映画『PSYCHO-PASS サイコパス 3 FIRST INSPECTOR』の概要：テレビシリーズ第3期の完結編である劇場版。非合法組織ビフロストによる事件を追って、外務省行動課と協力し捜査を行っていた公安局刑事一課。最終局面を迎え、公安局ビルが敵勢力によって占拠されてしまう。
映画『PSYCHO-PASS サイコパス 3 FIRST INSPECTOR』の作品情報
上映時間：134分
ジャンル：SF、アクション、アニメ
監督：塩谷直義
キャスト：梶裕貴、中村悠一、櫻井孝宏、大塚明夫 etc
映画『PSYCHO-PASS サイコパス 3 FIRST INSPECTOR』の登場人物（キャスト）
- 槙導灼（梶裕貴）
- しんどうあらた。公安局刑事一課の新人監視官。メンタルトレースという相手の心理に成りきり、深層心理を探る技術に優れている。過去に亡き父から記憶を封じられている。実は免罪体質者でシビュラシステムに加わることを望まれている。
- 烔・ミハイル・イグナトフ（中村悠一）
- ロシアから移民して来た公安局刑事一課の新人監視官。槇導と幼馴染で、メンタルトレースの綱役という大事な存在。冷静沈着で頭の回転が速く、武術に優れている。妻を助けるため、非合法組織ビフロストのコングレスマンである法斑によりインスペクターになる。
- 雛河翔（櫻井孝宏）
- 公安局刑事一課の執行官。気が弱いが、端末操作に長けており情報操作ならお手の物。
- 廿六木天馬（大塚明夫）
- とどろきてんま。公安局刑事一課の執行官。老齢でありながら、武術に優れ経験豊富。
- 入江一途（諏訪部順一）
- 公安局刑事一課の執行官。体格が良く体術に優れているが、粗暴があまり良くない。同じ執行官の如月に好意を寄せている。
- 如月真緒（名塚佳織）
- 公安局刑事一課の執行官。短髪で切れ長の目をした美人。荒事にも冷静に対処する女性で、入江と組むことが多い。
- 唐之杜志恩（沢城みゆき）
- 公安局刑事一課の分析官。金髪の経験豊富な美人女性で、分析に長けておりシステム奪還に貢献する。
- 霜月美佳（佐倉綾音）
- 公安局刑事一課課長。優れた判断力を持ち、シビュラシステムが何であるかも理解している。
- 法斑静火（宮野真守）
- ほむらしずか。大手ホテルグループの社長であり、非合法組織ビフロストのコングレスマン。父親がビフロストの組織立ち上げに関わっており、父からビフロストの壊滅を託されている。イグナトフをインスペクターにすることで救い、公安局に協力する。
- 梓澤廣一（堀内孝雄）
- 非合法組織ビフロストのインスペクターで、最上位ファーストの地位にいる。優れた知能を持っており、槇導の父とも面識がある。シビュラシステムに加わることを悲願としている。
映画『PSYCHO-PASS サイコパス 3 FIRST INSPECTOR』のネタバレあらすじ（ストーリー解説）
映画『PSYCHO-PASS サイコパス 3 FIRST INSPECTOR』のあらすじ【起】
2120年、東京。巨大監視ネットワーク・シビュラシステムが魂の数値化を行い、人々の治安を維持している近未来。公安局の刑事たちは犯罪を計測する犯罪係数の測定により犯罪を未然に防ぎ、犯罪を起こそうとする潜在犯の検挙を行っていた。彼らは犯罪係数を測定できる特殊な銃ドミネーターを持ち、公安局が認めた潜在犯を執行官として使い日々捜査を行っている。
公安局刑事一課に所属する新米監査官である慎導灼と烔・ミハイル・イグナトフは、幼馴染の同期で就任してから数々の事件の捜査を行って来た。しかし、捜査する上で日本を裏から操りマネーゲームを行う非合法組織ビフロストの存在が明らかになり、イグナトフは危険に晒された妻を守るため、マネーゲームを行うコングレスマンのサポートをするインスペクターにならざるを得なくなってしまう。彼はコングレスマンの居場所を探すため、有明空港へ。
一方、インスペクターの中でも最上級の地位ファーストである梓澤廣一は元公安局執行官を故意に事故らせ、彼女からパスを奪う。彼はそのパスを使って公安局のシステムを乗っ取ってしまう。これにより公安局ビルの回線が切断され、シャッターにより封鎖される。
その間、梓澤は留置所のロックを解除。解放された潜在犯たちに公安局の刑事を人質に取って脱走するよう促す。そして、同時に雇った傭兵にも殺害命令を発していた。
執行官、雛河翔と廿六木はこの異常事態の危険に逸早く気付き統括監査官、霜月美佳との合流を目指す。その頃、刑事一課の床で仮眠していた慎導の前に梓澤が姿を現すのだった。
同時刻、有明空港に到着したイグナトフは、外務省行動課の捜査員に尾行され行動理由を問われるが、突如何者かによって銃撃される。咄嗟に身を隠したものの銃撃は止まず。行動課の捜査員を助けたイグナトフだったが、行動課に所属するメンバーに助けられ行動を共にすることに。
雛河と廿六木と合流した霜月は、事態把握をすると同時にドミネーターの確保を命令。その頃、梓澤によって拘束された慎導はネット会議のため、公安局を訪れていた都知事の殺害が奴の目的であることを推察。梓澤は彼の聡明さに感心するが、奴の本当の目的は世の中をよりシビュラシステム的にすることだった。梓澤は公安局内部にいる全員に閉じ込められている職員の命と引き換えに、都知事の辞任をネット配信で宣言させるよう通信を送る。そこで霜月は要求を全て飲むことを条件に都知事の居場所を探ろうとしたが、失敗。
ドミネーター確保のため、密かに移動中だった霜月たち。彼女は通称ダンゴムシと呼ばれるドローンを発見。それは都知事と行動を共にしている分析官、唐之杜志恩が即席で作り出したものだった。これにより、都知事が無事であることを知る。霜月は唐之杜に状況調査を頼み、ドミネーター確保に専念する。
映画『PSYCHO-PASS サイコパス 3 FIRST INSPECTOR』のあらすじ【承】
唐之杜の調査によりビルの下層に毒ガスが充満していることが判明。加えて槇導の居場所をようやく見つける。そして、唐之杜は敵側との情報戦に勝利。
その頃、梓澤の傭兵に確保されていた公安局局長はビルの屋上へ連れ出されていた。制限時間になっても都知事の辞職宣言が流れないため、梓澤は局長を犠牲にすると言うのだ。そこへ、行動課が乗る軍用機が到着。しかし、敵側も警戒して攻撃を開始し、行動課が交戦。その間に局長は自ら身を投じてしまう。
この映像に衝撃を受けた監査官及び執行官たちだったが、唐之杜は都知事と共に槇導を確保。霜月の命令によりサーバールームへ向かうことになった。
一方、交戦している行動課はビルの屋上に執行官の入江一途と如月真緒が潜んでいることに気付く。イグナトフは彼らに向けて武器を投下し、デバイスにて外部との通信を可能にした。
これらの出来事を全てゲームとして操作しているビフロスト。今回のゲームのホストには大手ホテルグループの社長でコングレスマンの法斑静火が参加していた。法斑は公安局に高額にベッドする。
入江と如月の活躍により、ビルの屋上からの攻撃が止む。行動課、イグナトフと合流した執行官たちは、屋上に仕掛けられた爆弾からどうにか逃走を成功させ、ビルへの侵入を果たした。そして、ダンゴムシによって唐之杜、槇導と通信し状況を把握。
ただちに移動を開始した面々に再び梓澤から通信が入る。都知事秘書が人質として捕えたと言う。更に梓澤は都知事自身に通信を送り辞職を迫ったが、槇導のお陰で挑発には乗らずに済んだ。しかし、傭兵による追手が迫り窮地に陥る。だが、そこへイグナトフと行動課が駆け付け、どうにか追手から逃れることに成功した。
イグナトフは都知事たちと共にサーバールームへ、槇導は秘書を救出するため、エレベーターのシャフトを使って地下へ。そこで、イグナトフの携帯に梓澤から着信が入る。軽く脅されたが、イグナトフは確固たる信念を持って反発するのだった。
ドミネーターの格納庫へやって来た霜月たちだったが、ドミネーターは全て破壊されていた。だが、霜月は権限を使用しなければ使えないプロトタイプのドミネーターがあることを知っている。ショットガン型の驚異的な攻撃力を誇り、その脅威からお蔵入りされていたものだった。お陰で多くの追手が迫っても窮地を抜け出すことができる。
行動課の軍用機を操作していたメンバーにより、外部からドミネーターがイグナトフの元へ2丁届けられる。唐之杜はサーバールームへ到着し、システム奪還へ。入江と如月と合流したイグナトフだったが、目を離した隙に唐之杜と都知事がサーバールームに閉じ込められてしまう。3分以内に奪還できなければ、梓澤によって毒ガスが噴霧される。唐之杜は都知事にガスマスクを装着させ、システム奪還を続ける。ところが、奪還は容易にできず、毒ガスが噴霧。唐之杜は毒ガスにて倒れる寸前まで奮闘し、システムの一部を奪還した。
意識不明の重体となった唐之杜を入江と如月に頼み、イグナトフと都知事は霜月達と合流。ダンゴムシを使って1丁のドミネーターを槇導へ送る。唐之杜に変わって雛河が今度はシステム奪還に取り掛かった。
一方、地下へと向かっていた槇導は最下層へ到達し、秘書が囚われている駐車場へ。警備ロボットとの交戦にて危ないところでドミネーターが届き、警備ロボットを排除。秘書を救助することに成功した。
映画『PSYCHO-PASS サイコパス 3 FIRST INSPECTOR』のあらすじ【転】
都知事と連絡を取り安堵した直後、ふとあることに気付いた槇導。彼は通信にて下層に充満しているガスが毒ではないことを自らの体を使って無害であることを証明した。すると、梓澤は霜月との交渉でこれ以上は本当に死傷者が出ると告げる。彼が雇った傭兵たちは簡単に人殺しをするからだ。
これまでの経緯にて、都知事の位置が簡単に判明していることに疑問を抱いたイグナトフ。そこで、彼は都知事に発信機がつけられているのではないかと気付く。都知事の持ち物で怪しい物を調査に回し、更にイグナトフは彼女が持つ人工知能ブラックボックスを借り受けることにした。法斑からブラックボックスのデータを送れと指示されていたからだ。
槇導は梓澤の行動理論を解するために彼独自のメンタルトレースを発動。彼のそれは高い技術を誇り非常に精度の高いものだった。槇導は亡き父に封印された自身の記憶を思い出すことで、父の死の真相を探ろうとする。そうして幼い頃、自分がシビュラシステムを目にしていたことを思い出した。彼は色相が決して濁らない稀有な人間、免罪体質者であった。彼の存在がシビュラシステムに見つかってしまえば、シビュラシステムに取り込まれてしまう。父は息子を救うため、彼の存在をひた隠しにしたことにより殺されてしまった。
槇導のメンタルトレースは深く潜り過ぎれば、戻れなくなる。彼の命綱は幼馴染のイグナトフだった。彼の呼びかけによりどうにか現実へ戻ることができた槇導。
槇導が戻ったことを確認したイグナトフはブラックボックスのデータを法斑へ送る。槇導は行動課のメンバーに梓澤確保を頼み、梓澤と交渉することに。イグナトフは傭兵との戦闘に勝利し、排除に成功。そして、傭兵に成りすまし都知事の殺害を梓澤に報告させた。
映画『PSYCHO-PASS サイコパス 3 FIRST INSPECTOR』の結末・ラスト（ネタバレ）
地下駐車場から逃れようとする梓澤を発見した槇導。イグナトフは行動課の足止めをして槇導に梓澤を確保させようとする。梓澤は槇導を確保して逃走した。
ビフロストではイグナトフから送られてきたブラックボックスにより、法斑が賭けに勝利。霜月は局長の遺体を捜索しようとしたが、そもそも局長の体はギミックで中身はシビュラシステムである。
梓澤との会話により、ビフロストの目的は都知事が持つ人工知能であったことが分かる。シビュラシステムは日々進化し続け、盲点はほとんどないものと思われた。だが、それを防ぐために人工知能が使われてようとしていたのだ。しかし、梓澤の真の目的は自らがシビュラシステムの一部になることだった。故に、彼は自らの目的を遂げるためにビフロストを裏切り、槇導を連れ去ったのだった。シビュラシステムの本体がある建物へ招かれた梓澤と槇導。
一方、ビフロストの賭けに勝った法斑は、特別な権限を得ることに成功する。彼の目的は父から受け継いだ願い、ビフロストの崩壊だった。唯一のコングレスマンとなった法斑はシビュラシステムの移行を願う。同時刻、局長と合流した霜月はビフロストの会場へ向かっていた。シビュラシステムはビフロストをデリート。これにより、法斑の願いは叶った。
シビュラシステムの元へやって来た梓澤はシステムへ入れてもらいたいと願ったが、拒絶されてしまう。シビュラシステムに加われるのは、生まれつきの免罪体質という素質を持つ者だけである。よって、加われるのは槇導だけであった。これにより梓澤の犯罪係数が上昇。処分対象となってしまう。だが、槇導はシビュラの判断に抗った。
槇導はドミネーターに引き金があることを指摘し、撃つ者の判断に託されているのではないかとシビュラに進言。すると、シビュラは進藤の進言を受け入れドミネーターを閉じてしまう。憤った梓澤は槇導と取っ組み合い、犯罪係数が300近くにまで上昇したところで、槇導によって動きを封じられ、逮捕されるのだった。
この結果を映像にて見ていた局長、法斑、霜月。局長は槇導をこれまで通りに監視官として扱うこととし、法斑には彼にしかできない仕事を託すことにする。これにて事件は解決し後日、都知事によって記者会見が開かれた。
春が来てそれぞれの通常業務へ戻った一同。春の人事発表にて、法斑が新局長に就任。拘束されていた免罪体質である重要人物が監視官として復帰することに決まるのだった。
映画『PSYCHO-PASS サイコパス 3 FIRST INSPECTOR』の感想・評価・レビュー
テレビシリーズ第3期の完結版として劇場公開された作品。非合法組織ビフロストが行うゲームと呼ばれる事件を追う公安局第一刑事課と捜査協力をする外務省行動課の捜査がいよいよ終結する。
今作はテレビシリーズ第3期の完結版であるため、テレビシリーズを観てから鑑賞することをお勧めする。独自の世界観で専門用語多く非常に入り組んでおりその上、登場人物も多い。今作では第1期で活躍していた狡嚙や宜野座も登場し大活躍する。そして、新人監視官の慎導もまた常森朱音と同じ免罪体質者であることが判明。彼の父親の死の真相も明かされる。非常に盛沢山で満足のいく内容。（MIHOシネマ編集部）
みんなの感想・レビュー