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映画『リアリズムの宿』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『リアリズムの宿』の概要:2003年製作の日本映画。長塚圭史と山本浩二を主演にしたコメディロードムービーで、マイナーの脚本家と監督が共通の知人に呼び出され温泉街に宿泊し、リアルな人間のコミュニティを静かに笑いに変えた作品である。

映画『リアリズムの宿』の作品情報

リアリズムの宿

製作年:2003年
上映時間:83分
ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ
監督:山下敦弘
キャスト:長塚圭史、山本浩司、尾野真千子、多賀勝一 etc

映画『リアリズムの宿』の登場人物(キャスト)

坪井小助(長塚圭史)
インディーズ映画の脚本家。寡黙で愛層が無いが、冷静で意志が強い性格の男である。俳優の舟木に呼ばれて温泉街の駅に到着する。
木下俊弘(山本浩二)
インディーズ映画の監督。女性に縁がなく童貞。ホテルに酒を持ち込むことにもビビる小心者で、生真面目な性格。
川島敦子(尾野真千子)
2人の男の前に突如現れた謎の女性。東京から来た21歳だと名乗るが実は高校生で地元の女の子。

映画『リアリズムの宿』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『リアリズムの宿』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『リアリズムの宿』のあらすじ【起】

さびれた温泉街にある小さな駅に、2人の男がよそよそしく立っている。
インディーズだが脚本家として活動している坪井と監督の木下と言う男たちで、顔見知りではあるが大して話したことも無い。
俳優であり共通の友人である舟木により、今回旅の予定を組まれたためこの駅に来たのだった。
だが肝心の舟木がまだ姿を現さないでいる。

そこに坪井の携帯が鳴った。
舟木からだった。
彼は予定を忘れていたようで、今から家を出ると言っている。
仕方なく2人の男は街に向かってブラブラと歩き出した。

宿の予約もしていない2人は今晩の寝床と食事を探すため、近場の宿から探していく。
そこそこの良い宿が見つかり尋ねると、宿泊も可能だということで2人はそこに泊まることにする。
しかし田舎で舟木も居ないしやることが無い2人は、女将に言われるがまま近くの川辺に釣りに出かけることにした。
寒い中じっと座る2人だったが、当然中々釣ることなどできない。

そこに外国人風の男性が声をかけてきた。
自分が釣った魚を見せて「3匹5000円で買わないか?」言うのである。
きっぱり断れることが出来る坪井に対し、5000円支払い魚を宿まで持って帰る木下。

魚を宿まで持ち帰り女将に「刺身にしてくれ」と頼むと、女将は彼らが釣ったと勘違いし賞賛すると夫を大声で呼んだ。
現れた夫はさっきの魚を売って来たあの外国人風の男だった。
この主に持ち込んだ酒をこっそり飲まれたり、用意してくれたおかしな露天風呂に入るなどここでの宿泊体験は奇妙な思い出となる。

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映画『リアリズムの宿』のあらすじ【承】

翌日、2人はあてもなくバスに乗り海岸までやって来た。
真冬の海はみるからに寒々しかったが、とりあえず浜辺に座り舟木に連絡をとろうとする。
しかしやはり彼は出なかった。
2人はポツポツと会話を始めたが、中々盛り上がらない。
自分で童貞だと言う木下と、気まずいながらも女性の話をするだけだった。

そこに突然若い女性が走って来た。
下は水着を着て上半身は裸。
話を聞くとこの寒空の中、海水浴をしていて服も財布も全て波に流されたと言うのである。
とりあえずそこで暖を取り、坪井はコートを彼女に貸してあげた。
その後坪井は近くの洋品店で適当な洋服を買ってあげ、蕎麦屋で御馳走する。
彼女は「あっちゃん」というニックネームの21歳で、原宿に住んでいると言った。

この不思議な出会いで3人は奇妙な旅をすることになる。
次第に女性に縁がなかった木下は、あっちゃんに惹かれていくようになりそんな彼を放っておく坪井。
一緒に食事をし、酒を飲み、1日を三人で過ごした。

翌朝ゲームセンターに行くと、一緒にプリクラを撮った。
その後何本も走っていないバス停でバスを待っている時、反対側に来たバスにあっちゃんは突然乗り込みどこかへ消えてしまった。

映画『リアリズムの宿』のあらすじ【転】

呆然と立ち尽くす2人は、来たバスに乗り、着いた先で食事をすることにする。
2人の所持金は合わせて7000円ちょっと。
もう食事も宿代も厳しかった。
たまたま入った食堂で1つの料理を分け合って食べている時、隣に座っている怪しい3人組に声をかけられる。
年配の男に金髪でジャージの青年、それに年齢不詳の若い女性だ。

年配の男は食事とビールを御馳走してくれた上、金髪の青年に「泊めてやれ」と気軽に言う。
断った坪井達だったが青年は意外にも簡単にOKだと言い、言われるがまま車に乗ると青年の自宅に連れていかれた。
彼らを自宅に入れると、「自分は用があるがすぐ戻る」と言うと出て行き、2人はリラックスして部屋でくつろいでいる。
すると坪井が木下の映画に「女のにおいが無い」と言い出し、そのことでお互いの恋愛映画に対する価値観がぶつかりあい始めてしまった。

気が付くと小学生くらいの男の子と女の子が立っている。
「お兄ちゃんに友達だ」と動揺しながら言い、家を出て行こうとすると「19時にお兄ちゃんが帰る」と言われ待つことにした。
しかしさらにこの家には妹が住み、お婆ちゃんが住み、母が暮らす大家族だったのだ。
坪井は母親に電話を貸してもらい、さっきの青年に電話をすると近場の宿を紹介してもらう。

映画『リアリズムの宿』の結末・ラスト(ネタバレ)

その家を後にし、向かったのは「森田屋」という宿だった。
入るとどうみても普通の家庭が暮らす自宅であり、「間違ったのでは無いか」と焦ると後ろから女将らしき女性が「お二人ですか?」と声をかけてきた。
だがそこにあるのは家族が団らんする茶の間だけで、そこに当たり前のように通された二人は家族とともに炬燵に入りテレビを見た。

主は体調がかなり悪いらしく酸素ボンベをしながら座っていて、時たま酷く咳き込んでいる。
息子らしい少年は愛そうが無く、コメントも小生意気だ。
女将に部屋に案内してもらうと、二階の埃だらけの汚い部屋でさすがに無言になる2人。
風呂は掃除もしておらず汚れていて狭い上、家族が全員入った後の風呂で客人扱いもされていない。
先に入った坪井は木下に風呂に入るなと忠告をし、ぼろぼろの誇り臭い布団で肩を並べて寝た。
寝られない2人は、今日の信じられない出来事があまりにおかしくお互い大爆笑する。

木下は「東京に帰ったら何か書いてよ」とぼそっと言った。
それに対し坪井は「一緒に書きましょうよ」と返した。

翌朝宿を出て行こうとすると、主は病院に運ばれて少年以外付き添ったようだった。
少年に金を払うと帰宅しようと歩き出す。
駅前の道を歩いていると女子高の通学路なのか、高校生たちが制服で楽しそうに過ぎて行った。
その向こうに佇んでいる少女がいる。
あの消えたあっちゃんだった。
彼女は女子高生だったようである。
2人は海沿いの道路を、無言で並んで歩いて帰って行く。

映画『リアリズムの宿』の感想・評価・レビュー

原作はつげ義春の漫画。
原作もシュールなら、この映画もシュール。
あまり遭遇しないけれど、ありえなくもない、そんなふうに感じる非日常の物語。

ハリウッドの超大作が好きな人にはオススメできませんが、小さな物語が好きな人にはたまらない空気感です。
観終わった後幸せな気持ちになるとか、スカッとするとか、そういう感情は一切生まれませんが、じわじわ染みる感じの面白さ。
クスッと笑えるシーンもあり。
最後の宿のお風呂の汚さに2人が打ち解けるところは思わず笑ってしまいます。(女性 40代)

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