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映画『愛の嵐』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『愛の嵐』の概要:元ナチス親衛隊のマックスは、過去を隠してホテルのフロント係をしていた。そこへ、収容所で弄んだユダヤ人女性が宿泊客として現れる。13年もの歳月が経ったにも関わらず、彼らは倒錯した愛を再燃させるのだった。

映画『愛の嵐』の作品情報

愛の嵐

製作年:1973年
上映時間:117分
ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ
監督:リリアーナ・カヴァーニ
キャスト:ダーク・ボガード、シャーロット・ランプリング、フィリップ・ルロワ、イザ・ミランダ etc

映画『愛の嵐』の登場人物(キャスト)

マックス / マクシミリアン・アルドルファ(ダーク・ボガード)
元ナチス親衛隊の将校。戦時中はユダヤ人の収容施設を管理し、ユダヤ人美少女ルチアに歪んだ愛情を注いでいた。現在は過去を隠してホテルのフロント係で夜勤を中心に働き、アパートでひっそり暮らしている。戦犯を調査する査問会の対象者である。
ルチア(シャーロット・ランプリング)
ユダヤ人女性。収容所にいた少女時代に将校のマックスに気に入られ、体を弄ばれていた。現在はアメリカ人の指揮者の妻。夫の同伴でウィーンに訪れた際にマックスと再会し、倒錯した愛の日々に溺れていく。
クラウス(フィリップ・ルロワ)
元親衛隊でマックスの査問を担当する弁護士。マックスの有罪を揉み消すために、査問会より先に重要証人であるルチアを見つけようとする。左目に片眼鏡を嵌めている。

映画『愛の嵐』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『愛の嵐』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『愛の嵐』のあらすじ【起】

1957年ウィーン。ナチス親衛隊の将校であったマックスはその素性を隠し、ホテルのフロント係に従事していた。ある夜、華やかに着飾った宿泊客たちが訪れ、その中に、かつて特別な関係にあった女性ルチアを見つける。彼女は今、オペラ指揮者の妻となっていた。

13年前、マックスはユダヤ人収容所の管理者だった。彼は「医師」という名目でユダヤ人を全裸にして並ばせて、いかがわしい映像を撮影していた。その時、美しいユダヤ人少女ルチアを見つける。彼は2人きりの部屋で銃を発砲し、逃げ惑う彼女を眺めては楽しんでいた。またある時は、性の奴隷として彼女の体を弄んだ。

マックスは現在、戦犯の査問会の調査対象者となっていた。この査問会は罪を問うものではなく形式的なものだった。元親衛隊の多くは証人であるユダヤ人の前で罪を明らかにした後、証拠をもみ消し、表社会に復活していたのである。元ナチ党員のクラウスは、彼の証人となるユダヤ人を捜す必要があると考えていた。

その夜、マックスはホテルに宿泊しているダンサー、バートの練習を手伝いながら、収容所時代の美しいルチアを思い出していた。ルチアも同様に、マックスに弄ばれていた頃が頭から離れなくなっていた。

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映画『愛の嵐』のあらすじ【承】

翌日、ルチアは次の公演地に向かう夫を見送った後、もう一日ホテルに留まることにした。街を歩きながらマックスとの濃密な日々を思い出した彼女は、ホテルに戻るとすぐにマックスを捜し始める。その頃、彼はホテルの会議室で、元ナチ党員と一緒に査問会の打ち合わせをしていた。

弁護士のクラウスは、マックスが有罪となる致命的な写真を入手していた。彼はマックスを有罪とさせないためにも、重要証人であるルチアを査問会より先に見つける必要があると、改めて説明をした。ダンサーのバートもクラウスと同意見だ。彼も親衛隊であったが、査問会でユダヤ人の証人の前で全てを告白した後、証人の口封じをしたことで、表社会への復帰を果たしていたのである。バートはクラウスを信用しろと言うが、マックスは証人をそっとしてほしいと訴えた。戦時中の罪悪感を忘れて生きることができない彼は、ドブネズミのように生きる今の暮らしで十分だったのである。

その夜、マックスは合鍵を使って、ルチアの部屋に侵入する。彼は親衛隊時代のように彼女を恫喝して平手打ちをするが、やがて愛撫に変わり、2人は激しく求め合うのだった。

映画『愛の嵐』のあらすじ【転】

13年ぶりに愛し合った2人。マックスはルチアの部屋を出ると、何もなかったようにフロント業務に戻った。翌朝、ルチアはニューヨークに戻るという嘘の電報を夫に送ると、ホテルを出発する。彼女が向かったのは、空港ではなくマックスのアパートだった。彼女はここに留まる意志を表すかのように、自分の服をクローゼットに掛け始めた。

マックスとルチアの同棲が始まった。マックスはホテル宿泊客の伯爵夫人から、女ができたことを見破られる。彼は嬉しそうにルチアとの思い出を語り始めた。それは将校たちが開催した、いかがわしいパーティーでの出来事。ルチアは上半身裸でナチスの帽子を被り、艶めかしい踊りで将校たちを虜にしていた。踊り終えた彼女に、マックスはプレゼントの箱を差し出す。嬉しそうに中身を覗くルチアだったが、そこにあったのはユダヤ人の生首だった。苦痛で顔を歪めるルチアを見て、マックスは薄ら笑いを浮かべるのだった。

仕事を終えたマックスは、そそくさと帰宅する。ルチアがばら撒いたガラスの破片を踏んで、彼は怪我をするが、そのまま2人は愛し合った。傷付けながら愛し合うのが彼らの流儀であった。

マックスはルチアと暮らしていることが見つからないよう、勤務中は彼女を手錠と鎖で繋ぐことにした。しかし、彼の留守中に元ナチ党員のハンスがアパートに侵入。ハンスはルチアに証人になるよう説得するが、彼女はそれを拒否して彼を追い出した。

映画『愛の嵐』の結末・ラスト(ネタバレ)

マックスはルチアの捜索願いが出ていることを知った。帰宅した彼はハンスの訪問を知ると不安に駆られ、ルチアに暴力を振るう。彼女は裏切っていないと反論し、手錠は痛いから外せと言った。

人目につかない屋上に集まった元ナチ党員たちは、マックスにルチアを差し出すよう説得する。マックスは査問会など意味がないとこれを拒否。ルチアを守ることに決めた彼は仕事を辞め、食料を買い込み、2人きりで籠城生活を始めることにした。

誰にも邪魔されない生活を始める2人だったが、クラウスが妨害工作をする。彼は食料を配達していた食料品店に配達を停止させ、彼らを兵糧攻めにすることにしたのだ。食べ物が無くなり、ひもじい思いをするルチア。マックスはベランダへ出たところを銃撃されて負傷し、ますます追い詰められる。しかし、2人の愛し方は変わらなかった。ルチアがジャムを貪ると、マックスは彼女の指についたジャムを舐め回し、そのまま抱き合うのであった。

アパートの電線を切断されてライフラインを絶たれた彼らは、ついに決断をする。マックスはナチスの軍服、ルチアは収容所時代のワンピース姿に着替えると、ドナウ川に架かる橋へとやって来た。2人は銃撃を受け、橋の上で絶命するのだった。

映画『愛の嵐』の感想・評価・レビュー

今も第一線で活躍する大女優シャーロット・ランプリングが、上半身裸にサスペンダーでナチス帽を被り踊る姿はあまりに有名。艶めかしくて、彼女の魅力が光るシーンだ。彼女は70歳を過ぎた2017年に『ともしび』でもヌードを堂々と晒し、老いた裸体を見せつけている。一方、マックスを演じたダーク・ボガードは、『ベニスに死す』で少年を愛するアッシェンバッハを演じた名優である。

この2人の名優による倒錯した愛情表現は、非常に不快であり、終始見てはいけないものを見せられているようだった。絶望的な気分が後を引くので、軽い気持ちで見ることはおすすめできない映画だ。(MIHOシネマ編集部)


愛の形は様々で、お互いにそれを理解し求めているのであれば他人が口出しすることでは無いのですが、今作のマックスとルチアの愛はとても歪んでいて私には理解できませんでした。
将校時代に弄んでいた女を本気で愛してしまうと言う展開が恐ろしく、彼に応えるように、ルチアも歪んだ愛に溺れていく描写は見ていて苦しくなりました。
これが2人の求める愛の形なのでしょうが、ルチアは夫と幸せに暮らす生活を続けることだって出来たのにと愛や依存の怖さを感じる作品でした。(女性 30代)

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