映画『ロッキー・ザ・ファイナル』の概要:挑戦するものを阻む権利がどこにある。世界中の人々に希望と勇気を与えたロッキーは、最後の夢に向かい再びリングに上がる・・・。シリーズ最終章。
映画『ロッキー・ザ・ファイナル』 作品情報
- 製作年:2006年
- 上映時間:103分
- ジャンル:ヒューマンドラマ、スポーツ
- 監督:シルヴェスター・スタローン
- キャスト:シルヴェスター・スタローン、バート・ヤング、アントニオ・ターヴァー、ジェラルディン・ヒューズ etc
映画『ロッキー・ザ・ファイナル』 評価
- 点数:80点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★☆☆
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『ロッキー・ザ・ファイナル』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『ロッキー・ザ・ファイナル』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『ロッキー・ザ・ファイナル』 あらすじ【起・承】
かつて世界ヘビー級王者アポロ(カール・ウェザーズ)と互角以上の戦いを繰り広げ、ボクシング界の栄光の階段を登りつめたロッキー(シルベルタ・スタローン)。
リングを去った現在は、地元フィラデルフィアでイタリアンレストラン『エイドリアンズ』のオーナーとなっていた。
愛する妻・エイドリアン(タリア・シャイア)は既にこの世を去り、一人息子のロバート(マイロ・ヴィティミリア)は、父親の存在に嫌気がさし、あえて一流企業に就職し音信不通。
エイドリアンの兄ポーリー(バード・ヤング)は精肉工場に勤めていたが、ひねくれ者の性格がなおらず、工場をクビになってしまう。
だが、ロッキーの懐かしい昔の思い出に嫌な顔1つせず、つきあってくれるのは、もうポーリーしかいなくなった。
ロッキーは、心の喪失感を埋める為に、老いた体に鞭打ちボクシングを始める事を決意する。
ロバートは、好きにすればいいさと父親を見捨てていってしまう。
だが、ロッキーの周りには、かつてアポロの戦う前に2RでKO勝ちした対戦相手スパイダー・リコ(ペドロ・ラヴェル)や、
かつて不良少女時代に生き方をたしなめられたというシングルマザー・マリー(ジェラルディン・ヒューズ)、マリーの1人息子・ステップス『ジェームス・フランシス・ケリー3世)が居た。
協会にライセンスを再申請したロッキーは、一度却下されてしまうが、
『挑戦しようとする人間を止める権利はどこにあるというんだ』と訴え、ライセンスを取り返す。
だが、それはロッキーの最後の挑戦の始まりにすぎなかった・・・。
映画『ロッキー・ザ・ファイナル』 結末・ラスト(ネタバレ)
ボクサーとして復帰したロッキーを待っていたかのように、スポーツTV局は、現在破竹の勢いで勝ち続ける現役ヘビー級チャンピオン・ディクソン(アントニオ・ダーヴァー)と、
ロッキーの試合をシュミレーションする特番を組み始めた。
ディクソンのマネージャーは、対戦相手に恵まれないディクソンのイメージアップの為に、ロッキーをエキジビションマッチの相手として指名する。
ロッキーはライセンスは再申請できたものの、スパーリングすら、まともに出来ない状態なので、アポロのトレーナーだったデューク(トニー・バートン)がロッキーの体力作りをする事となる。
そして迎えたエキジビションマッチ当日、ロッキー側は、ポーリーやデューク、ステップスだけでなく、ロバートもやってくる。
試合は、ディクソン側の有利に進むかに見えたが、ディクソンが左拳を骨折。
ディクソン最強の武器である、対戦相手KO勝ちはなくなってしまい、試合は最終ラウンドまで持ち越される。
最終ラウンドで、ディクソンの痛烈なパンチを喰らいつつもロッキーは喰らいつき、最終判定は2-1で、ロッキーは負けてしまう。
だが、その顔は清清しく、ロッキーは観客の歓声を背に、リングを後にする。
試合の後、ロッキーは、過去にケリをつけた証としてエイドリアンの墓に一本のバラを手向ける。
これからは前を向いて歩いていく、と墓に誓うロッキーの姿を遠巻きに映し、映画は終わる。
映画『ロッキー・ザ・ファイナル』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『ロッキー・ザ・ファイナル』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
ロッキーと息子の関係
ロッキーの息子ロバートは、過去の栄光にすがりつき前を向いて歩けない、外面だけいい父親を嫌っているのだと思う。
そして一流企業に勤めるものの、勤務先の上司は父親のファンというジレンマに苦しんでいる。
映画の中でのロッキーは、マリーやステップスなど、外の人間には優しいが、肝心の息子には愛を注げず、説教をしてしまう。
そんなロッキーの姿は、自分が完璧だと思っている男が実は心の奥底で深い哀しみにさいなまれている事実そのものなのだろう。
劇中に起用された本物のボクサー
ロッキー本人が戦うシリーズ最終章というので、ボクサー役もスタローンらしく本物のボクサーを選んだ。
ディクソン役のアントニオ・ダーヴァーは、’96年アトランタ五輪のメダリスト。
『エクスペンダブルズ』に出演したヴァン・ダムではないが、本物のアスリートがスタローンとアクションをするシーンは、
共演相手が、いかに傷つけないようにするか、という点で逆に気をつけなくてはいけないらしい。
ちなみに、劇中のディクソンとロッキーの試合の前に乱入する男は、マイク・タイソン本人である。
歴史と共に、ロッキーシリーズが終焉を迎えた理由
『ロッキー』が、アカデミー賞を獲得した’76年は、『タクシードライバー』、『ネットワーク』『大統領の陰謀』と、強兵が名前を並べた。
そして、’90年まで5作を作り、一旦シリーズは終了。
今回の6作目は、GWにトビー・マグワイア主演の旧スパイダーマン3と公開日がぶつかった。
たしかにドラマの作りとしては、5作目の反省点をいかしていたかもしれない。
だが、ロッキー自身が還暦という年齢を、おして戦うという設定上、観客の平均年齢はどうみても50代を超えていた。
ロッキーがリング上で戦うという設定を、この映画限りで、終わらせたというのは、いい判断だと思う。
スタローンは、この映画に関してインタビューでこう述べている
『自分自身ロッキーと同じ様に、いつもフラストレーションと戦っている。もっと一生懸命働いて責任を持つべきだろうか、
自分のキャリアからみて、一部の映画はやるべきではなかったのだろうか。』と。
映画『ロッキー・ザ・ファイナル』 まとめ
この作品でスタローンは、ようやくロッキーをリングの外に引退させる事が出来た。
実際は、この映画の後にアポロの息子がリングに立つスピンオフ的映画があるのだが、出演するのはロッキーだけで、もうポーリーもロバートも居ない。
ロッキーシリーズの要素を引き継げる最後の作品はこの作品となる。
俳優は、1つの作品が当たれば次々と続編を作りたくなるが、シリーズものもいつか『終わり』を作らなくてはいけない。
その点において、スタローンは、この作品で勇気ある決断を下せたのではないだろうか。
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