映画『レイジング・ケイン』の概要:幼少期に心理実験を受けた精神科医が狂気に蝕まれていく姿を描いた1992年公開のアメリカ映画。多重人格者を演じたジョン・リスゴーの怪演が光る。ブライアン・デ・パルマ監督作品。
映画『レイジング・ケイン』 作品情報
- 製作年:1992年
- 上映時間:92分
- ジャンル:サスペンス、ミステリー
- 監督:ブライアン・デ・パルマ
- キャスト:ジョン・リスゴー、ロリータ・ダヴィドヴィッチ、スティーヴン・バウアー、フランシス・スターンハーゲン etc
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映画『レイジング・ケイン』 評価
- 点数:75点/100点
- オススメ度:★★★☆☆
- ストーリー:★★★☆☆
- キャスト起用:★★★☆☆
- 映像技術:★★★☆☆
- 演出:★★★☆☆
- 設定:★★★☆☆
[miho21]
映画『レイジング・ケイン』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『レイジング・ケイン』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『レイジング・ケイン』 あらすじ【起・承】
2年前に休業した精神科医のカーター(ジョン・リスゴー)は、同じく医師で働きに出ている妻ジェニーの代わりに子育てに専念していた。カーターはなぜか子育てに対する執着心が強く、娘の部屋に監視カメラを設置するほどだった。
ある日、娘と公園で遊んでいたカーターは、息子を連れた友人のヘレンと偶然会い、自宅まで車で送ってもらうことになる。だが、カーターは麻酔で彼女を眠らせる。彼の狙いはヘレンの息子だったのだ。
眠らせたのはいいものの、その後の行動に迷うカーター。そんな彼の前に、双子の弟ケインが現れる。ヘレンを殺して海に沈めるようアドバイスをするケイン。彼は気弱なカーターとは正反対の性格の持ち主で、カーターの代わりに行動するようになる。
その後、ヘレンの息子を連れてモーテルへ向かうケイン。そこにいたのは、カーターとケインの父親ニックスで、ケインは彼にヘレンの息子を預ける。
一方、ジェニーの浮気現場を目撃してしまったカーターは呆然とする。だがそこへ、またしてもケインが現れてカーターはその場を彼に任せる。実はケインは双子の弟ではなく、カーターの中にいるもう一人の人格だった。
ケインはジェニーの浮気相手であるジャックのコートを着て女性を殺害し、彼の車のトランクにその死体を積む。そして、ジャックに気づかれないようにコートを元の位置に戻してその場を去る。
ケインはカーターの代わりに何食わぬ顔で帰宅し、ジェニーと過ごす。そして、ジェニーが気を抜いているところを狙って襲い、気絶したジェニーを車に乗せて海に沈める。娘をニックスに渡すことを目的としていたケインにとって、ジェニーは邪魔な存在であった。
映画『レイジング・ケイン』 結末・ラスト(ネタバレ)
妻と娘が行方不明になったと、カーターを装って警察に届け出るケイン。そんな彼を見た老刑事は、20年前に5人の子供を誘拐したニックスという男がカーターの父親であると他の刑事に訴える。そして、過去にニックスと対立していたウォルドハイム博士を協力者として呼び出す。ニックスがかつて多重人格の子供を意図的に作り出す実験をしていたという話をウォルドハイムに聞いた刑事たちはカーターを疑い始めるが、何の証拠もないため彼を家に帰す。そして、血の付いたコートや死体が積まれた車などの物的証拠を所有しているジャックを逮捕する。
計画通りジャックに罪をかぶせることに成功したケインは満足気に帰宅する。だが、彼の前に海に沈めたはずのジェニーが現れる。ジェニーは車から自力で脱出してきたのだった。手首を切られたケインはカーターに体を譲る。だが状況が把握できないカーターは動揺し、駆け付けた警察に身柄を確保される。
カーターとの対面を果たしたウォルドハイムは、ジョシュという少年の人格とマーゴという女性の人格をカーターから引き出すことに成功する。実はカーターは、父親ニックスによる心理実験で多重人格を有していて、彼の命令で実験用の子供を引き渡していたのだった。
カーターの体を借りたマーゴはウォルドハイムを気絶させ、彼女のウィッグと服を身につけて警察署から脱出する。
ウォルドハイムになりすましたマーゴを見て不審に感じたジェニーは尾行し、モーテルに辿り着く。そしてそこで、娘を連れて逃げようとするニックスと対面する。ジェニーの娘を人質に逃げ切ろうとするニックス。だが、マーゴの策略によってニックスの計画は失敗に終わり、ジェニーは娘を救う。
数日後、カーターは行方不明になっていた。
公園で娘と遊ぶジェニー。娘を追って森に入った彼女の後ろには、笑顔のマーゴが立っていた。
映画『レイジング・ケイン』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『レイジング・ケイン』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
滲み出るヒッチコック愛
ブライアン・デ・パルマ監督といえば、アルフレッド・ヒッチコックから影響を受けた作風が有名だ。彼の作品では、ヒッチコック映画を意識した表現が随所で用いられている。
特に本作は多重人格者を描くということで、『サイコ』を彷彿とさせる場面がいくつか見られる。車を湖に沈めるシーン(サイコでは沼だった)もそうだし、最後の最後で女性の格好をしたマーゴが現れたのも、『サイコ』のラストシーンへのオマージュだろう。
本当に画面から滲み出るほどのヒッチコック愛を感じる。感じるんだけど、ヒッチコックを知らない人からしてみたら正直どうでもいいのではないだろうか。監督の趣味なんて。観客が求めているのは面白い映画なのだから。
でも、本作では監督の趣味がプラスに働いていたから良かった。
デ・パルマカット
ブライアン・デ・パルマ監督といえば・・・というものがもう一つある。そう、デ・パルマカット。
そのデ・パルマカットの中でも本作で際立っていたのが長回しとスローモーションだ。最近流行りの長回しモドキではなく、彼は本当の長回しを見せてくれる。
本作でも、ウォルドハイムと刑事が水死体を確認しに行くまでを、カメラがずっと追っている。廊下を歩き、長い階段を降り、エレベーターに乗り・・・と、その行動を途切らせることなく見せてくれる。もちろん会話も途切れない。すごい。
油断すると大事な部分を見逃すのではないかとこちらも身構え、いつしか作品の世界に引き込まれている。完全に監督の勝ちだ。
スローモーションも最後の見せ場で使っていて、連鎖的な悲劇から奇跡が起こるまでの一連を効果的に見せている。
恐るべし、デ・パルマカット。
映画『レイジング・ケイン』 まとめ
なんと言っても、多重人格者を演じたジョン・リスゴーが素晴らしい。
彼が演じたのは3人の別人格を持つ気弱な男なのだが、その別人格が7歳の少年、成人女性、そして残忍な殺人鬼と、なんとも幅の広い人物設定となっている。しかも父親であるニックスも彼が演じているから驚きだ。
ジョン・リスゴーを見るだけでも楽しめる作品かもしれない。
ただ、ラストシーンでマーゴ(女装したジョン・リスゴー)を出したのは完全に笑わせにきているし、どうしてニックスの邪魔をしたのかは分からなかった。
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