映画『プリシラ』の概要:個性的なドラッグクイーンの3人がオンボロバスの「プリシラ号」でオーストラリアの砂漠地帯を縦断するロードムービー。ドラッグクイーンたちのド派手な衣装が見もの。1994年公開のオーストラリア映画。
映画『プリシラ』 作品情報
- 製作年:1994年
- 上映時間:103分
- ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ
- 監督:ステファン・エリオット
- キャスト:テレンス・スタンプ、ヒューゴ・ウィーヴィング、ガイ・ピアース、ビル・ハンター etc
映画『プリシラ』 評価
- 点数:80点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★☆☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★★
- 設定:★★★★★
[miho21]
映画『プリシラ』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『プリシラ』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『プリシラ』 あらすじ【起・承】
シドニーでドラッグクイーンとしてショーをしているミッチ(ヒューゴ・ウィーヴィング)は、6年前に別れた妻から依頼を受けアイススプリングスのホテルで地方公演をすることになる。ミッチは自分が既婚者であることを誰にも話していなかった。
ミッチは若いパートナーを不慮の事故で亡くして落ち込んでいた年増の性転換者バーナデット(テレンス・スタンプ)と、騒がしいフェリシア(ガイ・ピアーズ)を誘い、オンボロバスの「プリシラ号」でアイススプリングスを目指す。砂漠の真ん中にある目的地までは、3千キロの距離があった。
道中でミッチは目的地に自分の妻が待っていることを告白する。ミッチがバイセクシャルだったという事実に完全なゲイの2人は驚くが、結婚を経験したミッチが羨ましくもあった。3人は賑やかに罵り合いながら、砂漠地帯をひた走る。
田舎の人々はドラッグクイーンを見慣れておらず、3人はいわれのない差別を受ける。さらにバスが砂漠の真ん中でエンストを起こしてしまい、3人は立ち往生してしまう。たまたま近くでキャンプをしていた親切なアボリジニーと出会い、近くの町に住む修理工のボブ(ビル・ハンター)にバスの修理をしてもらうことになる。
映画『プリシラ』 結末・ラスト(ネタバレ)
ボブには元ストリッパーのシンシアという妻がいたが、3人が来たことでシンシアの芸人魂に火がつき、彼女はボブの元を去ってしまう。1人になったボブはバスの修理工として旅に付き合ってくれることになり、4人はクーバーピディの町へ向かう。
鉱山の男たちがたむろする町でフェリシアが騒ぎを起こしてしまい、ひどい目にあう。3人は自分たちが田舎では歓迎されないことを思い知り、都会が恋しくなる。道中でバーナデットとボブは様々な話をし、何となく惹かれあっていく。
ようやく目的地のホテルへ到着した一行は、ミッチの妻マリオンと対面する。そこでミッチには妻だけでなく息子のベンジーまでいることがわかり、バーナデットとフェリシアは度肝を抜かれる。マリオンは明るいレズビアンで、堂々とベンジーにミッチのショーを見せる。しかしミッチは6年ぶりに会った息子にどう接すればいいかわからなかった。
一行は砂漠へピクニックに出かけ、そこでミッチはベンジーと話をする。ベンジーはありのままのミッチを受け入れており、ミッチは救われる。3人は“ドレスアップしてキングスキャニオンの岩の上に立つ”というフェリシアの夢を叶え、帰ることにする。
マリオンはしばらく休暇を取るためベンジーをミッチに託す。ボブとカップルになったバーナデットはこのホテルに残る選択をし、3人が乗ったバスを見送る。シドニーへ帰ったミッチとフェリシアはベンジーに見守られながら、ドラッグクイーンとしてショーを続ける。
映画『プリシラ』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『プリシラ』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
3人の会話を楽しむ
ミッチはバイセクシャル、バーナデットはおそらく性同一障害で性転換手術も済ませている年季の入った同性愛者、フェリシアはまだこの世界の厳しさを知らない若手のゲイで子供のようなやんちゃさがある。この3人のバランスがとてもいい。
プリシラ号でオーストラリアの砂漠地帯を横断する中で何かものすごく大きな事件が起こるわけではない。田舎町で差別的な扱いを受けたりバスがエンストしたりはするが、話の展開はまったりしている。しかしそのおかげで3人のオカマトークを存分に楽しめる。
彼(彼女?)らのトークというのは独特で、言いたいことを好き放題に言いつつも相手の気持ちを繊細に汲み取り適度なフォローを入れる。笑いのセンスもある。こういうトークはかなり高度なコミュニケーション能力がないとできない。日本のテレビ番組でいわゆるオネエタレントが重宝されるのは、この能力の高さが買われてのことだろう。
特に年長のバーナデットの卓越した会話術は見習いたいところ。彼女はとても大人だ。
毒々しくて可愛いファッション
ドラッグクイーンたちのファッションと視覚的なセンスの良さがこの作品の大きな魅力になっている。バスで移動中も彼らは気晴らしにドレスアップをして、様々なパターンのファッションを見せてくれる。それがどれもこれもかっこいい。
毒々しくて可愛い彼らの衣装をデザインしたティム・チャペルとリジー・ガーディナーは第67回アカデミー衣装デザイン賞を受賞した。確かにこれほど独創的でインパクトのある衣装を何パターンも楽しめる映画はなかなかない。ストーリーは忘れてもこの衣装のおかげで映像はずっと記憶に残る。オーストラリアの雄大な自然とドラッグクイーンという奇抜な組み合わせが、なぜかとても芸術的で美しい。
映画『プリシラ』 まとめ
私はこの映画が大好きで何度も鑑賞している。いろいろとつらいことがあっても湿っぽくならず、独自の人生を謳歌しているドラッグクイーンたちの生き様が好きだ。彼らの美へのこだわりや心底おしゃれを楽しんでいる様子を見ているだけで、なぜかこちらもワクワクする。同性愛者だろうとノーマルだろうとありのままの自分と向き合い、自信を持って生きている人というのはかっこいい。
広大なオーストラリアの青空のようにカラッと明るい人生賛歌なので、気分が落ち込んでいる時にはもってこいの作品だ。頭も心もすっきりする。
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