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映画『殺人者の記憶法 新しい記憶』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『殺人者の記憶法 新しい記憶』の概要:殺人鬼だったビョンスは、アルツハイマーのせいで認知症を患っていた。記憶が混濁する中、彼は追突事故を起こしてしまう。ぶつかった車の相手を見たとき、ビョンスは本能的に気がついた。彼もまた、自分と同じ殺人鬼だと。

映画『殺人者の記憶法 新しい記憶』の作品情報

殺人者の記憶法 新しい記憶

製作年:2017年
上映時間:128分
ジャンル:サスペンス
監督:ウォン・シニョン
キャスト:ソル・ギョング、キム・ナムギル、キム・ソリョン、オ・ダルス etc

映画『殺人者の記憶法 新しい記憶』の登場人物(キャスト)

キム・ビョンス(ソル・ギョング)
元連続殺人犯。アルツハイマーによる認知症を患っており、記憶が忘れていく。連続殺人事件の容疑者として逮捕され、警察病院で事情聴取を受けている。
ミン・テジュ(キム・ナムギル)
警官で連続殺人犯。幼少期に母親からひどい仕打ちをされ、それが原因で女性ばかりを殺すようになる。
ウンヒ(キム・ソリョン)
認知症の父を心配する献身的なビョンスの娘。ミンと出会い、付き合いだす。時に病気のせいで暴力的な行動をするビョンスを許してくれる、良き理解者。

映画『殺人者の記憶法 新しい記憶』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『殺人者の記憶法 新しい記憶』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『殺人者の記憶法 新しい記憶』のあらすじ【起】

警察病院に逮捕されていたキム・ビョンスは、ミンジェ検事から聴取されていた。ビョンスはある事件の容疑者だったが、アルツハイマーを患っており、記憶が混濁していた。ビョンスはパソコンに日記を残していた。その日記を見たミンジェは、憶えていることを全て話すよう彼に言った。ビョンスは静かに語りだした。

3か月前、ビョンスは認知症と診断される。彼は過去に自動車事故を起こしており、それが原因だった。新しい記憶から失われていき、最後には全て忘れてしまうと言われた。彼は常にボイスレコーダーを持ち歩き、大事なことを忘れないように声を吹き込んでいた。

ビョンスは殺人鬼で、今まで何人もの人を殺していた。最初の殺人は父親で、母や姉、自分に暴力を振るうことが耐えられず、殺害に至った。その時から、彼は犯してもいい殺人もあるのだと思うようになり、自分勝手な悪い人間たちを“掃除”するようになっていった。

悪い人間を殺す代わりに、ビョンスは動物病院を経営し、動物の命を救っていた。だが、認知症が進み、まともな診断ができなくなったと悟った彼は、病院を閉めてしまう。

隣町で若い女性ばかりを狙った婦女連続殺人が発生する。ビョンスは思わず自分がやったのではないかと靴の汚れを確認したが、どうやら自分ではないらしかった。彼は17年前にある女を殺してから殺人を止めていた。その女を殺した動機は憶えていなかったが、その帰り道に事故を起こし、認知症はそれが原因で引き起こされていた。

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映画『殺人者の記憶法 新しい記憶』のあらすじ【承】

ビョンスは竹林を所有しており、殺した死体はそこに埋めていた。ある日、竹林からの帰り道で追突事故を起こしてしまう。ぶつかった拍子に相手の車のトランクが開いた。中に入れてあった旅行カバンから血が出ていることに気がついたビョンスは、本能的に血をハンカチに取った。運転手は若い男で、鹿をはねたという。ぶつかったことは気にしなくていいと言われたが、ビョンスは名刺を渡した。男は何事もなかったように立ち去ったが、ビョンスは気がついていた。あの男も自分と同じ殺人鬼だと。

ハンカチの血は鹿ではなく人間のものだと分かったビョンスは、警察に電話をする。だが、警察に大きな動きはない。自ら死体を捜すことにしたビョンスは、犯人の思考を読み、貯水池で死体を発見。すぐに警察に連絡した。

衝突事故の相手はミン・テジュという警察官だった。ミンはおとなしく、人の良さそうな外見だったが、彼もまた殺人鬼だった。死体発見がビョンスの仕業だと気づいた彼は、動物病院を訪れた。そこでビョンスにウンヒという娘がいることを知り、彼女に近づいていく。

ミンは新米警官たちと、時効になった事件の論文を書かされていた。昔、ビョンスが犯した連続殺人事件を調べた彼らは、最近の婦女連続殺人も同一犯の可能性があるのではないかと考え始める。

ビョンスはウンヒの勧めで詩の講座に通っていた。チョ・ヨンジュという女性がビョンスに好意を寄せていたが、彼は興味がなく相手にしていなかった。ある時、講座の帰りにウンヒとミンが一緒にいるところを目撃する。二人は付き合っているのだと説明された。ビョンスはミンのことを忘れており、思い出すことができなかった。

アン・ビョンマン所長はビョンスとは旧知の仲だった。ある日、彼は新米警官たちを連れてビョンスの家を訪ねた。ビョンスは竹林に隠した死体がバレたのかと焦ったが、論文のための意見がほしくて来たのだという。昔の連続殺人事件と最近の婦女連続殺人は同一犯かと聞かれたビョンスは、最近の殺人は自己顕示欲が強いが、昔の殺人は違う。男も殺したし、何か別の目的があると推測を語った。

映画『殺人者の記憶法 新しい記憶』のあらすじ【転】

ビョンスはビョンマンに追突事故を起こした車のナンバーを調べてもらっていた。そこからミンに辿り着いた彼は、忘れていた記憶を取り戻す。ウンヒが危険だと感じたビョンスは、ミンから遠ざけようと必死になった。ミンを善人だと疑わないウンヒを強引に引き離し、“娘に近づいたら殺す”と警告したビョンス。それだけでは終わらず、ビョンスはミンの殺害を計画する。致死量の鎮静剤を使って殺そうと考えるが、実行前に記憶障害が起こってしまう。

気がつくと、一週間もの時間が経過していた。ミンとウンヒは結婚の約束をする仲になっていた。ミンはビョンスが結婚を快諾してくれたと口にしたが、ビョンスはそう言った記憶はなかった。だが、彼に“殺す”と言った記憶は残っており、ますますミンを警戒するようになっていく。

ビョンマンにミンの車から採取した血を渡したビョンス。これが分析されれば、彼の犯罪は立証されるが、結果は動物の血だった。それを知ってビョンスは混乱していく。だが、その夜、ふと目覚めたビョンスは自分が拘束されていることに気がついた。見ると部屋にはミンがいた。彼は以前から家に忍び込み、ビョンスに日記を盗み見ていた。そのおかげで、血を動物のものとすり替えることに成功したのだ。

ミンは自分が犯した殺人をビョンスに擦りつけようと考えていた。彼はビョンスの日記を都合よく改ざんすると、ビョンスを眠らせて去って行った。目覚めたビョンスはウンヒをミンから守るため、姉のいるマリア修道院へとタクシーで向かわせた。

ミンを殺そうと彼を尾行したビョンスは、追っていった先で廃屋に辿り着く。ミンがいなくなった隙に廃屋に忍び込んだビョンスは、そこでビデオカメラを発見。中には詩の講座で一緒だったチョ・ヨンジュが殺される映像が記録されていた。殺しの証拠を得たビョンスは、それをビョンマンに見せる。だが、ビョンスにアリバイが無かったことから、逆に犯人ではないかと疑いをかけられてしまった。

ウンヒの居所を問われたビョンスは、姉の修道院に送ったと答えたが、姉は昔に自殺しており、修道院も廃屋となっていた。それを知ってビョンスは驚愕するが、そのショックがきっかけとなり、彼は全てを思いだした。17年前の最後の殺人は、彼の妻だった。浮気したことが許せず、衝動的に殺したのだ。妻からウンヒが自分の子供ではないことを知らされたビョンスは、ウンヒを殺そうと車を走らせ、その途中で事故を起こしてしまった。だが、それが原因で認知症になり、ウンヒを殺すことを忘れて今まで育てていたのだった。

竹林が捜索され、ヨンジュの遺体が発見される。古い遺体もいくつか発見された。記憶が混濁したビョンスは、婦女連続殺人も自分の犯行だと思い込み始めていた。彼は自殺を決意するが、その時、ボイスレコーダーからミンとのやり取りが聞こえてきた。彼に拘束された時、もみ合った際に偶然にスイッチが入り録音されていたのだ。ビョンスは、タクシーと間違えてウンヒを彼の車に乗せてしまったことも思い出した。

映画『殺人者の記憶法 新しい記憶』の結末・ラスト(ネタバレ)

電話でボイスレコーダーの音声を聞いたビョンマンは、ミンが犯人だと気がつき驚愕する。ビョンマンはミンを尾行し、山中のアジトに辿り着いた。ウンヒの無事を確認した彼は、ビョンスに電話して居場所を教えたが、その直後にミンに気づかれて殺害されてしまう。その様子を目撃してしまったウンヒは、彼の正体に気がついて逃げ出すが、すぐに取り押さえられてしまった。

アジトへとやってきたビョンス。ウンヒを探し回る中、記憶障害が起き、自分がどこにいるのか分からなくなってしまう。そんなビョンスを殺そうと襲いかかるミン。だが、ウンヒの声に記憶を取り戻したビョンスは、彼を取り押さえ、割れたビンを突き刺して重傷を負わせた。

ミンからビョンスが昔、連続殺人犯だったと教えられていたウンヒ。彼女はビョンスに本当なのかと問いかけた。ビョンスは真実を語った。ウンヒは泣き崩れたが、そんな彼女にビョンスは“俺とお前は血の繋がらない家族だ。お前は殺人者の娘ではない”と語りかけた。

ふと、辺りを見回したビョンスは、倒れていたはずのミンの姿がどこにも無いことに気がついた。彼は忽然と姿を消してしまっていた。二人はその後、やってきた警察によって拘束。娘は病院に運ばれ、ビョンスは警察病院に収監され、今に至るのだった。

話を聞いていたミンジェ検事は疑いを強めていた。ボイスレコーダーは無くなっており、ミンの行方も分からなかったからだ。ミンジェは、認知症になると記憶をパズルのように組み合わせ、自分に都合よく作り変えると説明し、お前が殺したのだろうと追及した。だが、ビョンスは何も語らなかった。証拠不十分のため、ビョンスは釈放され、ミンは指名手配された。

実は、真実は全て逆だった。全てを擦りつけようとしていたのはビョンスで、ミンは彼によって連続殺人犯に仕立て上げられていたのだ。チョ・ヨンジュを殺したのも、ビョンマンを殺したのもビョンスだった。ミンは本当に真面目な警察官だったが、今では死体となって車ごと海中に沈んでいた。自由を得たビョンスは、静かにほほ笑んだ。

映画『殺人者の記憶法 新しい記憶』の感想・評価・レビュー

殺人者の記憶法』と、ほとんど変わらない内容なのだが、オチだけが違う。『グランド・イリュージョン2 見破られたトリック』のように、前作の結果を大きく覆すような展開は、好き嫌いが別れるかもしれない。ビョンスが勝手にストーリーを作って話しているのだから、前作で抜け落ちていた記憶の部分を、勝手に創作したら面白かったと思う。追加されたシーンはごくわずかだが、それで結末がガラリと変わるさまは編集の面白さを感じさせて良い。だが、前作を見た人ならば、終わりだけ見ればいいような気がする。(MIHOシネマ編集部)


本作は、アルツハイマー認知症を患う元殺人鬼のビョンスを描いた『殺人者の記憶法』の別視点バージョン。
前作の含みを持たせた結末を見て解釈できなかった部分が、本作を見て新たに混乱しながらも腑に落ちてスッキリした。
自分の都合の良いように記憶を改ざんするという人間の記憶能力の曖昧さにハッとさせられる、前作とは全く異なる結末も面白かった。
俳優陣の怪演に騙されっぱなしで、最後まで目が離せない程見入った。
前作と見比べて楽しめる作品。(女性 20代)


思わず「えっ…」と声が出てしまったラスト。『殺人者の記憶法』を見て、ラストの展開にも納得していたので今作のオチはかなり衝撃的でした。ビョンスが殺しをやめた理由は記憶障害を患ってしまったからと、その記憶障害によって娘を「守るべきもの」と考えているからだと思っていたので、実はビョンスが連続殺人犯だという展開は少し腑に落ちない部分がありました。
しかし、オチが変わるだけでストーリーが全く違って見えることを教えてくれた今作は素晴らしい作品です。(女性 30代)

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前作 殺人者の記憶法

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