映画『レッスル!』の概要:かつてレスリング選手として実績を残した父親。妻を亡くし、シングルファーザーとして一人息子に夢を託していた。しかし代表選手の選抜を前に、父は息子の恋のライバルになってしまう。
映画『レッスル!』の作品情報
上映時間:110分
ジャンル:コメディ、ラブストーリー、ヒューマンドラマ
監督:キム・デウン
キャスト:ユ・ヘジン、キム・ミンジェ、イ・ソンギョン、ソン・ドンイル etc
映画『レッスル!』の登場人物(キャスト)
- ギボ(ユ・ヘジン)
- 元レスリング選手。早くに妻を病気で亡くし、男手一つでソンウンを育ててきた。明るく生真面目な性格から街の人にも人気がある。息子との関係に悩みながら、変化していく。
- ソンウン(キム・ミンジェ)
- ギボの一人息子。元レスリング選手だったギボが叶えられなかった願いを背負い、練習に励んでいる。家族ぐるみの付き合いがある幼馴染・ガヨンに想いを寄せるが予想外の事態に巻き込まれる。
- ガヨン(イ・ソンギョン)
- ソンウンの幼馴染。幼い時からギボのお嫁さんになることが夢だったが、年を重ねてもその気持ちは変わらずにいた。初めてソンウンに気持ちを明かすも、理解されず苦しんでいる。
映画『レッスル!』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『レッスル!』のあらすじ【起】
ソンウンに対して熱心にレスリングの指導をしてきた父・ギボ。その成果は大事な大会で発揮された。見事に金メダル獲得したソンウンを称え、ガヨンと三人で撮った写真は大事な宝物である。その後もソンウン優先の生活を送るギボ。自分は落ちたご飯を食べるが、ソンウンにはより良いものを食べさせようとするのである。シングルファーザーであるギボは苦手な家事もこなしながら、レスリング選手だった頃の自分の夢をソンウンに託しているのだった。
ガヨンとは家族ぐるみの付き合いである。ソンウンを誇りに思っているガヨン。ある日、2家族で夕食を一緒にした後、ガヨンはソンウンを遊園地デートに誘った。ソンウンとガヨンの恋の発展を期待しているギボ。迎えに来たガヨンに余計なことを吹き込まれ、ソンウンは機嫌を損ねるのだった。
幼い時にも同じ遊園地に来ていたソンウンとガヨン。指輪を渡し、長年の想いを伝えようと思っていたソンウン。しかし、ガヨンから「母親になる」と突然の告白を受けるのだった。実は、ガヨンが長年想いを寄せていたのはギボだった。その頃、ギボはソンウンのために肉を買おうとするも値段に頭を抱えていたのだった。
映画『レッスル!』のあらすじ【承】
ジムを経営しているギボは、レスリングの他に主婦たちへエクササイズの指導もしている。ギボへの愛情が留まらないガヨンは、レスリングを習いにジムに通うと言い出したのだ。二人の関係が進展しないよう阻止したいソンウンだが、ガヨンはギボに夢中であった。
母親の押しに負け仕方なく見合いを続けているギボ。その日は女医が相手だった。ソンウンは見合いの成功を望んでいるが、ギボは理由を付けて断り続けるのだった。ガヨンも見合いのことを知っていた。ソンウンからギボの好きなタイプを聞き出し、気を引こうとするが真逆のタイプを教え込まれ失敗に終わるのだった。
ガヨンの父親の店で酔いつぶれたギボ。妻の死以降、恋愛や「世界旅行」という夢など自分のことは後回しにしてきたギボは、ソンウンの活躍だけを望んでいる。ある日、ソンウンはガヨンに母親の遺したビデオメッセージを見せ、両親の馴れ初めを話した。しかしガヨンは寂しさを埋めるべきだと、ギボに告白する意思を固めるのだった。
映画『レッスル!』のあらすじ【転】
言葉を伝える前に、キスしてしまったガヨン。ギボはソンウンの気持ちを考え、やんわりと断るのだった。しかし、翌日からもガヨンのアピールは加速する一方だった。その様子を目の当たりにしたソンウンはギボへ強く反抗するようになっていく。
ソンウンが合宿で家を空けた日、ギボは食あたりで入院することになった。熱心に看病するガヨンの前に、見合い相手の女医が担当医として現れる。互いの存在を知っていた二人は、病人のギボの前で言い合いになってしまう。呆れたギボはガヨンに怒鳴ってしまい気まずい時間が流れるのだった。
退院後、世話焼きな母親を疎ましく思うギボは、大喧嘩してしまった。その夜停電があり、ガヨンと二人きりで過ごしたギボは懐かしい曲を聞き、現役時代の熱量を思い返していた。翌日から鍛え直し始めたギボ。活気を取り戻したギボの姿に、友人・スンヒョクは「ソンウンを自由にしてやれ」と声をかける。同性愛であるが故に父親の理解を得られなかったスンヒョクは、ギボの存在に圧迫されながらレスリングを続けるソンウンが自分と重なったのだ。
映画『レッスル!』の結末・ラスト(ネタバレ)
自分が想いを強くすることで葛藤するギボの姿を見てしまったガヨン。長年の恋に終止符を打つと決め、「諦める」とギボに伝えた。しかし決勝戦を前日に控えたソンウンは、酔った勢いで、ガヨンのギボへの気持ちを勝手に明かしてしまった。ギボは見合い相手の女医と上手くいっていると思っていたガヨンの父親は、二人の曖昧な距離感に怒りをぶつけるのだった。
決勝戦で試合に集中できていないソンウンの様子が気になってしまうギボ。ガヨンとの関係は誤解だと伝えるが、ソンウンはそれまでの不満が爆発してしまいギボに反抗してしまう。試合そっちのけでぶつかり合った二人。ソンウンは初めてギボを抑え込むことができた。
相変わらずソンウンの身体を気遣うギボ。ガヨンはソンウンに「親子で気を遣うのを辞めて、好きに生きたらいい」と客観的なアドバイスをするのだった。二人はようやく「ありがとう」と感謝を言い合える関係を築く。ギボは念願の「世界旅行」に出た。ソンウンは独り立ちしながらレスリング選を続けるのだった。
映画『レッスル!』の感想・評価・レビュー
「スポ根コメディ」という打ち出しは大嘘だった。親子愛と純愛のぶつかり合いの物語である。ガヨンが長年の恋を諦めると告げたシーンは特に、メロドラマのような純愛っぷりだった。真っすぐにガヨンに恋するソンウンの複雑な心境もさることながら、鈍感すぎるギボの様子が愛らしい。強い母親像が実にコミカルで韓国映画の味もある。名バイプレイヤーユ・ヘジンをたんまりと味わえる一作であった。(MIHOシネマ編集部)
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