12000作品を紹介!あなたの映画図書館『MIHOシネマ』

映画『ライスフラワーの香り』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『ライスフラワーの香り』の概要:少数民族独特の生活を紡ぎながら、長年出稼ぎに出てしまったことで娘と疎遠になってしまった母親の葛藤を追う物語。中国映画祭「電影2018」にて上映され話題を呼んだ、ポンフェイ監督・脚本作。

映画『ライスフラワーの香り』の作品情報

ライスフラワーの香り

製作年:2017年
上映時間:95分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:ポン・フェイ
キャスト:イン・ゼ etc

映画『ライスフラワーの香り』の登場人物(キャスト)

イエナン(イーン・ヅェー)
山奥にある故郷を離れ、父親の協力の元一人娘を育て上げる決心をした女性。出稼ぎで都会に出ていたため、娘と心の距離を埋められず奮闘する。
ナンハン(イエー・ブーロウ)
母親の愛情を直接触れることなく、祖父の元育った少女。突然出稼ぎから戻った厳格な母親に反発しながらも、少しずつ距離を縮めていく。

映画『ライスフラワーの香り』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『ライスフラワーの香り』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『ライスフラワーの香り』のあらすじ【起】

微笑む女性に対して卵を売る少女。その女性の名前はイエナン。イエナンが「2つ買う」と答えると、少女は「4つ買ってもらえたら家に帰れる」とねだった。イエナンは買ってあげられない代わりにお菓子をあげる。喜ぶ表情を横目に車を再び走らせたイエナンの目的地はさらに山奥の雲南省・タイ族の村であった。

13年ぶりに実家に戻ったイエナンは誰も居ない家で家族を探していた。その頃、娘のナンハンは「モンカ村フェスティバル」に参加中だった。祭りの音に引き寄せられるように、イエナンは会場へ向かった。

モンカ村フェスティバルの主催のワンは、機材トラブルと突然の雨に見舞われ焦っていた。客が一斉に帰宅するところに出くわしたイエナンは、ナンハンを見かけ声をかける。二人の再会は感動的なものではなく、会話もままならなかった。イエナンはお土産を持ってきたとナンハンに声をかけるが、そう簡単に心を開いてはもらえなかった。イエナンが寝たのを確認してから、お土産のお菓子に手を付けるナンハン。その様子を見てしまったイエナンは、父親に対して教育方針をぶつけるが、二人の意見が合致することはなかった。

映画『ライスフラワーの香り』を無料視聴できる動画配信サービスと方法
映画『ライスフラワーの香り』を無料視聴できる動画配信サービスと方法を分かりやすく紹介しています。

映画『ライスフラワーの香り』のあらすじ【承】

村人たちに出稼ぎから戻ったことを報告に回るが、あまりいいリアクションは受けなかった。寺にお祈りに行き「地元で幸せに暮らせますように」と、イエナンは賽銭に願いを託すのだった。

ナンハンはイエナンのお土産のチョコレートを教師に渡し、一番前の席から変えて欲しいと懇願した。母親が急に帰ってきたことで、授業参観に不安を覚えたのだ。子供たちの遊び方も大きく変化し、ゲームが主流になっていた。スマホを取り上げ自分の教育方針を押し付けるイエナン。翌日、ナンハンは授業中に友人へ不満をこぼした。私語を慎むよう担任に叱られ、反省文を書かされる罰を受ける。さらにその日、ナンハンは同級生を怪我させてしまった。迎えに行ったイエナンは「悪い癖が多い」とナンハンを叱りつけ、二人の溝は深くなる一方であった。

学校で大きな集会があった日、イエナンはナンハンに内緒で迎えに行った。友人たちも車に同乗し帰路につくが、会話は弾まない。授業の内容を聞くも、ナンハンは「習ってない」とイエナンを拒絶する。さらにナンハンに意地悪をするダーツイを同乗させたことで、ナンハンの機嫌はさらに悪くなってしまう。

映画『ライスフラワーの香り』のあらすじ【転】

反抗的なナンハンの態度を受け、父親に当たるイエナン。「離婚」の八つ当たりは辞めて欲しいと言葉でも対抗するナンハン。村で離婚について噂されているのを目の当たりにしたイエナンは、恥ずかしさを抑えきれなくなった。

ある日、村では盛大に結婚式があった。イエピンの叔母が嫁に出たのだ。一緒に居たチンハンの母親は村で評判が悪く、親族に引き離されてしまった。その夜遅く、イエナンは虫に刺され目を覚ますとナンハンがいないことに気付いた。

村中を探し回るイエナン。夜深い時間に、ゲームセンターで遊ぶナンハンの姿を見つけた。なぜ18歳未満の子供を入れたのか?と店を責めたイエナン。すると「保護者同伴だった」と予想外の答えが返ってきたのである。ナンハンが出てくるのを待つ間にイエナンは眠ってしまった。

車で眠るイエナンを見かけたナンハンは、窓を叩いて目を覚まさせた。朝食を露店で済ませ帰路につく途中、同乗したナンハンの同級生・ナンシャンルーは体調を崩してしまった。帰宅したイエナンはナンハンに対してナンシャンルーと遊ぶことを禁じた。その頃、ナンシャンルーは高熱を出し寝込んでいた。その一方でナンハンは賽銭花を盗んだとして補導されてしまう。

映画『ライスフラワーの香り』の結末・ラスト(ネタバレ)

学校で処罰を受けたナンハンは一人ぼっちになってしまった。ナンハンを育てる自信を失ったイエナンは、再び出稼ぎに戻る決意をした。その頃、ナンシャンルーの奇病は村でも噂になり始めていた。ナンハンの素行の悪さも併せ、シャーマンに邪気を取り払ってもらう儀式が開催された。大人の目を盗んでナンシャンルーの見舞いに行ったナンハン。タイミング悪く両親に見つかってしまい、再び一人ぼっちになってしまった。

ナンシャンルーの回復を願い、苦手な踊りにも挑戦しようとしたナンハン。しかし、ナンシャンルーは病魔に勝てず命を落としてしまった。埋葬の儀式に参加したナンハンは、親友の死をまだ実感できず会場から逃げ出してしまった。後を追ったイエナンは一緒に洞窟の中を辿り、一体の石像の前にナンハンを連れていった。祭りで一緒に踊るはずだった祈りの舞を静かに始めたイエナン。ナンハンも釣られて踊り出し、二人は静かに親子水入らずの時間を過ごすのだった。

映画『ライスフラワーの香り』の感想・評価・レビュー

大きく深呼吸をしたくなるような、伸びやかな映像美に見惚れた。広がる畑や土の色までもが美しく光っている。目新しいものを排除した環境に対して、都会から戻って来た母親という異物が子供の心を乱していく。親友というキーパーソンが遠ざけたり、近づけたりする母娘の関係性をゆったりと見守る一作である。物であれば修復は利くが、人の心はそう簡単ではないのがとても憎らしい。(MIHOシネマ編集部)

みんなの感想・レビュー