映画『レイジング・ブル』の概要:元ミドル級世界チャンピオンのジェイク・ラモッタの半生をマーティン・スコセッシ監督が映画化。現役のボクサー時代と引退後のジェイクを、徹底的な役作りで演じきったロバート・デ・ニーロの役者魂は圧巻。デ・ニーロはこの作品で2度目のオスカーを受賞している。
映画『レイジング・ブル』の作品情報
上映時間:128分
ジャンル:ヒューマンドラマ、スポーツ
監督:マーティン・スコセッシ
キャスト:ロバート・デ・ニーロ、キャシー・モリアーティ、ジョー・ペシ、フランク・ヴィンセント etc
映画『レイジング・ブル』の登場人物(キャスト)
- ジェイク・ラモッタ(ロバート・デ・ニーロ)
- 1940年代から50年代初頭にかけて、アメリカで活躍したプロボクサー。強情で、自分の信念を曲げない。強靭な精神力で積極的に前へ出ていく姿勢から“レイジング・ブル”と呼ばれている。猜疑心が異常に強く、それが仇となって身を滅ぼす。
- ビッキー・セイラー(キャシー・モリアーティ)
- ジェイクの2番目の妻。ブロンドのセクシー美女で、男からモテる。ジェイクの嫉妬深さに悩まされている。ジェイクとの間に二男一女をもうける。
- ジョーイ・ラモッタ(ジョー・ペシ)
- ジェイクの弟。マネージャーとして破天荒な兄を支えている。ジェイクをうまく扱える唯一の人物。仲のいい兄弟だったが、あることをきっかけに絶縁状態になる。
映画『レイジング・ブル』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『レイジング・ブル』のあらすじ【起】
1964年、ニューヨークの酒場。元プロボクサーのジェイク・ラモッタは、楽屋でトークショーの練習をしていた。でっぷりと太った今のジェイクの姿からは想像もできないが、彼は一流のプロボクサーだった。
1941年。“レイジング・ブル”の異名を持つプロボクサーのジェイクは、ジミー・リーブスと戦っていた。ジェイクは押され気味だったが、10ラウンドで反撃に出て何度もダウンを奪う。しかし審判は“ジミー勝利”の判定を下し、会場は大荒れになる。
ジェイクはマフィアの仕組む八百長試合が嫌いで、自分の実力のみで戦ってきた。そのため出世が遅れていたが、ジェイクは自分の信念を曲げない。試合の結果に苛立っていたジェイクは、いつものように妻と大喧嘩を始め、近隣住人から怒鳴られる。
ジェイクのマネージャーをしている弟のジョーイは、マフィアのザルビーから、自分たちと組むよう説得される。ザルビーのボスのトミーは、ジェイクが自分を頼ってこないことに苛立っていた。
ジョーイにとって、ジェイクの血の気の多さと頑固さは悩みのタネだった。しかしジェイクはミドル級のボクサーとしては無敵で、ジョーイもジェイクに強いことは言えない。
ある日、ジェイクは近所のプールでビッキーというブロンド美女に一目惚れする。ジョーイの話によると、ビッキーはまだ15歳で、簡単には落ちない女らしい。ザルビーもビッキーを狙っているようで、それがジェイクの闘争心に火をつける。
映画『レイジング・ブル』のあらすじ【承】
ジェイクは高級車でビッキーの気を引き、自分の稼ぎで両親に買ってやった家を見せる。ビッキーは羽振りのいいジェイクになびき、ジェイクの女になる。
1943年。ジェイクは前回の試合で負けたシュガーに勝利する。ジェイクは、試合前になるとビッキーとのセックスも控え、試合に集中していた。
1勝1敗で迎えたシュガーとの3戦目。試合はシュガー優勢で進んでいたが、ジェイクは7ラウンドにシュガーから2度のダウンを奪う。これでジェイクが逆転したと思われたが、判定でシュガーが勝利する。あの判定は明らかにおかしいとジョーイは荒れていたが、今日のジェイクは落ち着いていた。しかしビッキーに会う気にはなれなかった。
その後、ジェイクは勝利を重ね、ビッキーと結婚。結婚後もジェイクは絶好調で、次々と勝利を重ねていく。ジョーイも結婚し、双方に子供が生まれる。順調な日々は、1947年頃まで続く。
1947年。3年間勝ち続けたジェイクは、人気ボクサーのジェニロとの試合を控えていた。この試合に勝てば、次はいよいよタイトル・マッチだ。しかしジェイクは体重が増えすぎており、試合までにキャンプで減量をするしかない。ジェイクは自分が留守の間にビッキーが浮気をしないか心配だった。ジェイクのビッキーに対する猜疑心は異常で、ビッキーもストレスをためていた。
無事に減量も成功し、対ジェニロ戦はジェイクの一方的な勝利となる。ジェイクが減量のため留守にしている間、ビッキーはクラブで羽を伸ばしていた。現場を目撃したジョーイは、ビッキーを口説いていたサルビーをボコボコに殴り、トミーに呼び出される。トミーは、ジョーイとサルビーを仲直りさせる。しかし、ジェイクが自分を踏みつけにしていることは許せず、“絶対にタイトル・マッチはやらせない”とジョーイにすごむ。
映画『レイジング・ブル』のあらすじ【転】
ジョーイは、タイトル・マッチのためにトミーの八百長試合に従うようジェイクを説得する。ジェイクも仕方なく、その話に応じる。しかし相手があまりに弱く、うまくダウンできない。それでも一応負けてやったが、ジェイクは悔しさのあまり控え室で男泣きする。八百長丸出しの試合は連盟の審査に引っかかり、ジェイクは出場停止処分を受ける。
2年後。ようやくジェイクのタイトル挑戦が決まる。試合前日、緊張で苛立っていたジェイクは、トミーに親しげな態度を取ったビッキーを殴ってしまう。
試合当日。ジェイクは念願のミドル級世界タイトル・マッチのリングへ上がる。相手はチャンピオンのセルダンだ。激しい試合は10ラウンドまでもつれ込み、そこでジェイクはセルダンに強烈な連打を浴びせる。意識が朦朧としたセルダンにレフェリー・ストップがかかり、ジェイクはついに新チャンピオンとなる。
1950年。来月に初防衛戦を控えたジェイクは、ストレスで随分と太っていた。ビッキーへの猜疑心は病的になり、ジョーイとの浮気まで疑うようになる。ビッキーはジェイクのあまりのしつこさに嫌気がさし、“町中の男とやった”とジェイクを罵る。頭に血が上ったジェイクは、ジョーイの家へ押しかけ、ジョーイをボコボコに殴る。さらに、それを止めようとしたビッキーのことも思い切り殴ってしまう。
その夜、顔にアザを作ったビッキーは、荷物をまとめて出て行こうとする。ジェイクはビッキーにすがりつき、“行かないでくれ”と懇願する。ビッキーも、そんなジェイクを見捨てることはできなかった。
初の防衛戦は何とか逆転勝利することができた。ビッキーはジョーイと仲直りするようジェイクを説得する。しかしジェイクがジョーイに謝罪することはなかった。
映画『レイジング・ブル』の結末・ラスト(ネタバレ)
次の防衛戦で、ジェイクは宿敵シュガーにベルトを奪われてしまう。しかし最後までダウンしなかったことが、ジェイクの誇りだった。
1956年、マイアミの別荘。あれからジェイクは引退し、マイアミでクラブの経営者になっていた。ビッキーと3人の子供に囲まれ、ジェイクは呑気な日々を楽しむ。肥満体の中年男性になったジェイクに、かつての面影はなかった。
ジェイクのクラブはなかなか繁盛していた。ジェイクは毎晩店に出て、トークで客を盛り上げ、店の女の子と浮気をする。ある朝、店の外にビッキーが来ており、唐突に別れを告げて去っていく。ビッキーは、自分を家に閉じ込めて好き放題やっているジェイクに愛想を尽かし、離婚の準備を整えていた。ジェイクは家と家族を失ってしまう。
悪いことは続き、ジェイクは未成年の女の子を雇った罪で逮捕される。何とか保釈はされたが、起訴されたら刑務所送りになるのは間違いなかった。1万ドルあれば不起訴にできるが、今のジェイクに金はなく、頼れる人もいなかった。
1957年、刑務所へ収監されたジェイクは、所内で暴れて独房へ入れられる。ジェイクは自分のバカさ加減を嘆き、何度も壁を殴って男泣きに泣く。
1958年、ニューヨーク。出所したジェイクは酒場で漫談をする芸人になっていた。同じ芸人のエマ・ボインという年増の女が今の恋人だ。ある晩、仕事を終えたジェイクは、通りでジョーイを見つけて後を追う。ジョーイはジェイクのことを無視していた。それでもジェイクはジョーイを無理矢理抱きしめる。ジョーイは明らかに迷惑そうだった。
そして1964年。すっかり芸人が板についたジェイクは、楽屋で本番を待っていた。本番直前、ジェイクはリングに上がる前のように、スパーリングして気合を入れる。
映画『レイジング・ブル』の感想・評価・レビュー
カラー作品だと思っていたら違った。マーティン・スコセッシはあえてモノクロで撮ったのだ。時々起こるスローモーションと、クラッシックミュージックが本当に綺麗だった。
見所はロバート・デニーロのボディメイキングである。引退後の増量した体型のシーンは最初と最後しか出てこなかったけど、それ故、間の現役時代の引き締まった輝きが際立っていた。伝記映画として、レイジング・ブルが猛烈に凄まじくも時には葛藤したり苦しむ様子が鮮明に描かれていた。最後にノスタルジーに浸る感じも良い。(女性 20代)
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