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映画『TOKYO!』のネタバレあらすじ結末と感想

この記事では、映画『TOKYO!』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『TOKYO!』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。

この記事でわかること
  • 『TOKYO!』の結末までのストーリー
  • 『TOKYO!』を見た感想・レビュー
  • 『TOKYO!』を見た人におすすめの映画5選

映画『TOKYO!』の作品情報

TOKYO!

製作年:2008年
上映時間:110分
ジャンル:ファンタジー、ヒューマンドラマ、ミステリー
監督:ミシェル・ゴンドリー、レオス・カラックス、ポン・ジュノ
キャスト:藤谷文子、加瀬亮、伊藤歩、妻夫木聡 etc

映画『TOKYO!』の登場人物(キャスト)

ヒロコ(藤谷文子)
「インテリア・デザイン」の登場人物。役者の卵。誰かの役に立てているのか不安に苛まれている。友人のアケミを頼り上京したが、「向上心がない」と否定されてしまい気にしている。
アキラ(加瀬亮)
「インテリア・デザイン」の登場人物。駆け出しの映画監督。理屈的で前のめりな性格。ヒロコの変化に気付くのが遅く、怒らせてしまうことが多い。
アケミ(伊藤歩)
「インテリア・デザイン」の登場人物。ヒロコの高校の同級生。上京し仕事していることで自信を持っており、ヒロコに対して上から目線で話すことが多い。恋人とは遠距離恋愛をしている。
メルド(ドニ・ラバン)
「メルド」の登場人物。突如現れた「下水道の怪人」。奇妙な身なりと、奇行で世間を賑わせた。唯一話すことができる弁護士とのやり取りで意思を表明するも謎の多い存在。
ヴォランド(ジャン=フランソワ・バルメール)
「メルド」の登場人物。メルドと喋ることができる存在。フランスで人気の弁護士で、熱量のある仕事の仕方をするが、前代未聞なメルドの発言に振り回されていく。
引きこもりの男(香川照之)
「シェイキング東京」の登場人物。10年間一人暮らしの家に引きこもっている青年。整理整頓された家で、同じルーティンを崩さずに生きていた。しかし11年目の土曜日に人と目を合わせてしまい変化していく。
ピザ屋の店員(蒼井優)
「シェイキング東京」の登場人物。毎週土曜日、引きこもりの男性の家にピザを配達する女性。感情を司るボタンと、電源ボタンを身体に付けている。引きこもりの男性が外に出るきっかけとなる存在。

映画『TOKYO!』のネタバレあらすじ(起承転結)

映画『TOKYO!』のストーリーをネタバレありの起承転結で解説しています。この先、結末までのネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『TOKYO!』のあらすじ【起】

「インテリア・デザイン」

突然変異などSFめいた話をしながら渋滞の気晴らしをするヒロコとアキラ。目的はアケミの自宅であった。一人先に上京しているアケミは「東京では」と必ず頭に付けて色々な説明をする。そして翌週には名古屋に住んでいる遠距離の恋人が泊まりに来ると話、ヒロコとアキラは早々にアパートを探すつもりだと返答するのだった。アキラは映画監督、ヒロコは役者として夢を追い上京したのだ。

翌日、アケミが教えてくれた場所に車を移動し、アパートを探しに出たヒロコとアキラ。予算を大幅に超えた初期費用と最悪なロケーションにうんざりするヒロコ。前夜アケミに言われた一言が引っかかっていたヒロコは、うまくいかない現状と重ねヒステリックになってしまう。アキラは優しく抱きしめ慰めるのだった。帰り道、偶然アルバイト募集の張り紙を見つけたヒロコ。包装の仕事内容は不器用なヒロコには向いておらず、アキラだけが採用されてしまう。アケミのプレッシャーもあり、早く家を見つけなければならない二人は、働いて資金を作るアキラ、家を探すヒロコに分かれて動くことにした。思うように家が見つからず落ち込んでいるヒロコは、車を路上駐車していたことを思い出す。案の定車はレッカー移動されてしまっていた。週末に上映を控えていたアキラの仕事道具も全て車の中にあったため、ヒロコは嘘をついてしまった。機材はアケミの家に避けてあると。

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映画『TOKYO!』のあらすじ【承】

アキラに隠れてレッカー先に出向いたヒロコ。お金は全額払えないが、車の中から機材だけ出させてほしいと懇願した。あいにく、融通の利かない受付は決して通してくれない。その様子を見ていた別の係員の協力で何とか機材を取り出し、上映に間に合わせることができたヒロコはこのころから異様な緊迫感に苛まれるようになった。

上映当日。評価は並々で、お客や広告代理店に勤めるアケミの恋人の叔父から声をかけられるアキラの様子を見守るヒロコは複雑な心境であった。そしてアケミとアキラがひそひそと話す様子や、夜にアケミの恋人が苛立ちながら言っている文句を聞きながらヒロコは心を疲弊させていた。翌朝、ヒロコが目を覚ますと、身体には穴が開いていた。怖くなって外に飛び出したヒロコだったが、時間が経つことに身体はどんどん木に蝕まれ提起、最終的には椅子になってしまった。そんなヒロシを拾ってくれた見知らぬミュージシャン。そのミュージシャンの家で誰かの役に立つ幸せを感じながら好きなことをして暮らすのだった。

映画『TOKYO!』のあらすじ【転】

「メルド」

片眼が白眼の青年はマンホールから地上に這い上がり、通りすがりに人へイタズラを続けた。人々は彼を「下水道の怪人」と呼んでいる。異様な姿と傍若無人な振る舞いに世間は震え、警察も動く騒動に発展していた。そんな中、住みかとする下水道で手榴弾を見つけた彼は、夜に人が多く集まる渋谷に出向き無計画に手榴弾を投げまわった。

膨大な数の被害者を出した事件に、警察も黙ってはおらず下水道に入り込んで彼を逮捕する試みに出た。計画は見事成功し逮捕することはできたが、言葉は通じず、食事は一文字菊のみ。得体の知れない犯人に情報は錯綜する一方であった。そんな事態の救世主となったフランス人弁護士、ヴォランド。ヴォランドだけは彼と会話ができるのである。彼の名前はメルド。奇行の動機は「日本人が嫌い」というものであった。神の与えた十字架の元生きているメルドは、涙を浮かべながら絞首刑だけは嫌だと拒否し続けた。

世間はメルドのニュースに泳がされ、絞首刑推奨派とメルド信仰派に大きく分かれた。判決は「死刑」。3年の月日を経て、ついに刑を執行されたメルドは大勢に見られながら、最期に祈りを捧げ息絶えた。しかしそれは振りであり、再び動き出したメルド。日本に飽きたメルドの次の狙いはアメリカ、ニューヨークであった。

映画『TOKYO!』の結末・ラスト(ネタバレ)

「シェイキング東京」

10年間、一人暮らしで引きこもる青年。父親から送られてくるピン札の仕送りに喜びを感じ、人との接触を避けて生きている。整理整頓された部屋の壁には、毎週土曜日に頼んだピザの空き箱が積み上げられていた。

11年目の土曜日。ピザの配達員の脚に気を取られ思わず目を合わせてしまった。その矢先訪れた地震。玄関に倒れ込んだ配達員を起こそうと近づくと、感情を表すボタンと電源ボタンがあることに気付く。何気なく電源ボタンに触れてみると、即座に彼女は起き上がった。「この家は完璧だ」という彼女は、ヘルメットを手に取り颯爽と家を後にした。彼女と出会った衝撃で2日間何もできなくなった青年。彼女に会いたい一心で、土曜日以外にもピザを頼んだ。

何を話そうかシュミレーションして待っていたが、彼女は来なかった。仕事を辞めてしまったこと、もう二度と外に出ないと言っていることを知った青年は、「引きこもり」になった彼女に会うために「引きこもり」の自分ができることは外に出ることだと理解する。意を決して外に出た彼の目には、11年分の草木に覆われた我が家が写る。気付くはずもない変化は家だけではい。町中の人々が引きこもってしまっていた。必死に彼女を探すと、窓の格子越しに座り込む姿を見つけた。せめて名前だけでも聞きたい彼は必死に声をかけた矢先、再び地震が起こった。引きこもった人々は一斉に飛び出し、彼女も外に出てくる。彼の顔を見て逃げようとする彼女の腕を取った時、「LOVE」のボタンを押してしまった彼。沈黙する二人を遮るように、再び地震が訪れるのだった。

映画『TOKYO!』の感想・評価・レビュー

自負する部分があると人は被害者になりやすい。一作目である「TOKYO!/インテリア・デザイン」ではそれが明白であった。そして奇怪な怪人に翻弄される「TOKYO!/メルド」。最後は日本が誇る鬼才・香川照之と世界を揺るがすポン・ジュノ監督タッグ作品「TOKYO!/シェイキング東京」。オムニバス形式ながら、3作品を通して、舞台となった東京という町の孤独感や身勝手さは繋がっているように見えた。外から見るTOKYOという町はもっとカルチャーに溺れた世界なのかと思っていたが、案外日常と隣り合わせで安心した鑑賞後である。(MIHOシネマ編集部)


3人の外国人監督が描く「東京」のオムニバスで、それぞれがかなり異色だった。視点と監督のバックグラウンドが異なるだけでこんなにも違うTOKYOを描けるということを知り、映画の更なる奥深さを感じる作品だ。

それにしても圧倒的にポン・ジュノの作品が印象に残った。引きこもりの話であったが、独特な部屋のセットや蒼井優の非人間感がとても良かった。最後には自分以外が引きこもりになってしまうという展開も、監督ならではの発想のような気がして凄く引き込まれた。(女性 20代)


3つの短編を通して、東京という都市の持つ異質さと普遍性を絶妙に描いていた。特に「インテリア・デザイン」での少女の“椅子化”は、現代社会の存在価値への問いとして秀逸。自分が誰かの役に立たないと消えてしまうという恐怖がリアルだった。映像もユーモラスで不思議と切なく、余韻が長く残った。(20代 女性)


『TOKYO!』はまさに都市そのものの“狂気”を寓話的に切り取った作品だった。「メルド」はグロテスクで風刺的。地下に潜む“異物”が、無自覚な都市生活へのアンチテーゼに見えた。彼の言葉が分からないのに妙に存在感があるのも面白くて、コメディと不条理劇の融合を楽しめた。(30代 男性)


「シェイキング東京」での引きこもりの男が地震をきっかけに外に出るという展開には心を動かされた。特に、彼の世界がモノクロから少しずつ変化する演出が繊細で美しい。引きこもりという社会的な問題を、どこか温かく、詩的に描いていたのが印象的だった。まさかラブストーリーになるとは思わず、感動した。(40代 女性)


「インテリア・デザイン」のラストで、椅子になったヒロインが「使われることで存在を感じる」と言うシーンがとても刺さった。社会や恋愛における“役割”から外れた人間の孤独を、シュールでありながらも深く描いていて考えさせられた。三つの物語の中で一番リアルに感じたのは、実はこの幻想的な物語だった。(20代 男性)


東京という場所が、こんなにも異なる視点で描かれることに驚いた。どのエピソードも奇妙だけどリアルで、海外監督が東京をどう見ているのかが興味深かった。特に「メルド」はブラックコメディとしてかなり尖っていて、社会に潜む“異質な存在”を描いた視点が鋭かった。好き嫌いは分かれるが、確実に記憶に残る。(50代 男性)


「シェイキング東京」は、静寂の中にある感情のうねりがとても心地よかった。引きこもりの主人公が自分の世界から一歩外に出る瞬間が、まるで一人の人間の再誕のようで感動的だった。ヒロインのロボットのような佇まいも、どこか切なく美しかった。映像と演技が詩のように溶け合っていて素晴らしかった。(30代 女性)


3本とも全く雰囲気が違うのに、共通して“東京”という空間が登場人物を異化させていく感覚が面白かった。「インテリア・デザイン」の椅子になるという展開には思わず笑ってしまったが、その裏にある孤独や疎外感には共感しかなかった。日常のすぐ隣に潜む非日常が、こんなにもリアルに感じられるのはすごい。(20代 男性)


あの「メルド」のキャラクター、グロくて奇妙で最初は戸惑ったけど、見終わる頃には彼の存在が妙に愛しく思えてくるのが不思議だった。人間の言葉を話さず、常識も通じない彼が暴れる様子は、まさに現代社会の抑圧された感情の爆発。あそこまで突き抜けた表現は、かなり勇気のある試みだと思う。(40代 男性)


「インテリア・デザイン」の女性キャラに強く共感した。周囲の人間に比べて自分が何者でもないような焦燥感、使われないことへの不安、それが“椅子になる”という形で現れるのがあまりにも象徴的だった。現代の若い女性が抱えるアイデンティティの問題を、ファンタジーで包みながら鋭く描いていたと思う。(30代 女性)

映画『TOKYO!』を見た人におすすめの映画5選

累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『TOKYO!』を見た人におすすめの映画5選を紹介します。

パリ、ジュテーム

この映画を一言で表すと?

愛と孤独が交錯する、短編オムニバスで綴られる“パリの魔法”。

どんな話?

18人の監督がパリを舞台に、それぞれ異なる人々の“愛”を描いた短編オムニバス。老夫婦、若いカップル、移民、吸血鬼まで多様な登場人物が、それぞれの愛や孤独に向き合う姿を、ユーモアや詩情を交えて描く。

ここがおすすめ!

『TOKYO!』同様、都市をテーマに多様な視点が盛り込まれた作品。監督ごとの個性が楽しめるだけでなく、パリという街の魅力が濃縮された1本。詩的で美しく、ときに笑えて、ときに切ない短編の数々に心が温まる。

エターナル・サンシャイン

この映画を一言で表すと?

愛を消しても、心に残る記憶のかけらをめぐるSFラブストーリー。

どんな話?

恋人と別れたばかりの主人公が、記憶消去サービスを受けて彼女の記憶を消そうとするが、消えていく過程で忘れたくない感情と再び向き合っていく。記憶の中を旅するような構成が特徴の幻想的なドラマ。

ここがおすすめ!

『TOKYO!』の「シェイキング東京」と同様、内向的な主人公の世界が揺らいでいく構図が重なる。監督は『TOKYO!』の一編も手がけたミシェル・ゴンドリーで、映像表現のセンスと感情の繊細な描写が光る傑作。

アモーレス・ペロス

この映画を一言で表すと?

衝突事故が繋ぐ、愛と暴力の濃密な3つの物語。

どんな話?

メキシコシティでの交通事故を中心に、3つの異なる人生が交差していく群像劇。貧困と犯罪、裏切り、愛と喪失といったテーマが緊張感のある演出と共に描かれる、イニャリトゥ監督の長編デビュー作。

ここがおすすめ!

『TOKYO!』のように都市の中で起こる人生の断片を切り取るスタイルが魅力。荒々しくも人間味にあふれた物語群が、観る者に強烈な印象を残す。都市という舞台の持つ冷たさと温かさの両面を感じられる作品。

ムード・インディゴ 〜うたかたの日々〜

この映画を一言で表すと?

幻想と現実が溶け合う、きらめく愛と喪失の物語。

どんな話?

若い男女が恋に落ちるが、やがて彼女の体に咲いた“水の中の花”によって、2人の関係は崩れていく。ファンタジックな世界観と現実の残酷さを織り交ぜながら、人間の愛の儚さを描いたラブファンタジー。

ここがおすすめ!

ミシェル・ゴンドリー監督が得意とするビジュアルの魔術が全編に詰まっており、『TOKYO!』で感じた不思議な空気感をさらに深く味わえる。可笑しくて、悲しくて、美しい、唯一無二の映像詩。

トーキョーソナタ

この映画を一言で表すと?

日常の“ひび割れ”を静かに描く、家族の崩壊と再生の物語。

どんな話?

リストラされた父親が失職を家族に隠し続けることで、家族の間にズレが生まれ、崩壊へと向かっていく。何気ない日常の中に潜む違和感を丁寧に描きながら、最後には再生の兆しを見せる社会派ドラマ。

ここがおすすめ!

『TOKYO!』が描いた都市と個の孤独を、より現実的な角度で深く掘り下げた作品。黒沢清監督による緊張感のある演出と、静かな中に宿る人間の感情の機微が心を打つ。現代の日本社会に生きる人にこそ響く一本。

この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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