この記事では、映画『サリュート7』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『サリュート7』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『サリュート7』の作品情報
上映時間:118分
ジャンル:SF、ヒューマンドラマ
監督:クリム・シペンコ
キャスト:ヴラディミール・ヴドヴィチェンコフ、パーヴェル・デレヴィヤンコ、アレクサンドル・サモイレンコ、ヴィタリ・カエフ etc
映画『サリュート7』の登場人物(キャスト)
- ウラジーミル(ウラジーミル・ヴドヴィチェンコフ)
- 元パイロットで宇宙飛行士だったが、現在は軍を退役し若手の教育係をしている。優れた技術を有し手動ドッキングの経験も持つ。穏やか且つ、的確な判断能力を持つ。
- ヴィクトル(パーヴェル・デレヴィヤンコ)
- ウラジーミルの友人でもあり、サリュート7号の製造に携わっている。宇宙服の技師でもあるが、飛行士としての訓練も受けている。いつか、宇宙へ行くことが夢。身重の妻を残し任務へ向かう。
- ヴァレリー(アレクサンドル・サモイレンコ)
- 宇宙開発の責任者。開発のために失った宇宙飛行士たちのことを今も尚、心に残し悔いている。飛行士たちの命を守るため、常に心を砕き最善を尽くそうとする。
映画『サリュート7』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『サリュート7』のあらすじ【起】
1985年、ソ連の宇宙ステーション、サリュート7号が突如として全機能を停止。軌道上を漂流し始め、墜落する危険性が高いことが全世界でも報じられた。当時、ソ連は冷戦時代。ソ連側としてもサリュート7号を失うことは、切り札を失くすことと同義であった。
宇宙開発責任者ヴァレリーはただちに国防省へ連絡を入れ、全機能を停止させ漂流するサリュート7号の処遇について相談。国防省は今から22日後に、米国でもサリュート7号と同じ大きさのチャレンジャー号が打ち上げられることを示唆し、サリュート7号が米国に奪われることを恐れ、飛行士を送り出すことを命令した。更に送り出せないのならば、宇宙ステーションをミサイルで撃ち落とすとまで言うのである。
ヴァレリーはこれまでの努力を無にしないため、命令に従い早急にクルーを集めることにした。
制御不能となった宇宙ステーションとのドッキングは世界初である。しかも、サリュート7号は回転しながら漂流しているため、手動でのドッキングは困難を極める。ヴァレリーはまず、サリュート7号を設計し製造に携わったヴィクトルを呼び寄せた。そして、シミュレーターにて多くの宇宙飛行士で試してみるが、全てにおいて前人未到であるため、誰1人としてドッキングを成功させることができなかった。
かく言うヴァレリーも試してみたが、何度やっても失敗に終わる。困り果てた彼は、過去に手動ドッキングの経験を持つウラジーミルを訪ねることにした。ウラジーミルは元パイロットで宇宙飛行士であったが、船外活動中に失敗してしまい飛行士としての道を絶たれ現在は、若い飛行士の教育係をしている。
彼はヴァレリーの要請を受けることにし、妻の反対を押し切ってヴィクトルと共に宇宙へと飛び立つのだった。

映画『サリュート7』のあらすじ【承】
1985年6月。宇宙飛行士は打ち上げの段階から命の危険に晒されるが、2人が乗ったソユーズT13は無事に軌道へと乗り航行を開始。漂流中のサリュート7号を発見し接近した。そして、帰還するための燃料のことを考慮し、手動ドッキングの試用は3回までと定められる。
早速、ドッキング開始。ウラジーミルはこの時のために、再び宇宙へとやって来たのである。しかし、1回目のドッキングには失敗。彼は失敗の経験を活かし独自の勘を発揮。宇宙ステーションと回転速度を合わせることにした。ヴァレリー達がドッキングについての速度を相談している間、ウラジーミルは命令を聞かず勝手にドッキングを実行。そして、2回目にして見事に成功させる。これにはヴァレリーも驚きを隠せず、管制室も成功の喜びに沸いた。
さて、本番はこれからである。ドッキングが第一段階とすれば、次の第二段階はサリュート7号が機能を停止した原因を探ることだ。ヴィクトルとウラジーミルは共にサリュート7号へ向かおうとしたが、管制室の命令によりウラジーミルが残りヴィクトルだけが宇宙ステーションへ。何かと問題はあったが、無事に中へと入ることに成功する。
サリュート7号は無人となって久しいが、中は全てが凍り付き、霜が降りていた。恐らく原因は水槽の破裂と思われる。2人は一旦、ソユーズへ戻り休憩を取ることにした。
管制室ではサリュート7号の修復について話し合われるも、中は唾もたちまち凍るほどの極寒である。氷を溶かすにしても2日の時を要する上に、溶けた後の水分で機器が故障する危険性があった。
相談の結果、管制室はサリュート7号の破棄を決定したが、ウラジーミルとヴィクトルは氷点下内での修復へ挑むと言う。ヴァレリーは彼らに5日間の猶予を与え、修復に挑むことを許可するのだった。
映画『サリュート7』のあらすじ【転】
ヴィクトルはまず、サリュート7号の太陽電池の位置を変更し、船内の温度を上昇させることにする。少なくともこれだけで船内の温度は3度、上昇する計算だった。ヴィクトルの案は成功し、翌日には船内の氷が溶ける。溶けた水分を回収及び、衣類を使って吸い取る。これにより、空調が使えるようになり船内の乾燥速度を上げた。
その後も2人は休憩を取りつつ、船内の水分を取り除く作業を続け機器の点検を行う。しかしそんな中、1滴の水分がソユーズに侵入し機器を故障させる。ウラジーミルもヴィクトルも宇宙ステーションの修復に夢中であったため、このことには気付かなかった。
ソーラーパネルの状況を確認するため、ウラジーミルが船外へ。サリュート7号の外壁は流星群でも衝突したのか、傷だらけであった。これにより、全機能を停止した原因が判明。管制室が対応策を考案する間、ウラジーミルは更に船外にて活動を続けようとするも突然、通信が切れる。船内にいるヴィクトルとも連絡が取れなくなり、窓から中を覗いた彼は衝撃を受けた。
ソユーズに侵入した水分が機器を故障させたために、船内で火災が発生していたのである。ヴィクトルは中で必死に消火活動を行っていたが、爆発にて吹っ飛ばされてしまう。そこでウラジーミルは中へ戻って相棒を救出し、必死の消火活動を行った。
通信が切れて9時間後、管制室はようやくウラジーミルとの通信に成功。ソユーズは火災のせいで操作不能となってしまい2人は現在、宇宙ステーション内へ避難していた。しかも、ヴィクトルは顔の右半分に火傷を負い、大量の煙を吸ったせいで意識が朦朧としている。その上、ソユーズが使えないとなると海へ落下させることも不可能。状況を聞いたヴァレリーは愕然としたが、別の方法で2人を地球へ戻すと約束した。
奇しくも、米国がチャレンジャー号の打ち上げを成功させた後である。国防省は国の最新技術を米国に奪われることを恐れるあまり、2人の宇宙飛行士を含めサリュート7号を撃ち落とそうとする。だが、ヴァレリーは飛行士を助けるため、3時間の猶予を願い出るのだった。
映画『サリュート7』の結末・ラスト(ネタバレ)
その頃、宇宙ではウラジーミルが作業を続けていたが、ここでヴィクトルが薬と酸素不足のせいで幻聴を聞き、米国のチャレンジャー号がドッキングしてきたのだと勘違いしてしまう。サリュート7号にはドッキング口が2つあったため、ヴィクトルはもう片方を開けようとする。チャレンジャー号がドッキングを成功させるとは到底、思えなかったウラジーミルは必死になって相棒の奇行を止めるのだった。
一方、短い時間ではあるものの、2人の飛行士を無事に地球へと帰還させる案を相談していた管制室。手動で切り離しを行えば、地球に帰還させることは可能だが、酸素供給に限界があり戻せるのはたった1人だけだと言う。準備の時間を考慮し、決断は今すぐにしなければならない。どちらを残すか、ヴァレリーは苦渋の決断をしなければならなかった。
考えた結果、ウラジーミルに負傷したヴィクトルを残すよう通信。そう話せば恐らくウラジーミルの性格上、自分が犠牲になるだろうと踏んだからであった。そうして数時間後、彼の妻子を管制室へ招待しウラジーミルと最後の会話をさせる。ヴァレリーはどうにもできない不甲斐なさに苛立ちを隠せず、思わず椅子を投げ飛ばしてしまうのだった。
その後、ウラジーミルはヴィクトルに1人で地球へ帰還するよう話す。だが、相棒は2人でなければ帰らないと言い張り、サリュート7号に備わっている酸素再生機を起動させようと提案。そのために船外にて太陽センサーのカバーを外す必要があった。2人は協力してカバーを外そうと試みる。一昼夜、必死に作業を続け、そして太陽センサーのカバーを外すことに成功する。すると、途端にサリュート7号に電気が供給され無事に機能を回復。2人の飛行士は決して諦めることなく、任務を遂行し宇宙ステーションの修復を完遂するのであった。
映画『サリュート7』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
1985年、冷戦下のソ連が米国と宇宙開発で競い合っている時代。ソ連の宇宙ステーションが突如、機能を停止。原因と修復を目的とし、2人の宇宙飛行士が飛び立つ。とにかくハラハラする場面が多く旧ソ連、独特の短絡的な思考に苦笑を禁じ得ない。
それでも宇宙飛行士たちが修復するために奮闘する姿には共感。ロシアの宇宙開発を担う国営企業が全面協力の元、事実に基づき描かれているだけあって非常にリアルである。(MIHOシネマ編集部)
実際の事故を元に描かれた今作。ロシア初の宇宙ステーションで起きた事故に立ち向かう人々を描いていましたが、終始ハラハラさせられる展開で心臓に悪いです。宇宙という常識が通用しない場所でこのような事故が起きると、私だったら絶対にパニックになってしまうので、旧ソ連の宇宙飛行士の落ち着きっぷりや冷静な行動に驚かされました。
時には司令に従わず、現場で感じたままに行動することも正解なのだと感じる作品です。(女性 30代)
実話を基にしているというだけで緊張感が違いました。無人化したサリュート7とのドッキングミッションは、宇宙空間での人間の無力さと、それでも挑戦し続ける精神の尊さを描いていて圧巻。特に手動でのドッキング成功シーンは手に汗握り、感動で鳥肌が立ちました。ロシア映画の特撮や宇宙描写もここまできたか、と感心。派手さよりも“生き抜く”重さが光る作品です。(30代 男性)
最初は「アポロ13」のロシア版かと思って観ていたのですが、サリュート7の方がより重厚で泥臭さがありました。機械トラブル、気圧の低下、通信断絶など、極限の状態に置かれたクルーたちの精神力に胸を打たれました。中でも、ラストの大気圏再突入のシーンは息を呑むほどの迫力。ソ連の技術者たちの誇りや葛藤も描かれており、宇宙開発の裏側に触れられるのが面白かったです。(40代 女性)
まさに“宇宙で最も孤独な修理任務”という感じで、没入感がすごかった。ドッキングの失敗=即死という極限状態で、しかも手動操作しかないという恐怖。それでも信頼と経験で乗り越えていく二人の姿に心打たれました。派手なCGではなく、リアルに作り込まれた演出が素晴らしく、特に宇宙船内の閉塞感がよく表現されていました。宇宙×ヒューマンドラマが好きな人にはたまりません。(20代 男性)
サリュート7は、ただの宇宙トラブル映画ではなく、人間関係や国家的プレッシャーの中で闘う人間の物語だと感じました。事故の責任を問われる中で命をかけて宇宙へ向かうクルーの姿勢に感動しましたし、地上との信頼関係がピリピリと伝わってくるのも良かったです。実話であることが信じられないほどドラマティックで、最後に任務成功の知らせが入る瞬間は涙が出ました。(50代 男性)
女性目線で見てもすごく引き込まれる作品でした。技術や専門用語が多いのに分かりやすく、何よりクルーたちの“人としての強さ”が描かれているのが良かったです。事故現場に自ら飛び込む勇気、それを支える家族の想いもリアルで、最後に地球に無事戻るシーンでは自然と涙が…。無機質な宇宙空間の中に人間の温かさがにじむ、見応えある一作です。(30代 女性)
“静かなる熱量”が凄まじい映画。サリュート7とのドッキングに命を懸ける2人の姿は、国や体制の違いを超えて尊敬すべき人間の挑戦だと感じた。特に「どうせ死ぬなら宇宙で死ぬ」なんて言える職業、普通じゃない。国家的失敗を防ぐために命を賭ける彼らの覚悟は重く、でもその中に確かに熱い人間ドラマがありました。とても静かな作品なのに、心は熱くなります。(20代 男性)
夫と一緒に観ましたが、女性でも楽しめる宇宙映画です。派手な爆発やヒーロー性はないけど、極限状態の中で繋がっていく人間同士の信頼関係に感動しました。特に、地上の技術者たちとの連携、決断の連続には思わず息を止めてしまう場面も多くて。クライマックスでの修理成功シーンでは拍手したくなりました。宇宙を舞台にした人間賛歌です。(40代 女性)
自分が宇宙飛行士だったら絶対ムリ、と思いながらも憧れが止まらない映画。あんな極限状態で冷静に行動するなんて本当にすごい。CGもリアルで、地球を見下ろすシーンや宇宙遊泳の描写が美しく、ロシア映画もここまで来たかと感心しました。実話ベースだからこそ、フィクションとは違う重みがあるし、だからこそ感動も倍増。最後の生還シーンはまさにヒーローの凱旋です。(10代 男性)
映画『サリュート7』を見た人におすすめの映画5選
アポロ13(1995)
この映画を一言で表すと?
宇宙に取り残された男たちと地上の奇跡が生んだ“実話のサスペンス”!
どんな話?
1970年、アポロ13号に起きた事故によって地球に帰還できなくなった宇宙飛行士たちと、NASAの地上チームが協力して帰還を目指す実話ベースの宇宙サバイバル。極限状態での人間の知恵と絆が描かれます。
ここがおすすめ!
登場人物たちの冷静な判断とチームワーク、そして“絶対に諦めない”精神に胸が熱くなる名作。『サリュート7』と同じく、実話をもとにした緊迫感ある宇宙ドラマを求める人にぴったりです。
インターステラー(2014)
この映画を一言で表すと?
時空を超えた父の愛が、宇宙の謎を解き明かす超大作!
どんな話?
環境崩壊が進む地球を救うため、元NASAのパイロットが新たな居住可能惑星を探すミッションに挑む。家族を思う心と科学の限界が交錯しながら描かれる壮大なSFドラマ。重力、時間、愛といったテーマが詰め込まれています。
ここがおすすめ!
リアルな宇宙描写と科学考証、そして人間ドラマが融合した傑作。『サリュート7』のように、過酷な宇宙での挑戦と人間の感情が絡む物語をさらにスケールアップして味わえます。映像美も必見です。
ファースト・マン(2018)
この映画を一言で表すと?
“人類初”の裏にあった静かで壮絶な闘いを描いたリアルな月面着陸ドラマ。
どんな話?
アポロ11号で初めて月面に降り立ったニール・アームストロングの視点から、彼の内面や葛藤、家族との関係を丁寧に描いたヒューマンドラマ。実際の訓練や失敗もリアルに再現されています。
ここがおすすめ!
派手な演出よりも“リアルさ”を重視した映画で、宇宙飛行士の心理描写が細やか。『サリュート7』が好きな人には、この静かな重厚感と人間描写の深さにきっと共感できるはずです。
グラビティ(2013)
この映画を一言で表すと?
宇宙空間の絶望と再生を、圧倒的映像で描いたサバイバルスペクタクル!
どんな話?
宇宙ステーションでの事故によって、ひとり宇宙に取り残された女性宇宙飛行士が、地球への帰還を目指して奮闘するサバイバル。音も重力もない世界で、生きる希望を見出す物語です。
ここがおすすめ!
サンドラ・ブロックの熱演と、リアルな宇宙描写が高く評価された一作。『サリュート7』と同じく、極限状況の中で命を賭けて生き抜く人間の強さを体感できます。臨場感ある映像表現は必見!
スペース カウボーイ(2000)
この映画を一言で表すと?
年老いても挑戦は終わらない——伝説の男たちが宇宙へ向かう!
どんな話?
かつて宇宙飛行士を夢見た元空軍の老パイロット4人が、旧ソ連の衛星修理という無茶な任務に挑むことになる。老いと闘いながらも、仲間と共に空へと挑む姿が胸を打ちます。
ここがおすすめ!
ユーモアと感動が同居する異色の宇宙映画。衛星の修理やドッキングなど、『サリュート7』にも共通するシーンがあり、ベテランたちの知恵と覚悟にグッときます。大人の冒険映画を楽しみたい方におすすめです。
みんなの感想・レビュー