映画『レプリカズ』の概要:亡くなった人間の神経情報をデータ化し、合成脳へ移し替える研究を行っている神経科学者。ある日彼は週末の家族旅行へ出発し、不慮の事故に遭う。そのせいで家族全員を亡くし深い悲しみに襲われた彼は、クローンで家族のレプリカを作ろうと考えつく。
映画『レプリカズ』の作品情報
上映時間:107分
ジャンル:SF、サスペンス
監督:ジェフリー・ナックマノフ
キャスト:キアヌ・リーヴス、アリス・イヴ、トーマス・ミドルディッチ、ジョン・オーティス etc
映画『レプリカズ』の登場人物(キャスト)
- ウィリアム・フォスター(キアヌ・リーヴス)
- 亡くなった人間の脳内データをアンドロイドに移植する研究を行っている神経科学者。データ移植には成功しているものの、人の心を上手く移植できず苦悩している。不慮の事故にて家族を亡くし移植技術とクローン技術を使って家族を再生させる。愛情深く非常に優秀。
- モナ・フォスター(アリス・イヴ)
- ウィリアムの妻。3人の子供の母親であり、優秀な外科医でもある。ウィリアムの研究に反対している。
- エド(トーマス・ミドルディッチ)
- クローン技術を研究している科学者。ウィリアムの同僚であり親友で、ウィリアムのプロジェクトに参加している。フォスター家とは家族ぐるみの付き合いがあり、家の留守番をしてくれる。ウィリアムに頼み込まれ彼の企みに加担する。
- ジョーンズ(ジョン・オーティス)
- ウィリアムの研究プロジェクトの上司。政府組織の人間でありウィリアムが家族をレプリカしたことで、その技術を奪おうとする。
映画『レプリカズ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『レプリカズ』のあらすじ【起】
バイオナイン産業、実験研究所にて人間の心をデータ化し合成ボディに移し替える研究を行っている神経科学者のウィリアム・フォスターは、ドナーが移送されて来るのを今か今かと待っていた。実験は最終段階へと入り、死亡して24時間以内の兵士から神経情報を入手し合成脳へインプリント。人間の心を複製するのである。この実験が成功すれば今後、世界は激変するだろうと思われていた。
左目頭から脳へと神経短針を刺し、神経情報を抽出。抽出した情報は一旦、記憶装置へと記録されマッピングすることができる。ウィリアムは記憶を可視化するヘッドギアを装着し、神経情報を精査。そうして、合成脳へインプリントする。ところが、インプリントは無事完了したものの合成ボディを起動した途端、兵士は自分が認識できず錯乱状態となり暴走。実験は失敗に終わった。
このことで、研究プロジェクトの上司ジョーンズは、ウィリアムに研究終了の可能性があることを示唆するのだった。
週末の休暇を利用し家族旅行へ向かう予定だったウィリアム。人生や家族との時間を犠牲にして研究を行ってきたため、子供達も妻のモナもウィリアムと過ごせることを喜んでいた。優秀な外科医でもあるモナはウィリアムの実験に反対している。人を死から呼び戻すことは自然の摂理に反していると言うのだ。夫婦は口論となったが、なにはともあれ同僚で親友のエドに留守番を頼みフォスター一家は車にて出発するのだった。
しかし、日が暮れると酷い暴風雨が一家を襲う。そのせいでウィリアムがハンドル操作を誤り、車は林へと突っ込んで近くの川へと落下した。衝撃で気絶していたウィリアムが気付いた頃には、3人の子供達が座っていた後部座席は水に浸かり、モナもまた命を落としていた。ウィリアムは家族を岸へと運び出し、ひとしきり嘆き悲しむ。そこで、ふとあることを思いつくのだった。
すぐさまエドに連絡を入れ、機材を持って来てもらう。ウィリアムはモナと子供達の神経情報を入手。その後、2人は研究所へ。クローン技術を研究しているエドからクローンを作るための装置を教えてもらう。そして、家族の組織を採取後、エドに遺体の始末を頼みウィリアムは必要な機材を持って自宅へと戻った。
自宅の物置と化している地下室へとエドが密かに持って来た機材を運び込む。人を作るための材料も研究所から拝借したが、クローン用のポッドが3つしかない。全員を生き返らせるには4つ必要だったが、ウィリアムは思い悩んだ末、幼い末娘をリストから除外することにした。エドによって準備は着々と進む。朝方、クローン生成の全ての工程が終了。クローンができた後は、肉体へと神経情報をインプリントすれば元通りである。そこで、ウィリアムはエドを見送った後、モナと長女、長男の記憶から末娘の記憶を全て消した。
映画『レプリカズ』のあらすじ【承】
数日が経過。自宅にてクローン生成を見守りながら自身の研究について、考えていたウィリアム。エドからの連絡により急いで研究所へ。滞っている業務をこなし帰宅。すると、学校の教師が来ており子供達の無断欠席を指摘される。クローン生成に必死で家族のアリバイ工作を忘れていたウィリアム。エドと口論した後、慌てて全員のスマホやPCを使ってアリバイを作った。
自身の研究についても日々、暗中模索していたが、解決策は見出せない。クローンは順調に育っておりポッドの中を泳ぎ回っているが、インプリントの問題が解決しなければ実験と同じ失敗が起こる可能性があった。しかし、生成を始めてから17日後、エドがやって来てクローンをポッドから出さなければ肉体に様々な弊害が起こると指摘。ポッドの中では成長が早いため、17日以上は留め置けないのである。そこで、ウィリアムは問題が解決するまで、ポッドから出したクローンに薬を打って昏睡状態にすることにした。
エドの調合が良かったのか、クローンは完璧な出来だった。昏睡状態にした家族には、エドが栄養剤を投与。昏睡にできるのはせいぜい3日が限度である。ウィリアムはクローンの状態を確認し、アリバイを作り実験のログを何度も見返した。それでも解決策が見出せない。
いっそのことクローンを廃棄しようかとまで考えたが、触れるとモナが反応することを発見。これは、脳が白紙状態でも触れた相手の存在を感知しているということだ。恐らく、インプリントされた先が合成ボディであることが問題なのだろう。これにより、インプリント問題への解決策を見出すことができる。早速、モナの神経情報をインプリントすることにした。
エドと共にインプリントを開始し、無事に終了。目覚めたクローンは正しくモナであった。ウィリアムとエドは大喜びし、レプリカのモナを再び眠らせる。家の掃除をして齟齬をなくさなければならない。一安心したウィリアムは、エドを見送り家中の掃除と片づけを行った。同時に末娘の痕跡も全て消してしまう。苦渋の決断ではあったが、末娘を再生できなかったことはウィリアムを苛み続けた。
映画『レプリカズ』のあらすじ【転】
翌朝、目覚めると食堂ではいつもの光景が広がっていた。約20日ぶりに目覚めたレプリカたちは記憶にも動作にも問題はなく、密かに喜ぶウィリアムだったが、エドからドナーが研究所に届くとの知らせが入る。今度こそ実験を成功させなければ、研究所は閉鎖となりクローンを作った機材や材料を横領したことが公になる。そうなれば、エドもウィリアムも逮捕されてしまう。
家族のことも心配だったが、実験を成功させることも大事である。ドナーの身体や脳内の状況を調べ問題はないと分かっていたが、このままでは同じ失敗を繰り返すだけだ。そこで、ウィリアムはドナーが汚染されていると嘘を吐く。実験は中止となったが、次のドナーが来る前に機材を手にトイレへと入り、自らの神経情報を取ることにした。それは凄まじい痛みを要したが、自分を合成ボディへとインプリントできれば、実験は必ず成功する。そのことをエドに明かし、インプリントの準備をしておくよう頼んだ。
夜、帰宅するとモナが異変を察知し不安を吐露してくる。どうやら事故や深い傷を負った記憶が家族を苛んでいる様子。ところが、モナは夫の異変を察して何があったのか詰め寄る。そこで、ウィリアムは真実を明かすことにした。モナと子供達がレプリカであることを明かすとショックを受けてしまうが、聡明な妻は夫の深い悲しみを理解してくれるのだった。
ところがある日の夜、末娘がいたはずだと家族で問題になる。ウィリアムはどう言い訳をしようかと考えたが、そこへジョーンズが来訪。上司はウィリアムに3体のレプリカ生成は無事に成功しているが、このことが世間にばれたら大変なことになると脅迫。
ウィリアムは自身の研究を医療に役立てるつもりだったが、バイオナイン産業は戦争に勝つためにウィリアムの研究を利用しようと考えている。ウィリアムは神経情報のアルゴリズムを渡すふりをして、ジョーンズに鎮静剤を投与。アルゴリズムを電子レンジで破壊した。そして、モナに末娘がいたことを告白し今すぐに逃げようと説得。モナは状況を察し、子供達を急かして荷物をまとめた。
映画『レプリカズ』の結末・ラスト(ネタバレ)
ウィリアムは末娘の記憶装置を持って家族と共に逃走。しかし、すぐに追手が現れ攻撃を仕掛けて来る。クローン生成の際、研究所では追跡装置を脊柱に埋め込んでいる。追跡装置は簡単に外せないようになっていたが、モナが働く病院の処置室にて電気ショックの電流で追跡装置を焼いた。どうにか追手に見つからないよう再び逃走したが、目を話している隙に追手が家族を捕縛してしまう。ウィリアムは急いで研究所へと向かった。
研究室ではジョーンズと捕縛した家族、それからエドが待っていた。エドはモナたちの遺体を処分する際、ジョーンズに見つかってしまい指示に従わざるを得ない状況だったと言う。ウィリアムは彼を許し、ジョーンズと対峙。だが彼は容赦なくエドを殺害。唖然としたウィリアムとモナを前にジョーンズは次にモナを殺すと言う。
ウィリアムはアルゴリズムを作り直すことにし、それと同時に合成ボディへと自分の神経情報をインプリントした。このことにより、銃弾にも斃れない合成ボディを持つもう1人の自分が仲間となり追手を牽制。ウィリアムは家族を救い出し外へと逃れたが、思い立って1人研究室へと戻った。
研究室ではもう1人の自分がジョーンズを虫の息にしていたが、そこで研究を利用し大富豪になる別の人生を提示。今後、自分達を追わないことを条件にジョーンズと交渉した。ジョーンズは交渉に頷き自分のレプリカを作るよう頼むのだった。
合成ボディの自分が残ると言ってくれたため、人間のウィリアムは家族の元へ。
17日後、一家は海辺で海水浴を楽しんでいたが、そこへ末娘の手を引いたウィリアムがやって来る。彼はもう1人の自分と結託し、末娘のレプリカを作ったのだ。そして、合成ボディのウィリアムとジョーンズは、アラブ首長国連邦国にて大富豪を相手に大金を受け取りレプリカの制作をして荒稼ぎしているのであった。
映画『レプリカズ』の感想・評価・レビュー
制作指揮を主演のキアヌ・リーヴスが務めており、クローン技術と神経情報の移し替えによってレプリカを作ってしまうという内容。フィクションとは言え、かなりリアルなSFアクション大作である。
科学者は合成脳に情報を移した結果、認知できずに暴走する理由が分からない。それは、序盤のシーンで医師である妻が人間は肉体ありきだと反論しているが、結果的にその通りとなる。それまで、主人公は科学者であるが故に凝り固まった考え方でしか、解決策を探していなかったからだろう。人間のクローン生成は世界的に禁じられているが、理論上は作れるという話だ。もし、今作のようなレプリカが作れるようになったら…まるで夢のような話である。(MIHOシネマ編集部)
キアヌ・リーヴス主演ということで期待値が高まるが、CGが安っぽくてまず衝撃を受けた。
大切な家族が亡くなってしまったために、人間を複製しようと奮闘する物語だがツッコミどころが多いので整合性を求めると違和感が発生してしまう。まず家族が事故に遭うシーンが主人公の注意ミスというところで「いやいや、どれだけ迂闊なの?」と感じ主人公に十分に共感できない。
タブーに手を出すのだから、その前の事情は主人公に感情移入させるようにして欲しかった。そこで躓いてしまったので、そこからの展開に置いてけぼりになってしまう。(男性 30代)
みんなの感想・レビュー
自分の勝手な解釈として、権力と人脈のある上司(ジョーンズ)の身体に良きビジネスパートナーとして同僚(エド)の精神面がインプリントしているようにも捉えられて楽しかったです。