映画『ルージュの手紙』の概要:助産師として働くクレールの元に、亡き父親の昔の恋人から連絡が来る。彼女との別れを苦に自殺した父親。再会を戸惑うクレールだが、彼女が現れたのにはある理由があった。カトリーヌ・ドヌーブとカトリーヌ・フロ。フランスを代表する二人の女優の共演。
映画『ルージュの手紙』の作品情報
上映時間:117分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:マルタン・プロヴォ
キャスト:カトリーヌ・フロ、カトリーヌ・ドヌーヴ、オリヴィエ・グルメ、カンタン・ドルメール etc
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映画『ルージュの手紙』の登場人物(キャスト)
- クレール(カトリーヌ・フロ)
- 大学生の息子を持つ助産師。父親を自殺で亡くしている。
- ベアトリス(カトリーヌ・ドヌーブ)
- クレールの父親の昔の恋人。30年ぶりにクレールの前に現れる。
- ポール(オリヴィエ・グルメ)
- クレールの菜園の隣の土地で野菜を栽培している。長距離トラックの運転手。
- シモン(カンタン・ドルメール)
- クレールの大学生の息子。外科医を目指している。リュシーという恋人がいる。
映画『ルージュの手紙』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ルージュの手紙』のあらすじ【起】
大学生の息子と暮らすクレールは、助産師として昼夜問わず働いていた。職場である病院はもうすぐ経営難で閉鎖されることが決まっているが、次の就職先を探す余裕もなく、今後どうするかは決めかねている。
忙しい日々の中の安らぎは、セーヌ川沿いの土地にある菜園で、野菜を収穫すること。友人と遊ぶこともなく、ただひたすら静かで孤独な日常を過ごしていた。
そんなある日、留守電に父親の昔の恋人であるベアトリスからのメッセージが入っていた。彼女は30年も前に父親を捨てて家から出て行った人。そのショックで父親は拳銃自殺をしていた。今更連絡してきたベアトリスに戸惑うクレールだが、彼女の意図を知るために会いに行くのだった。
ベアトリスはレバノンに住む友人がパリに残していた家で暮らしていた。美しく女性としての魅力に溢れるベアトリス。年を取っても、お酒と煙草とギャンブル好きは健在だった。昔は仲良かった二人。ベアトリスはおしゃれからは遠ざかっているクレールに、「ダサいコートね」と軽口を叩くのだった。
クレールはなぜ今頃現れたのか尋ねる。すると、彼女は脳腫瘍が見つかり、すでに手遅れであることを打ち明けるのだった。死ぬ前に、かつて愛したクレールの父親であるアントワーヌにどうしても会いたくなったベアトリス。彼女はアントワーヌが30年も前に死んだことを知らなかった。
映画『ルージュの手紙』のあらすじ【承】
クレールは父親が自殺したことを彼女に告げた。ベアトリスは、元恋人の死を初めて知り、自分が原因だったことにひどく動揺する。そして、せめてもの償いにアントワーヌからのプレゼントだったエメラルドの指輪をクレールに託すのだった。
ベアトリスはお金に困っており、他の宝石は質に入れていたため、これが最後の価値のあるものだった。しかし、クレールは彼女に同情する気はなく、取り乱したベアトリスを置いて、その場を去るのだった。
クレールの職場にベアトリスはお詫びの花束が届いていたが、彼女は仕事帰り、それをセーヌ川に投げ捨てる。そして、セーヌ川沿いにある菜園に向かうのだった。そこで野菜を育てているクレール。彼女にとってそこは唯一心が安らぐ場所だった。
別の日、また菜園に来たクレールに、息子のシモンとその恋人のリュシーが会いに来る。人付き合いを避けているクレールだが、その日はクレールの隣の土地で菜園をしているポールという男も一緒にランチをすることになった。
会話の途中で、リュシーが突然妊娠したことを告げる。まだ大学生の二人の決断に、クレールは言葉を失い泣き出してしまうのだった。その空気を和らげるようにポールは空を見るように皆を促す。そこには優雅に列をなし、飛んでいる鳥の姿があった。
その頃、ベアトリスは病院で今後の治療法について話し合っていた。新療法を試すため、頭に穴を開け採血することになったが、不安が募りクレールに連絡する。関わらないようにしても、完全に突き放すこともできないクレールは、彼女とランチの約束をする。
ベアトリスはギャンブルで小金を稼いだ。そのお金でクレールにご馳走を振る舞い、死後にお金を渡したいと申し出るが、クレールはそんなことよりも、なぜ昔父親を捨てたのか知りたかった。
ベアトリスは水泳選手であったアントワーヌが、引退後に田舎で水泳教室を開くことに賛成できず、彼と別れたのだった。派手な性格のベアトリスにとって、彼は真面目で野心がなく、退屈すぎた。自らの死が近いことを知り、今頃になって何が一番大切だったかに気がついたベアトリスだったが、過ちの代償は大きかった。クレールはいくら謝られても素直に彼女を許すことはできなかった。
その後、シモンから呼び出されたクレール。彼は医学部で外科医を目指していたが、進級をやめると言い出す。それは彼の夢ではなく母親の夢だったのだ。シモンがなりたいのは助産師だった。助産師は男の仕事ではないと思っていたクレールは、自分と同じ道を目指し始めた息子に惑う。
クレールは倉庫に仕舞い込んでいた父親の形見を取りに行く。辛い過去を思い出さないために、部屋に父親の写真すら飾っていなかった。しかし、ベアトリスが現れたことで、心に封じ込めていた思いが少しずつ呼び起こされたのだ。
クレールの心は乱れていた。いつも冷静な判断をしてきた仕事にもその変化が現れる。事故で運び込まれた妊婦の手術。お腹から取り出された新生児は息をしていなかった。蘇生を試みるが反応はなく、それでも諦めきれず「生き返って」と、泣きながら心臓マッサージを続けた。
映画『ルージュの手紙』のあらすじ【転】
そんなある日、ポールがクレールを散歩に連れ出す。崖の上から見る景色に心が解放され、いつもは飲まないお酒まで飲んだクレールは、父親のこと、そして突然現れたベアトリスのことを打ち明ける。
ベアトリスは頭の手術をしていた。麻酔から目を覚ますとクレールの姿があり、見守ってくれていたことに感動する。しかし、腫瘍は大きく、もう手の施しようがない状態だった。
退院の日。セーヌ川は、キラキラと輝いて美しかった。ベアトリスは、アントワーヌの遺灰も撒かれたセーヌ川を見つめ、「私が死んだらゴミ袋に入れてセーヌ川に流して捨てて」と言う。クレールは「法律で禁止よ」と言い返すも、もう彼女を避けることはしなかった。
ベアトリスはある場所に彼女を誘導する。そこはアパートの1階の管理人室。ベアトリスが幼い頃、親と3人で暮らしていた部屋だった。ひと間しかなく風呂もなかったその部屋で、貧しい暮らしをしていた過去。彼女はそのことを今まで誰にも言わず、クレールにもロシアの血を引いたハンガリーの王女だと話していた。
家に送り届け、寝かしつけたクレールは、いつも束ねていた髪をほどき、ベアトリスの香水と口紅をつける。そして、ポールに会いに行き、自ら彼にキスをするのだった。以前、崖の上でキスを迫られていたが、理性が働き拒んでいたクレール。だが、その夜は張り詰めていた心が解けていた。二人は菜園の小屋で結ばれた。
その後、ベアトリスが住んでいたアパートが売りに出され、彼女は行く当てがなく、クレールの家に身を寄せることになる。家に到着した早々、体調を崩したベアトリス。その日、夜勤だったクレールは仕事にポールに来てもらい、留守番を頼んだ。
その日は病院が閉鎖する前の最後の出勤だった。静かになった病院内。ところが、そこへ今にも産まれそうな大きなお腹を抱えた女性が病院へやってくる。無事に出産したその女性の名前を聞くと、28年前にクレールの手によって取り上げられた子供だった。危険な状態で産まれた彼女は、クレールの血液を輸血し、助かったのだ。
あの赤ん坊が今こうして母親になった姿を見て、喜びを感じるクレール。新しい命に付けられた名前は、偶然にも自殺した父親と同じアントワーヌという名前だった。
翌朝帰宅すると、ベアトリスとポールが仲良く話しており、クレールはつい苛立ってしまう。彼を追い出した後、突然目眩に襲われたベアトリスをベッドに運び、クレールは彼女の横で寄り添うように眠った。
映画『ルージュの手紙』の結末・ラスト(ネタバレ)
ポールは一方的にクレールに拒絶されたが、そんな彼女を優しく包み込み、二人は仲直りをする。彼はクレールの混乱した気持ちを理解できる、心の広い男だった。
クレールはベアトリスの髪を洗ってあげ、痺れている全身をマッサージした。そして、ベッドに並んで、アントワーヌのスライド写真を壁に投影し、懐かしさに浸る。そこへシモンが戻ってくるが、ベアトリスはアントワーヌの生き写しのような彼を見て、言葉にならない思いを感じるのだった。
ベアトリスは医療費を払うため、時計を質屋に出そうとするが断られてしまう。挙句、しつこく売ろうとし、警察を呼ばれた。質屋で卒倒したベアトリスを迎えに行ったクレールは彼女に説教するが、ベアトリスは突然車から降り逃げ出す。
ベアトリスは死がもうすぐそこに近づいているのを全身で感じていた。お金もなくクレールに頼るしかできない自分に対する行き場のない怒り。彼女は今心から生きたいと思っていた。
クレールはベアトリスの本心を聞き、彼女に託されていたエメラルドの指輪を返し、彼女にキスする。そして、かつて父親がベアトリスのキスが好きだと言っていたこと、キスで人を幸せにできる人だと言っていたことを教え、彼女を励ますのだった。
クレールは菜園にベアトリスを招く。ベアトリスはそこから見る美しいセーヌ川の景色と、川に浮かぶ一隻のボートをじっと見つめていた。
その後、仕事から戻ったポールに誘われ、3人はポールのトラックでドライブに出かける。ベアトリスは運転をしたいと言い、トラックを走らせた。それは病気から離れ、自由を感じたひと時だった。そして、その夜ベアトリスは置き手紙を残し、クレールの元を去る。
クレールは同僚に誘われていた病院の面接に行くが、最新技術を重視した工場のような病院を見て、自分が働く場所はここではないと思う。自分の経験を活かし、学校を開くことを決意するクレール。ポールはそんな彼女を応援する。
二人は菜園に来た。クレールは郵便物の中にベアトリスからの手紙があることに気がついた。開くと、その中にはルージュのキスマークがついた一枚の紙と、あのエメラルドの指輪が入っていた。クレールは指輪を嵌め、風の中にベアトリスの存在を感じた。
ポールは繋がれていたはずのボートの紐が解かれ、沈みかけているのを見つける。ボートはゆっくりと静かにセーヌ川を流れて行くのだった。
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