映画『プリデスティネーション』の概要:凶悪な連続爆破事件を防ぐために時間を自由に行き来する、政府の時空エージェントを描くSF映画。エージェントに選ばれた男の数奇な運命とタイムトラベルで生まれた矛盾を、イーサン・ホーク主演で描く。
映画『プリデスティネーション』の作品情報
上映時間:97分
ジャンル:SF、サスペンス、ミステリー
監督:マイケル・スピエリッグ、ピーター・スピエリッグ
キャスト:イーサン・ホーク、セーラ・スヌーク、ノア・テイラー、クリストファー・カービイ etc
映画『プリデスティネーション』の登場人物(キャスト)
- バーテンダー(イーサン・ホーク)
- 時空を移動して連続爆弾魔の凶行を食い止めようとする、政府の秘密エージェント。名前は不明。ジョンをスカウトし、任務を継がせることになっている。映画冒頭で爆弾の解体に失敗して顔を大やけど、別人の顔を移植されている。
- ジョン / ジェーン(サラ・スヌーク)
- バーテンダーに身の上話をし始める物書きの男性。元々はジェーンと言う名の女性だったが、両性具有で、出産時に命を救うため男性になる手術をされた。捨て子で体力・知力ともに優れ、宇宙へ行くのが夢だった。しかしある男性により輝かしい将来も女性としての人生も赤ん坊も奪われ、彼を深く憎んでいる。
- ロバートソン(ノア・テイラー)
- ジェーンを宇宙計画にスカウトする謎の男。ジェーンの能力や生い立ちを高く評価している。実は政府に所属するバーテンダーの上司で、時空エージェントのボス。
映画『プリデスティネーション』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『プリデスティネーション』のあらすじ【起】
1人の男が爆弾を解除しようとするが、顔面に大やけどを負ってしまう。見知らぬ男に助けられ、彼はバイオリンケース型の装置を使って未来に飛んだ。男は1970年代の連続爆破事件を防ぐ任務を受けた、政府のエージェントだった。連続爆弾魔フィズル・ボマーは、1975年のNYで大規模な爆破事件を起こすことになっていた。この過去を変えるのが男の役目だ。彼は火傷した顔面に別人の顔を移植され、最後の任務のため再び1970年に飛ぶ。そしてバーでバーテンダーに扮し、ある男を待っていた。
バーにジョンという男がやってきた。バーテンダーはジョンに身の上話をさせる。ジョンは元々ジェーンという女性だったという……。
1945年、赤ん坊のジェーンはある男の手で孤児院に預けられた。彼女は身体能力も頭もよく、宇宙好きな子に育ったが、他の女子とはどこかが違うと感じていた。自分の外見が嫌いだったジェーンは、鏡を見なくなり恋人も作らないと決める。
孤児院を出る年になり、政府からロバートソンがスカウトに来た。ロバートソンは、スペースコープ社の女性宇宙飛行士を探していたのだ。その役割は男性宇宙飛行士の“慰め”だったが、宇宙に行くからには優れた能力も必要だった。宇宙に憧れていたジェーンは候補生に選ばれる。しかしあるケンカがきっかけで精密検査を受けたジェーンは「資格に不適格」とされてしまい、理由もわからぬまま候補生から外されてしまう。ロバートソンは必ずジェーンを迎えに行くと約束した。
映画『プリデスティネーション』のあらすじ【承】
宇宙への道をあきらめきれないジェーンは、マナー講習を受けて女性らしい面を磨こうとする。そんな時、ジェーンはある男性に出会った。人を待っているという彼に「待っているだけではだめ」と返すと、彼はリンカーンの言葉を引用した。同じ言葉を考えていたジェーンは驚き、恋に落ちる。彼はジェーンと同じ考え方をし、ハンサムで金持ち。ジェーンは自分の純潔をささげたが、彼はある日突然いなくなってしまった。
ロバートソンがジェーンのもとを訪ねてくる。ロバートソンは彼女を「ある種の政府活動」に参加しないかと持ちかける。宇宙事業もその才能発掘のためだったのだ。将来が開けたジェーンだったが、直後に妊娠していることがわかる。突然消えたあの男との子だった。仕事に就けなくなり、ジェーンは将来を奪われてしまった。
ジェーンは女の赤ん坊を出産する。しかし出血がひどく、子宮と卵巣を摘出せざるを得なかった。ジェーンは医師から、彼女が男性の性器も持っている両性具有だったことを明かされる。女性の性器を失ったジェーンは、男性のジョンとして残りの人生を生きることになった。ジョンは生まれた娘にジェーンと名付けたが、何者かが病院から娘を盗み去ってしまった。ジョンは今女性誌向けの告白話を書いて生計を立てている。以上がジョンの身の上話だった。
映画『プリデスティネーション』のあらすじ【転】
恋に落ちた相手に将来も女性としての人生も娘も奪われ、ジョンはこの男性の事を憎んでいた。バーテンダーはジョンに報復の機会を与えると言い出す。バーテンダーは自分がロバートソンのもとで働く時空エージェントだと明かし、バイオリン型の時空変界キットを使い、ジェーンと男性が出会った1963年にジョンを連れていく。
バーテンダーはジョンに、報復をおとがめなしでさせる代わりに自分の仕事を引き継ぐよう約束させる。ジョンはバーテンダーから大金と服と拳銃を受け取り、ジェーンと男性が出合った場所に向かう。男性が来るのを待っていたジョンがぶつかったのは、ジェーンだった。ジョンはあの日ジェーンが恋に落ちた男性が自分だったと気付く。それでも彼はジェーンに恋をしてしまった。
バーテンダーは1970年に飛び、フィズル・ボマーと銃撃戦となる。その場にはかつての自分が爆弾を解除しようとしてやけどを負う姿があった。バーテンダーは彼に時空変界キットをつかませ命を救う。さらに1964年に飛び、ロバートソンと落ち合った。バーテンダーは爆弾の破片を渡し解析してもらう。そして指示通り、ジェーンの赤ん坊を誘拐して1945年の孤児院に連れて行った。この赤ん坊が、のちのジェーン、そしてジョンとなるのだ。
映画『プリデスティネーション』の結末・ラスト(ネタバレ)
再び1963年に飛んだバーテンダーは、ジョンを呼び出す。「自分をはめた」と怒るジョンに、バーテンダーはこれが宿命だと告げるのみだった。2人は時空エージェントの本部がある1985年に飛び、ロバートソンと再会する。
ロバートソンからフィズル・ボマーの手掛かりを受け取ったバーテンダーは、1975年へ最後の旅をする。しかし時空変界キットは機能停止になるはずが、エラー表示になってしまった。バーテンダーは手掛かりの注文書を頼りにフィズル・ボマーを探し始める。
バーテンダーは「以前は物書きだった」とタイプライターを買い求める。バーテンダーはジェーン、そしてジョンの未来の姿だったのだ。彼は時空移動の矛盾から生まれた存在だった。バーテンダーはフィズル・ボマーがコインランドリーに来る時間を突き止め、そこへ向かう。しかしそこで彼が見たのは、年老いた自分の姿だった。
フィズル・ボマー、すなわち未来のバーテンダーは、政府に内緒で時空変界キットを使い続け、爆破事件を起こしていた。度重なる時空移動で精神に異常をきたしていたフィズル・ボマーは、「自分の起こした爆破は、全て未来の事件を防ぐためのものだ」と主張する。次の爆破で1万人が死ぬこともいとわない様子のフィズル・ボマー。それを見たバーテンダーは、未来の自分を撃ち殺すのだった。
1985年にいるジョンは、バーテンダーが残したテープで自分の出自の真相を知る。彼は時空エージェントとしての人生を歩み始めた。
映画『プリデスティネーション』の感想・評価・レビュー
ややこしい物語がどう進んでいるのか理解しながら視聴するのは多少疲れるが、それでもシーンごとに見所が用意されており、つき合うだけの価値はあるだろう。バーテンダーの正体や爆弾魔の正体などありきたりではあるが、それなりにわからないようになっていて演者や脚本、メイクなどレベルは高い。とりあえずイライラしないで鑑賞して楽しめればそれで十分なのである。(男性 30代)
タイムトラベルものには大抵何処かに矛盾があるのだけれど、この作品にはそう言った矛盾を感じることなく見ることができました。基本的には歴史は変えられないと言う前提で描かれているから、矛盾なく作り上げることができたのではないかと感じました。
また謎解き要素もあって最後まで集中して見ることができました。結末を知った時の衝撃は凄かったです。全ての場面が最後に繋がっていくのですが、その複雑な繋がりを理解するためにもう一回見たいと思うほどでした。(男性 40代)
タイムトラベルの矛盾から生まれたジェーン/ジョンという存在。ボマーはなんとなくジョンかなと薄々思ってはいたが、それまでの流れやジョンの正体、ラストが分かったから一気に繋がるあの感じはすごく気持ちが良かった。
悲しいジョンの運命と時空を変えることができても変えられない虚しさ、それらをひしひしと感じる映画だった。
爽快感と虚無感の両方を感じられる何度も見たい作品だ。(女性 20代)
テロを未然に防ぐ時空警察の奮闘が描かれる物語。登場人物が少なくスピード感もあって、だれることなく観れる。タイムパラドックスに焦点が当てられていて、伏線がしっかりしていて展開は良かった。ただ、悪く言えばそれだけ。時間の矛盾から抜け出せず、目新しいアイデアが無くタイムループに諦めを感じた。この手の作品は複雑で、1回で理解することが難しい。この作品は設定に加え、回想に回想を組み込んだ点が観ている人をより混乱させる。(男性 20代)
みんなの感想・レビュー