に大量の手紙が置いてあった。手紙を1枚ずつ見ていたところに、アビーが訪れる。彼女はどうしても、妊娠したいらしい。説得されたポストマンは、仕方なく据え膳を頂くことにした。
翌朝、ドアの前にあった最後の手紙を鞄に入れたポストマンは、村人から馬や毛布、食糧を貰い彼らを励まして出発した。
しかしその直後、ベスレヘム率いるホルニスト軍団がパインビューを訪れる。ベスレヘムは郵便局に揚げられたアメリカの旗に激怒。旗を燃やすようアビーの夫に命じる。そして、旗を燃やした後は郵便局へも火をかけさせた。中には隠れていた村長とフォードがいたが、どうにか脱出。
その後、将軍は美しいアビーに目を付け、アビーの夫を殺害。その横暴に村人は一斉に騒ぎ出し、村長は村を守るためにポストマンのことを白状するのだった。ベスレヘムはその話を聞き、ポストマンがシェイクスピアだと推察。男の後を追うことにする。
そして、使命に燃えるフォードは、焼け残った手紙を持って馬に乗り、配達に向かうのであった。
映画『ポストマン』のあらすじ【転】
その頃、オレゴン州のベニングを訪れていたポストマン。村人達に預かった手紙を渡していたが、ベスレヘムに追いつかれてしまう。
ポストマンは村人達の安全を考え、将軍と会うことにした。だが、奴はポストマンの交渉には応じず、攻撃の命令を出すのである。
夫を殺され将軍によって連れて来られたアビーは、どうにか拘束から逃れ銃を入手。彼女は素晴らしい射撃の腕を披露し、ポストマンを救出。ポストマンは馬に乗ってアビーを連れて逃走した。
山小屋発見し、身を寄せた2人。アビーはポストマンの腕にホルニストのシンボルを発見し、彼に剃刀を向けるも説得される。
数日後、川に落ちたアビーを助けたことで和解。彼女はポストマンに自分が妊娠していることを告げた。
季節は巡り、雪解けの時期。アビーは山小屋を燃やしてポストマンを急かし、旅路に着いた。
山道を歩いていた2人は、馬に乗った少女と出会い、フォードが郵便配達人を増やして手紙の配達をしているという話を聞く。少女の案内でアジトへ向かったポストマンは、フォードと感動の再会をする。
アビーは一旦、故郷へ帰ることにし、ポストマンはフォードに乞われアジトを拠点に手紙の配達に精を出した。
今や郵便配達人の存在は各地の知るところとなり、頻繁に手紙のやり取りがされている。
その後、ポストマンは約束通りパインビューへも手紙を届け、村長との約束を果たした。
映画『ポストマン』の結末・ラスト(ネタバレ)
しばらく後、配達人が戻って来ないことが増える。その人数はすでに5人となっていた。配達人はほとんどが若者で、彼らはポストマンと間違われてベスレヘムの命によりホルニスト兵に殺されていたのだ。
ベスレヘムは一向に見つからないポストマンを探すことに躍起となり、村や町を焼き払っては彼を探している。
この横暴に兵と戦って人々を助けようとしたポストマン。彼は自分がいるから、殺戮が起こるのだと罪悪感に苛まれるも、フォードは横暴の限りを尽くすベスレヘムが悪いと言うのだった。
その後、ポストマンは配達人たちの任を解くことにする。自分のせいで若者が無残に殺されるのは、許しがたい。彼はベスレヘム宛てに手紙を書き、全てを終わらせようと考えるのだった。
しかし、ポストマンの行動にフォードは引き下がらず、将軍宛ての手紙を届けると言い張る。ポストマンは仕方なく、フォードへ配達を頼むことにした。
ベスレヘムへ手紙を届けたフォードは処刑されそうになるが、彼が配達人の班長だと知ったベスレヘムは新たな作戦を思いつく。奴は配達人を全員見つけ出し、殺せと命令するのだった。
その頃、戻って来たアビーと共にアジトを捨て旅に出たポストマンは、ブリッジシティに辿り着く。代表者との会話で歓迎されたポストマン。後を追って来た若者3人も一緒に中へ入れてもらうのだった。
しかし、この村へもホルニスト兵がやって来る。代表者が上手くあしらってくれたため、助かったが、ポストマンは今や、どの村でも噂される有名人だった。
彼は代表者の協力を得て、各地に散らばった配達人たちに発起するよう呼びかけた。
すると、ポストマンを目指し配達人が集結。彼は白旗を上げ、久方ぶりにベスレヘムと対峙。
交渉により奴が作った掟に沿って、リーダーであるベスレヘムへと戦いを挑んだ。
これに勝利したポストマンは、新たに掟を作る。平和に生きて、相手を生かすこと。ただ、それだけだ。
だが、これに納得できないベスレヘム。ポストマンとフォードに銃を向けるも、副官だった男に射殺されてしまうのであった。
その後、アビーは無事に子供を出産。ポストマンとアビーはいつしか互いに愛し合うようになっていた。産まれた赤ん坊は女の子。アビーはその子にホープと名付けた。
30年後、平和になったアメリカは復興が開始され、荒廃前の姿へと戻りつつある。ポストマンはアメリカ中に希望を与えたとして表彰され、記念の銅像が建立されるのだった。
映画『ポストマン』の感想・評価・レビュー
当時絶頂の極みにあったケビン・コスナーがそうでもなくなった作品。予算がしっかりとかけられており、シーンごとの見ごたえはあるが終末モノとして目新しさがなくありきたりで、郵便物を運ぶ設定も今一つ納得感が得られないし、何より主人公に魅力が少ない。映画化するにあたってコスナーが出るのでなんとかなるだろう。という甘えがあったのではないだろうか。もう少し時間があけば逆にカルト作品として持ち上げられるかもしれない。(男性 30代)
荒廃した世界でたまたま郵便局員の車を発見した旅人が、手紙を届けたことによりポストマンと呼ばれるようになり、辿り着いた地を救うという救世主もの。
ケビン・コスナーが主演を務めているが、彼が演じたからこその作風になったとも思える。一人で生き延びて来た旅人だった主人公の人柄が伺い知れるストーリー展開だが、村を救った英雄的な存在になるとは誰も思っていなかったと思う。やがて彼は手紙を届ける若者を組織するようになる。衣装や荒廃具合、村の人々の生活など凝っているとは思うが、何というか規模がちょっと限定されているように思う。(女性 40代)
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