映画『サンクタム』の概要:主人公ジョシュは、冒険家の父親フランクとともに、パプアニューギニアで発見された巨大な洞窟の探索を行っていた。だが、諸島にサイクロンが上陸したことで事態は一変。浸水していく洞窟から、ジョシュは生きて地上に戻れるのか。実話を元にした、世界最大の前人未到洞窟内で起こった生死をかけた脱出劇。
映画『サンクタム』の作品情報
上映時間:109分
ジャンル:ヒューマンドラマ、ドキュメンタリー
監督:アリスター・グリアソン
キャスト:リチャード・ロクスバーグ、リース・ウェイクフィールド、アリス・パーキンソン、ダン・ワイリー etc
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映画『サンクタム』の登場人物(キャスト)
- ジョシュ・マクガイル(リース・ウェイクフィード)
- 冒険家フランクの息子。父親らしいことは何一つせず、冒険ばかりしている父親に嫌気が差している。
- フランク・マクガイル(リチャード・ロクスバーグ)
- ジョシュの父親。コロンブスと肩を並べるといわれているほどの冒険家。息子のジョシュにいつもきつく当たっている。
- カール・ハーレー(ヨアン・グリフィズ)
- フランクの冒険に巨額の寄付をしている億万長者。自由人。
- ヴィクトリア(アリス・パーキンソン)
- カールが思いを寄せる登山家の女性。
- クレイジー・ジョージ(ダン・ワイリー)
- フランクに絶大の信頼を寄せている探索チームの一人。
映画『サンクタム』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『サンクタム』のあらすじ【起】
パプアニューギニアの原生林で発見された世界最大の前人未到洞窟、エスベリト・エサーラ。ジョシュは、冒険家の父フランクと地下洞窟の探索に来ていた。今回の冒険は、洞窟の地下から海へ繋がる水路を探ること。だが、熱心な父とは裏腹に、家族を顧みない父をジョシュは疎ましく思っていた。
ジョシュは父から言われていた仕事の持ち場を離れ、父の冒険に巨額の寄付を投じるカールと、カールのガールフレンドのヴィクトリアを港町の船着き場まで迎えに行き、洞窟までの道のりを案内していた。
地上から2000メートル地下の前方基地。エサーラ洞窟探索34日目のこの日は、フランクが仲間のジョージ、ジュードと共に洞窟内再調査のため潜水の準備をしていた。
フランクは、前から気になっているという悪魔の住処と名付けた水路から、先へ進むための道を探す。フランクとジュードは、人一人がやっと通れる狭い水路を発見。そして2人は、これまで見たこともない空間に辿り着く。
例えるならまるで巨大な大聖堂。笑みをこぼすジュードに、フランクはこの場所を”聖ジュード大聖堂”と名付ける。ところが前方基地へ帰還する途中、ジュードの酸素チューブが突然破裂。パニックに陥るジュードに、フランクは自らのマスクから酸素を吸わせるも、ジュードはフランクの目の前で溺死してしまった。
映画『サンクタム』のあらすじ【承】
地下でジュードの事故があった頃、地上では大型のサイクロンが上陸。天気予報をはるかに超えた勢いと速度で、既に暴風域に入った諸島では大粒の雨が洞窟内に侵入していく。
地上との交信が途絶えたことを不審に思ったフランクは、仲間の2人を先に地上へ行かせた。ジュードの死を父親のせいだと非難するジョシュも、父親に嫌気が差して地上へ向かう。ジョシュの様子を心配した現地探索仲間のルコが、一緒に地上に同行した。
地上への中継地点に辿り着いたジョシュらは、サイクロンのせいで洞窟が増水していることを知る。フランクらの救助は嵐の後だと言われ、ジョシュは父親を置いて逃げることに反対。ルコと父親の元に戻る。
一方でフランクは、増水の状況にいち早く気づき、仲間を急いで準備させると地上を目指していた。戻ってきたフランクとルコに、ヴィクトリアをロープで上げさせる。ところが、頭上から大岩が水の勢いに押され出口を塞いでしまう。その反動でジョシュとヴィクトリアは落下。ルコは岩に叩き付けられ流されてしまった。
一行は別の出口からの脱出を余儀なくされる。
地下水路を潜水して脱出するために使えそうなものを集めていると、ジョシュはルコを発見。ルコは顔の半分を強打し、全身も至る所を骨折し瀕死の状態。フランクはルコの様子を見て、処置できないと判断した。あんまりだと泣き、怒るジョシュ。ヴィクトリアもフランクを非難するが、フランクは強い口調で何もわかってないと叫ぶ。お前たちは”冒険者”を夢見ている甘ったれだと。
フランクは現地語でルコに大丈夫だと囁くと、息も絶え絶えなルコをそっと水の底に沈める。苦しくもがくルコの手がフランクの肩を掴む。苦痛に満ちた表情を浮かべながらも、フランクは決して手を緩めない。やがて、ルコは静かに動かなくなった。
映画『サンクタム』のあらすじ【転】
フランク、ジョシュ、ジョージ、カール、ヴィクトリアの4人は、地下水路を進み、聖ジュード大聖堂を目指す。大聖堂の岩場に到着したところで、ヴィクトリアはウェットスーツの着用を拒んでいたために急激に体温が低下。また、減圧に失敗したジョージは、以前患っていた潜水病を再発させる。聖ジュード大聖堂も刻一刻と浸水している中、立ち止まってはいられない一行は出口を探すために出発する。
段々とジョージの歩みに遅れが生じ、ジョシュは心配しながらジョージに付き添う。潜水病の再発を悟られないようジョージはジョシュに、父親のフランクがいかに”すごい男”なのかを語る。そして、後から追いつくからとジョシュを先へ行かせた。
ジョージはそのままフランクらの前から姿を消す。何度も叫んで呼びかけるが、ジョージは岩陰に隠れ、遂に姿を見せなかった。岩肌に”ジョージここに到達”とのメッセージとボンベだけを残して。
4人は火山の噴火口のような深い穴を発見する。眼下には大量の水が渦を巻いていた。ジョシュが岩肌を伝い、向こう側へ渡るためのザイルを固定する。
順番に崖を下り、ザイルを伝って渡る。ヴィクトリアも、かじかむ指を何とか動かしながらゆっくりと崖を下りる。だが足を滑らせると、ヴィクトリアの髪の毛が鎖を巻き込み、ヴィクトリアは叫び声をあげた。全体重がかかった髪の毛は頭皮から引きちぎれそうになる。あまりの痛みにヴィクトリアはナイフを取り出し、髪の毛を切り落とした。
髪の毛が体から離れると、どこにも捕まることのできなかったヴィクトリアはあっという間に穴へ落下していく。落下の衝撃でザイルも岩から外れ、助ける間もなくヴィクトリアは水底へと沈んでしまった。
映画『サンクタム』の結末・ラスト(ネタバレ)
想い人を亡くし、絶望するカール。それでも先へ進もうとするフランクをカールは非難する。ジョシュもなぜそんなにも洞窟に固執するのか問う。ここは教会だと言うフランクに、ジョシュは死にたくないと泣いた。フランクは息子を強く抱きしめる。
歩き続けた3人は、水路に続く池にたどり着いた。だが、ヴィクトリアと一緒にボンベも失っており、残るはあと1つ。カールは2人を置いてボンベを背負い、1人水路に飛び込んだ。
なす術もないと絶望するフランクを、今度はジョシュが励ます。そしてジョシュは、頭上の岩の隙間に蝙蝠の糞があることに気付く。2人は人一人がやっと通れるような狭さの岩肌を一緒に登っていく。父は、母が好きだったという詩を暗唱し始める。息子は微笑み、父の暗唱を復唱する。父は息子に肩を貸し、息子は父に腕を伸ばし引き揚げる。
2人の目の前に、広いドームのような空間が現れる。頭上は遥か高く、中心だけがぽっかりと空き、太陽の光が降り注がれていた。中央には旧日本軍の戦車が忘れられたように残っている。2人は戦車に”また会おう”とメッセージを刻み、更に先へ進んだ。
異臭が放たれる川に辿り着いた2人は、ボロボロの状態のカールと出会った。カールは1人勝手に逃げたことを詫びる。流れ着いていた仲間の荷物から酸素を発見したフランクは、カールを置いていこうとする。逆上したカールはフランクに襲い掛かり、尖った岩肌にフランクの体を突き刺す。ジョシュが怒りに任せてカールを殴りつけ、カールは逃げるように地下水路へ飛び込み姿を消す。
ジョシュは泣きながら瀕死の父親を抱きしめる。フランクは、洞窟を信じて進めば出口に辿り着く、お前は誇りだと語る。ジョシュはそっとフランクを水に沈めた。父の最後の抵抗は呆気ないものだった。
カールが進んだ水路をジョシュも辿る。僅かな酸素を浅く吸いながら進んでいくと、途中でカールの水死体を発見した。少しの一瞥もしないまま一心不乱に進む。やがて酸素が尽き、ジョシュの体力も限界に近づいていく。
疲れ果てそっと目を閉じると、脳裏に浮かんだフランクがジョシュの名前を呼び、もう少しだと語りかけている。ジョシュは前方から光が差し込んでいることに気付き、最後の力を振り絞って泳ぎ切った。太陽が燦々と輝く海上に辿り着く。
ジョシュは、消えたジョージに語りかける。キミの言った通り、父は”すごい男”だったと。
映画『サンクタム』の感想・評価・レビュー
とにかく息が苦しくなる映画である。
親子仲が良くない、冒険家フランクと息子ジョシュを含めた数名と、悪魔の住処と呼ばれる地下洞窟からの脱出を試みるという展開。
溺れてしまうものもいれば、急な事故に巻き込まれてしまうもの、人間同士の仲違いなど、様々な展開で一人ずつ命を落としていく中で、ジョシュだけが生き残るのだが、岩にこびりついた一呼吸分程の水泡で何とか出口を目指すというシーンが、見ていて本当に辛くなる。最終的に海上に辿り着いた時の安堵感で、ようやく気持ちが救われる作品である。(男性 30代)
ホラー映画とはまた違う、自然ならではの圧倒的な恐怖を感じる作品だった。酸素ボンベなどの道具を持っていてもここまで天候が荒れてしまうと、人は成す術がないのだなと感じた。怪我を負った仲間を死なせたシーンを見て、フランクが冒険家としての覚悟を持って、探検に挑んでいるのが伝わってきた。普通の人だったら、彼のようには動けないと思う。せっかくフランクとジョシュが和解できたのに、亡くなってしまったのが切なくてたまらなかった。(女性 30代)
自然探索で洞窟に行った時、暗くジメッとした雰囲気に冒険のような気持ちになってワクワクした子供の頃。しかし、この作品を見ると洞窟や自然に潜む怖さを体感することが出来て、子供の頃のワクワクとは違った気持ちになりました。
冒険家の父を持つというのは羨ましい反面、寂しさの伴うことなのだなとジョシュを見ていて思いましたが、父の存在があったからこそ生き残れたジョシュ。僅かな可能性を見いだし、諦めずに最後まで頑張り続けたジョシュの姿は本当にかっこよかったです。(女性 30代)
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